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公開番号2025116029
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-08-07
出願番号2025085487,2021542817
出願日2025-05-22,2020-08-20
発明の名称フッ素ガスの製造方法
出願人株式会社レゾナック
代理人個人,個人
主分類C25B 1/245 20210101AFI20250731BHJP(電気分解または電気泳動方法;そのための装置)
要約【課題】原料化合物にフッ素ガスを反応させてフッ素化し目的成分のフッ素化物を製造する際に副生する副生フッ化水素を、電解法によるフッ素ガス製造の原料として再利用可能なフッ素ガスの製造方法を提供する。
【解決手段】フッ素ガスの製造方法は、原料化合物がフッ素化して生成した目的成分の主フッ素化物と副生した副生フッ化水素とを含有する反応混合物を得るフッ素化工程と、反応混合物を分離して、主フッ素化物を含有する主生成分と副生フッ化水素を含有する副生成分とを得る分離工程と、副生成分を精製して、副生成分が含有する有機物の濃度を低減し且つ副生フッ化水素の濃度を高めた回収フッ化水素成分を得る精製工程と、回収フッ化水素成分を電解液の少なくとも一部として使用して電解を行い、フッ素ガスを製造する電解工程と、フッ素化工程におけるフッ素化の反応場に電解工程で得たフッ素ガスを導入する導入工程と、を備える。
【選択図】図1
特許請求の範囲【請求項1】
原料化合物にフッ素ガスを反応させてフッ素化を行い、前記原料化合物がフッ素化して生成した目的成分の主フッ素化物と、前記原料化合物がフッ素化して副生した非目的成分の副フッ素化物と、前記フッ素化において副生した副生フッ化水素と、を含有する反応混合物を得るフッ素化工程と、
前記反応混合物を分離して、前記主フッ素化物を最多成分として含有する主生成分と、前記主生成分以外の成分であって前記副生フッ化水素を含有する副生成分と、を得る分離工程と、
前記副生成分を精製して、前記副生成分が含有する有機物の濃度を低減し且つ前記副生フッ化水素の濃度を高めた回収フッ化水素成分を得る精製工程と、
前記回収フッ化水素成分を電解液の少なくとも一部として使用して電解を行い、フッ素ガスを製造する電解工程と、
前記電解工程で得たフッ素ガスを、前記フッ素化工程において使用するフッ素ガスの少なくとも一部とするため、前記フッ素化工程における前記フッ素化の反応場に前記電解工程で得たフッ素ガスを導入する導入工程と、
を備えるフッ素ガスの製造方法。
続きを表示(約 860 文字)【請求項2】
前記副生成分が含有する前記有機物は、未反応の前記原料化合物、前記副フッ素化物、前記フッ素化の反応場に前記原料化合物及び前記フッ素ガスと共存させる溶媒、前記溶媒のフッ素化物、前記フッ素化の反応場に前記原料化合物及び前記フッ素ガスと共存させる希釈ガス、前記希釈ガスのフッ素化物、前記フッ素化が行われる反応装置に使用され前記反応場に存在し得る有機化合物、及び前記有機化合物のフッ素化物のうちの少なくとも一つである請求項1に記載のフッ素ガスの製造方法。
【請求項3】
前記原料化合物は炭素原子を2個以上18個以下有し且つ水素原子を1個以上有する化合物である請求項1又は請求項2に記載のフッ素ガスの製造方法。
【請求項4】
前記の炭素原子を2個以上18個以下有し且つ水素原子を1個以上有する化合物は、アルカン又はハロゲン化アルカンであり、前記ハロゲン化アルカンは、アルカンが有する水素原子の一部又は全部がフッ素以外のハロゲン原子に置換されたものである請求項3に記載のフッ素ガスの製造方法。
【請求項5】
前記精製工程における前記副生成分の精製方法は、蒸留操作、吸着操作、及び液液分離操作のうち少なくとも一つを用いる方法である請求項1~4のいずれか一項に記載のフッ素ガスの製造方法。
【請求項6】
前記蒸留操作は、前記副生成分中の前記副生フッ化水素を水に吸収させて得たフッ化水素水溶液を蒸留するものである請求項5に記載のフッ素ガスの製造方法。
【請求項7】
前記吸着操作は、前記副生成分中の前記有機物を、活性炭及びアルミナの少なくとも一方を有する吸着剤に吸着させるものである請求項5に記載のフッ素ガスの製造方法。
【請求項8】
前記精製工程においては、前記回収フッ化水素成分中の前記有機物の合計濃度が200質量ppm以下となるように前記副生成分を精製する請求項1~7のいずれか一項に記載のフッ素ガスの製造方法。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明はフッ素ガスの製造方法に関する。
続きを表示(約 2,700 文字)【背景技術】
【0002】
フッ素ガス(F
2
)や含フッ素有機化合物は、原子力産業分野、半導体産業分野、医農薬品分野から民生用分野において広く使用されている。なかでも、フッ素ガスは反応性が非常に高い物質であるので、フッ素ガスを製造する反応は吸熱反応とならざるを得ない。そのため、吸熱反応を起こすことが容易な電解法以外の方法ではフッ素ガスを製造することができず、ほとんどのフッ素ガスは電解法で製造されている。
また、多くの含フッ素有機化合物は、直接フッ素化反応により合成される。直接フッ素化反応においては、有機化合物にフッ素ガスを反応させることにより、有機化合物が有する水素原子がフッ素原子に置換されて含フッ素有機化合物が生成すると同時に、フッ素原子に置換されて有機化合物から脱離した前述の水素原子からフッ化水素(HF)が副生する。
【0003】
この直接フッ素化反応は、大きな反応熱が発生する発熱反応であるため、反応場の温度が高くなりやすい。そのため、目的成分の含フッ素有機化合物以外の副生成分の含フッ素有機化合物が生成しやすいので、目的成分の含フッ素有機化合物を分離した後に残った、副生フッ化水素及び副生成分の含フッ素有機化合物を含有する副生物は廃棄されることが多かった。
廃棄されていた副生フッ化水素を、電解法によるフッ素ガス製造の原料として再利用することができれば、目的成分の含フッ素有機化合物の製造コストを低下させることができ経済的である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
特許第5621024号公報
特許第4717083号公報
特許第3416066号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記の副生フッ化水素は、電解を阻害する成分を含有しているため、電解法によるフッ素ガス製造の原料として利用することは困難であった。
例えば特許文献1には、電解液中に水分が存在すると陽極電圧を上昇させるため、電解液中には水分が含有されないことが望ましいことが記載されており、電解法によるフッ素ガス製造の原料となるフッ化水素中にも水分が含有されないことが望ましいことが分かる。
本発明は、原料化合物にフッ素ガスを反応させてフッ素化し目的成分のフッ素化物を製造する際に副生する副生フッ化水素を、電解法によるフッ素ガス製造の原料として再利用可能なフッ素ガスの製造方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するため、本発明の一態様は以下の[1]~[8]の通りである。
[1] 原料化合物にフッ素ガスを反応させてフッ素化を行い、前記原料化合物がフッ素化して生成した目的成分の主フッ素化物と、前記原料化合物がフッ素化して副生した非目的成分の副フッ素化物と、前記フッ素化において副生した副生フッ化水素と、を含有する反応混合物を得るフッ素化工程と、
前記反応混合物を分離して、前記主フッ素化物を最多成分として含有する主生成分と、前記主生成分以外の成分であって前記副生フッ化水素を含有する副生成分と、を得る分離工程と、
前記副生成分を精製して、前記副生成分が含有する有機物の濃度を低減し且つ前記副生フッ化水素の濃度を高めた回収フッ化水素成分を得る精製工程と、
前記回収フッ化水素成分を電解液の少なくとも一部として使用して電解を行い、フッ素ガスを製造する電解工程と、
前記電解工程で得たフッ素ガスを、前記フッ素化工程において使用するフッ素ガスの少なくとも一部とするため、前記フッ素化工程における前記フッ素化の反応場に前記電解工程で得たフッ素ガスを導入する導入工程と、
を備えるフッ素ガスの製造方法。
【0007】
[2] 前記副生成分が含有する前記有機物は、未反応の前記原料化合物、前記副フッ素化物、前記フッ素化の反応場に前記原料化合物及び前記フッ素ガスと共存させる溶媒、前記溶媒のフッ素化物、前記フッ素化の反応場に前記原料化合物及び前記フッ素ガスと共存させる希釈ガス、前記希釈ガスのフッ素化物、前記フッ素化が行われる反応装置に使用され前記反応場に存在し得る有機化合物、及び前記有機化合物のフッ素化物のうちの少なくとも一つである[1]に記載のフッ素ガスの製造方法。
【0008】
[3] 前記原料化合物は炭素原子を2個以上18個以下有し且つ水素原子を1個以上有する化合物である[1]又は[2]に記載のフッ素ガスの製造方法。
[4] 前記の炭素原子を2個以上18個以下有し且つ水素原子を1個以上有する化合物は、アルカン又はハロゲン化アルカンであり、前記ハロゲン化アルカンは、アルカンが有する水素原子の一部又は全部がフッ素以外のハロゲン原子に置換されたものである[3]に記載のフッ素ガスの製造方法。
[5] 前記精製工程における前記副生成分の精製方法は、蒸留操作、吸着操作、及び液液分離操作のうち少なくとも一つを用いる方法である[1]~[4]のいずれか一項に記載のフッ素ガスの製造方法。
【0009】
[6] 前記蒸留操作は、前記副生成分中の前記副生フッ化水素を水に吸収させて得たフッ化水素水溶液を蒸留するものである[5]に記載のフッ素ガスの製造方法。
[7] 前記吸着操作は、前記副生成分中の前記有機物を、活性炭及びアルミナの少なくとも一方を有する吸着剤に吸着させるものである[5]に記載のフッ素ガスの製造方法。
[8] 前記精製工程においては、前記回収フッ化水素成分中の前記有機物の合計濃度が200質量ppm以下となるように前記副生成分を精製する[1]~[7]のいずれか一項に記載のフッ素ガスの製造方法。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係るフッ素ガスの製造方法は、原料化合物にフッ素ガスを反応させてフッ素化し目的成分のフッ素化物を製造する際に副生する副生フッ化水素を、電解法によるフッ素ガス製造の原料として再利用可能であり、経済的であるとともに、電解に用いる電極の性能劣化が生じにくく安定的に電解を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
(【0011】以降は省略されています)

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