発明の詳細な説明【技術分野】 【0001】 本発明は、多層薄膜等に関する。 続きを表示(約 2,200 文字)【背景技術】 【0002】 電子の電荷とスピンの両特性を応用するスピントロニクス分野において、外部磁界により電気抵抗が変化する磁気抵抗効果を発現する磁性材料の研究・開発が主になされている。 【0003】 その代表例として、一つの絶縁層が二つの(強)磁性層で挟み込まれた積層構造(磁性層/絶縁層/強磁性層)を有する磁気トンネル接合(MTJ:Magnetic Tunnel Junction)がある。MTJは、積層構造を面直方向に流れる電子が絶縁層を透過するときの確率(トンネル確率)が外部磁場により変化し、二つの磁性層の磁化方向が平行でないときの電気抵抗(トンネル抵抗)が、その平行なときの電気抵抗よりも大きくなるトンネル磁気抵抗(TMR:Tunnel Magneto Resistance)効果を生じる。 【0004】 MTJは、省エネルギーな次世代の磁気抵抗メモリ(MRAM:Magnetic Random Access Memory)や高感度の磁気センサ等への利用が期待されており、例えば、下記の非特許文献1~6に関連する記載(研究報告)がある。 【先行技術文献】 【非特許文献】 【0005】 S. Yuasa et al., Jpn. J. Appl. Phys., 43, L588 (2004). H. Sukegawa et al., Appl. Phys. Lett., 96, 212505 (2010). D. D. Djayaprawira et al., Appl. Phys. Lett., 86, 092502 (2005). M. Tsunoda et al., J. Vac. Soc. Jpn., 51, 583 (2008). Y. Sakuraba et al., Jpn. Soc. Appl. Phys., 44, L1100 (2005). J. Schmalhorst et al., Phys. Rev. B, 70, 024426 (2004). E. Wachtel et al., J. Phys. Chem. Solids. 34, 1461 (1973). A Parthasarathi et al., Solod state Comm. 18, 211 (1976). J. Y. Rhee et al., J. Appl. Phys. 87, 5887(2000). M. W. Meisei et al., J. Phys. F: Met. Phys. 12, 317 (1982). A. M. Zeltser et al., IEEE Trans. Magn. MAG-22, 588 (1986). Y. V. Kudryavtsev rt al., J. Appl. Phys. 83, 1575 (1998). T. Omori et al., Mater. Sci. Engineering A, 438-440, 1045 (2006). K. Bruggemann et al., Phys. Rev. Lett. 98, 037202 (2007). P. Weinberger, J. Phys. C: Solid State Phys. 10, L347 (1977). M. Okochi et al., J. Phys. Soc. Jpn. 51, 1166 (1982). M. Lahdeniemi et al., J. Phys. F: Met. Phys. 13, 513 (1983). N. Stefanou et al., Phys. Rev. B 35, 2705 (1986). 【発明の概要】 【発明が解決しようとする課題】 【0006】 非特許文献1~6は、絶縁層をMgOまたはMgAl 2 O 4 、磁性層をCoFeBまたはCo 2 MnSiとしたMTJ(素子)に関する報告をしているに留まる。 【0007】 非特許文献7~18は、CoAlについて報告をしている。しかし、CoAlをMTJに利用することやその電子スピンの伝導特性等に関連する記載や示唆は、それら非特許文献には全くない。 【0008】 本発明は、このような事情に鑑みて為されたものであり、磁気トンネル接合などに適した新たな多層薄膜等を提供することを目的とする。 【課題を解決するための手段】 【0009】 本発明者がその課題を解決すべく鋭意研究した結果、磁性層にCoAlを用いた磁気トンネル接合(MTJ)が高い磁気抵抗変化率(MR比)を発揮することを新たに見出した。この成果を発展させることにより、以降に述べるような本発明を完成するに至った。 【0010】 《多層薄膜》 (1)本発明は、絶縁層と該絶縁層を挟む磁性層とを有する多層薄膜であって、該磁性層の少なくとも一方は、Alおよび/またはGaを含むCo基合金からなる多層薄膜である。 (【0011】以降は省略されています) この特許をJ-PlatPatで参照する