TOP特許意匠商標
特許ウォッチ Twitter
公開番号2025127908
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-09-02
出願番号2024024909
出願日2024-02-21
発明の名称金属皮膜の成膜装置およびその成膜方法
出願人トヨタ自動車株式会社
代理人弁理士法人平木国際特許事務所
主分類C25D 21/12 20060101AFI20250826BHJP(電気分解または電気泳動方法;そのための装置)
要約【課題】膜厚が均一で、表面が平滑な金属皮膜を成膜することができる金属皮膜の成膜装置を提供する。
【解決手段】成膜装置1は、陽極11と基材Bとの間に電圧を印加する電源14と、電源14の電圧を制御する制御装置61と、電圧を印加した際に、陽極11と基材Bとの間に流れる電流値を測定する電流計65と、を備えている。制御装置61は、めっき液Lを収容体15に収容した状態、かつ、基材Bに電解質膜13が接触した状態で、陽極11と基材Bとの間に印加する電圧を増加させながら、電圧の増分に応じた電流値の変化量、または変化量の大きさに応じた値を評価値として算出し、評価値が、予め設定された所定値以下となったタイミングの電圧を、成膜電圧に設定し、金属皮膜Fの成膜時に、電源14の電圧を、成膜電圧に調整する。
【選択図】図2
特許請求の範囲【請求項1】
陽極と、めっき液を収容する収容体と、前記陽極と対向した位置に形成された前記収容体の開口部を覆うことにより、前記めっき液を前記収容体に封止する電解質膜と、を備え、電解めっきにより、前記電解質膜に接触した基材に金属皮膜を成膜する成膜装置であって、
前記成膜装置は、前記陽極と前記基材との間に電圧を印加する電源と、
前記電源の電圧を制御する制御装置と、
前記電圧を印加した際に、前記陽極と前記基材との間に流れる電流値を測定する電流計と、をさらに備えており、
前記制御装置は、
前記めっき液を前記収容体に収容した状態、かつ、前記基材に前記電解質膜が接触した状態で、前記陽極と前記基材との間に印加する前記電圧を増加させながら、前記電圧の増分に応じた前記電流値の変化量、または前記変化量の大きさに応じた値を評価値として算出し、
前記評価値が、予め設定された所定値以下となったタイミングの電圧を、成膜電圧に設定し、
前記金属皮膜の成膜時に、前記電源の電圧を、前記成膜電圧に調整することを特徴とする金属皮膜の成膜装置。
続きを表示(約 280 文字)【請求項2】
前記制御装置は、前記電圧の増分ごとに、単位面積あたりに通電された前記電流値の変化量を、前記電圧の増分で除算した値に、前記電圧の増加後の電圧値を乗算し、前記電圧の増加後の単位面積あたりに通電された前記電流値をさらに除算することにより、前記評価値の算出を行うことを特徴とする請求項1に記載の金属皮膜の成膜装置。
【請求項3】
請求項1に記載の成膜装置により、金属皮膜を成膜する成膜方法であって、
前記成膜電圧を一定電圧として、前記陽極と前記基材に印加しながら、前記基材に金属皮膜を成膜することを特徴とする金属皮膜の成膜方法。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、金属皮膜の成膜装置およびその成膜方法に関する。
続きを表示(約 2,300 文字)【背景技術】
【0002】
この種の技術として、たとえば特許文献1には、電解質膜が基材に接触した状態で、陽極と基材との間に金属皮膜を成膜する成膜装置が提案されている。この成膜装置には、陽極と基材との間の交流インピーダンスを測定する測定装置が設けられている。成膜装置では、測定装置で測定した交流インピーダンスのうち、電解質膜と基材との接触状態を示す所定の周波数における虚数成分に基づいて、成膜の可否を判定している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
特開2022-055435号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に示す成膜装置では、成膜時に、陽極と基材との間に、一定の電圧を印加する場合、陽極と基材に印加する電圧の大きさによっては、陽極と基材との間に通電される電流が安定せず、金属皮膜の品質が安定しないことがある。具体的には、印加する電圧が小さいと、陽極と基材との間に通電される電流量が少なく、電流量が安定しないことがあり、成膜される金属皮膜の膜厚にばらつきが生じ易い。一方、印加する電圧が大きいと、陽極と基材との間に通電される電流量は確保されるが、金属皮膜の表面が粗くなることがある。
【0005】
本発明は、このような点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、膜厚が均一で、表面が平滑な金属皮膜を成膜することができる金属皮膜の成膜装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題に鑑みて、本発明に係る金属皮膜の成膜装置は、陽極と、めっき液を収容する収容体と、前記陽極と対向した位置に形成された前記収容体の開口部を覆うことにより、前記めっき液を前記収容体に封止する電解質膜と、を備え、電解めっきにより、前記電解質膜に接触した基材に金属皮膜を成膜する成膜装置である。前記成膜装置は、前記陽極と前記基材との間に電圧を印加する電源と、前記電源の電圧を制御する制御装置と、前記電圧を印加した際に、前記陽極と前記基材との間に流れる電流値を測定する電流計と、をさらに備えている。前記制御装置は、前記めっき液を前記収容体に収容した状態、かつ、前記基材に前記電解質膜が接触した状態で、前記陽極と前記基材との間に印加する前記電圧を増加させながら、前記電圧の増分に応じた前記電流値の変化量、または前記変化量の大きさに応じた値を評価値として算出し、前記評価値が、予め設定された所定値以下となったタイミングの電圧を、成膜電圧に設定し、前記金属皮膜の成膜時に、前記電源の電圧を、前記成膜電圧に調整する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、金属皮膜を成膜する前に、制御装置により、成膜電圧を設定することができる。この際、制御装置により、上述した評価値が、予め設定された所定値以下となったタイミングの電圧を、成膜電圧に設定する。このため、成膜電圧を一定電圧として、陽極と基材との間に印加したとしても、陽極と基材との間に安定した電流を通電することができる。さらに、上述した評価値が、予め設定された所定値以下となったタイミングの電圧となる成膜電圧は、陽極と基材との間に安定して電流を通電できる電圧の範囲内において、比較的低い電圧であるため、金属皮膜の表面粗さが大きくなることを、抑えることができる。このような成膜電圧で成膜することにより、膜厚が均一で、表面が平滑な金属皮膜を成膜することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
(a)は、本実施形態に係る金属皮膜の成膜方法を実施するための成膜装置の概略図であり、(b)は、(a)の成膜装置を用いた成膜電圧の設定および金属皮膜の成膜を説明するための概略図である。
実施形態に係る金属皮膜の成膜方法のフロー図である。
(a)は、本実施形態の成膜装置(SED)と、めっき浴によるめっき(通常)において、印加電圧を増加させた際の電流密度の変化を示したグラフであり、(b)は、印加電圧と評価値との関係を示したグラフである。
(a)は、実施例1および比較例1における電流密度と金属皮膜の膜厚変化量との関係を示したグラフであり、(b)は、実施例1および比較例1における電流密度と金属皮膜の算術平均粗さとの関係を示したグラフである。
成膜電圧ごとにおける金属皮膜の外観、表面粗さ、成膜速度(電流密度)の結果を示した表図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に、図1~図5を参照しながら、本実施形態に係る金属皮膜の成膜装置1について説明する。図1に示すように、本実施形態では、成膜装置1は、陽極11と、電解質膜13と、陽極11と基材Bとの間に電圧を印加する電源14と、を備える。
【0010】
成膜装置1は、陽極11およびめっき液Lを収容する収容体15と、基材Bを載置する載置台40と、をさらに備える。成膜装置1は、収容体15を昇降させる直動アクチュエータ70をさらに備えている。直動アクチュエータ70は、電解質膜13と基材Bが接離自在となるように、ロッド72を直動させることで収容体15を昇降させる。直動アクチュエータ70は、本体71に対して直動するロッド72を有しており、ロッド72の先端には、収容体15が固着されている。載置台40には、基材Bを収容する凹部41が形成されている。
(【0011】以降は省略されています)

この特許をJ-PlatPat(特許庁公式サイト)で参照する

関連特許

有限会社 ナプラ
端子
1日前
株式会社カネカ
電解装置
13日前
SMD株式会社
めっき処理装置
16日前
大同特殊鋼株式会社
触媒合金
9日前
本田技研工業株式会社
水電解システム
8日前
本田技研工業株式会社
水電解システム
2日前
トヨタ自動車株式会社
水電解スタック
5日前
株式会社村田製作所
電子部品及びその製造方法
20日前
株式会社SOKEN
電解セル
16日前
睦技研株式会社
バレルめっき装置
15日前
東京瓦斯株式会社
水電解システム
16日前
東京瓦斯株式会社
水電解システム
16日前
東京瓦斯株式会社
水電解システム
16日前
株式会社SCREENホールディングス
前処理方法およびセル
7日前
株式会社アイシン
水電解装置
20日前
株式会社アイシン
電解システム
15日前
トヨタ自動車株式会社
水電解セル、水電解スタック
22日前
日本特殊陶業株式会社
固体酸化物形電解セルおよびその利用
12日前
国立研究開発法人理化学研究所
電気化学セル
15日前
国立研究開発法人理化学研究所
電気化学セル
13日前
トヨタ自動車株式会社
金属皮膜の成膜方法
8日前
トヨタ自動車株式会社
金属皮膜の成膜装置
15日前
三菱重工業株式会社
電解セル、及び電解装置
15日前
三菱重工業株式会社
電解セル、及び電解装置
15日前
本田技研工業株式会社
水電解システムおよびエネルギーシステム
5日前
トヨタ自動車株式会社
水電解システム
22日前
東京都公立大学法人
反応装置及びそれを用いた化合物の製造方法
5日前
三菱重工業株式会社
水素生成システムおよび水素生成システムの制御方法
21日前
住友化学株式会社
リチウム塩の製造方法、及びリチウム塩の製造システム
20日前
株式会社日立製作所
水電解システム及び絶縁配管の保守方法
6日前
トヨタ自動車株式会社
アノード側セパレータ及び水電解装置
12日前
トヨタ自動車株式会社
金属皮膜の成膜装置およびその成膜方法
1日前
JFEスチール株式会社
電極および水電解セルならびにそれらの製造方法
21日前
TOPPANホールディングス株式会社
電極触媒層、及び、膜電極接合体
8日前
国立大学法人九州大学
水電解装置、水素製造システム及び水電解方法
8日前
株式会社レゾナック
フッ素ガスの製造方法
27日前
続きを見る