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公開番号2025142010
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-09-29
出願番号2025117385,2021012815
出願日2025-07-11,2021-01-29
発明の名称セルロース繊維複合体
出願人花王株式会社
代理人個人
主分類C08B 15/06 20060101AFI20250919BHJP(有機高分子化合物;その製造または化学的加工;それに基づく組成物)
要約【課題】(1)分散安定性に優れ、増粘性の大きいセルロース繊維複合体、及び(2)分散安定性に優れ、分散体の透明性も優れたものとなるセルロース繊維複合体、並びにそれらを含む分散体、樹脂組成物、及び成形体を提供する。
【解決手段】[1]アニオン変性セルロース繊維に、多価アミン及び反応性官能基を有するモノアミンから選ばれる1種以上のアミンが結合してなるセルロース繊維複合体であって、アミンの導入率が60%以下(条件1)及びアニオン変性セルロース繊維の平均重合度が300以下(条件2)の少なくとも一つを満たす、セルロース繊維複合体、[2]前記のセルロース繊維複合体が媒体に分散してなる分散体、[3]前記のセルロース繊維複合体と樹脂とを配合してなる樹脂組成物、[4]前記のセルロース繊維複合体又は樹脂組成物を成形してなる成形体、及び[5]前記のセルロース繊維複合体の製造方法である。
【選択図】なし
特許請求の範囲【請求項1】
アニオン変性セルロース繊維に、多価アミン及び反応性官能基を有するモノアミンから選ばれる1種以上のアミンが結合してなるセルロース繊維複合体であって、
下記条件1及び2の少なくとも一つを満たす、セルロース繊維複合体。
条件1:下記式(1)で表される該アミンの導入率が60%以下である。
アミンの導入率(%)=〔セルロース繊維に導入されたアニオン性基に結合したアミン量(mmol/g)/セルロース繊維に導入されたアニオン性基の含有量(mmol/g)〕×100 (1)
条件2:アニオン変性セルロース繊維の平均重合度が300以下である。
続きを表示(約 810 文字)【請求項2】
アニオン変性セルロース繊維の平均アスペクト比が200以下である、請求項1に記載のセルロース繊維複合体。
【請求項3】
多価アミンが、ジアミン及びトリアミンから選ばれる1種以上である、請求項1又は2に記載のセルロース繊維複合体。
【請求項4】
多価アミンが、オキシアルカンジイル基を有する、請求項1~3のいずれかに記載のセルロース繊維複合体。
【請求項5】
多価アミンが、脂肪族第1級ジアミン及び脂肪族第1級トリアミンから選ばれる1種以上である、請求項1~4のいずれかに記載のセルロース繊維複合体。
【請求項6】
反応性官能基が、エポキシ基、カルボキシ基、ヒドロキシ基、チオール基、アリル基、アルケニル基、及びアクリロイル基から選ばれる1種以上である、請求項1~5のいずれかに記載のセルロース繊維複合体。
【請求項7】
アニオン変性セルロース繊維に、更に反応性官能基を有しないモノアミンが結合してなる、請求項1~6のいずれかに記載のセルロース繊維複合体。
【請求項8】
反応性官能基を有しないモノアミンが、炭化水素基及びポリエーテル基から選ばれる1種以上を有する、請求項7に記載のセルロース繊維複合体。
【請求項9】
反応性官能基を有しないモノアミンがオキシアルカンジイル基を有する、請求項7又は8に記載のセルロース繊維複合体。
【請求項10】
多価アミン及び反応性官能基を有するモノアミンの合計導入率に対する反応性官能基を有しないモノアミンの導入率の比(反応性官能基を有しないモノアミンの導入率/多価アミン及び反応性官能基を有するモノアミンの合計導入率)が、0.01以上10以下である、請求項7~9のいずれかに記載のセルロース繊維複合体。
(【請求項11】以降は省略されています)

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、セルロース繊維複合体、それを含む分散体、樹脂組成物、成形体、及びセルロース繊維複合体の製造方法に関する。
続きを表示(約 3,700 文字)【背景技術】
【0002】
従来、有限な資源である石油由来のプラスチック材料が多用されてきたが、近年、環境負荷の少ない技術が脚光を浴びるようになってきた。かかる技術背景の下、天然に多量に存在するバイオマスであるセルロース繊維は、再生利用が可能であり、微生物によって生分解でき環境負荷が少なく、しかも機械的特性が優れているため、注目されている。
【0003】
通常、セルロース繊維が乾燥すると、セルロース繊維間の膨大な水素結合により繊維同士が凝集してしまう。その結果、乾燥したセルロース繊維を水や有機溶媒等の媒体に分散させることが困難となる。この意味で、乾燥したセルロース繊維は使い勝手の悪い材料であるといえる。
特に、セルロース繊維表面は親水性であるため、分散媒体や樹脂が疎水性であると、セルロース繊維が凝集し易く、その分散媒体や樹脂中での分散性が低下する。そこで、セルロース繊維を樹脂等に配合し、その機械的特性等を強化するためには、セルロース繊維の分散性を高める必要がある。
また、一般的に粘度の小さい塗料やインキ等の分野によっては有機媒体による増粘が求められることが多い。
さらに、セルロース繊維に特定の反応性官能基を導入することにより樹脂との相溶性を高めたり、特定の機能を付与したりすることも重要である。
同時に、用途展開の観点から、分散媒体や樹脂に配合した際に、透明性を低下させないセルロース繊維が求められている。
【0004】
従来、(1)セルロース繊維の分散媒体や樹脂中での分散性、増粘性に関する技術、(2)セルロース繊維の分散媒体や樹脂中での分散性、反応性官能基の導入、透明性に関する技術に関して、種々の提案がなされている。
例えば、特許文献1には、酸素ガス、水蒸気等に対する高い透過抑制性を有しているガスバリア性成形体として、平均繊維径が200nm以下のセルロース繊維と反応性官能基を有する架橋剤を含み、セルロース繊維を構成するセルロースのカルボキシ基含有量が0.1~2mmol/gであるガスバリア用材料が開示されている。
特許文献2には、高温下での粘性低下が少ない水系組成物として、(A)数平均繊維径が0.5~200nm、カルボキシ基含有量が0.1mmol/g以上であり、該カルボキシ基がアルカリ金属塩となっている微細セルロース繊維、及び(B)1分子あたりの(炭素原子数/窒素原子数)比率が3~45である化合物を含む添加剤を含有し、(A)成分と(B)成分を特定割合で含有し、特定の粘度を有する水系組成物が開示されている。
特許文献3には、分散性、粘性に優れるゲル状組成物として、(A)最大繊維径が1000nm以下、数平均繊維径が2~150nmのセルロースナノファイバーであって、そのセルロースがセルロースI型結晶構造を有し、セルロース分子中のグルコースユニットのC6位の水酸基が選択的に酸化変性されてカルボキシ基等となっており、カルボキシ基がポリエーテルアミンのアミノ基とイオン結合されてなるセルロースナノファイバーと、(B)有機溶剤を含有するゲル状組成物が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
特開2010-168572号公報
特開2016-183329号公報
特開2017-19896号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、従来の技術で得られるセルロースよりも更に分散安定性に優れるセルロース繊維が求められている。より具体的には、(1)更に分散安定性や増粘性に優れるセルロース繊維、及び(2)更に分散安定性や分散体の透明性に優れるセルロース繊維が求められている。
本発明は、分散安定性に優れるセルロース繊維複合体、より具体的には、(1)分散安定性に優れ、増粘性の大きいセルロース繊維複合体、及び(2)分散安定性に優れ、分散体の透明性も優れたものとなるセルロース繊維複合体、並びにそれらを含む分散体、樹脂組成物、成形体、及びセルロース繊維複合体の製造方法に関する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、(1)アニオン変性セルロース繊維に、多価アミン及び反応性官能基を有するモノアミンから選ばれる1種以上のアミンを導入率60%以下で結合して複合化することにより、また(2)平均重合度が300以下のアニオン変性セルロース繊維と、多価アミン及び反応性官能基を有するモノアミンから選ばれる1種以上のアミンとを組み合わせて複合化することにより、上記課題を解決し得ることを見出した。
すなわち、本発明は、次の[1]~[5]に関する。
[1]アニオン変性セルロース繊維に、多価アミン及び反応性官能基を有するモノアミンから選ばれる1種以上のアミンが結合してなるセルロース繊維複合体であって、
下記条件1及び2の少なくとも一つを満たす、セルロース繊維複合体。
条件1:下記式(1)で表される該アミンの導入率が60%以下である。
アミンの導入率(%)=〔セルロース繊維に導入されたアニオン性基に結合したアミン量(mmol/g)/セルロース繊維に導入されたアニオン性基の含有量(mmol/g)〕×100 (1)
条件2:アニオン変性セルロース繊維の平均重合度が300以下である。
[2]前記[1]に記載のセルロース繊維複合体が媒体に分散してなる、分散体。
[3]前記[1]に記載のセルロース繊維複合体と樹脂とを配合してなる、樹脂組成物。[4]前記[1]に記載のセルロース繊維複合体又は前記[3]に記載の樹脂組成物を成形してなる、成形体。
[5]アニオン変性セルロース繊維と、多価アミン及び反応性官能基を有するモノアミンから選ばれる1種以上のアミンとを混合する、前記[1]に記載のセルロース繊維複合体の製造方法。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、分散安定性に優れるセルロース繊維複合体、より具体的には、(1)分散安定性に優れ、増粘性の大きいセルロース繊維複合体、及び(2)分散安定性に優れ、分散体の透明性も優れたものとなるセルロース繊維複合体、並びにそれらを含む分散体、樹脂組成物、機械的強度に優れた成形体、及びセルロース繊維複合体の製造方法を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[セルロース繊維複合体]
本発明のセルロース繊維複合体は、アニオン変性セルロース繊維に、多価アミン及び反応性官能基を有するモノアミンから選ばれる1種以上のアミンが結合してなるセルロース繊維複合体であって、下記条件1及び2の少なくとも一つを満たす。
条件1:下記式(1)で表される該アミンの導入率が60%以下である。
アミンの導入率(%)=〔セルロース繊維に導入されたアニオン性基に結合したアミン量(mmol/g)/セルロース繊維に導入されたアニオン性基の含有量(mmol/g)〕×100 (1)
条件2:アニオン変性セルロース繊維の平均重合度が300以下である。
以下、条件1を満たす発明を第1発明といい、条件2を満たす発明を第2発明という。また、本発明とは第1発明及び第2発明をいい、特に第1発明及び第2発明との明記がない説明は、第1発明及び第2発明に共通する事項の説明である。
【0010】
第1発明のセルロース繊維複合体は、分散安定性に優れ、増粘性が大きく、また第2発明のセルロース繊維複合体は、分散安定性に優れ、分散体の透明性も優れたものとなる。その理由は定かではないが、以下のように考えられる。
(1)第1発明について
一般的に、反応性を有する官能基は、極性が高いなど他の構造と相互作用し得る性質を有していることから、導入率が60%以下になるようにアニオン変性セルロース繊維と複合化すると、適度にセルロース繊維間の相互作用を弱められると考えられる。その結果、セルロース繊維が凝集することなく、媒体との相溶性が向上し、セルロース繊維複合体の分散安定性が向上し、増粘性も大きくなると考えられる。
(2)第2発明について
一般的に、セルロース繊維に、セルロース繊維と相互作用し得る反応性官能基を導入すると、セルロース繊維同士が凝集し、分散安定性が低下する。ここで、平均重合度が300以下であるアニオン変性セルロース繊維を用いると、繊維あたりの架橋数が減ることで分散性が向上すると考えられる。その結果、セルロース繊維が凝集することなく、媒体との相溶性が向上し、セルロース繊維複合体の分散安定性が向上し、得られる分散体、樹脂組成物、及び成形体の透明性も優れたものとなると考えられる。
(【0011】以降は省略されています)

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