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公開番号2024147305
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-10-16
出願番号2023060234
出願日2023-04-03
発明の名称遺伝子分析方法、遺伝子分析装置、及び遺伝子分析用キット
出願人株式会社日立製作所
代理人弁理士法人平木国際特許事務所
主分類C12Q 1/6876 20180101AFI20241008BHJP(生化学;ビール;酒精;ぶどう酒;酢;微生物学;酵素学;突然変異または遺伝子工学)
要約【課題】低頻度で存在する少量の遺伝子変異を高感度かつ正確に定量するための方法及び手段を提供すること。
【解決手段】標的塩基配列を検出するための遺伝子分析方法であって、標的塩基配列に対して特異的なプライマーを用いて被検核酸を鋳型として塩基伸長反応を行う工程、前記反応の生成物を電気泳動又は質量分析に供する工程、前記電気泳動又は質量分析による前記生成物のサイズの相違と、前記標的塩基配列の野生型と変異型に関する情報とに基づいて、前記被検核酸における前記標的塩基配列の野生型と変異型を検出する工程を含み、前記塩基伸長反応を行う工程が、同じ標的塩基配列に対して塩基長の異なる2種以上のプライマーを用いて塩基伸長反応を行うことを含む、遺伝子分析方法。
【選択図】図2
特許請求の範囲【請求項1】
標的塩基配列を検出するための遺伝子分析方法であって、
標的塩基配列に対して特異的なプライマーを用いて被検核酸を鋳型として塩基伸長反応を行う工程、
前記反応の生成物を電気泳動又は質量分析に供する工程、
前記電気泳動又は質量分析による前記生成物のサイズの相違と、前記標的塩基配列の野生型と変異型に関する情報とに基づいて、前記被検核酸における前記標的塩基配列の野生型と変異型を検出する工程
を含み、
前記塩基伸長反応を行う工程が、同じ標的塩基配列に対して塩基長の異なる2種以上のプライマーを用いて塩基伸長反応を行うことを含む、遺伝子分析方法。
続きを表示(約 1,600 文字)【請求項2】
2種以上のプライマーを用いて塩基伸長反応を行って得られた変異型の信号の出現回数をカウントすることにより、野生型に対する変異型の存在有無を判定する工程を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
標的塩基配列を検出するための一塩基伸長反応用プライマーと、蛍光色素を有する一塩基伸長反応用の基質とを用いて被検核酸を鋳型として一塩基伸長反応を行う工程、
前記一塩基伸長反応の生成物を電気泳動に供する工程、
前記電気泳動の移動度としての前記生成物のサイズの相違と、前記蛍光色素の蛍光信号としての前記標的塩基配列の野生型と変異型に関する情報とに基づいて、前記被検核酸における前記標的塩基配列の野生型と変異型を検出する工程
を含み、
前記一塩基伸長反応を行う工程が、同じ標的塩基配列に対して塩基長の異なる2種以上の一塩基伸長反応用プライマーを用いて一塩基伸長反応を行うことを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記標的塩基配列の野生型と変異型を検出する工程が、前記蛍光信号の大きさに基づいて前記標的塩基配列の野生型と変異型の含有比を定量する工程を含む、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記2種以上の一塩基伸長反応用プライマーが、同じ配向を有するプライマー、又は異なる配向を有するプライマーを含む、請求項3に記載の方法。
【請求項6】
複数の標的塩基配列を検出する場合、定量が望まれる標的塩基配列を検出するための一塩基伸長反応用プライマーが、他の標的塩基配列を検出するための一塩基伸長反応用プライマーよりも短い塩基長を有するように設計される、請求項3に記載の方法。
【請求項7】
標的塩基配列を検出するための一塩基伸長反応用プライマーを用いて被検核酸を鋳型として一塩基伸長反応を行う工程、
前記一塩基伸長反応の生成物を質量分析に供する工程、
前記質量分析の信号の差異としての前記生成物のサイズの相違と、前記一塩基伸長反応で取り込まれた塩基の質量分析の信号の差異としての前記標的塩基配列の野生型と変異型に関する情報とに基づいて、前記被検核酸における前記標的塩基配列の野生型と変異型を検出する工程
を含み、
前記一塩基伸長反応を行う工程が、同じ標的塩基配列に対して塩基長の異なる2種以上の一塩基伸長反応用プライマーを用いて一塩基伸長反応を行うことを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記標的塩基配列の野生型と変異型を検出する工程が、前記質量分析の信号強度の大きさに基づいて前記標的塩基配列の野生型と変異型の含有比を定量する工程を含む、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
標的塩基配列を検出するための多塩基伸長反応用プライマーと、蛍光色素を有する多塩基伸長反応用の基質とを用いて被検核酸を鋳型として多塩基伸長反応を行う工程、
前記多塩基伸長反応の生成物を電気泳動に供する工程、
前記電気泳動の移動度としての前記生成物のサイズの相違と、前記電気泳動の移動度及び前記蛍光色素の蛍光信号としての前記標的塩基配列の野生型と変異型に関する情報とに基づいて、前記被検核酸における標的塩基配列の野生型と変異型を検出する工程
を含み、
前記多塩基伸長反応を行う工程が、同じ標的塩基配列に対して塩基長の異なる2種以上の多塩基伸長反応用プライマーを用いて多塩基伸長反応を行うことを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記標的塩基配列の野生型と変異型を検出する工程が、前記蛍光信号の大きさに基づいて前記標的塩基配列の野生型と変異型の含有比を定量する工程を含む、請求項9に記載の方法。
(【請求項11】以降は省略されています)

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、遺伝子変異の分析方法、並びにその方法に基づく遺伝子分析装置、及び遺伝子分析用キットに関する。
続きを表示(約 2,700 文字)【背景技術】
【0002】
近年のゲノム解析技術の進展により、種々の疾患と遺伝子変異の関連性が解明されつつある。がん等の疾患に由来する後天的な遺伝子変異である体細胞系列変異は、ゲノム上での変異発生位置が予測できない、個体内や組織内における変異存在比率が予測できない、という特徴がある。例えば、がん患者から切除した腫瘍部位の組織試料にはがん細胞と正常細胞が含まれ、さらにがん細胞間においても遺伝子変異に多様性がある。そのため、ある特定遺伝子のある特定位置に遺伝子変異を有する細胞の試料中存在比率は、非常に低くなっている場合がある。したがって、疾患に由来する後天的な遺伝子変異を検出するために高感度な検出方法が必要になる。また、治療方法や治療薬の選択においては、標的遺伝子のある特定位置の遺伝子変異の有無だけではなく、その存在比率を指標とする場合もある。そのため、遺伝子変異の高感度な検出に加えて、その存在比率の定量化も重要となる。
【0003】
バイオマーカーとなる疾患関連の遺伝子変異の探索では、現在、次世代シーケンサー(NGS:Next Generation Sequencer)を使って大規模かつ高速の解析が可能となり、遺伝子変異の項目抽出は容易になりつつある。そのため、がんをはじめとする疾患診断において、NGSでの網羅的分析の結果に基づいて特定された遺伝子変異を、コストや検出感度の観点でNGSよりも有利な遺伝子変異の検出技術で測定することによって、検査フローの汎用性を上げる潮流がある。
【0004】
低コストの遺伝子変異の検出技術では、例えば、キャピラリー電気泳動(CE)を用いたフラグメント解析が挙げられる。代表的なものとしては、一塩基多型(SNP:Single nucleotide polymorphism)ジェノタイピングや、MLPAアッセイ(MLPA:Multiplex ligation-dependent probe amplification(登録商標))等が挙げられる。いずれも遺伝子配列の関心領域に対してプライマーを作用させ、フラグメント解析によって遺伝子変異が検出できる技術として確立されている。
【0005】
非特許文献1では、SNPジェノタイピングのキットとしてSNaPshot(登録商標)を用いて、ホルマリン固定及びパラフィン包埋組織を対象に標的となる腫瘍由来の遺伝子配列をマルチプレックスのポリメラーゼ連鎖反応(PCR:polymerase chain reaction)で選択的に濃縮後、13のがん遺伝子における120の既知の遺伝子変異が検出できることを示している。ヒト肺がんA427細胞株のKRAS G12D変異、及び肺腺がん細胞株NCI-H1975のEGFR T790M変異の測定において、野生型に対する変異型の検出感度が約3%であることが示されている。なお、SNaPshot(登録商標)キットで検出できるアレル頻度は、典型的には5%程度とされている。
【0006】
近年のNGSを用いた変異検出では、分子バーコードを用いることにより検出感度は1%以下で実現されており、キャピラリー電気泳動を用いた解析においても高感度化に向けた技術的な工夫が数多く報告されている。例えば、特許文献1では、事前のデータベース構築を不要としつつ、高感度化、及び定量化範囲の拡大(高ダイナミックレンジ化)を行うためのデータ処理技術として、電気泳動データのうちから特定波長データを選択し、高周波数側の一部又は全部をカットするフィルタリング処理を行い、各カットオフ周波数について、フィルタリング処理前後における特定波長データのピーク強度を比較し、特定波長データのピーク強度の低下が所定の許容範囲内となるような、最も低いカットオフ周波数を、第1カットオフ周波数として算出し、第1データに対して、又は、第1データに対するカラーコール後データに対して、第1カットオフ周波数によるフィルタリング処理を行うことにより補正する方法、が示されている。また、発光検出装置のハードウェアの工夫として、特許文献2では、発光点アレイの各発光点からの発光を、集光レンズアレイの各集光レンズで個別に集光して光束とし、各光束を光学素子で偏向して偏向光束とし、偏向光束を並列にセンサに入射させて検出し、各発光点の径、各集光レンズの焦点距離と間隔、各集光レンズと光学素子の光路長の間で所定の関係を満足させることにより、発光検出装置を小型化すると同時に、高感度と低クロストークを同時に実現する方法が示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
特開2022-149047号公報
特許第7075974号
【非特許文献】
【0008】
Dias-Santagata, D. et al., EMBO Molecular Medicine 第2巻第146-158頁 (2010)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
低コストの遺伝子変異検出技術として、キャピラリー電気泳動のフラグメント解析が挙げられるものの、野生型に対する変異型の検出感度は一般に数%とされており、臨床価値実証に向けて高感度化の技術潮流下にある。さらに、遺伝子変異の有無だけではなく、その存在比率の定量化のニーズがある。通常、1種類の遺伝子標的に対しては1種類のプライマーを作用させて遺伝子変異を検出するものの、例えば1%以下の低頻度で存在する少量の遺伝子変異を高感度かつ正確に定量するためには、現状のキャピラリー電気泳動の技術を組み合わせるだけでは困難であるという課題がある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上述の課題を解決するために鋭意検討した結果、1種類の遺伝子標的に対して複数のプライマーを作用させ、標的遺伝子(標的塩基配列)の被覆度を上げることで遺伝子変異検出の定量精度を上げられるという知見を得た。例えば一塩基伸長反応と電気泳動を組み合わせて遺伝子変異検出を行う場合、標的遺伝子に対して、同じ塩基配列領域を含む塩基長の異なる2種類以上のプライマーを用いて一塩基伸長反応させた生成物を電気泳動して分析を行うことにより、標的遺伝子中の野生型に対する変異型の混合比の値のばらつきを抑えることが可能となる。
(【0011】以降は省略されています)

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