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公開番号2024024579
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-02-22
出願番号2023080231
出願日2023-05-15
発明の名称浮体式洋上風力発電システム
出願人株式会社 セテック
代理人個人
主分類F03D 13/25 20160101AFI20240215BHJP(液体用機械または機関;風力原動機,ばね原動機,重力原動機;他類に属さない機械動力または反動推進力を発生するもの)
要約【課題】風力発電装置の大規模化を考慮し、海深度50~100m以上の海域に適した浮体式洋上風力発電システムを提供する。
【解決手段】1基の多角形浮上体10に、風力発電装置1を2台搭載し、その多角形浮上体10の多角形頂点のうち1箇所は海底のアンカーから固定されている固定端浮上部とし、他の頂点は自由端である可動端浮上部4として風下側に追従するものとする。固定端浮上部には電力連係設備を設置する。風力発電装置支持用の支持柱2には垂直隔壁板を設置して風力発電用プロペラ11の後流の乱れの干渉を低減し、さらに隣接するプロペラ11を正逆回転させてプロペラ後流の乱れを抑制する。
【選択図】図1
特許請求の範囲【請求項1】
浮力を備える浮上体(10)を具備し、
該浮上体(10)に、風力発電装置支持用の支持柱(2)を搭載し、該支持柱(2)は左右方向へ延出する一対の片持支持部(21A,21B)を備え、これらの一対の片持支持部(21A,21B)の端部に風力発電装置(1,1)を各1台(計2台)

設置するとともに、
前記支持柱(2)と片持支持部(21A,21B)との間に、前記風力発電装置(1,1)の垂直荷重を負担する風力発電装置引張索(22,22)を左右一対設置して固縛することを特徴とする洋上風力発電システム。
続きを表示(約 630 文字)【請求項2】
前記浮上体(10)は平面視多角形に形成され、その頂点となる位置に、浮力を備えた複数の浮上部を有し、
前記複数の浮上部のうち、頂点の一点である固定端浮上部(3)は、固定端アンカー連結鎖(34)及び固定端アンカー海底錨アンカー部(35)を介して海上の所定位置に保持され、他の頂点を可動端浮上部(4)とすることにより、前記固定端浮上部(3)を風上側へ位置させる一方、該可動端浮上部(4)を風下側へ自由端として追従させて、風力発電装置(1,1)個別の風向制御を不要としたことを特徴とする請求項1に記載の洋上風力発電システム。
【請求項3】
前記支持柱(2)に垂直隔壁板(23)を取り付け、該垂直隔壁板(23)により、隣接する2台の前記風力発電装置(1,1)の風力発電用プロペラ(11,11)の後流乱れによる干渉の回避機能、並びに固定端浮上部(3)を風上側へ位置させて風に対し前記風力発電装置(1,1)の風力発電用プロペラ(11,11)を正対させる風向追従性の向上機能を付与し、
同時に前記風力発電装置(1,1)における風力発電用プロペラ(11,11)は、各々正逆回転制御して隣接プロペラ(11,11)への後流乱れの干渉を抑制し、
前記固定端浮上部(3)に、前記風力発電装置(1,1)によって発電された電力を外部に送電するための電力連係設備(36)を設置したことを特徴とする請求項2に記載の洋上風力発電システム。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本願発明は洋上風力発電に適用される浮体式の発電装置に関する。具体的には、風力発電装置2台を、浮上体1基に対し、その両端に釣り合う様に搭載して(いわゆる弥次郎兵衛形式)、装置の軽量化と海中深度50~100m程度の海域に適するように構成した浮体式洋上発電システムである。
続きを表示(約 3,100 文字)【背景技術】
【0002】
従来、わが国の電力需要は水力、火力、原子力発電などの大容量電源に依存してきたが、我が国の水力電源は自然地勢により立地適地は開発済みであり、原子力発電は社会的合意性に問題があり、地球環境大気圏のCO
2
濃度の低減には自然エネルギーの活用が重要課題となってきている。
自然エネルギーの開発における大容量電源として、洋上風力発電が期待される。しかし、発電コストは火力発電の2~3倍になることより、そのコスト低減は緊急課題となっている。
【0003】
我が国、日本列島沿岸部の大陸棚深度200m以浅の領海は455,000km

、日本国土面積377,900km

の1.2倍であるが、排他的経済水域(EEZ)4,480,000km

は11.9倍であり、浮体式洋上風力発電装置が期待される。しかしながら日本列島沿海域は、大陸棚浅海域が少なく海底着床式風力発電の大規模開発は困難であり、浮体式洋上発電装置は浅海部の海底着床式柱状タワー型に比較してコスト高になる。
【0004】
海外では深度20~40mの浅海部での着床式風力発電装置が普及しているが、日本列島周辺沿岸部は浅海部が少なく、海深度50m以上の海域で設置される着床式風力発電はコスト高となることから、海洋浮体式の風力発電装置のコスト低減が求められる。浮体式の洋上風力発電装置に関する先行技術としては、以下の特許文献に記載された発明が存在する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
特開2010-216273号公報
特開2017-8807号公報
特表2005-5042057号公報
特開2004-2511397号公報
特表2017-5215977号公報
【0006】
前述した先行技術文献のうち、各特許文献に記載されている発明の特徴を以下に記す。
(特許文献1)
特許文献1記載の発明は、「浮体式洋上風力発電装置の基礎構造」に関し、風力発電装置1台を洋上設置するために、洋上に浮かぶ円筒型浮体を基礎構造とし、円筒型浮体を中心としてその外周部に補助的円筒浮体を配置・連結して搖動対策とする方式である。
一方、本願に係る洋上風力発電システムでは、浮上体1組に発電装置を2台設置する方式であることから、構成が基本的に相異する。
(特許文献2)
特許文献2記載の発明は、「浮体式洋上風力発電装置」に関するもので、洋上発電装置を支持する発電装置用浮体部を、洋上に固定された繋留浮体部に連結して洋上設置する方式である。
一方、本願に係る洋上風力発電システムでは、発電装置用の浮上体と繋留浮体部とは一体構造であるため、その構造は基本的に相異する。
(特許文献3)
特許文献3記載の発明は、「浮体式洋上風力発電設備」に関するもので、同発明では風力発電装置を支持する浮体、1点係留機構等を有し、当該浮体に3つの半潜水型カラム部材を相互に連結して、それらの頂点が三角形をなすよう平面上に配置され、カラム部材の1つが前記の1点係留機構に係留される構成である。
これに対し、本願に係る洋上風力発電システムは、浮上体の形状は問わない構成であり、仮に浮上体の形状を平面視多角形とした場合は、浮上体の頂点の1点を固定端浮上部とし、浮上体を構成する他の頂点は、風下側の自由端となる可動端浮上部として一体化した構造で、且つ当該浮上体1組に風力発電装置2台を搭載した方式であり、基本的な構造が相異している。
(特許文献4)
特許文献4記載の発明は、「浮楊式水上風力発電装置」に関するが、当該方式は環状浮体の中心部に風力発電装置1台を搭載し、環状中心を固定点として風向制御したもので、垂直尾翼を風向追従性に利用している。
一方、本願に係る洋上風力発電システムでは、浮上体の形状は限定しておらず、仮に浮上体として多角形浮上体を採用した場合、三角形又は四角形などの多角形外周部の頂点の1点を風上側の固定端浮上部としたものである。また、垂直尾翼は風向追従性としての機能に加え、プロペラ後流域の乱れから隣接プロペラへの干渉を避ける隔壁板としての機能を備え、文献4記載の発明と技術的な構成が相異している。
(特許文献5)
特許文献5記載の発明は、「風力発電・回転半潜水型風力発電用ラフト及びその建設方法」についてのもので、当該方式は三角形ラフトの各頂点に3台の風力発電装置を搭載したものである。
一方、本願に係る洋上風力発電システムでは平面視三角形などからなる浮上体に風力発電装置用の支持柱(タワー部)を立設して、この支持柱に風力発電装置2台を設置しており、基本構造が相異する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
洋上風力発電装置では、風力発電用のプロペラ、発電機、ハブなどの発電機器に基本的な差異はないが、当該機器の洋上設置には次の課題を有する。
(課題1)
洋上の風力発電は海深30~40m以内であれば海底に風力発電装置の柱状タワー底部を着床し、柱状タワー部を海面上に突出させタワー頂部に設置する方式は海外にて普及しているが、海深30~40m以上になると海底着床式はコスト高になる課題を有する。
【0008】
(課題2)
浮体式洋上発電方式は強風時に浮上体の搖動防止が課題となる。搖動対策として浮上体を単一円筒の半潜水浮体方式(スパー型)とした場合、潜水部の重錘を海中深部に設置することで搖動復元力を大きくし得るが、その際は、柱状タワーの重錘部深度は発電装置の海面上高さに対し、海面からの深度は1.3~1.5倍になり、例えば5MW級の発電装置を1台設置する場合は、海深度120m程度になる。
【0009】
本願発明は風力発電装置の大規模化を考慮し、海深度50~100m以上の海域に適した浮体式洋上風力発電システムを提供する。なお、用語末尾の符号は後述する説明全体の共通符号であり参考のため付記する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本願発明は、前述の課題の解決策として洋上の風力発電装置2台を1組の浮上体に設置するとともに、利用可能な浮上体は単一円筒型(スパー型)、TLP型、バージ型など、あらゆるタイプに適用可能であり、浮上体の浮上面積と海深度を考慮した搖動対策と、コスト低減とを同時に達成し得る浮体式洋上風力発電システムに関する。
請求項1記載の発明は、浮力を備える浮上体(10)を具備し、
該浮上体(10)に、風力発電装置支持用の支持柱(2)を搭載し、該支持柱(2)は左右方向へ延出する一対の片持支持部(21A,21B)を備え、これらの一対の片持支持部(21A,21B)の端部に風力発電装置(1,1)を各1台(計2台)

設置するとともに、
前記支持柱(2)と片持支持部(21A,21B)との間に、前記風力発電装置(1,1)の垂直荷重を負担する風力発電装置引張索(22,22)を左右一対設置して固縛することを特徴としている。
(【0011】以降は省略されています)

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