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公開番号2025035897
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-03-14
出願番号2023143230
出願日2023-09-04
発明の名称炭素繊維前駆体、炭素繊維前駆体繊維、炭素繊維前駆体繊維の製造方法、耐炎化繊維の製造方法及び炭素繊維の製造方法
出願人株式会社豊田中央研究所
代理人弁理士法人太陽国際特許事務所
主分類D01F 6/04 20060101AFI20250307BHJP(天然または人造の糸または繊維;紡績)
要約【課題】高い延伸倍率で延伸可能な炭素繊維前駆体繊維とすることができ、かつマルチホールのノズルを用いて、有機溶媒を用いずに比較的低温で溶融紡糸を行って高速で巻き取られても、糸切れの発生を抑制して炭素繊維前駆体繊維を製造することができる炭素繊維前駆体が提供される。
【解決手段】本開示の炭素材料前駆体は、ジエン系ポリマーを含む。前記炭素繊維前駆体の、ASTM D1238に準拠し、温度160℃、荷重21.2Nの条件で測定したメルトフローレートが、10g/10分以上である。
【選択図】なし
特許請求の範囲【請求項1】
ジエン系ポリマーを含み、
ASTM D1238に準拠し、温度160℃、荷重21.2Nの条件で測定したメルトフローレートが10g/10分以上である、炭素繊維前駆体。
続きを表示(約 870 文字)【請求項2】
可塑化添加剤を更に含む、請求項1に記載の炭素繊維前駆体。
【請求項3】
前記ジエン系ポリマーが、下記式(I)で表されるジエン系モノマー単位を含む、請求項1に記載の炭素繊維前駆体。
JPEG
2025035897000007.jpg
33
58
[式(I)中、Rが水素原子又は炭素数1~20の有機基を示し、nが任意の繰り返し数を示す。]
【請求項4】
請求項1~請求項3のいずれか1項に記載の炭素繊維前駆体からなる、炭素繊維前駆体繊維。
【請求項5】
前記ジエン系ポリマーが架橋されてなる架橋済ジエン系ポリマーを含む、請求項4に記載の炭素繊維前駆体繊維。
【請求項6】
ゲル分率が30%以上である、請求項5に記載の炭素繊維前駆体繊維。
【請求項7】
炭素繊維前駆体の紡糸を行って、炭素繊維前駆体繊維を得る工程を含み、
前記炭素繊維前駆体がジエン系ポリマーを含み、
前記炭素繊維前駆体の、ASTM D1238に準拠し、温度160℃、荷重21.2Nの条件で測定したメルトフローレートが10g/10分以上である、炭素繊維前駆体繊維の製造方法。
【請求項8】
前記炭素繊維前駆体繊維に架橋処理を施す工程を更に含み、
前記架橋処理の実施後の炭素繊維前駆体繊維のゲル分率が30%以上である、請求項7に記載の炭素繊維前駆体繊維の製造方法。
【請求項9】
請求項7又は請求項8に記載の炭素繊維前駆体繊維の製造方法により炭素繊維前駆体繊維を得る工程と、
前記炭素繊維前駆体繊維に、酸化性雰囲気下で加熱処理を施す工程と、
を含む、耐炎化繊維の製造方法。
【請求項10】
請求項9に記載の耐炎化繊維の製造方法により耐炎化繊維を得る工程と、
前記耐炎化繊維に炭化処理を施す工程と、
を含む、炭素繊維の製造方法。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本開示は、炭素繊維前駆体、炭素繊維前駆体繊維、炭素繊維前駆体繊維の製造方法、耐炎化繊維の製造方法及び炭素繊維の製造方法に関する。
続きを表示(約 1,800 文字)【背景技術】
【0002】
炭素繊維は、軽量で力学特性に優れる。そのため、炭素繊維複合材料は、様々な用途(例えば、航空宇宙用途、自動車用途、建材用途など)への展開が進められている。
【0003】
炭素繊維の製造方法としては、ポリアクリロニトリルやピッチを紡糸して得られる繊維束を前駆体として耐炎化処理を施した後、炭化処理を施す方法が知られている(特許文献1~特許文献3)。
【0004】
ポリアクリロニトリルの紡糸により得られた繊維から作製されたポリアクリロニトリル系炭素繊維は、高い力学特性を有するため、最も広範に使用されている。ポリアクリロニトリル系炭素繊維は、有機溶剤(例えば、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミドなど)を用いた湿式紡糸や乾湿式紡糸によって製造される。そのため、有機溶剤のリサイクルにエネルギーが必要となり、製造コストが高くなるおそれがある。紡糸速度を、例えば100m/分以上まで増加することには制限があった。ここで、「紡糸速度」とは、繊維の巻き取り時の巻き取り速度を示す。加えて、ポリアクリロニトリル系炭素繊維では、耐炎化処理において、有毒ガス(例えば、シアン化水素など)が発生する。
【0005】
一方、ピッチを原料とすると、有機溶媒を用いない溶融紡糸による紡糸ができる。加えて、耐炎化処理において、シアン化水素は発生しない。しかしながら、ピッチ系繊維の溶融紡糸は、一般的に高い温度(具体的に250℃以上)が必要である。これにより、エネルギーコストが高くなるほか、得られる繊維は、比較的脆くなることがあり、耐炎化処理時に、繊維同士の融着や一部繊維の糸切れが生じやすくなることがあった。つまり、ピッチを原料とすると、取り扱いが容易ではないおそれがある(特許文献3)。
【0006】
特許文献4~特許文献6は、有機溶媒を用いずに溶融紡糸が可能で、かつシアン化水素を発生しない炭素繊維前駆体として、1,2-ポリブタジエンを溶融紡糸して得られる繊維を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
特開2006-183159号公報
特開2008-202208号公報
特開平6-10215号公報
特開昭48-82199号公報
特開昭48-92699号公報
特開昭49-106490号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献4~6では、1,2-ポリブタジエンの溶融紡糸により単繊維を得ている。特許文献5,6では、単繊維を得た後、単繊維を束ねて繊維束としている。溶融紡糸における生産性の向上によるコスト低減のためには、単繊維ではなく、マルチホール(例えば、ホール数:36以上)のノズルを用いて、多本数からなる繊維束(マルチフィラメント)を高速(例えば、紡糸速度:100m/分以上)で巻き取って得ることが求められる。
【0009】
しかしながら、特許文献4~6に記載の具体的に開示の1,2-ポリブタジエンを用いると、ノズルのホール数の増加や紡糸速度の高速化により、糸切れが発生しやすい傾向にある。糸切れが発生すると、切れた糸が搬送部(例えば、ローラ等)に巻き付いていき、歩留まりが低下するおそれがある。加えて、搬送部に糸切れ繊維が堆積すると、溶融紡糸の連続運転が困難となる。更に、溶融紡糸の運転時(例えば、繊維繰り出し時、巻き取り時、搬送時等)に、不具合(例えば、糸切れ繊維同士や糸切れ繊維と正常な繊維との、絡み合い、ひっかかり、又は潜り込み等)が発生することで、繊維表面に欠陥が生じ、繊維の強度が低下するおそれがある。
【0010】
更に、特許文献4~6に記載の具体的に開示の1,2-ポリブタジエンを溶融紡糸して得られる炭素繊維束を、高い延伸倍率(例えば、延伸倍率:2倍超)で延伸すると、糸切れが発生するおそれがあった。特許文献6では、高融点(例えば、融点192℃)の1,2-ポリブタジエンを用いており、少なくとも192℃以上の高温での溶融紡糸が必要であった。紡糸にかかるエネルギーを低下させるためには、溶融紡糸の紡糸温度の低下(例えば、好ましくは150℃以下)が望まれる。
(【0011】以降は省略されています)

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