TOP特許意匠商標
特許ウォッチ Twitter
公開番号2025111592
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-07-30
出願番号2025069636,2022048219
出願日2025-04-21,2022-03-24
発明の名称磁気冷凍材料の製造方法及び磁気冷凍材料
出願人信越化学工業株式会社
代理人個人,個人
主分類H01F 1/01 20060101AFI20250723BHJP(基本的電気素子)
要約【課題】磁気冷凍材料の磁気転移温度を精度よく調整することができる磁気冷凍材料の製造方法及び磁気転移温度を精度よく調整した磁気冷凍材料を提供する。
【解決手段】本発明の磁気冷凍材料の製造方法は、所定の第1の磁気冷凍材料と、第1の磁気冷凍材料と異なる所定の第2の磁気冷凍材料を用意する工程、及び第1の磁気冷凍材料及び第2の磁気冷凍材料を混合して第3の磁気冷凍材料を得る工程を含み、第3の磁気冷凍材料における第1の磁気冷凍材料の含有量及び第2の磁気冷凍材の含有量が、第1の磁気冷凍材料及び第2の磁気冷凍材の磁気転移温度並びに第3の磁気冷凍材料の目標の磁気転移温度により決まる。本発明の磁気冷凍材料は、所定の第1の磁気冷凍材料と、第1の磁気冷凍材料と異なる所定の第2の磁気冷凍材料を少なくとも含有し、磁気転移温度と目標の磁気転移温度との間の差分の絶対値が0.7K以下である。
【選択図】なし
特許請求の範囲【請求項1】
異なる磁気転移温度を持つ磁気冷凍材料を充填してなるベッド部であって、
前記異なる磁気転移温度を持つ磁気冷凍材料は、高温端側から低温端側にかけて磁気転移温度が高いものから低いものへとカスケード充填され、
前記異なる磁気転移温度を持つ磁気冷凍材料のうちの少なくとも1つの磁気冷凍材料は、下記式(7)を満たす第1の磁気冷凍材料と、前記第1の磁気冷凍材料と異なり、下記式(8)を満たす第2の磁気冷凍材料とを少なくとも含有し、
前記第1の磁気冷凍材料及び前記第2の磁気冷凍材料が、それぞれ、R-Fe-Si系合金(Rは希土類元素)及びR-Fe-Si-H系合金(Rは希土類元素)からなる群から選ばれる少なくとも1種の合金を含むAMR装置用ベッド部。
-0.9≦(T
1
-T

)/W

≦0.9 (7)
-0.9≦(T
1
-T

)/W

≦0.9 (8)
ここで、T

は前記第1の磁気冷凍材料の磁気転移温度(K)を表し、T

は前記第2の磁気冷凍材料の磁気転移温度(K)を表し、W

は前記第1の磁気冷凍材料の磁気エントロピー変化の温度依存性を示す曲線のピークの半値幅(K)を表し、W

は前記第2の磁気冷凍材料の磁気エントロピー変化の温度依存性を示す曲線のピークの半値幅(K)を表す。
続きを表示(約 1,300 文字)【請求項2】
請求項1に記載のベッド部を有するAMR装置。
【請求項3】
下記式(1)を満たす第1の磁気冷凍材料と、前記第1の磁気冷凍材料と異なり、下記式(2)を満たす第2の磁気冷凍材料を用意する工程、
前記第1の磁気冷凍材料及び前記第2の磁気冷凍材料を混合して第3の磁気冷凍材料を得る工程、及び
高温端側から低温端側にかけて磁気転移温度が高いものから低いものへと、異なる磁気転移温度を持つ磁気冷凍材料をカスケード充填してベッド部を得る工程を含み、
前記異なる磁気転移温度を持つ磁気冷凍材料のうちの少なくとも1つの磁気冷凍材料が前記第3の磁気冷凍材料であり、
前記第3の磁気冷凍材料における前記第1の磁気冷凍材料の含有量(A

)及び前記第2の磁気冷凍材料の含有量(A

)の合計100質量部に対する前記第1の磁気冷凍材料の含有量(A

)及び前記第2の磁気冷凍材の含有量(A

)が下記の式(3)~(4)を満たし、
前記第1の磁気冷凍材料及び前記第2の磁気冷凍材料が、それぞれ、R-Fe-Si系合金(Rは希土類元素)及びR-Fe-Si-H系合金(Rは希土類元素)からなる群から選ばれる少なくとも1種の合金を含むAMR装置用ベッド部の製造方法。
-0.9≦(T
1
-T

)/W

≦0.9 (1)
-0.9≦(T
1
-T

)/W

≦0.9 (2)
((T

-T

)/(T

-T

))×100-20≦A

≦((T

-T

)/(T

-T

))×100+20 (3)
((T

-T

)/(T
1
-T

))×100-20≦A

≦((T

-T

)/(T
1
-T

))×100+20 (4)
ここで、T

は前記第1の磁気冷凍材料の磁気転移温度(K)を表し、T

は前記第2の磁気冷凍材料の磁気転移温度(K)を表し、W

は前記第1の磁気冷凍材料の磁気エントロピー変化の温度依存性を示す曲線のピークの半値幅(K)を表し、W

は前記第2の磁気冷凍材料の磁気エントロピー変化の温度依存性を示す曲線のピークの半値幅(K)を表し、T

は前記第3の磁気冷凍材料の目標の磁気転移温度(K)を表す。
【請求項4】
請求項3に記載のAMR装置用ベッド部の製造方法を含むAMR装置の製造方法。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は磁気転移温度を精密に制御することが出来る磁気冷凍材料及びその製造方法に関する。
続きを表示(約 3,900 文字)【背景技術】
【0002】
フロン類がオゾン層破壊物質であり地球温暖化ガスでもあることから、環境保全のためにフロンを用いない新規冷凍空調システムが注目されている。フロンに代わる冷媒の開発が活発に行われているが、性能、コスト及び安全性の面において満足できる新規冷媒の実用化には至っていない。
【0003】
一方、従来の冷凍空調システムとは異なり、磁場の増大に伴うエントロピーの変化(磁気熱量効果、ΔS)を利用する磁気冷凍システムが注目されている。ΔSの絶対値が大きな材料としてはMn(As
1-x
Sb

)(特許文献1)やLa(Fe
1-x
Si


13


(特許文献2)等が挙げられる。特に前者はΔSが-30J/kgKと非常に大きく、優れた磁気冷凍材料になりうる。しかし、Mn(As
1-x
Sb

)の成分のAsが毒性を示すため実質的には適用が困難である。La(Fe
1-x
Si


13


は、ΔSが~25J/kgKとMn(As
1-x
Sb

)に次いで大きく、かつ構成元素は毒性を示さず、レアメタルではないことから最も有望視されている物質である。また、ΔSの変化は磁気熱量効果を示す物質のキュリー温度(T

)付近に限られ、一種類の材料ではある一点の温度でしか動作できないため、実質的に広い温度差を作り出す必要がある冷凍システムはできない。そこで、動作温度を変化させるために成分の一部を他の元素で置換するといった方法がとられる。
【0004】
これらの物質は室温近傍(-70~+70℃程度)で動作することが要件となる。しかし、気体冷凍では生成が困難な極低温を生成する手段として用いられてきた従来の磁気冷凍とは異なり、上記動作温度では格子振動が無視できないために磁気熱量効果が低下するという問題があった。この格子振動を蓄熱効果として利用するAMR(Active Magnetic Regenerative)サイクルが開発され、磁気熱量効果を利用した室温近傍での冷凍空調システムが現実味を帯びてきた。
【0005】
AMRサイクルでは水等の熱媒体が通過可能な隙間を有した状態で磁気冷凍材料が充填される(ベッド部と呼ばれる)。熱媒体は隙間を通じて高温端および低温端に移動できる。低温端側に熱媒体がある状態で、永久磁石等で磁場をベッド部に印加し磁気冷凍材料のエントロピーを低下させ、磁気冷凍材料の温度を上昇させる。熱媒体を低温端側から高温端側に移動させる。このとき、熱媒体は磁気冷凍材料から熱を受け取って、高温端側に移動し、高温端で熱交換器を用いて排熱する。続いて永久磁石の磁場を取り去り磁気冷凍材料のエントロピーが上昇するとともに温度が低下する。熱媒体を高温端側から低温端側に移動させる。このとき、熱媒体は磁気冷凍材料により冷却される。冷却された熱媒体は熱交換器で吸熱する。このサイクルを繰り返していくことで、高温端と低温端との間に温度差を発生させ、冷凍サイクルが作られる。
【0006】
AMRサイクルにおいて、単一組成の材料で発生することのできる温度差は材料にもよるが2~10K程度である。冷蔵庫や空調などの用途で求められるような大きな温度差を発生させるためには、異なる磁気転移温度(T

)を持つ磁気冷凍材料を高温端側から低温端側にかけてT

が高いものから低いものへと順に充填(カスケード充填)し、隣合う磁気冷凍材料間で熱交換を行うことで大きな温度差が生成可能となる。この時、熱交換が行われるためには隣合う磁気冷凍材料間で作動温度がある程度オーバーラップする必要がある。そのためカスケードを構成する各磁気冷凍材料は材料の半値幅を考慮しながらT

が制御されている必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
特開2003-28532号公報
特開2006-89839号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、カスケード充填を利用したAMRサイクルの熱交換の効率をさらに改善するためには、カスケードを構成する各磁気冷凍材料の磁気転移温度(T

)をさらに精度よく調整する必要がある。例えば、有望な材料であるLa(Fe
1-x
Si


13


の場合、T

を調整したとしても、目標のT

に対して1K程度の製造ばらつきが生じる恐れがある。T

が目標からずれた材料をAMR装置に組み込んで稼働させた場合、T

のばらつきによりカスケードのつながりが悪くなることで目標とした温度差が発生しない、温度差発生にかかる時間が長くなる、などの性能劣化が発生しやすい。
【0009】
本発明は、上記事情に鑑みなされたもので、磁気冷凍材料の磁気転移温度を精度よく調整することができる磁気冷凍材料の製造方法及び磁気転移温度を精度よく調整することができる磁気冷凍材料を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者は、上記目的を達成するため鋭意検討を行った結果、転移温度差/半値幅が0.9以下であり、磁気転移温度が異なる2種以上の磁気冷凍材料を所定の割合で混合することにより、目標の磁気転移温度に0.7K以内の精度で磁気冷凍材料の磁気転移温度を調整できることを見出し、本発明を完成したものである。
即ち、本発明は以下の[1]~[5]の手段を提供する。
[1]下記式(1)を満たす第1の磁気冷凍材料と、前記第1の磁気冷凍材料と異なり、下記式(2)を満たす第2の磁気冷凍材料を用意する工程、及び
前記第1の磁気冷凍材料及び前記第2の磁気冷凍材料を混合して第3の磁気冷凍材料を得る工程を含み、
前記第3の磁気冷凍材料における前記第1の磁気冷凍材料の含有量(A

)及び前記第2の磁気冷凍材料の含有量(A

)の合計100質量部に対する前記第1の磁気冷凍材料の含有量(A

)及び前記第2の磁気冷凍材の含有量(A

)が下記の式(3)~(4)を満たす磁気冷凍材料の製造方法。
-0.9≦(T
1
-T

)/W

≦0.9 (1)
-0.9≦(T
1
-T

)/W

≦0.9 (2)
((T

-T

)/(T

-T

))×100-20≦A

≦((T

-T

)/(T

-T

))×100+20 (3)
((T

-T

)/(T
1
-T

))×100-20≦A

≦((T

-T

)/(T
1
-T

))×100+20 (4)
ここで、T

は前記第1の磁気冷凍材料の磁気転移温度(K)を表し、T

は前記第2の磁気冷凍材料の磁気転移温度(K)を表し、W

は前記第1の磁気冷凍材料の磁気エントロピー変化の温度依存性を示す曲線のピークの半値幅(K)を表し、W

は前記第2の磁気冷凍材料の磁気エントロピー変化の温度依存性を示す曲線のピークの半値幅(K)を表し、T

は前記第3の磁気冷凍材料の目標の磁気転移温度(K)を表す。
[2]前記第1の磁気冷凍材料及び前記第2の磁気冷凍材料のうちの少なくとも1種の磁気冷凍材料が、2種類の磁気冷凍材料を混合した材料であり、
前記2種類の磁気冷凍材料において、前記2種類の磁気冷凍材料の磁気転移温度の間の差分を、磁気エントロピー変化の温度依存性を示す曲線のピークの半値幅で割り算した値の絶対値がそれぞれ0.9以下である上記[1]に記載の磁気冷凍材料の製造方法。
[3]前記第1の磁気冷凍材料が下記式(5)をさらに満たし、前記第2の磁気冷凍材料が下記式(6)をさらに満たす上記[1]又は[2]に記載の磁気冷凍材料の製造方法。
-0.4≦(T
1
-T

)/W

≦0.4 (5)
【発明の効果】
(【0011】以降は省略されています)

この特許をJ-PlatPatで参照する

関連特許

個人
後付地震遮断機
4日前
個人
超精密位置決め機構
5日前
日本化薬株式会社
電流遮断装置
5日前
株式会社東芝
回路素子
6日前
株式会社村田製作所
アンテナ装置
6日前
本田技研工業株式会社
積層装置
4日前
株式会社村田製作所
コイル部品
5日前
日本バイリーン株式会社
負極部材および電池
7日前
TDK株式会社
コイル部品
5日前
トヨタ紡織株式会社
燃料電池セル
6日前
トヨタ自動車株式会社
二次電池の製造方法
4日前
本田技研工業株式会社
位置決め装置
4日前
富士電機機器制御株式会社
回路遮断器
6日前
シンフォニアテクノロジー株式会社
EFEM
5日前
株式会社村田製作所
コイル部品
6日前
台灣中油股フン有限公司
負極材料の製造方法
6日前
株式会社AESCジャパン
全固体電池
5日前
レーザーテック株式会社
検査装置及び検査方法
4日前
本田技研工業株式会社
燃料電池システム
6日前
矢崎総業株式会社
バスバモジュール
6日前
本田技研工業株式会社
燃料電池活性化装置
5日前
住友電装株式会社
電線、および電線製造方法
4日前
株式会社GSユアサ
鉛蓄電池
6日前
TOTO株式会社
静電チャック
6日前
TOTO株式会社
静電チャック
5日前
住友電装株式会社
コネクタ
5日前
TOTO株式会社
静電チャック
6日前
TOTO株式会社
静電チャック
6日前
TOTO株式会社
静電チャック
6日前
TOTO株式会社
静電チャック
6日前
TOTO株式会社
静電チャック
6日前
本田技研工業株式会社
フッ化物イオン二次電池
4日前
能美防災株式会社
無線機器
4日前
トヨタ自動車株式会社
蓄電装置
4日前
日本特殊陶業株式会社
保持装置
5日前
富士電機株式会社
半導体モジュール
6日前
続きを見る