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公開番号2024036893
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-03-18
出願番号2022141433
出願日2022-09-06
発明の名称ペロブスカイト酸化物の製造方法、ペロブスカイト酸化物前駆体の製造方法、燃料電池の製造方法
出願人一般財団法人電力中央研究所,国立大学法人徳島大学
代理人個人,個人,個人,個人
主分類C01G 25/00 20060101AFI20240311BHJP(無機化学)
要約【課題】バリウム成分の揮発を抑制できる低い温度で焼結でき、単一相のペロブスカイト酸化物が得られやすく、原料として使用する希土類元素成分とバリウム成分とジルコニウム成分の割合によって、焼成後の焼結体に含まれるペロブスカイト酸化物の組成を精度よく制御できる製造方法を提供する。
【解決手段】希土類元素のイオンと、バリウムイオンと、ジルコニウムイオンとを含有する原料水溶液を調製し、原料水溶液中の希土類元素のイオンとバリウムイオンとジルコニウムイオンの0.5倍~20倍の水酸化アンモニウムと炭酸水素アンモニウムとを含み、前記水酸化アンモニウム1モルに対する前記炭酸水素アンモニウムのモル数が0.08モル~0.45モルである沈殿剤を、原料水溶液に添加して混合液とすることによりペロブスカイト酸化物前駆体を沈殿させ、ペロブスカイト酸化物前駆体を焼成するペロブスカイト酸化物の製造方法とする。
【選択図】なし
特許請求の範囲【請求項1】
スカンジウム、イットリウム、ランタン、セリウム、プラセオジム、ネオジム、サマリウム、ユウロビウム、ガドリニウム、テルビウム、ジスプロシウム、ホルミウム、エルビウム、ツリウム、イッテルビウム、ルテチウムから選ばれる1種また2種以上の希土類元素のイオンと、バリウムイオンと、ジルコニウムイオンとを含有する原料水溶液を調製する原料水溶液調整工程と、
前記原料水溶液中の前記希土類元素のイオンと前記バリウムイオンと前記ジルコニウムイオンの合計モル数の0.5倍~20倍の水酸化アンモニウムと炭酸水素アンモニウムとを含み、前記水酸化アンモニウム1モルに対する前記炭酸水素アンモニウムのモル数が0.08モル~0.45モルである沈殿剤を、前記原料水溶液に添加して混合液とすることにより、前記混合液中でペロブスカイト酸化物前駆体を沈殿させる沈殿工程と、
前記ペロブスカイト酸化物前駆体を焼成することにより、ペロブスカイト酸化物を生成させる焼成工程とを有することを特徴とする、ペロブスカイト酸化物の製造方法。
続きを表示(約 1,200 文字)【請求項2】
前記沈殿工程において、前記ペロブスカイト酸化物前駆体を沈殿させた後の前記混合液のpHを9.40~9.80とする、請求項1に記載のペロブスカイト酸化物の製造方法。
【請求項3】
前記希土類元素がイットリウムである、請求項1に記載のペロブスカイト酸化物の製造方法。
【請求項4】
前記焼成工程において、前記ペロブスカイト酸化物前駆体を900℃~1300℃の温度で焼成する、請求項1に記載のペロブスカイト酸化物の製造方法。
【請求項5】
スカンジウム、イットリウム、ランタン、セリウム、プラセオジム、ネオジム、サマリウム、ユウロビウム、ガドリニウム、テルビウム、ジスプロシウム、ホルミウム、エルビウム、ツリウム、イッテルビウム、ルテチウムから選ばれる1種また2種以上の希土類元素のイオンと、バリウムイオンと、ジルコニウムイオンとを含有する原料水溶液を調製する原料水溶液調整工程と、
前記原料水溶液中の前記希土類元素のイオンと前記バリウムイオンと前記ジルコニウムイオンの合計モル数の0.5倍~20倍の水酸化アンモニウムと炭酸水素アンモニウムとを含み、前記水酸化アンモニウム1モルに対する前記炭酸水素アンモニウムのモル数が0.08モル~0.45モルである沈殿剤を、前記原料水溶液に添加して混合液とすることにより、前記混合液中でペロブスカイト酸化物前駆体を沈殿させる沈殿工程とを有することを特徴とする、ペロブスカイト酸化物前駆体の製造方法。
【請求項6】
前記沈殿工程において、前記ペロブスカイト酸化物前駆体を沈殿させた後の前記混合液のpHを9.40~9.80とする、請求項5に記載のペロブスカイト酸化物前駆体の製造方法。
【請求項7】
前記希土類元素がイットリウムである、請求項5に記載のペロブスカイト酸化物前駆体の製造方法。
【請求項8】
請求項5に記載のペロブスカイト酸化物前駆体の製造方法により、ペロブスカイト酸化物前駆体を製造する工程と、
前記ペロブスカイト酸化物前駆体を含む電解質材料を成形して焼成することにより、ペロブスカイト酸化物を含む焼結体からなる電解質層を形成する焼成工程を有する、燃料電池の製造方法。
【請求項9】
前記焼成工程において、前記電解質材料を900℃~1300℃の温度で焼成する、請求項8に記載の燃料電池の製造方法。
【請求項10】
前記焼成工程が、第1電極となる電極材料を成形してなる層と、前記電解質材料を成形してなる層と、第2電極となる電極材料を成形してなる層とを、この順に積層して積層体を形成する積層体形成工程と、
前記積層体を焼成することにより、前記第1電極と前記電解質層と前記第2電極とが積層された焼結体を得る積層体焼成工程とを有する、請求項8に記載の燃料電池の製造方法。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、ペロブスカイト酸化物の製造方法、ペロブスカイト酸化物前駆体の製造方法およびこれを用いた燃料電池の製造方法に関する。
続きを表示(約 2,100 文字)【背景技術】
【0002】
固体酸化物型燃料電池(SOFC)は、動作温度が、700℃~1000℃と高温である。このため、固体酸化物型燃料電池(SOFC)では、動作温度を低くすることが要求されている。電解質としてプロトン伝導体電解質を使用したプロトン伝導性セラミック燃料電池(PCFC)は、電解質として酸化物イオン伝導体を使用した固体酸化物型燃料電池と比較して、動作温度を低くできる。また、プロトン伝導性セラミック燃料電池(PCFC)は、高いエネルギー効率が得られる燃料電池として期待されている。
【0003】
従来、プロトン伝導性セラミック燃料電池(PCFC)の電解質に使用されるプロトン伝導体電解質としては、希土類元素を添加したバリウムジルコネートなどのペロブスカイト酸化物が用いられている。ペロブスカイト酸化物からなるプロトン伝導体電解質の製造方法としては、例えば、以下に示す方法がある。
【0004】
特許文献1には、イットリウムがドープされたバリウムセレート-ジルコネート(BCZY)の製造方法が記載されている。具体的には、所定の組成の試片を約1,300℃で約10時間1次か焼し、粉末にした後、再成形した試片を約1,400℃で約10時間2次か焼した結果が記載されている。図2(a)には、1次か焼のみを経た状態で測定した結果が記載され、バリウムソース(BaCO

)の未反応相が残存することが記載されている。図2(b)には、2次か焼まで経た状態で測定した結果が記載され、未反応相が全て除去されたことが記載されている。
【0005】
特許文献2の実施例1には、BaZr
0.4
Sc
0.6

3-δ


で表されるスカンジウム添加ジルコン酸バリウムを調製したことが記載されている。具体的には、原料混合物を含む反応溶液を加熱処理して得た固形物を加熱し、900℃に到達してから10時間焼成した後、粉砕してペレット状に成形し、1,600℃で24時間加熱処理することにより、単一のペロブスカイト構造を有する焼結体を得たことが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
特開2018-190730号公報
国際公開第2021/085366号
【非特許文献】
【0007】
JCPDS Ref. : Mather, G., Inst. De Ceramica y Vidrio, CSIC,Madrid, Spain ; Antunes, I., Dept. of Materials and Ceramic Engineering, CICECO, Univ. of Aveiro, Portugal ; Fagg, D., Nanotechnology Research Division, Centre of Mechanical Technology and Automation, Univ. of Aveiro, Portugal. Private Communication (2012))
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
従来、プロトン伝導体電解質として使用されるペロブスカイト酸化物として、希土類元素を添加したバリウムジルコネートがある。これを含むプロトン伝導性セラミック燃料電池(PCFC)の電解質層を形成する場合、希土類元素を添加したバリウムジルコネートの組成に対応する成分を含む電解質材料を所定の形状に成形し、1,400℃以上の高温で焼成している。これは、希土類元素を添加したバリウムジルコネートが、焼結し難い性質を有するためである。
【0009】
しかしながら、希土類元素を添加したバリウムジルコネート中のバリウム成分は、希土類元素を添加したバリウムジルコネートが1,300℃超の高温になると揮発する。したがって、従来の製造方法では、焼成前の電解質材料と焼成後の焼結体からなる電解質層とでは、バリウム含有量が変化する。このため、電解質材料の原料として使用する元素の割合によって、焼成後の希土類元素を添加したバリウムジルコネートの組成を制御することは困難であり、所望の組成を有する希土類元素を添加したバリウムジルコネートが得られない場合があった。その結果、希土類元素を添加したバリウムジルコネートを、プロトン伝導体電解質として使用したプロトン伝導性セラミック燃料電池において、プロトン伝導性などの特性が不十分となる場合があった。
【0010】
また、プロトン伝導性セラミック燃料電池(PCFC)として、空気極(正極)と、燃料極(負極)と、空気極と燃料極との間に配置された電解質層とを含む積層構造からなるセル部材を有するものがある。このようなプロトン伝導性セラミック燃料電池(PCFC)の電解質層が、希土類元素を添加したバリウムジルコネートを含む場合、以下に示す方法を用いて製造する場合がある。
(【0011】以降は省略されています)

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