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公開番号2025086056
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-06-06
出願番号2023199856
出願日2023-11-27
発明の名称二酸化炭素還元装置及び二酸化炭素還元方法
出願人国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構,国立大学法人長岡技術科学大学,国立大学法人富山大学,株式会社 ケミックス
代理人個人,個人
主分類C25B 9/00 20210101AFI20250530BHJP(電気分解または電気泳動方法;そのための装置)
要約【課題】二酸化炭素からメタンのみを得ることができる二酸化炭素還元装置及び二酸化炭素還元方法を提供する。
【解決手段】二酸化炭素還元装置は、第一電極111及び第二電極112と、第一電極111及び第二電極112間に設けられた電解質膜113と、電解質膜113の一方側の電極であって、二酸化炭素が供給される第一電極111と、電解質膜113の他方側の電極であって、水、水素及び水蒸気から選ばれる少なくとも1種が供給される第二電極112とを有する電解部と、を備え、電解部に供給された二酸化炭素からメタンを生成する二酸化炭素還元装置100であって、第一電極は、その平均粒径が1~10nmである触媒金属からなる触媒金属粒子と当該触媒金属粒子を担持する酸化金属からなる担体粒子とを含み、前記電解質膜は、水素イオン電導性を有する固体高分子膜である。
【選択図】図4
特許請求の範囲【請求項1】
第一電極及び第二電極と、前記第一電極及び前記第二電極間に設けられた電解質膜と、前記電解質膜の一方側の電極であって、二酸化炭素が供給される前記第一電極と、前記電解質膜の他方側の電極であって、水、水素及び水蒸気から選ばれる少なくとも1種が供給される前記第二電極とを有する電解部と、
前記電解部の前記第一電極側に二酸化炭素を供給する二酸化炭素供給手段と、前記第二電極側に前記水、水素及び水蒸気から選ばれる少なくとも1種を供給する水供給手段と、
前記二酸化炭素供給手段と前記電解部との間に設けられた加湿手段と、
前記電解部に電圧を印可する電圧印可手段とを備え、
前記電解部に供給された二酸化炭素からメタンを生成する二酸化炭素還元装置であって、
前記第一電極は、その平均粒径が1~10nmである触媒金属からなる触媒金属粒子と当該触媒金属粒子を担持する酸化金属からなる担体粒子とを含み、
前記電解質膜は、水素イオン電導性を有する固体高分子膜である
ことを特徴とする二酸化炭素還元装置。
続きを表示(約 1,000 文字)【請求項2】
前記触媒金属がルテニウム、ニッケル、銅、白金、イリジウムから選ばれた少なくとも1種又はこれらのうちの少なくともいずれかを含む合金であり、前記酸化金属は、酸化チタン、二酸化ケイ素、酸化マグネシウム、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、酸化二ニオブ、ゼオライト、リン酸カルシウムから選ばれた少なくとも1種であることを特徴とする請求項1記載の二酸化炭素還元装置。
【請求項3】
前記第一電極は、さらに固体電解質を含むことを特徴とする請求項1記載の二酸化炭素還元装置。
【請求項4】
前記第一電極は、さらに導電性材料を含むことを特徴とする請求項3記載の二酸化炭素還元装置。
【請求項5】
前記触媒粒子と、前記導電性材料と、前記固体電解質との重量比が1~5:1~5:1~5であることを特徴とする請求項4の二酸化炭素還元装置。
【請求項6】
前記酸化金属は、酸化チタン、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、ゼオライト、リン酸カルシウムから選ばれた少なくとも1種であることを特徴とする請求項2記載の二酸化炭素還元装置。
【請求項7】
酸化チタンが、アナターゼ型又はルチル型であることを特徴とする請求項6記載の二酸化炭素還元装置。
【請求項8】
前記触媒粒子と、前記導電性材料と、前記固体電解質との重量比が5~2:5~2:1であることを特徴とする請求項5に記載の二酸化炭素還元装置。
【請求項9】
電解質膜と、前記電解質膜の一方側の電極であって、二酸化炭素が供給される第一電極と、前記電解質膜の他方側の電極であって、二酸化炭素が供給される第二電極とを有する電解部の第一電極側に二酸化炭素を加湿して供給するとともに、第二電極側に水または水蒸気を加湿して供給し、
前記電解部に電圧を印可しながら供給された二酸化炭素からメタンを生成する二酸化炭素還元装置であって、
前記第一電極は、その径が1~10nmである触媒金属粒子と当該触媒金属粒子を担持する酸化金属からなる担体粒子とを含み、
前記電解質膜は、水素イオン電導性を有する固体高分子膜であり、
前記電解部には、-400mVより高い電圧を印可することを特徴とする二酸化炭素還元方法。
【請求項10】
前記加湿時の温度が40~90℃であるように保持することを特徴とする請求項9記載の二酸化炭素還元方法。
(【請求項11】以降は省略されています)

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、二酸化炭素還元装置及び二酸化炭素還元方法に関する。
続きを表示(約 3,100 文字)【背景技術】
【0002】
近年、化石燃料の燃焼に由来する大気中への二酸化炭素排出が、生態系や地球環境に大きな影響を与える可能性があることから、世界的にも二酸化炭素の排出抑制が求められている。これに対応するため、二酸化炭素を固定化したり他の物質へ変換する技術の開発も行われている。
【0003】
また、宇宙ステーションやロケット等の完全な閉鎖環境では、物質の補給が容易ではなく、元素レベルで必要最低限の補給、排出に留める必要がある。このため、発生した二酸化炭素を他の物質に変換して回収できる物質を増加させ、補給、排出する物質を元素レベルで極力減らすことが求められている。上記のような二酸化炭素を固定化したり他の物質へ変換する技術は、このような環境下においても有効に利用されうることが考えられる。
【0004】
二酸化炭素の固定化システムとしては、特許文献1に記載された二酸化炭素の還元固定化システムが知られている。特許文献1に記載されたシステムは、電解質を間に介して配置されたカソード及びアノードを有する反応部と、前記アノードと前記カソードとの間に電圧を印加する電源部と、を備え、前記アノードおよび前記カソードは、いずれも触媒材料と、導電性を有する材料と、カチオンを輸送できる固体電解質と、を含み、前記アノードでは酸化反応により電子が生成され、前記カソードでは気相の二酸化炭素が還元反応により固定化され、前記酸化反応又は前記還元反応に伴う電極間の電荷の偏りを補償するように、前記電解質を通じてカチオン又はアニオンが輸送される。また、特許文献2に記載された二酸化炭素の還元固定化システムは、さらにアノードにおける動作温度での物質の酸化反応のオンセット電位は、同じ動作が条件の前記カソードにおける二酸化炭素の還元反応のオンセット電位よりも負であるように構成されている。
【0005】
また、二酸化炭素を触媒で還元し、一酸化炭素や有機酸のような他の物質に変換する技術において、より高効率で所望の物質を得るための触媒も提案されている。例えば特許文献3では、粉末状亜酸化チタン担体に周期表第6~16族の金属元素の単体及び/又は化合物が担持された構造を有する電極材料によりギ酸を選択的に得ている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
国際特許公開公報2012118065号公報
国際特許公開公報2012128148号公報
特許公開公報2019―173130号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1、2では、いずれも二酸化炭素の還元によって炭化水素化合物として一酸化炭素、メタノールが生成されており、特許文献3では、炭化水素化合物としてギ酸が生成されている。しかしながら、特許文献1~3では、いずれもメタンのみを選択的に得ることができない。メタンも一酸化炭素、ギ酸、メタノールもいずれも炭素資源であるが、メタンのみを得ている二酸化炭素の還元システムはなかった。
【0008】
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、二酸化炭素からメタンのみを得ることができる二酸化炭素還元装置及び二酸化炭素還元方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の二酸化炭素還元装置は、第一電極及び第二電極と、前記第一電極及び前記第二電極間に設けられた電解質膜と、前記電解質膜の一方側の電極であって、二酸化炭素が供給される前記第一電極と、前記電解質膜の他方側の電極であって、水、水素及び水蒸気から選ばれる少なくとも1種が供給される前記第二電極とを有する電解部と、前記電解部の前記第一電極側に二酸化炭素を供給する二酸化炭素供給手段と、前記第二電極側に前記水、水素及び水蒸気から選ばれる少なくとも1種を供給する水供給手段と、前記二酸化炭素供給手段と前記電解部との間に設けられた加湿手段と、前記電解部に電圧を印可する電圧印可手段とを備え、前記電解部に供給された二酸化炭素からメタンを生成する二酸化炭素還元装置であって、前記第一電極は、その平均粒径が1~10nmである触媒金属からなる触媒金属粒子と当該触媒金属粒子を担持する酸化金属からなる担体粒子とを含み、前記電解質膜は、水素イオン電導性を有する固体高分子膜であることを特徴とする。前記第一電極は、その平均粒径が1~10nmである触媒金属からなる触媒金属粒子と当該触媒金属粒子を担持する酸化金属からなる担体粒子とを含み、前記電解質膜は、水素イオン電導性を有する固体高分子膜であるように構成されることで、二酸化炭素からメタンのみを高い収率で得ることができる。
前記触媒金属がルテニウム、ニッケル、銅、白金、イリジウムから選ばれた少なくとも1種又はこれらのうちの少なくともいずれかを含む合金であり、前記酸化金属は、酸化チタン、二酸化ケイ素、酸化マグネシウム、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、酸化二ニオブ、ゼオライト、リン酸カルシウムから選ばれた少なくとも1種であることが好ましい。
前記第一電極は、さらに固体電解質を含むことが好ましい。
前記第一電極は、さらに導電性材料を含むことが好ましい。
前記触媒粒子と、前記導電性材料と、前記固体電解質との重量比が1~5:1~5:1~5であることが好ましく、より好ましくは、前記触媒粒子と、前記導電性材料と、前記固体電解質との重量比が5~2:5~2:1であることが挙げられる。
前記酸化金属は、酸化チタン、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、ゼオライト、リン酸カルシウムから選ばれた少なくとも1種であることが好ましい。
酸化チタンが、アナターゼ型又はルチル型であることが好ましい。
本発明の二酸化炭素還元方法は、電解質膜と、前記電解質膜の一方側の電極であって、二酸化炭素が供給される第一電極と、前記電解質膜の他方側の電極であって、二酸化炭素が供給される第二電極とを有する電解部の第一電極側に二酸化炭素を加湿して供給するとともに、第二電極側に水または水蒸気を加湿して供給し、前記電解部に電圧を印可しながら供給された二酸化炭素からメタンを生成する二酸化炭素還元装置であって、前記第一電極は、その径が1~10nmである触媒金属粒子と当該触媒金属粒子を担持する酸化金属からなる担体粒子とを含み、前記電解質膜は、水素イオン電導性を有する固体高分子膜であり、前記電解部には、-400mVより高い電圧を印可することを特徴とする。前記第一電極は、その径が1~10nmである触媒金属粒子と当該触媒金属粒子を担持する酸化金属からなる担体粒子とを含み、前記電解質膜は、水素イオン電導性を有する固体高分子膜である二酸化炭素還元装置に対し前記電解部には、-400mVより高い電圧を印可することで、二酸化炭素からメタンのみを高い収率で得ることができる。
前記加湿時の温度が40~90℃であるように保持することが好ましい。
前記電解部の温度を40~90℃であるように保持することが好ましい。
前記電解部には、-400mV~100mVを印可することが好ましい。
【発明の効果】
【0010】
本発明の二酸化炭素還元装置及び二酸化炭素還元方法によれば、二酸化炭素からメタンのみを高い収率で得ることができる。
【図面の簡単な説明】
(【0011】以降は省略されています)

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