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公開番号2024085660
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-06-27
出願番号2022200303
出願日2022-12-15
発明の名称有機溶媒と水との分離方法及びシステム
出願人オルガノ株式会社
代理人個人,個人
主分類B01D 61/58 20060101AFI20240620BHJP(物理的または化学的方法または装置一般)
要約【課題】逆浸透膜を用いて有機溶媒と水との混合液から有機溶媒と水とを分離する際に、システム全体での水と有機溶媒との分離性能を高く維持し、運転時間や消費エネルギーを低減する。
【解決手段】混合液を原液として貯槽21に供給する工程と、逆浸透膜装置41~44によって貯槽1内に貯えられた液体を処理して透過水と濃縮水とに分離し、逆浸透膜装置41~44からの濃縮水を貯槽21に循環させる。その後、貯槽21内の液体での有機溶媒の濃度が閾値濃度以上となったら、貯槽21内の液体の少なくとも一部を濃縮液貯槽20に移送する。濃縮用の逆浸透膜装置40によって濃縮液貯槽21内に貯えられた液体を処理して透過水と濃縮水とに分離し、濃縮水を濃縮液貯槽20に循環させ、透過水を貯槽21に供給する。濃縮液貯槽20から、有機溶媒が濃縮された濃縮液を間欠的に排出する。
【選択図】図2
特許請求の範囲【請求項1】
有機溶媒と水との混合液から、前記有機溶媒が濃縮された濃縮液と水とを分離する分離方法であって、
逆浸透膜を備える第1段目の逆浸透膜装置の入口に配置された第1段目の貯槽に前記混合液を供給する工程と、
前記第1段目の逆浸透膜装置によって前記第1段目の貯槽内に貯えられた液体を処理して透過水と濃縮水とに分離し、前記第1段目の逆浸透膜装置からの濃縮水の少なくとも一部を前記第1段目の貯槽に供給する第1の分離工程と、
前記第1段目の貯槽内の液体における前記有機溶媒の濃度が閾値濃度以上となったときに、前記第1段目の貯槽内の液体の少なくとも一部を濃縮液貯槽に移送する工程と、
逆浸透膜を備える濃縮用逆浸透膜装置によって前記濃縮液貯槽内に貯えられた液体を処理して透過水と濃縮水とに分離し、前記濃縮用逆浸透膜装置からの濃縮水を前記濃縮液貯槽に循環させ、前記濃縮用逆浸透膜装置からの透過水を前記第1段目の貯槽に供給する第2の分離工程と、
を有する分離方法。
続きを表示(約 1,600 文字)【請求項2】
前記混合液における前記有機溶媒の濃度が前記閾値濃度以上であるときは、前記混合液を前記濃縮液貯槽に直接供給する、請求項1に記載の分離方法。
【請求項3】
前記第1の分離工程において、iを1以上n以下の整数として、第i段目の逆浸透膜装置の透過水が第i+1段目の貯槽を介して第i+1段目の逆浸透膜装置に供給されるように接続された合計n+1段の逆浸透膜装置を使用して、前記第1段目の逆浸透膜装置に前記第1段目の貯槽内の液体を供給し、2≦j≦n+1を満たす少なくとも1つの整数jに関し、第j段目の逆浸透膜装置からの濃縮水の少なくとも一部を前記第1段目から前記第j段目までの貯槽の少なくとも1つに供給する、請求項1または2に記載の分離方法。
【請求項4】
前記第1の分離工程において、第2段目以降の貯槽において前記有機溶媒が所定倍以上に濃縮されたときに、当該貯槽内の液体の少なくとも一部を前段の貯槽に移送する工程を有する、請求項3に記載の分離方法。
【請求項5】
前記第1の分離工程において、第1段目から第n+1段目までの逆浸透膜装置に加えて別系統の逆浸透膜装置を使用し、
第2段目から第n+1段目までの逆浸透膜装置の少なくとも1つの逆浸透膜装置からの濃縮水の少なくとも一部が、前記別系統の逆浸透膜装置の入口に設けられた貯槽を介して前記別系統の逆浸透膜装置に供給される、請求項1または2に記載の分離方法。
【請求項6】
有機溶媒と水との混合液から、前記有機溶媒が濃縮された濃縮液と水とを分離する分離システムであって、
前記混合液が供給される第1段目の貯槽を備える低濃度処理部と、
濃縮液貯槽と、
逆浸透膜を備えて前記濃縮液貯槽内の液体が供給される濃縮用逆浸透膜装置と、
を備え、
前記低濃度処理部は、逆浸透膜を備えて前記第1段目の貯槽内の液体が供給される第1段目の逆浸透膜装置を少なくとも備え、前記第1段目の貯槽は前記第1段目の逆浸透膜装置の入口に配置し、前記第1段目の逆浸透膜装置からの濃縮水の少なくとも一部は前記第1段目の貯槽に供給され、
前記第1段目の貯槽内の液体における前記有機溶媒の濃度が閾値濃度以上となったときに、前記第1段目の貯槽内の液体の少なくとも一部が前記濃縮液貯槽に移送されて前記濃縮用逆浸透膜装置に供給され、前記濃縮用逆浸透膜装置からの濃縮水は前記濃縮液貯槽に循環し、前記濃縮用浸透膜装置からの透過水は前記第1段目の貯槽に供給される、分離システム。
【請求項7】
前記混合液における前記有機溶媒の濃度が前記閾値濃度以上であるときは、前記混合液は前記濃縮液貯槽に直接供給される、請求項6に記載の分離システム。
【請求項8】
前記低濃度処理部は、iを1以上n以下の整数として、第i段目の逆浸透膜装置の透過水が第i+1段目の貯槽を介して第i+1段目の逆浸透膜装置に供給されるように接続されて各々が逆浸透膜を備える合計n+1段の逆浸透膜装置を備え、2≦j≦n+1を満たす少なくとも1つの整数jに関し、第j段目の逆浸透膜装置からの濃縮水の少なくとも一部が前記第1段目から前記第j段目までの貯槽の少なくとも1つに供給される、請求項6または7に記載の分離システム。
【請求項9】
前記低濃度処理部は、別系統の逆浸透膜装置と前記別系統の逆浸透膜装置の入口に設けられた別系統の貯槽とをさらに備え、
前記第1段目から第n+1段目までの逆浸透膜装置の少なくとも1つの逆浸透膜装置からの濃縮水の少なくとも一部が、前記別系統の貯槽を介して前記別系統の逆浸透膜装置に供給される、請求項8に記載の分離システム。
【請求項10】
第2段目以降の貯槽において前記有機溶媒が所定倍以上に濃縮されたときに、当該貯槽内の液体の少なくとも一部が前段の貯槽に移送される、請求項6または7に記載の分離システム。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、逆浸透膜を用いて有機溶媒と水との混合液から有機溶媒と水とを分離する方法及びシステムに関する。
続きを表示(約 3,000 文字)【背景技術】
【0002】
有機溶媒と水との混合液からその有機溶媒と水とを分離することについての需要がある。例えば、有機溶媒の使用後にその有機溶媒を回収して精製し再使用するときに、有機溶媒の使用及び回収の過程において水が有機溶媒に混入することがあり、そのような場合には、混入している水を有機溶媒から分離して、水分を含まない有機溶媒としなければならない。有機溶媒を再利用しない場合であっても、一定濃度以上の有機溶媒を含む水を環境中に放出されることは一般には許容されていないから、有機溶媒と水とを分離する必要がある。一例としてリチウム二次イオン電池の製造工程では、有機溶媒の一つであるN-メチル-2-ピロリドン(以下、NMPとも記す)に電極活物質の粒子を分散させてスラリーとし、電極集電体上にそのスラリーを塗布して乾燥させて電極を形成する。スラリーを乾燥させる際にNMPは気化し、気化したNMPは水スクラバーなどを用いて回収される。回収されたNMPは、水とNMPとの混合液の形態となっており、回収したNMPを再利用するとしても廃棄するとしても、混合液からNMPと水とを分離する必要がある。
【0003】
有機溶媒と水との混合液から有機溶媒と水とを分離する方法として、逆浸透膜を用いる方法が知られている。例えば特許文献1は、イソプロピルアルコールを含む廃水からイソプロピルアルコールを分離し回収する際に、イソプロピルアルコールをほとんど含まない水を得るために逆浸透膜(RO膜)を用いるとともに、イソプロピルアルコールを濃縮するために蒸気透過膜(VP膜)を用いることを開示している。有機溶媒と水との混合液を逆浸透膜に供給したとき、有機溶媒は逆浸透膜によって阻止される一方、水は逆浸透膜を透過する。逆浸透膜では少量の有機溶媒が漏洩(リーク)するので、最終的に得られる水における有機溶媒濃度を所望の値以下とするためには、前段の逆浸透膜装置の透過水が後段の逆浸透膜装置に供給されるように、複数段の逆浸透膜装置を直列に接続することが考えられる。複数段の逆浸透膜装置を直列に接続する場合には、外部から供給される混合液を一時的に貯える貯槽を設け、貯槽から混合液が初段の逆浸透膜装置に供給されるようにする。このとき各逆浸透膜装置の濃縮側の出口からの水(すなわち濃縮水)を貯槽に戻すようにすると、貯槽内の混合液における有機溶媒濃度も徐々に上昇するから、外部から最初に供給された混合液よりも有機溶媒濃度が高められた液体をこの貯槽から得ることができる。すなわち、複数の逆浸透膜装置を直接に接続して構成された分離システムの全体として、有機溶媒の濃度が高められた濃縮液と、有機溶媒が除去された水との両方を得ることが可能になる。得られた濃縮液をさらに処理すれば、再利用可能な純度の有機溶媒を得ることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
特表2016-532542号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
一般に、溶質と水との溶液を逆浸透膜に供給したときのその逆浸透膜における溶質の阻止率は、溶液における溶質濃度が高いほど高くなると考えられている。しかしながら本発明者らは、ある種の有機溶媒に関して、その有機溶媒と水との混合液における有機溶媒濃度がある値を超えて高くなると、逆浸透膜におけるその有機溶媒の阻止率が逆に低下することを見出した。そして本発明者らは、有機溶媒の阻止率がいったん低下した逆浸透膜は、その後、有機溶媒濃度が低い溶液を供給しても、有機溶媒の阻止率が低下したままとなることも見出した。有機溶媒濃度が高いときに逆浸透膜における有機溶媒の阻止率が低下すると、システム全体での水と有機溶媒との分離性能が低下し、最終的に得られる水における有機溶媒濃度を所定値以下とするために必要な逆浸透膜装置の段数が増加したり、処理時間が長くなったりする。それらの結果、有機溶媒と水とを分離する処理に必要とされるエネルギーも増加する。
【0006】
本発明の目的は、逆浸透膜を用いて有機溶媒と水との混合液から有機溶媒と水とを分離する際に、システム全体での水と有機溶媒との分離性能を高く維持でき、運転時間や消費エネルギーを低減することができる分離方法及び分離システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の分離方法は、有機溶媒と水との混合液から、有機溶媒が濃縮された濃縮液と水とを分離する分離方法であって、逆浸透膜を備える第1段目の逆浸透膜装置の入口に配置された第1段目の貯槽に混合液を供給する工程と、第1段目の逆浸透膜装置によって第1段目の貯槽内に貯えられた液体を処理して透過水と濃縮水とに分離し、第1段目の逆浸透膜装置からの濃縮水の少なくとも一部を第1段目の貯槽に供給する第1の分離工程と、第1段目の貯槽内の液体における有機溶媒の濃度が閾値濃度以上となったときに、第1段目の貯槽内の液体の少なくとも一部を濃縮液貯槽に移送する工程と、逆浸透膜を備える濃縮用逆浸透膜装置によって濃縮液貯槽内に貯えられた液体を処理して透過水と濃縮水とに分離し、濃縮用逆浸透膜装置からの濃縮水を濃縮液貯槽に循環させ、濃縮用逆浸透膜装置からの透過水を第1段目の貯槽に供給する第2の分離工程と、を有する。
【0008】
本発明の分離システムは、有機溶媒と水との混合液から、有機溶媒が濃縮された濃縮液と水とを分離する分離装置であって、混合液が供給される第1段目の貯槽を備える低濃度処理部と、濃縮液貯槽と、逆浸透膜を備えて濃縮液貯槽内の液体が供給される濃縮用逆浸透膜装置と、を備え、低濃度処理部は、逆浸透膜を備えて第1段目の貯槽内の液体が供給される第1段目の逆浸透膜装置を少なくとも備え、第1段目の貯槽は第1段目の逆浸透膜装置の入口に配置し、第1段目の逆浸透膜装置からの濃縮水の少なくとも一部は第1段目の貯槽に供給され、第1段目の貯槽内の液体における有機溶媒の濃度が閾値濃度以上となったときに、第1段目の貯槽内の液体の少なくとも一部が濃縮液貯槽に移送されて濃縮用逆浸透膜装置に供給され、濃縮用逆浸透膜装置からの濃縮水は濃縮液貯槽に循環し、濃縮用浸透膜装置からの透過水は第1段目の貯槽に供給される。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、逆浸透膜を用いて有機溶媒と水との混合液から有機溶媒と水とを分離する際に、システム全体での水と有機溶媒との分離性能を高く維持でき、運転時間や消費エネルギーを低減することができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
NMP濃度と逆浸透膜におけるNMP漏洩率との関係を示すグラフである。
本発明の実施の一形態の分離システムを示す図である。
別の実施の形態の分離システムを示す図である。
別の実施の形態の分離システムを示す図である。
比較例の分離システムを示す図である。
【発明を実施するための形態】
(【0011】以降は省略されています)

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