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公開番号
2025048749
公報種別
公開特許公報(A)
公開日
2025-04-03
出願番号
2024134878
出願日
2024-08-13
発明の名称
鋼板およびその製造方法
出願人
JFEスチール株式会社
代理人
個人
,
個人
,
個人
,
個人
主分類
C22C
38/00 20060101AFI20250326BHJP(冶金;鉄または非鉄合金;合金の処理または非鉄金属の処理)
要約
【課題】鋼板およびその製造方法を提供する。
【解決手段】本発明の鋼板は、質量%で、C:0.02%以上0.15%以下、Si:0.01%以上0.50%以下、Mn:0.05%以上2.50%以下、Ni:0.50%以上5.00%未満、P:0.03%以下、S:0.005%以下、およびN:0.0080%以下を含有し、残部がFeおよび不可避的不純物からなる成分組成を有し、板厚の1/4の深さ位置におけるミクロ組織は、面積率で、フェライト分率が5~95%、島状マルテンサイト分率が1~30%、残部が焼戻しマルテンサイトおよび/またはベイナイトであり、島状マルテンサイト中の固溶C量が0.4%未満かつ島状マルテンサイト分解率が50%未満である。
【選択図】なし
特許請求の範囲
【請求項1】
質量%で、
C:0.02%以上0.15%以下、
Si:0.01%以上0.50%以下、
Mn:0.05%以上2.50%以下、
Ni:0.50%以上5.00%未満、
P:0.03%以下、
S:0.005%以下、および
N:0.0080%以下
を含有し、残部がFeおよび不可避的不純物からなる成分組成を有し、
鋼板の表面から板厚方向に板厚の1/4の深さ位置におけるミクロ組織は、
面積率で、フェライト分率が5~95%、島状マルテンサイト分率が1~30%、残部が焼戻しマルテンサイトおよび/またはベイナイトであり、
前記島状マルテンサイト中の固溶C量が0.4%未満かつ島状マルテンサイト分解率が50%未満である、鋼板。
続きを表示(約 990 文字)
【請求項2】
前記成分組成は、さらに、質量%で、
Al:0.100%以下、
Nb:0.1%以下、
Cr:2.00%以下、
Mo:1.0%以下、
Cu:2.00%以下、
V:0.10%以下、
Ti:0.03%以下、
B:0.0050%以下、
Ca:0.0070%以下、
REM:0.010%以下、
Mg:0.0070%以下、および
Zr:0.0050%以下
から選択される1種または2種以上を含有する、請求項1に記載の鋼板。
【請求項3】
前記ミクロ組織は、結晶粒の厚みの平均が30μm以下である、請求項1に記載の鋼板。
【請求項4】
前記ミクロ組織は、結晶粒の厚みの平均が30μm以下である、請求項2に記載の鋼板。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか1項に記載の鋼板の製造方法であって、
前記成分組成を有する鋼素材を加熱し、熱間圧延して熱延鋼板とし、
次いで、前記熱延鋼板を、板厚中央の温度でAc
1
点から(Ac
1
点+50℃)までの昇温時間が2000秒以下、かつ、加熱温度が板厚中央の温度で(Ac
1
点+50℃)以上Ac
3
点未満の2相域温度域となる条件で加熱保持し、その後、板厚の1/4の深さ位置の温度で700℃以下500℃以上の温度域における平均冷却速度が3℃/秒以上、かつ、冷却終了温度が板厚の1/4の深さ位置の温度で500℃未満となる条件で加速冷却する、2相域焼入れ工程を行い、
次いで、板厚中央の温度で100℃以上300℃未満の焼戻温度で焼戻す、焼戻し工程を行う、鋼板の製造方法。
【請求項6】
前記2相域焼入れ工程の前に、
前記熱延鋼板を、板厚中央の温度でAc
3
点以上1000℃未満の加熱温度で加熱保持し、その後、板厚の1/4の深さ位置の温度で700℃以下500℃以上の温度域における平均冷却速度が3℃/秒以上、かつ、冷却終了温度が板厚の1/4の深さ位置の温度で300℃未満となる条件で加速冷却する、γ域焼入れ工程を行う、請求項5に記載の鋼板の製造方法。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、優れた強度、靭性および低降伏比を安定的に確保できる、低温下での用途に好適な鋼板およびその製造方法に関する。
続きを表示(約 1,600 文字)
【背景技術】
【0002】
船舶用液化ガス貯蔵タンクであって独立型Type-Cタンクかつ設計温度が-10℃より低い場合、その鋼材として炭素鋼や炭素マンガン鋼を用いる際には、鋼材を溶接した後の応力除去が必要となる。この応力除去は、通常、PWHT(Post Weld Heat Treatment;溶接後熱処理)により実施されるが、鋼材の降伏比が0.8以下の場合には、機械的に応力除去することも可能である。そのため、タンクが大型化するとPWHTの施工が困難となることから、機械的な応力除去が可能である低降伏比の材料をタンクの鋼材に用いることが望まれる。例えば、液化CO
2
の大型貯蔵用タンクに炭素鋼が使用される場合には、-50~-70℃の低温下において優れた靱性を確保しつつ、引張強さ(以下、「TS」とも記す)が690MPa以上の高強度鋼が必要となる。ゆえに、低降伏比すなわち延性に優れ、かつ高強度であり、かつ低温下での靭性にも優れる鋼材を提供することが要求されている。
【0003】
低降伏比かつ低温下での靭性に優れる鋼板として、例えば、特許文献1には、-75℃で衝撃靭性が150J、降伏比が0.8以下、引張強さが530MPa以上となる鋼板が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
特表2016-507649号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の鋼板は、TSが最高でも620MPaであり、TSが690MPa以上の鋼板を提供するには到っていない。このように、従来は、低降伏比かつ低温下での靭性に優れるとともに、TSが690MPa以上の高強度を有する炭素鋼が提供されていなかったことから、例えば9%Ni鋼のような、高価なニッケル鋼を使わざるを得ず、材料コストが高くなるという問題がある。
【0006】
本発明は上記の事情に鑑みなされたものであり、TSが690MPa以上の高強度鋼における、優れた低温下での靭性と低降伏比とを実現する鋼板およびその製造方法について提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、上記課題を解決するために、高強度鋼を前提に低温下での靭性(以下、単に「靭性」とも記す)と低降伏比を達成する成分組成およびミクロ組織に関して鋭意研究を行ったところ、特にミクロ組織について、以下の知見を得た。
【0008】
具体的には、鋼板の表面から板厚方向に板厚の1/4の深さ位置におけるミクロ組織を、面積率で、フェライト分率が5~95%、島状マルテンサイト分率が1~30%、残部が焼戻しマルテンサイトおよび/またはベイナイトとし、かつ、島状マルテンサイトの固溶C量と島状マルテンサイトのセメンタイトへの分解率(すなわち、後述の「島状マルテンサイト分解率」である)とを適切に制御することが、所期した特性の向上に有効であることを新たに知見した。
【0009】
ここで、上記のフェライトとは、マルテンサイトやベイナイトをAc
1
点以上の温度に熱処理しても逆変態せずに残存し、元のラス状組織を引き継いだBCC相のことをさす。本発明者らは、二相域で加熱および加速冷却を行うことにより、この比較的軟質なフェライトを面積率で5~95%とし、かつ島状マルテンサイトを上記数値範囲で微細分散させ、その結果、低降伏比を達成できることを見出した。
【0010】
また、100℃以上300℃未満の焼戻温度での焼戻しにより島状マルテンサイトの過度な固溶C量を低減しつつ、島状マルテンサイトのセメンタイトへの分解を抑制し、その結果、低降伏比を維持しつつ、靭性の確保が可能となることも見出した。
(【0011】以降は省略されています)
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