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公開番号
2024179437
公報種別
公開特許公報(A)
公開日
2024-12-26
出願番号
2023098291
出願日
2023-06-15
発明の名称
分割型複合繊維
出願人
日本エステル株式会社
代理人
主分類
D01F
8/06 20060101AFI20241219BHJP(天然または人造の糸または繊維;紡績)
要約
【課題】低コストで、取り扱い性が良好で、繊維製造における紡糸性が良好で、かつ優れた分割性能を発揮する分割型複合繊維を提供すること、また、ソフトな風合いを有する不織布を得ることができる分割型複合繊維を提供する。
【解決手段】ポリプロピレンとポリエステルとから構成された分割型複合繊維であって、ポリプロピレン中に無機物であるカルシウム、アルミニウム、ナトリウムの含有量がいずれも60ppm以下、かつこれら無機物の合計含有量が100ppm以下であり、横断面において、一方の成分が他方の成分によって複数個のセグメントに分断されてなり、両成分が繊維表面に露出している分割型複合形態であり、繊維表面に占めるポリプロピレンの面積比率が、繊維表面に占めるポリエステルの面積比率よりも小さく、複合繊維の繊度が1~6dtex、セグメントの合計数が10~30個、個々のセグメントの繊度が0.30dtex以下である。
【選択図】 図1
特許請求の範囲
【請求項1】
ポリプロピレンとポリエステルとから構成された分割型複合繊維であって、ポリプロピレンとポリエステルの比率が30/70~70/30wt%であり、ポリプロピレン中に無機物であるカルシウム、アルミニウム、ナトリウムの含有量がいずれも60ppm以下、かつこれら無機物であるカルシウム、アルミニウム、ナトリウムの合計含有量が100ppm以下であり、
横断面において、ポリプロピレンとポリエステルとの2成分のうち、一方の成分が他方の成分によって複数個のセグメントに分断されてなり、
ポリプロピレンとポリエステルとのいずれもが、繊維表面に露出している分割型複合形態であり、繊維表面に占めるポリプロピレンの面積比率が、繊維表面に占めるポリエステルの面積比率よりも小さく、
複合繊維の繊度が1~6dtex、セグメントの合計数が10~30個、かつ、個々のセグメントの繊度が0.30dtex以下であることを特徴とする分割型複合繊維。
続きを表示(約 830 文字)
【請求項2】
分割型複合繊維の横断面が、ポリプロピレンからなるセグメントとポリエスエルからなるセグメントとが放射状に交互に配されてなる横断面であることを特徴とする請求項1記載の分割型複合繊維。
【請求項3】
繊維表面に占めるポリプロピレンの面積比率が、10~40%であることを特徴とする請求項1記載の分割型複合繊維。
【請求項4】
分割型複合繊維のポリプロピレンからなるセグメントとポリエステルからなるセグメントとの境界面に剥離箇所が存在することを特徴とする請求項1記載の分割型複合繊維。
【請求項5】
110℃、15分間熱処理による熱収縮率が5%未満であることを特徴とする請求項1記載の分割型複合繊維。
【請求項6】
無機物であるカルシウム、アルミニウム、ナトリウムの含有量がいずれも60ppm以下、かつこれら無機物であるカルシウム、アルミニウム、ナトリウムの合計含有量が100ppm以下であり、285℃、シェアレート1000S
―1
における溶融粘度が650~850dPa・Sであるポリプロピレンを準備し、
285℃、シェアレート1000S
―1
における溶融粘度が1000~2000dPa・Sであるポリエステルを準備し、
該ポリプロピレンとポリエステルとを、一方の成分が他方の成分によって複数個のセグメントに分断されてなる分割型複合口金を用いて、複合紡糸した後、紡糸した未延伸糸を熱延伸することを特徴とする請求項1記載の分割型複合繊維の製造方法。
【請求項7】
請求項1~5のいずれか1項記載の分割型複合繊維を含む不織ウェブを準備し、該不織ウェブに高圧液体流処理を施して、分割型複合繊維を割繊させて極細繊維を発現させるとともに、構成繊維同士を交絡させて、スパンレース不織布を得ることを特徴とするスパンレース不織布の製造方法。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリプロピレンとポリエステルからなる分割型複合繊維であって、ワイパー、フィルターなどの産業資材分野、おむつなどの衛生材料分野、人工皮革などに好適に用いることのできる分割性に優れた分割型複合繊維に関するものである。
続きを表示(約 3,500 文字)
【背景技術】
【0002】
従来から、ソフトな風合い、ワイピング性、ドレープ性などを有する不織布や織編物を得るために分割型複合繊維から発現した極細繊維に関する開発がなされている。例えば、特許文献1には、アルカリ易溶性のポリマーと難溶性のポリマーからなる複合繊維をアルカリ処理して分割する方法が開示されている。また特許文献2には、ポリプロピレンやポリエチレンといったオレフィン系樹脂2成分からなる分割型複合繊維を高圧液体流や抄紙法により不織布化する方法が開示されている。さらに特許文献3には、ポリエステルとポリオレフィン系樹脂からなる分割型複合繊維をウォータージェット法により不織布化する方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
特開昭62―57981号公報
特開2002―88580号公報
特開平6―313215号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記した引用文献1は、溶剤を要するため、その取り扱いや回収が難しく、また生産コストが高くなるという問題があった。引用文献2は、複合断面形状が複雑であるため、紡糸延伸性が劣り、また、断面形状の安定性に劣るため得られる不織布等の繊維製品の品位が低下するといった問題があった。引用文献3は、比較的融点の低いオレフィン系樹脂の繊維表面への露出が多く、繊維製造工程において熱セット温度を高くすることができず、繊維の熱収縮率が高くなり風合いに劣るといった問題があった。
【0005】
本発明は、上記の問題を解決し、低コストで、取り扱い性が良好で、繊維製造における紡糸性が良好で、かつ優れた分割性能を発揮する分割型複合繊維を提供すること、また、ソフトな風合いを有する不織布を得ることができる分割型複合繊維を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者は、上記の課題を解決すべく鋭意検討した結果、本発明に到達した。すなわち本発明の要旨は次のとおりである。
(1)ポリプロピレンとポリエステルとから構成された分割型複合繊維であって、ポリプロピレンとポリエステルの比率が30/70~70/30wt%であり、ポリプロピレン中に無機物であるカルシウム、アルミニウム、ナトリウムの含有量がいずれも60ppm以下、かつこれら無機物であるカルシウム、アルミニウム、ナトリウム無機物の合計含有量が100ppm以下であり、
横断面において、ポリプロピレンとポリエステルとの2成分のうち、一方の成分が他方の成分によって複数個のセグメントに分断されてなり、
ポリプロピレンとポリエステルとのいずれもが、繊維表面に露出している分割型複合形態であり、繊維表面に占めるポリプロピレンの面積比率が、繊維表面に占めるポリエステルの面積比率よりも小さく、
複合繊維の繊度が1~6dtex、セグメントの合計数が10~30個、かつ、セグメントの繊度が0.30dtex以下であることを特徴とする分割型複合繊維。
(2)分割型複合繊維の横断面が、ポリプロピレンからなるセグメントとポリエスエルからなるセグメントとが放射状に交互に配されてなる横断面であることを特徴とする上(1)記載の分割型複合繊維。
(3)繊維表面に占めるポリプロピレンの面積比率が、5~30%であることを特徴とする上(1)記載の分割型複合繊維。
(4)分割型複合繊維のポリプロピレンからなるセグメントとポリエステルからなるセグメントとの境界面に剥離箇所が存在することを特徴とする上(1)記載の分割型複合繊維。
(5)110℃、15分間熱処理による熱収縮率が5%未満であることを特徴とする上(1)記載の分割型複合繊維。
(6)上(1)記載の分割型複合繊維を製造する方法であって、
無機物であるカルシウム、アルミニウム、ナトリウムの含有量がいずれも60ppm以下、かつこれら無機物であるカルシウム、アルミニウム、ナトリウムの合計含有量が100ppm以下であり、285℃、シェアレート1000S
―1
における溶融粘度が650~850dPa・Sであるポリプロピレンを準備し、
285℃、シェアレート1000S
―1
における溶融粘度が1000~2000dPa・Sであるポリエステルを準備し、
該ポリプロピレンとポリエステルとを、一方の成分が他方の成分によって複数個のセグメントに分断されてなる分割型複合口金を用いて、複合紡糸することを特徴とする分割型複合繊維の製造方法。
(7)上(1)~(5)のいずれかに記載の分割型複合繊維を含む不織ウェブを準備し、該不織ウェブに水流交絡処理を施して、分割型複合繊維を割繊させて極細繊維を発現させるとともに、構成繊維同士を交絡させて、スパンレース不織布を得ることを特徴とするスパンレース不織布の製造方法。
【0007】
以下、本発明を詳細に説明する。
【0008】
本発明は、ポリプロピレンとポリエステルとから構成された分割型複合繊維である。ポリプロピレンとポリエステルとは、相溶性がなく非相溶性であることから、溶剤処理を行わなくとも物理的な衝撃を加えることにより、ポリプロピレンからなるセグメントとポリエステルからなるセグメントとの境界面で割繊し、それぞれのセグメントよりなる極細繊維を得ることができる。物理的な衝撃としては、複合繊維が短繊維の場合には開繊機やカード機による衝撃や、本発明の複合繊維を用いて布帛等にした後、高圧水流を施す方法、ニードルパンチ処理による方法、液流染色機内に通して衝撃を与える方法、座屈法等が挙げられる。
【0009】
ポリプロピレンとしては、例えばプロピレン単独重合体やプロピレンとプロピレン以外のα-オレフィンとの共重合体が挙げられ、プロピレンとプロピレン以外のα-オレフィンとの共重合体としては、例えばエチレン-プロピレン共重合体、エチレン-プロピレン-ブテン共重合体等を挙げることができる。かかるポリプロピレンは具体的には、チーグラーナッタ触媒、メタロセン触媒等で重合されたシンジオタクチックポリプロピレン、アイソタクチックポリプロピレンが挙げられる。ポリプロピレンには本発明の効果を損なわない範囲で、エチレン=ビスステアリン酸アミドなどを紡糸時に添加してもよい。なお、ポリプロピレンに含有される酸化防止剤は耐変色性を有する成分からなることが好ましい。
【0010】
本発明においては、繊維を構成するポリプロピレン中のカルシウム、アルミニウム、ナトリウムの含有量がいずれも60ppm以下であり、さらに好ましく40ppm以下である。また、ポリプロピレン中におけるカルシウム、アルミニウム、ナトリウムの合計含有量が100ppm以下である。これらの無機物はポリプロピレンの重合時に添加される触媒や中和剤に由来するものであることから、ポリプロピレン中に一定量含まれている。しかしながら、これらの無機物は、複合型分割繊維の製造工程における紡糸工程にて、経時によりノズル孔に堆積する。複合型分割繊維を得るための複合断面は、分割セグメント数が10~30と多く複雑であることから、ノズル孔に無機物が堆積すると、複合断面形状が崩れ、所望の形状の分割型複合断面の繊維が得にくくなり、得られた複合繊維の割繊性は悪化する。そこで本発明では、ポリプロピレン中に含まれる前記したカルシウム、アルミニウム、ナトリウムのいずれもが60ppm以下であり、カルシウム、アルミニウム、ナトリウムの合計含有量を100ppm以下とすることにより、連続生産においても、紡糸工程にてノズル孔に無機物の堆積が生じにくくなるため、複合断面形状の変形や崩れが生じにくく、分割セグメント数が多く複雑な複合断面形状であっても、複合断面形状を安定して保持したまま分割型複合繊維を連続生産することが可能となる。また、分割型複合繊維の複合断面の変形や崩れが生じにくいため、所望の形状の分割型複合断面の繊維を得られるため、割繊性が良好で、所望の極細繊維を得ることができる。
(【0011】以降は省略されています)
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