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公開番号2024050465
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-04-10
出願番号2023152270
出願日2023-09-20
発明の名称反射防止ガラス
出願人フクビ化学工業株式会社
代理人弁理士法人愛宕綜合特許事務所
主分類C03C 17/34 20060101AFI20240403BHJP(ガラス;鉱物またはスラグウール)
要約【課題】反射防止強化ガラスの製造に使用される反射防止ガラスであって、曲げ加工処理に適し且つ高度の反射防止能を有する反射防止ガラスを提供する。
【解決手段】ガラス基板、反射防止膜及び保護層をこの順に有してなる反射防止ガラスであって、前記反射防止膜は、前記ガラス基板側から順に、
屈折率が1.67~1.87で、層厚が35~120nmの中屈折率層と、
屈折率が1.90~2.05で、層厚が30~115nmの高屈折率層と、
屈折率が1.34~1.45で、層厚が45~115nmの低屈折率層と
を備え、前記保護層は、屈折率が1.42~1.48で、層厚が5~50nmであり、前記高屈折率層は、金属アルコキシドオリゴマーを含む硬化性組成物の硬化物からなり、両面の視感平均反射率が0.6%以下であり、且つ、ガラス表面の伸長率が5%以下の曲げにおいて保護層および反射防止膜の各層にクラックが発生しないことを特徴とする反射防止ガラス。
【選択図】なし
特許請求の範囲【請求項1】
ガラス基板、反射防止膜及び保護層をこの順に有してなる反射防止ガラスであって、
前記反射防止膜は、前記ガラス基板側から順に、
屈折率が1.67~1.87で、層厚が35~120nmの中屈折率層と、
屈折率が1.90~2.05で、層厚が30~115nmの高屈折率層と、
屈折率が1.34~1.45で、層厚が45~120nmの低屈折率層と
を備え、
前記保護層は、屈折率が1.42~1.48で、層厚が5~50nmであり、
前記高屈折率層は、金属アルコキシドオリゴマー(金属はチタニウム原子またはジルコニウム原子である)を含む硬化性組成物の硬化物からなり、
両面の視感平均反射率が0.6%以下であり、且つ、ガラス表面の伸長率が5%以下の曲げにおいて、保護層および反射防止膜の各層にクラックが発生しないことを特徴とする反射防止ガラス。
続きを表示(約 1,100 文字)【請求項2】
前記中屈折率層は、下記式(1)で表されるアルコキシシラン化合物またはその部分加水分解物からなるバインダー成分100質量部に対して、金属酸化物粒子を25~70質量部を含有する硬化性組成物の硬化物からなることを特徴とする請求項1に記載の反射防止ガラス。


-Si(OR


4-n
(1)
(式中、Rはアルキル基、アルケニル基またはアルコキシアルキル基であり、R

はアルキル基、アルコキシアルキル基またはハロゲン原子であり、nは0、1または2の整数である。)
【請求項3】
前記低屈折率層は、下記式(1)で表されるアルコキシシラン化合物またはその部分加水分解物からなるバインダー成分100質量部に対して、中空シリカ粒子を1~15質量部、およびアルミニウム塩水和物を1~10質量部含有する硬化性組成物の硬化物からなることを特徴とする請求項1に記載の反射防止ガラス。


-Si(OR


4-n
(1)
(式中、Rはアルキル基、アルケニル基またはアルコキシアルキル基であり、R

はアルキル基、アルコキシアルキル基またはハロゲン原子であり、nは0、1または2の整数である。)
【請求項4】
前記保護層は、下記式(1)で表されるアルコキシシラン化合物またはその部分加水分解物からなるバインダー成分100質量部に対して、金属キレート化合物を1~25質量部、およびアルミニウム塩水和物を1~20質量部含有する硬化性組成物の硬化物からなることを特徴とする請求項1に記載の反射防止ガラス。


-Si(OR


4-n
(1)
(式中、Rはアルキル基、アルケニル基またはアルコキシアルキル基であり、R

はアルキル基、アルコキシアルキル基またはハロゲン原子であり、nは0、1または2の整数である。)
【請求項5】
温度63℃、湿度50%RH(相対湿度)、試験時間2000時間の促進耐候性試験において、反射防止膜及び保護層の剥離がないことを特徴とする請求項1~4に記載の反射防止ガラス。
【請求項6】
前記反射防止ガラスが、化学強化用反射防止ガラスであることを特徴とする請求項1~4に記載の反射防止ガラス。
【請求項7】
請求項1~4に記載の反射防止ガラスを加熱して曲げ加工を行った後、イオン交換用金属塩融解液中で化学強化処理を行うことを特徴とする反射防止強化ガラスの製造方法。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、高度の反射防止能が付与されている反射防止ガラスに関し、曲げ加工を行う反射防止強化ガラスの製造に好適に使用される。
続きを表示(約 3,000 文字)【背景技術】
【0002】
ガラスの強度が高められた強化ガラスは、自動車や家屋の窓ガラスなどの用途に広く使用されている。更に、静電容量式タッチパネルの前面保護パネルや、デジタルカメラ、携帯電話などの各種モバイル機器のディスプレイなどの用途にも使用されている。
近年、自動車用のメーターパネルにおいても、意匠性や高級感に富むCID(Center Information Display)と称されるモニターとの一体型ガラスパネルが求められるようになり、メーターとCIDを曲面で繋ぐような仕様が求められ始めている。当該ガラスパネルは、通常のガラスでは事故等での破損の危険性があるため、必然的に強化ガラスであることが必要となる。
【0003】
上記自動車用のメーターパネルは、保護パネルや各種のディスプレイ同様に高い反射防止機能が要求されている。反射防止機能を付与するためには、ガラス表面に低屈折率層を含む反射防止膜を形成すればよい。
反射防止膜は、その反射防止能を向上させるために、低屈折率層のみの一層ではなく、低屈折率層とガラス基板の間に高屈折率層を設けた二層とする、更には、高屈折率層とガラス基板との間に中屈折率層を設けた三層とするなど高性能の多層反射防止膜が開発されている(特許文献1)。
ところが、上記高性能の反射防止機能を有する強化ガラスの場合は、曲げ加工の際に次の問題を生じる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
特願2021-135870号(WO2023/026670)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記高屈折率層や中屈折率層には、従来、所定の屈折率を発現させるために、シリカ粒子に比べて高屈折率の酸化ジルコニウム粒子や酸化チタニウム粒子等の金属酸化物粒子を含有していた。この為、これら従来品においては、ガラス強化前に反射防止膜が積層された反射防止ガラスを加熱して曲げ加工を行うと、反射防止膜にクラックが発生して不良品が生産されるという問題が生じた。
本発明者らは、曲げ加工時のクラックの発生について鋭意解析した結果、クラックの発生は、主として比較的多量の金属酸化物粒子を含有する高屈折率層において発生する傾向にあり、この金属酸化物粒子に代えて金属アルコキシドオリゴマーを使用することにより高屈折率を維持しながらもクラックの発生を防止できることを見出し、本発明を想到するに至った。
【課題を解決するための手段】
【0006】
即ち本発明は、ガラス基板、反射防止膜及び保護層をこの順に有してなる反射防止ガラスであって、
前記反射防止膜は、前記ガラス基板側から順に、
屈折率が1.67~1.87で、層厚が35~120nmの中屈折率層と、
屈折率が1.90~2.05で、層厚が30~115nmの高屈折率層と、
屈折率が1.34~1.45で、層厚が45~120nmの低屈折率層と
を備え、
前記保護層は、屈折率が1.42~1.48で、層厚が5~50nmであり、前記高屈折率層は、金属アルコキシドオリゴマー(金属はチタニウム原子またはジルコニウム原子である)を含む硬化性組成物の硬化物からなり、両面の視感平均反射率が0.6%以下であり、且つ、ガラス表面の伸長率が5%以下の曲げにおいて、保護層および反射防止膜の各層にクラックが発生しないことを特徴とする反射防止ガラスである。
【0007】
上記反射防止ガラスの発明において、
1)前記中屈折率層は、下記式(1)で表されるアルコキシシラン化合物またはその部分加水分解物からなるバインダー成分100質量部に対して、金属酸化物粒子を25~70質量部を含有する硬化性組成物の硬化物からなること、


-Si(OR


4-n
(1)
(式中、Rはアルキル基、アルケニル基またはアルコキシアルキル基であり、R

はアルキル基、アルコキシアルキル基またはハロゲン原子であり、nは0、1または2の整数である。)
2)前記低屈折率層は、前記式(1)で表されるアルコキシシラン化合物またはその部分加水分解物からなるバインダー成分100質量部に対して、中空シリカ粒子を1~15質量部、およびアルミニウム塩水和物を1~10質量部含有する硬化性組成物の硬化物からなること、
3)前記保護層は、前記式(1)で表されるアルコキシシラン化合物またはその部分加水分解物からなるバインダー成分100質量部に対して、金属キレート化合物を1~25質量部、およびアルミニウム塩水和物を1~20質量部含有する硬化性組成物の硬化物からなること、
4)温度63℃、湿度50%RH、試験時間2000時間の促進耐候性試験において、反射防止膜及び保護層の剥離がないこと、
5)化学強化に使用される反射防止ガラスであること
が好適である。
【0008】
また本発明は、前記反射防止ガラスを加熱して曲げ加工を行った後、イオン交換用金属塩融解液中で化学強化処理を行うことを特徴とする反射防止強化ガラスの製造方法に関する。
【発明の効果】
【0009】
本発明により提供される反射防止ガラスは、曲げ加工が可能であり且つ高度の反射防止能を有する反射防止強化ガラスの製造に好適に使用される。
このような反射防止強化ガラス製品は、ガラス基板が薄い製品、例えば静電容量式タッチパネルの前面保護パネル、デジタルカメラ、携帯電話などの各種モバイル機器のディスプレイなどに加えて、大型で高級感、重量感のある一体型自動車用メーターパネルに好適に使用される。
また、曲げ特性に加えて耐候性にも優れるので、球状の防犯カメラ外面カバー等の曲面を有する屋外製品に適用可能である。更に、反射防止ガラスをアルカリ洗浄した場合でも反射防止膜の劣化が起こりにくくなり耐アルカリ性に優れるという利点を有する。
【発明を実施するための形態】
【0010】
<反射防止ガラス>
本発明の反射防止ガラスは、ガラス基板、反射防止膜及び保護層をこの順に有してなる。
当該反射防止膜は、前記ガラス基板側から、
屈折率が1.67~1.87で、層厚が35~120nmの中屈折率層と、
屈折率が1.90~2.05で、層厚が30~115nmの高屈折率層と、
屈折率が1.34~1.45で、層厚が45~120nmの低屈折率層の順で構成されている。
当該保護層は、屈折率が1.42~1.48で、層厚が5~50nmである。
当該反射防止ガラスは両面の視感平均反射率が0.6%以下であるという光学特性を有している。
更に、当該反射防止ガラスは、ガラス表面の伸長率が5%以下の曲げにおいて、保護層および反射防止膜の各層にクラックが発生しないという特徴を有する。
(【0011】以降は省略されています)

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