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公開番号2024178413
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-12-24
出願番号2024166832,2022028312
出願日2024-09-26,2022-02-25
発明の名称繰糸用繭の調製方法
出願人国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構
代理人弁理士法人平木国際特許事務所
主分類D01B 7/00 20060101AFI20241217BHJP(天然または人造の糸または繊維;紡績)
要約【課題】絹糸に高温加熱処理をする必要がなく、かつ、塩基性溶液を要しない新規な煮繭方法を提供する。
【解決手段】繰糸用繭の調製方法であって、繭を有機溶媒及び/又は有機酸と接触させる接触工程、及び接触後の繭層及び繭腔内に水を浸透させる浸透工程を含み、浸透工程前に、有機溶媒及び/又は有機酸を除去する除去工程をさらに含み、浸透工程が浸漬法で行われ、浸透工程が繭腔内を減圧する繭腔内減圧ステップを含み、浸透工程が低温減圧法、煮繭冷却法及び触蒸法からなる選択される方法で行われる。
【選択図】図1
特許請求の範囲【請求項1】
繰糸用繭の調製方法であって、
繭を有機溶媒及び/又は有機酸と接触させる接触工程、及び
前記接触後の繭層及び繭腔内に水を浸透させる浸透工程
を含む、前記調製方法。
続きを表示(約 600 文字)【請求項2】
前記浸透工程前に、前記有機溶媒及び/又は有機酸を除去する除去工程をさらに含む、請求項1に記載の調製方法。
【請求項3】
前記浸透工程が浸漬法で行われる、請求項1又は2に記載の調製方法。
【請求項4】
前記浸透工程が前記繭腔内を減圧する繭腔内減圧ステップを含む、請求項1又は2に記載の調製方法。
【請求項5】
前記浸透工程が低温減圧法、煮繭冷却法及び触蒸法からなる群から選択される方法で行われる、請求項4に記載の調製方法。
【請求項6】
前記有機溶媒が、低級アルコール、アセトン、N,N-ジメチルホルムアミド、アセトニトリル及び酢酸エチルからなる群から選択される一以上の有機溶媒を含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の調製方法。
【請求項7】
前記有機酸が、酢酸及び/又はプロピオン酸を含む、請求項1~6のいずれか一項に記載の調製方法。
【請求項8】
請求項1~7のいずれか一項に記載の調製方法によって調製された繰糸用繭。
【請求項9】
生糸の製造方法であって、
請求項1~7のいずれか一項に記載の調製方法で得られた繰糸用繭において索緒を行う、索緒工程、及び
前記索緒工程で得られた糸口に基づいて繰糸を行う、繰糸工程
を含む、前記製造方法。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、繰糸用繭の調製方法、それにより調製された繰糸用繭、及び生糸の製造方法に関する。
続きを表示(約 1,900 文字)【背景技術】
【0002】
生物由来材料の利用は、遺伝子操作やゲノム情報の利用が容易になったことによりさらに注目され、現在も広がりを見せている。その研究開発は、細胞等を用いた医薬品開発のみならず、素材の分野でも活発に行われている。
【0003】
生物由来材料の一つである絹糸はその強度、質感、製法及び加工方法等の観点から、新たな素材開発の基礎として理想的な素材である。事実、絹糸に新たな機能を付与する研究が数多く行われている(特許文献1及び非特許文献1)。
【0004】
従来の絹糸の製法には、乾燥、煮繭及び精練等、加熱を伴う工程がいくつも存在する。近年、絹糸への新たな機能の付与を目的として遺伝子組換え技術により様々なタンパク質の絹糸への付加が検討されるようになってきた。ところが、加熱を伴う工程により付加タンパク質が熱変性し、その機能が失われてしまうという問題が生じている。付加タンパク質を失活させない新たな方法の開発の必要性が高まっている。
【0005】
煮繭とは、糸口の引き出し(索緒)を容易にするために繭を煮る工程である。従来、この工程は熱水で繭を煮ることが必要とされていた。本発明者らは、タンパク質が変性しない比較的低い温度で実施できる方法として、塩基性溶液を使用して60℃程度の低温で繭を処理する方法を開発した(特許文献2)。この方法は、繭を比較的長い時間にわたり塩基性環境に曝露するため、塩基性環境において変性しやすいタンパク質等には向かないという課題があった。そのため、付加された機能性タンパク質を失活させることのない、より低温で実施可能な方法の開発が望まれていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
特開2020-70293号公報
特開2010-95833号公報
【非特許文献】
【0007】
K. Kojima, et al., Biosci. Biotechnol. Biochem. 71, 2943 (2007)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、絹糸に高温加熱処理をする必要がなく、かつ、塩基性溶液を要しない新規な煮繭方法の提供を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究を行った。その結果、繭を有機溶媒又は有機酸に接触させることにより、これまで開発された方法より低い温度、特に常温において、絹糸に付加されたタンパク質を変性させることなく、繰糸可能な繭の調製が可能であることがわかった。さらに、この方法を機能性領域を含む絹糸に適用した場合、機能性領域の活性が保たれることが明らかとなった。また、有機溶媒又は有機酸への処理により水の浸透が顕著に促進される結果、通常の繭を用いて従来の温度で煮繭を行う場合であっても、従来より短時間で同様の効果が得られることを見出した。本発明は以上の新規な知見に基づくものであり、以下を提供する。
【0010】
(1)繰糸用繭の調製方法であって、繭を有機溶媒及び/又は有機酸と接触させる接触工程、及び前記接触後の繭層及び繭腔内に水を浸透させる浸透工程を含む、前記調製方法。(2)前記浸透工程前に、前記有機溶媒及び/又は有機酸を除去する除去工程をさらに含む、(1)に記載の調製方法。
(3)前記浸透工程が浸漬法で行われる、(1)又は(2)に記載の調製方法。
(4)前記浸透工程が前記繭腔内を減圧する繭腔内減圧ステップを含む、(1)又は(2)に記載の調製方法。
(5)前記浸透工程が低温減圧法、煮繭冷却法及び触蒸法からなる群から選択される方法で行われる、(4)に記載の調製方法。
(6)前記有機溶媒が、低級アルコール、アセトン、N,N-ジメチルホルムアミド、アセトニトリル及び酢酸エチルからなる群から選択される一以上の有機溶媒を含む、(1)~(5)のいずれかに記載の調製方法。
(7)前記有機酸が、酢酸及び/又はプロピオン酸を含む、(1)~(6)のいずれかに記載の調製方法。
(8)(1)~(7)のいずれかに記載の調製方法によって調製された繰糸用繭。
(9)生糸の製造方法であって、(1)~(7)のいずれかに記載の調製方法で得られた繰糸用繭において索緒を行う、前記索緒工程、及び索緒工程で得られた糸口に基づいて繰糸を行う、繰糸工程を含む、前記製造方法。
【発明の効果】
(【0011】以降は省略されています)

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