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公開番号2024120570
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-09-05
出願番号2023027443
出願日2023-02-24
発明の名称セパレータ
出願人アイテック株式会社,学校法人立命館,株式会社FLOSFIA
代理人個人,個人,個人,個人
主分類H01M 8/0228 20160101AFI20240829BHJP(基本的電気素子)
要約【課題】優れた導電性及び耐食性を提供することを目的とする。
【解決手段】Inを含む導電性酸化膜を表面の一部又は全部に有するセパレータであって、前記導電性酸化膜中のInの含有量が、前記導電性酸化膜中のすべての金属に対し、90重量%未満であり、前記セパレータの接触面積抵抗率が、10mΩcm2以下であるセパレータを、ミストCVD法による製膜を用いて作製し、作製したセパレータを、燃料電池に適用し、さらには燃料電池を含む各種電子装置および各種電子装置が搭載された製品等の製造に適用する。
【選択図】図1
特許請求の範囲【請求項1】
Inを含む導電性酸化膜を表面の一部又は全部に有するセパレータであって、前記導電性酸化膜の金属元素中のInの含有量が90重量%未満であり、前記導電性酸化膜の接触面積抵抗率が、10mΩcm

以下であることを特徴とするセパレータ。
続きを表示(約 570 文字)【請求項2】
前記導電性酸化膜が結晶膜である請求項1記載のセパレータ。
【請求項3】
前記結晶膜が(222)結晶面及び(400)結晶面を有する請求項2記載のセパレータ。
【請求項4】
X線回折チャートにおいて、前記(222)結晶面の回折ピーク強度が前記(400)結晶面の回折ピーク強度より大きい請求項3記載のセパレータ。
【請求項5】
前記導電性酸化膜の膜厚が10nm以上である請求項1記載のセパレータ。
【請求項6】
前記導電性酸化膜が、スズを含む請求項1記載のセパレータ。
【請求項7】
前記導電性酸化膜の金属元素中、前記スズを10重量%以上含む請求項1記載のセパレータ。
【請求項8】
前記導電性酸化膜がハロゲンでドーピングされている請求項1記載のセパレータ。
【請求項9】
前記ハロゲンが、フッ素である請求項8記載のセパレータ。
【請求項10】
原料溶液を霧化してセパレータ用導電性酸化膜をミストCVD法で製膜する方法であって、前記原料溶液を、In、Sn及びFを含む水溶液とし、前記導電性酸化膜の金属元素中のInの含有量を90重量%未満とすることを特徴とする方法。
(【請求項11】以降は省略されています)

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、燃料電池などに用いられるセパレータに関する。
続きを表示(約 2,800 文字)【背景技術】
【0002】
固体高分子型の燃料電池用セパレータは、電気伝導性を有し、燃料電池の各単セルを電気的に接続して各単セルで発生したエネルギー(電気)を集電すると共に、液体や気体の流路が形成されており、燃料ガスや酸化性ガスを電池面内に供給したり、カソード側で生成した水を、反応後の空気等とともに燃料電池から排出する役割を有する。また、セパレータには、燃料ガス及び空気の混合防止のための気密性、発電環境下における耐食性といった特性も求められる。
【0003】
近年においては、優れた導電性を有するITO膜をセパレータに適用することが検討されている。特許文献1には、固体電解質膜の電極面とセパレータとの積層構造に集電部を設けた燃料電池において、セパレータの集電部の電極面との接触部に酸化インジウムの被膜を形成した、燃料電池が記載されている。特許文献2には、インジウムの使用量を抑えるために、基材上に、アンチモンドープ酸化スズと、スズドープ酸化インジウムとを含有する複合膜を有し、前記スズドープ酸化インジウム中のスズの割合が、0.2~10原子%であり、前記複合膜における、スズとインジウムの元素比(Sn/In)が1.4以下であり、前記複合膜中のアンチモンドープ酸化スズが30~60体積%である、燃料電池セパレータが記載されている。しかしながら、Inの含有量を90%未満にすると、導電性が悪くなり、また、特許文献2のようにATO膜との複合膜にすると耐食性が悪くなり、根本的な課題は解決できておらず、Inの含有量が90%未満でも優れた導電性及び耐食性を有するセパレータ用の導電性酸化膜が待ち望まれていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
特開2007-26868号公報
特許第7006481号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、優れた導電性及び耐食性を有するセパレータを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、上記目的を達成すべく鋭意検討した結果、Inを含む導電性酸化膜を表面の一部又は全部に有するセパレータであって、前記導電性酸化膜中のInの含有量が、前記導電性酸化膜中のすべての金属に対し、90重量%未満であり、前記セパレータの接触面積抵抗率が、10mΩcm

以下であるセパレータが、優れた導電性及び耐食性等を備えていることを知見し、このようなセパレータが、上記した従来の問題を一挙に解決できるものであることを見出した。
また、本発明者らは、上記知見を得た後、さらに検討を重ねて、本発明を完成させるに至った。
【0007】
すなわち、本発明は、以下の発明に関する。
[1] Inを含む導電性酸化膜を表面の一部又は全部に有するセパレータであって、前記導電性酸化膜の金属元素中のInの含有量が90重量%未満であり、前記導電性酸化膜の接触面積抵抗率が、10mΩcm

以下であることを特徴とするセパレータ。
[2] 前記導電性酸化膜が結晶膜である前記[1]記載のセパレータ。
[3] 前記結晶膜が(222)結晶面及び(400)結晶面を有する前記[2]記載のセパレータ。
[4] X線回折チャートにおいて、前記(222)結晶面の回折ピーク強度が前記(400)結晶面の回折ピーク強度より大きい前記[3]記載のセパレータ。
[5] 前記導電性酸化膜の膜厚が10nm以上である前記[1]記載のセパレータ。
[6] 前記導電性酸化膜が、スズを含む前記[1]記載のセパレータ。
[7] 前記導電性酸化膜の金属元素中、前記スズを10重量%以上含む前記[1]記載のセパレータ。
[8] 前記導電性酸化膜がハロゲンでドーピングされている前記[1]記載のセパレータ。
[9] 前記ハロゲンが、フッ素である前記[8]記載のセパレータ。
[10] 原料溶液を霧化してセパレータ用導電性酸化膜をミストCVD法で製膜する方法であって、前記原料溶液を、In、Sn及びFを含む水溶液とし、前記導電性酸化膜の金属元素中のInの含有量を90重量%未満とすることを特徴とする方法。
[11] セパレータを含む燃料電池であって、前記セパレータが前記[1]記載のセパレータである燃料電池。
[12] 燃料電池を含む製品であって、前記燃料電池が前記[11]記載の燃料電池である製品。
【発明の効果】
【0008】
本発明のセパレータは、優れた導電性及び耐食性を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
本発明において好適に用いられる成膜装置(ミストCVD)の概略構成図である。
実施例における製膜条件を示す図である。
試験例におけるXRD解析結果を示す図である。なお、図中、Mist-ITO-上流(比較例)及びmist-ITO-中流(比較例)並びにmist-ITO-下流(実施例)のXRD解析結果をそれぞれ示す。
試験例におけるSEM像、組成比及び接触抵抗を示す図である。なお、左から上流域(比較例)、中流域(比較例)及び下流域(実施例)をそれぞれ示す。
試験例におけるIn組成比によるアノード分極試験の耐食性評価試験の結果を示す図である。
試験例における定電位分極試験における耐食性試験前後の接触抵抗評価試験の結果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明のセパレータは、Inを含む導電性酸化膜を表面の一部又は全部に有するセパレータであって、前記導電性酸化膜の金属元素中のInの含有量が90重量%未満であり、前記導電性酸化膜の接触面積抵抗率が、10mΩcm

以下であれば特に限定されない。本発明においては、前記導電性酸化膜が結晶膜であるのが耐食性により優れたものとなるので好ましい。また、本発明においては、前記結晶膜が(222)結晶面及び(400)結晶面を有するのが好ましく、X線回折チャートにおいて、前記(222)結晶面の回折ピーク強度が前記(400)結晶面の回折ピーク強度より大きいのがより好ましい。このような好ましい範囲によれば、耐食性がより優れたものとなり、Inの組成が低くてもより優れた導電性を有するようになる。また、本発明においては、前記導電性酸化膜の膜厚が10nm以上であるのがセパレータ用基板との密着性や耐食性がより優れたものとなるので好ましい。
(【0011】以降は省略されています)

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