TOP特許意匠商標
特許ウォッチ Twitter
公開番号2025114227
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-08-05
出願番号2024008794
出願日2024-01-24
発明の名称ポリプロピレンブレンド組成物の製造方法
出願人サンアロマー株式会社
代理人個人,個人,個人
主分類C08L 23/10 20060101AFI20250729BHJP(有機高分子化合物;その製造または化学的加工;それに基づく組成物)
要約【課題】高い剛性を有するポリプロピレン成形体を与える核化方法を含む、ポリプロピレンブレンド組成物の製造方法を提供する。
【解決手段】[条件A1][条件A2]を満たすポリプロピレン系樹脂(A)からなる核剤0.5~10質量部と、[条件B1][条件B2]を満たすポリプロピレン系樹脂(B)90~99.5質量部と、を混合し、溶融混錬することにより、ポリプロピレン系樹脂(B)と比べて弾性率が向上したポリプロピレンブレンド組成物(C)100質量部を得る、ポリプロピレンブレンド組成物の製造方法。
[条件A1]20℃/分の昇温速度で測定したDSCの第一昇温の融点≧170℃
[条件A2]230℃で5分間保持した後20℃/分の降温速度で測定したDSCの結晶化温度≧110℃
[条件B1]230℃で5分間保持した後20℃/分の降温速度で測定したDSCの結晶化温度<115℃
[条件B2]MFR=0.1~1000g/10分
【選択図】なし
特許請求の範囲【請求項1】
下記の[条件A1]及び[条件A2]を満たすポリプロピレン系樹脂(A)からなる核剤0.5~10質量部と、
下記の[条件B1]及び[条件B2]を満たすポリプロピレン系樹脂(B)90~99.5質量部と、を混合し、溶融混錬することにより、
前記ポリプロピレン系樹脂(B)と比べて弾性率が向上したポリプロピレンブレンド組成物(C)100質量部を得る、ポリプロピレンブレンド組成物の製造方法。
[条件A1]20℃/分の昇温速度で測定したDSCの第一昇温の融点≧170℃
[条件A2]230℃で5分間保持した後20℃/分の降温速度で測定したDSCの結晶化温度≧110℃
[条件B1]230℃で5分間保持した後20℃/分の降温速度で測定したDSCの結晶化温度<115℃
[条件B2]MFR(230℃)=0.1~1000g/10分
続きを表示(約 1,100 文字)【請求項2】
前記ポリプロピレン系樹脂(A)は、ポリプロピレン100質量部と、1~8質量部の架橋剤とを含む、請求項1に記載のポリプロピレンブレンド組成物の製造方法。
【請求項3】
前記核剤の広角X線回折測定において、ポリプロピレンのα晶の040面に起因する回折の方位角スキャンの強度分布における各強度ピークの半値幅(Wi)から、次式(1)で求められる配向度Aが、80%以上である、請求項1に記載のポリプロピレンブレンド組成物の製造方法。
配向度A(%)=(360-ΣWi)/360×100 ・・・(1)
【請求項4】
前記核剤は、前記ポリプロピレン系樹脂(A)からなるシートまたはフィルム状の予備成形体を微細化したものであり、前記予備成形体は次の第1熱処理工程、第2熱処理工程及び冷却工程からなる熱処理を経たものである、請求項1に記載のポリプロピレンブレンド組成物の製造方法。
<第1熱処理工程>
前記予備成形体を試料として、昇温速度20℃/分の条件で測定される示差走査熱量測定の1回目の昇温のα型結晶の融解ピーク温度がTm(℃)であることを予め調べておき、
前記予備成形体を、Tm-30(℃)からTm+5(℃)までの範囲内の一定な第1熱処理温度Ts

(℃)で5秒以上、熱処理する。
<第2熱処理工程>
前記第1熱処理工程で熱処理した予備成形体を、さらに加熱して昇温させて、Tm-20(℃)からTm+6(℃)までの範囲内の一定な第2熱処理温度Tc(℃)で10秒以上、熱処理する。
<冷却工程>
前記第2熱処理工程で熱処理した予備成形体を常温まで冷却する。
【請求項5】
前記核剤は、前記ポリプロピレン系樹脂(A)からなるシートまたはフィルム状の予備成形体を微細化したものであり、前記予備成形体は一軸または二軸の延伸処理を経たものである、請求項1または4に記載のポリプロピレンブレンド組成物の製造方法。
【請求項6】
前記熱処理を経た前記予備成形体に5~50kGyの放射線照射をさらに行う、請求項4に記載のポリプロピレンブレンド組成物の製造方法。
【請求項7】
前記延伸処理を経た前記予備成形体に5~50kGyの放射線照射をさらに行う、請求項5に記載のポリプロピレンブレンド組成物の製造方法。
【請求項8】
前記熱処理の前に、前記予備成形体であるシートまたはフィルムに延伸処理を行う、請求項6に記載のポリプロピレンブレンド組成物の製造方法。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリプロピレンの核化を促すポリプロピレンブレンド組成物の製造方法に関する。
続きを表示(約 3,500 文字)【背景技術】
【0002】
ポリプロピレン成形体は優れた物理的特性を有することから自動車部品等の用途に幅広く使用されている。しかし、近年、省エネルギー化の観点からポリプロピレン成形体にはさらなる軽量化が望まれ、高剛性化が要求されている。高剛性化のためには従来から結晶化を促進する目的で核剤が使用されている。通常低分子量化合物である核剤には非溶融タイプと溶融タイプがあり、前者はポリプロピレンとの分散性、後者は成形時の揮発による臭気等の問題がある。高分子量の核剤も検討されているが、ポリプロピレンとの分散性向上のため、予重合等で導入する必要がある。また、一般的に高性能な核剤は高価である。
上記背景の下、ポリプロピレン自身を核剤として使用する取り組みが従来からなされてきた。特許文献1には、非常に分子量分布の広い(高分子量成分を含む)ポリプロピレンによる核化の方法が提案されているが、特に高剛性化においてそれ自身の効果が明確でない。非特許文献1には、市販の長鎖分岐を含むポリプロピレン樹脂による核化が検討されているが、絡み合いの増加との兼ね合いで、核剤効果を最も高くするには20~40質量%の添加が必要である。特許文献2には、反応改質により系全体に長鎖分岐を導入した組成物において剛性と耐熱性の向上が報告されているが、他のポリプロピレン樹脂に核剤として少量添加した際の効果については記載されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
特表2009-504822号公報
特表2022-538451号公報
【非特許文献】
【0004】
Polymer Journal, Vol. 40, No. 5, pp. 450-454, 2008
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ポリプロピレンの成形体には剛性が求められる。前記文献に開示されたポリプロピレン樹脂による核化は、ある程度の効果を有するが、少量の核剤成分の添加により、剛性(結晶化度)の向上をはかる点においてさらなる改善の余地があった。かかる事情に鑑み、本発明は、高い剛性を有するポリプロピレン成形体を与える核化方法を含む、ポリプロピレンブレンド組成物の製造方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
[1] 下記の[条件A1]及び[条件A2]を満たすポリプロピレン系樹脂(A)からなる核剤0.5~10質量部と、
下記の[条件B1]及び[条件B2]を満たすポリプロピレン系樹脂(B)90~99.5質量部と、を混合し、溶融混錬することにより、
前記ポリプロピレン系樹脂(B)と比べて弾性率が向上したポリプロピレンブレンド組成物(C)100質量部を得る、ポリプロピレンブレンド組成物の製造方法。
[条件A1]20℃/分の昇温速度で測定したDSCの第一昇温の融点≧170℃
[条件A2]230℃で5分間保持した後20℃/分の降温速度で測定したDSCの結晶化温度≧110℃
[条件B1]230℃で5分間保持した後20℃/分の降温速度で測定したDSCの結晶化温度<115℃
[条件B2]MFR(230℃)=0.1~1000g/10分
[2] 前記ポリプロピレン系樹脂(A)は、ポリプロピレン100質量部と、1~8質量部の架橋剤とを含む、[1]に記載のポリプロピレンブレンド組成物の製造方法。
[3] 前記核剤の広角X線回折測定において、ポリプロピレンのα晶の040面に起因する回折の方位角スキャンの強度分布における各強度ピークの半値幅(Wi)から、次式(1)で求められる配向度Aが、80%以上である、[1]又は[2]に記載のポリプロピレンブレンド組成物の製造方法。
配向度A(%)=(360-ΣWi)/360×100 ・・・(1)
[4] 前記核剤は、前記ポリプロピレン系樹脂(A)からなるシートまたはフィルム状の予備成形体を微細化したものであり、前記予備成形体は次の第1熱処理工程、第2熱処理工程及び冷却工程からなる熱処理を経たものである、[1]~[3]のいずれか一項に記載のポリプロピレンブレンド組成物の製造方法。
<第1熱処理工程>
前記予備成形体を試料として、昇温速度20℃/分の条件で測定されるDSCの第一昇温の融点がTm(℃)であることを予め調べておき、
前記予備成形体を、Tm-30(℃)からTm+5(℃)までの範囲内の一定な第1熱処理温度Ts

(℃)で5秒以上、熱処理する。
<第2熱処理工程>
前記第1熱処理工程で熱処理した予備成形体を、さらに加熱して昇温させて、Tm-20(℃)からTm+6(℃)までの範囲内の一定な第2熱処理温度Tc(℃)で10秒以上、熱処理する。
<冷却工程>
前記第2熱処理工程で熱処理した予備成形体を常温まで冷却する。
[5] 前記核剤は、前記ポリプロピレン系樹脂(A)からなるシートまたはフィルム状の予備成形体を微細化したものであり、前記予備成形体は一軸または二軸の延伸処理を経たものである、[1]~[4]のいずれか一項に記載のポリプロピレンブレンド組成物の製造方法。
[6] 前記熱処理を経た前記予備成形体に5~50kGyの放射線照射をさらに行う、[4]に記載のポリプロピレンブレンド組成物の製造方法。
[7] 前記延伸処理を経た前記予備成形体に5~50kGyの放射線照射をさらに行う、[5]に記載のポリプロピレンブレンド組成物の製造方法。
[8] 前記熱処理の前に、前記予備成形体であるシートまたはフィルムに延伸処理を行う、[6]に記載のポリプロピレンブレンド組成物の製造方法。
【発明の効果】
【0007】
本発明のポリプロピレンブレンド組成物の製造方法によれば、ポリプロピレン系樹脂(B)にポリプロピレン系樹脂(A)からなる核剤を比較的少量添加するだけで、剛性の指標となる弾性率が向上したポリプロピレンブレンド組成物(C)が容易に得られる。
【発明を実施するための形態】
【0008】
≪ポリプロピレンブレンド組成物の製造方法≫
本発明の第一態様は、ポリプロピレン系樹脂(A)からなる核剤と、ポリプロピレン系樹脂(B)とを混合し、溶融混錬することにより、ポリプロピレンブレンド組成物(C)を製造する方法である。
ここで、(A)からなる核剤と(B)の混合割合は、(C)100質量部を製造するにあたり、(A)からなる核剤0.5~10質量部と(B)90~99.5質量部とすることができる。(A)からなる核剤と(B)の合計が(C)の100質量部であってもよいし、(A)からなる核剤と(B)と他の添加剤の合計が(C)の100質量部であってもよい。他の添加剤の混合割合は、0~9.5質量部とすることができ、0~5質量部が好ましく、0~3質量部がより好ましい。他の添加剤の種類は、ポリプロピレン系樹脂(A)からなる核剤の配合による(B)の核化を阻害しないものであれば特に制限されない。
本態様にあっては、従来のポリプロピレン樹脂による核剤と異なり、比較的少量の(A)からなる核剤を添加することで、(B)の剛性を高めた(C)を得ることができる。
【0009】
ポリプロピレン系樹脂(A)からなる核剤と、ポリプロピレン系樹脂(B)とを混合し、溶融混錬する方法は特に制限されず、従来公知のポリプロピレン系樹脂組成物を得る際の混合方法、溶融混錬方法を適用すればよい。
【0010】
≪ポリプロピレン系樹脂(A)からなる核剤≫
本態様のポリプロピレン系樹脂(A)からなる核剤を以下では単に「核剤(A)」ということがある。核剤(A)は下記の[条件A1]及び[条件A2]を満たすポリプロピレン系樹脂(A)からなる。
[条件A1]20℃/分の昇温速度で測定したDSCの第一昇温の融点≧170℃
[条件A2]230℃で5分間保持した後20℃/分の降温速度で測定したDSCの結晶化温度≧110℃
(【0011】以降は省略されています)

この特許をJ-PlatPat(特許庁公式サイト)で参照する

関連特許

横浜ゴム株式会社
タイヤ用ゴム組成物及びタイヤ
21日前
住友重機械工業株式会社
ショベル
1か月前
Astemo株式会社
電力変換装置
4日前
TBCグループ株式会社
電気刺激装置及び電気刺激方法
10日前
三菱マテリアル株式会社
サージ防護素子
3日前
三菱重工業株式会社
電力伝送システム、部分放電検出方法および電力伝送装置
1か月前
東レエンジニアリング株式会社
基板保持装置
2か月前
個人
ごみ圧縮封入方法及び圧縮封入ごみ箱
25日前
株式会社KSマテリアル
防錆組成物
1か月前
任天堂株式会社
情報処理プログラム、情報処理システム、情報処理装置、および、情報処理方法
24日前
株式会社三洋物産
遊技機
3日前
ヤーマン株式会社
肌処理装置、肌処理方法及び出力制御プログラム
1か月前
サンスター株式会社
フゾバクテリウム殺菌用組成物
2か月前
セイコーエプソン株式会社
記録装置
2か月前
日本特殊陶業株式会社
空気質改善装置
21日前
シオノギファーマ株式会社
カンナビジオールの精製方法
17日前
ブラザー工業株式会社
数値制御装置、制御方法、及びプログラム
1か月前
パナソニックIPマネジメント株式会社
表示装置
24日前
株式会社総合車両製作所
吸音パネル
1か月前
テレフオンアクチーボラゲット エルエム エリクソン(パブル)
複数のスロットにわたるトランスポートブロック送信のためのUL電力制御
26日前
能美防災株式会社
開閉弁装置
10日前
ジャガー ランド ローバー リミテッド
車両の動きを制御するための装置および方法
26日前
セイコーエプソン株式会社
印刷装置、及び印刷装置の制御方法
21日前
本田技研工業株式会社
電極転写方法及び電極の位置決め治具
25日前
昆山聯滔電子有限公司
フェライト成形プロセス、フェライト成形金型及びフェライト
24日前
トヨタ自動車株式会社
正極活物質、正極活物質の製造方法及びリチウムイオン二次電池
1か月前
サクサ株式会社
ダウンロード支援装置
13日前
株式会社秋田屋本店
養蜂用巣礎、及び養蜂用巣礎の製造方法
1か月前
NTTドコモビジネス株式会社
経営情報生成装置、経営情報生成方法、および経営情報生成プログラム
6日前
日産自動車株式会社
全固体電池
2か月前
株式会社NTTドコモ
端末及び無線通信方法
12日前
グルコマート ゲー・エム・ベー・ハー
小型化アクティブセンシングシステムおよび方法
2か月前
京セラドキュメントソリューションズ株式会社
インクジェット記録装置
1か月前
ケプコ ニュークリア フューエル カンパニー リミテッド
耐震性能および制御棒価値が向上した核燃料集合体
1か月前
株式会社J-オイルミルズ
フライ調理の時間短縮方法、および、フライ調理時の油ハネ抑制方法
19日前
株式会社ADEKA
組成物、硬化性組成物、硬化物及び硬化物の製造方法
2か月前
続きを見る