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公開番号2024156885
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-11-06
出願番号2024128678,2021519575
出願日2024-08-05,2019-11-04
発明の名称改善された曲げ疲労性能を有するHMPE繊維
出願人ハネウェル・インターナショナル・インコーポレーテッド,Honeywell International Inc.
代理人個人,個人,個人,個人
主分類D01F 6/04 20060101AFI20241029BHJP(天然または人造の糸または繊維;紡績)
要約【課題】改善された耐久性及び曲げ疲労性能を有する連続フィラメントベースの細長体を提供する。
【解決手段】細長体は、少なくとも1つの構成要素繊維が、135℃のデカリン中で測定したときに15dl/g~約45dl/gのフィラメント固有粘度(IVf)を有するマルチフィラメント超高分子量ポリオレフィン繊維であり、当該少なくとも1本のマルチフィラメント超高分子量ポリオレフィン繊維が、少なくとも32g/デニールの靭性、800超のデニール、及び2.0超のフィラメント当たりのデニールを有する、複数の繊維から形成される。高靭性が、高繊維デニール及び高フィラメントデニール(dpf)と組み合わされると、細長体がロープなどの多繊維構造に組み込まれたときに綱車上での繰り返し曲げ(CBOS)が強化される。
【選択図】図1
特許請求の範囲【請求項1】
複数の繊維を含む細長体であって、前記繊維のうちの少なくとも1本が、135℃のデカリン中で測定したときに15dl/g~約45dl/gのフィラメント固有粘度(IV

)を有するマルチフィラメント超高分子量ポリオレフィン繊維を含み、前記少なくとも1本のマルチフィラメント超高分子量ポリオレフィン繊維が、少なくとも32g/デニールの靭性、800超のデニール、及び2.0超のフィラメント当たりのデニールを有する、細長体。
続きを表示(約 1,600 文字)【請求項2】
前記細長体を形成する前記繊維の全てが、135℃のデカリン中で測定したときに15dl/g~約45dl/gのIV

、少なくとも32g/デニールの靭性、900以上のデニール、及び2.0超のフィラメント当たりのデニールを有するマルチフィラメント超高分子量ポリオレフィン繊維を含む、請求項1に記載の細長体。
【請求項3】
前記細長体を形成する前記繊維の全てが、ポリエチレン繊維である、請求項1に記載の細長体。
【請求項4】
前記複数の繊維が、一緒に撚糸される、一緒に編組される、又はこれらの組み合わせである、請求項1に記載の細長体。
【請求項5】
IV

のフィラメント当たりのデニールに対する比が、4.0:1から8.0:1までである、請求項1に記載の細長体。
【請求項6】
複数の超高分子量ポリオレフィンフィラメントから形成された超高分子量ポリオレフィン繊維を含む少なくとも1本のマルチフィラメント繊維を含む細長体であって、前記超高分子量ポリオレフィン繊維が、135℃のデカリン中で測定したときに15dl/g~約45dl/gのフィラメント固有粘度(IV

)を有し、前記マルチフィラメント超高分子量ポリオレフィン繊維が、800超のデニールを有し、前記マルチフィラメント超高分子量ポリオレフィン繊維のフィラメントがそれぞれ、少なくとも2.0のデニールを有し、前記フィラメントのフィラメント当たりのデニールに前記フィラメントのIV

を乗じた積が75.0~110.0である、細長体。
【請求項7】
前記フィラメント当たりのデニールにIV

を乗じた積が、85.0~110.0である、請求項6に記載の細長体。
【請求項8】
前記IV

のフィラメント当たりのデニールに対する比が、4.0:1から8.0:1までである、請求項6に記載の細長体。
【請求項9】
前記IV

のフィラメント当たりのデニールに対する比が、4.0:1から8.0:1までであり、前記フィラメント当たりのデニールにIV

を乗じた積が、少なくとも75.0であり、前記細長体を形成する前記繊維の全てが、少なくとも900のデニールを有し、前記細長体が、少なくとも2300のデニールを有し、前記複数のマルチフィラメント繊維が、撚糸構造、編組構造、又はこれらの組み合わせで組み合わされる、請求項6に記載の細長体。
【請求項10】
細長体を作製する方法であって、
a)複数の繊維を提供する工程であって、前記繊維のうちの少なくとも1本が、135℃のデカリン中で測定したときに15dl/g~約45dl/gのフィラメント固有粘度(IV

)を有するマルチフィラメント超高分子量ポリオレフィン繊維を含み、前記少なくとも1本のマルチフィラメント超高分子量ポリオレフィン繊維が、32g/デニール
未満の靭性、800超のデニール、及び2.0超のフィラメント当たりのデニールを有する、提供する工程と、
b)各マルチフィラメント繊維を伸長させて、前記繊維の靭性を少なくとも32g/デニールまで増加させる工程であって、前記フィラメント当たりのデニールは2.0超のままである、増加させる工程と、
c)任意選択で、各繊維の少なくとも一部を熱可塑性樹脂又は油のいずれかでコーティングする工程と、
d)前記繊維を撚糸、交絡、又は編組して、細長体構造を形成する工程と、
e)任意選択で、前記細長体構造を加熱及び伸長させて、前記細長体の前記繊維を熱硬化する工程と、を含む、方法。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
この技術は、ロープの改善に関し、具体的には、改善された耐久性及び曲げ疲労性能を有する高靭性合成ロープに関する。
続きを表示(約 4,100 文字)【背景技術】
【0002】
合成繊維ロープは、様々な海洋用途を含む種々の用途で使用されてきた。優れた特性を有するロープの1種は、高モジュラスポリオレフィン繊維及び/又は糸から作製されるロープである。Honeywell International Inc.製のSPECTRA(登録商標)伸びきり鎖ポリエチレン繊維などの高靭性ポリオレフィン繊維は、高強度(重量で鋼よりも15倍強い)、軽量(浮くのに十分な軽さである(0.97g/cc比重))、疎水性、耐腐食性、優れた真菌生育耐性、優れた耐摩耗性、優れた屈曲及び曲げ疲労性能、低摩擦係数、及び非常に良好な紫外線照射耐性から、海洋用途において特に有用であることが知られており、これらによって、長期使用の海洋用途において非常に耐久性のあるものとなる。
【0003】
特に高強度に関して、超高分子量ポリエチレン(UHMW PE)から形成された繊維は、靭性、引張係数、及び破断エネルギーなどの優れた引張特性を有することが知られている。用語「靭性」は、ASTM D2256によって測定される、応力を受けていない試料の単位線密度(デニール)当たりの力(グラム)として表される引張応力を指す。用語「初期引張係数」は、デニール当たりのグラム-力(g/d)で表される靭性の変化の、元の繊維/テープの長さの割合(in/in)として表される歪みの変化に対する比を指し、本明細書で使用するとき、用語「初期引張係数」、「引張係数」、及び「モジュラス」は、繊維についてのASTM 2256によって測定される弾性係数を意味する。
【0004】
このような高靭性繊維は、典型的には、「溶液紡糸」とも呼ばれる「ゲル紡糸」プロセスによって作製される。この種のプロセスでは、超高分子量ポリエチレン(UHMW PE)及び溶媒の溶液を形成し、続いて、当該溶液を多吐糸口紡糸口金(例えば、10~3000個の紡糸穴を有する)を通して押し出して、溶液フィラメントを形成し(紡糸穴1個当たり1本のフィラメントが形成される)、当該溶液フィラメントを冷却してゲルフィラメントにし、当該溶媒を抽出して乾燥フィラメントを形成する。これらの乾燥フィラメントを集めて、当該技術分野において「繊維」又は「糸」と称される束にする。次いで、繊維/糸は、最大延伸限度まで伸長されて(延伸されて)靭性を高める。
【0005】
高強度ポリエチレンフィラメント及び/又はマルチフィラメント繊維/糸の調製は、例えば、米国特許第4,413,110号、同第4,536,536号、同第4,551,296号、同第4,663,101号、同第5,006,390号、同第5,032,338号、同第5,578,374号、同第5,736,244号、同第5,741,451号、同第5,958,582号、同第5,972,498号、同第6,448,359号、同第6,746,975号、同第6,969,553号、同第7,078,099号、同第7,344,668号、同第8,444,898号、同第8,506,864号、同第8,747,715号、同第8,889,049号、同第9,169,581号、同第9,365,953号、及び同第9,556,537号に記載されており、これらは全て、本明細書と一致する範囲で参照により本明細書に組み込まれる。これらの特許はそれぞれ、UHMW PE加工技術における漸進的な改善を教示し、UHMW PE繊維の引張特性の改善における大きな障害について説明している。例えば、繊維を延伸することによってUHMW PE繊維の靭性及び引張係数は増加するが、破断することなく伸長させることができるのはある程度までである。繊維を伸長させることができる最大量、ひい
ては、特定の繊維タイプについて達成することができる最大靭性は、改善された原材料及び加工能力の両方を含むいくつかの要因に依存する。
【0006】
繊維の靭性を高めるためには、ポリエチレン溶液及びその前駆体(すなわち、溶液を形成するポリマー及び溶媒)が、高い固有粘度(「IV」)などの特定の特性を有する必要があり、かつ特定の方法で作製される必要がある。例えば、米国特許第8,444,898号は、繊維形成ポリマー/溶媒混合物が、ポリマーを分解してしまう押出機の内部の極端な加工条件に曝される時間を制限する特殊なプロセスによって高靭性繊維を製造するためのプロセスを教示している。このプロセスは、押出機内での関連するポリマーの分解に起因して最大の達成可能な繊維靭性を低下させる、押出機内での滞留時間がより長く必要となる他の方法とは区別される。米国特許第8,747,715号は、高靭性ポリエチレン糸を製造するためのプロセスであって、繊維を高度に配向して、約45g/d超の靭性及び約1400g/d超の引張係数を有する製品を形成するプロセスを教示している。このプロセスは、約19dl/g超の繊維IV及び約45g/dg超の靭性を有する繊維が製作されるように、ポリマーの固有粘度を維持する工程を要する。これらは、たとえ漸進的であってもポリエチレン繊維の引張特性の改善につながる科学技術における大きな取り組みを例示する2つの方法にすぎない。
【0007】
高強度ポリエチレン繊維から形成されたロープは既知であり、例えば、優れた曲げ疲労耐性を必要とする用途に使用されてきた。例えば、米国特許出願公開第2007/0202328号及び同第2007/0202331号を参照されたい。これらはいずれもHoneywell International Inc.が通常的に所有しており、海洋用途において綱車、プーリ、又はポスト上で繰り返し曲げられたときに良好な曲げ疲労性能を有するロープを教示している。このようなロープの既存の高い性能にもかかわらず、改善された特性及び性能を有する製品が継続的に必要とされている。具体的には、綱車上でこのように繰り返し曲げられたとき、特に工業用の重量物持ち上げ用途に使用されたとき、より大きな長期耐久性を示す合成ロープが当該技術分野において継続的に必要とされており、高性能合成ロープの疲労寿命を改善することが必要とされている。特に、高性能ポリオレフィン繊維及び糸から作製されたロープの綱車上での繰り返し曲げ(cyclic bend over sheave、CBOS)性能を改善することが必要とされている。本技術は、当該
技術分野におけるこの必要性に対する解決策を提供するものである。
【0008】
これに関して、繊維の製造プロセス中の繊維配向は、当該技術分野において従来知られているように、慎重に制御された条件下で繊維を熱及び張力に曝すことによって、繊維の靭性を増加させることが知られている。繊維の靭性の増加に加えて、繊維の配向(すなわち、伸長;延伸(stretching;drawing)はまた、繊維をより細くする。複数のより小
さなフィラメントの組み合わせを含む単一のマルチフィラメント繊維では、繊維の配向は、それに対応して、繊維を形成する個々の構成要素フィラメントのそれぞれを細くする。織物分野では、繊維/糸の繊度の一般的な尺度は「デニール」であり、これは、繊維/糸9000メートル当たりの質量(グラム)に等しい線密度の単位である。繊維デニールの減少に加えて、繊維を形成するフィラメントのデニールの減少によって、繊維はより破壊に至りやすくなる。また、この繊維/フィラメントのデニールの減少によって曲げ疲労しやすくもなり、このことは、繊維から形成されたロープなどの細長体が典型的には1つ以上の綱車を通過する用途において共通の問題である。したがって、本開示の状況では、繊維は、特に、実質的な繊維強度、軸方向破断に対する耐性、及び破断することなく経時的な曲げに耐える能力を必要とする用途である重量物持ち上げ用途のためのロープの製作に使用することが意図されているため、繊維の靭性、繊維のデニール、及びフィラメント当たりのデニールのそれぞれが特に重要な特性である。
【0009】
このような特に優れた強度特性及び曲げ疲労耐性が要求される用途において有用な細
長体を製造するためには、既知の繊維では現在得られない物性のバランスを有する繊維を当該細長体に組み込む必要がある。具体的には、本開示の目的を達成するためには、135℃のデカリン中で測定したときに15dl/g~約45dl/gのフィラメント固有粘度(IV

)、少なくとも32g/デニールの靭性、800超のデニール、及び2.0超のフィラメント当たりのデニールの組み合わせを有する1本以上の超高分子量ポリオレフィン繊維を細長体に組み込む必要があり、好ましくは、当該フィラメントのフィラメント当たりのデニールに当該フィラメントのIV

を乗じた積は、少なくとも75.0、好ましくは少なくとも75.0から110.0までであり、IV

のフィラメント当たりのデニールに対する比は、4.0:1から8.0:1までであることが見出された。このようなことは、既知の繊維/フィラメント製造技術を改変して、これらの特性を有する1本以上の繊維が組み込まれた細長体を製作し、繊維/フィラメントの品質を改善することによって達成される。
【発明の概要】
【0010】
本開示は、固有粘度、フィラメント当たりのデニール、及び靭性の類例なき関係を有する繊維から形成されたロープなどの多繊維細長体を提供し、これにより、予想外にも、当該技術分野における必要性を満たす細長体の強化された曲げ疲労耐性が達成された。
(【0011】以降は省略されています)

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