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公開番号2024115130
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-08-26
出願番号2023020623
出願日2023-02-14
発明の名称炭素繊維束の製造方法
出願人三菱ケミカル株式会社
代理人個人,個人,個人
主分類D01F 9/22 20060101AFI20240819BHJP(天然または人造の糸または繊維;紡績)
要約【課題】本発明は、電解酸化処理後の炭素繊維束の表面に付着した有機物や電解質残渣を短時間で効率的に除去でき、炭素繊維束のストランド強度を維持できる製造方法を提供することを目的とする。
【解決手段】本発明の炭素繊維束の製造方法は、前駆体繊維束を焼成することで炭素化繊維束を得ること、前記炭素化繊維束を電解酸化処理すること、前記電解酸化処理後の前記炭素化繊維束を水洗処理すること、および、前記水洗処理後の前記炭素化繊維束を250~480℃の加熱ロールと2~60秒間接触させることで加熱処理することを含むことを特徴とする。
【選択図】なし
特許請求の範囲【請求項1】
炭素繊維束の製造方法であって、
前駆体繊維束を焼成することで炭素化繊維束を得ること、
前記炭素化繊維束を電解酸化処理すること、
前記電解酸化処理後の前記炭素化繊維束を水洗処理すること、および、
前記水洗処理後の前記炭素化繊維束を250~480℃の加熱ロールと2~60秒間接触させることで加熱処理すること、
を含むことを特徴とする、炭素繊維束の製造方法。
続きを表示(約 640 文字)【請求項2】
前記水洗処理における液体温度が、15~98℃である、請求項1に記載の炭素繊維束の製造方法。
【請求項3】
前記水洗処理後の前記炭素化繊維束を超音波洗浄することをさらに含む、請求項1または2に記載の炭素繊維束の製造方法。
【請求項4】
前記水洗処理後の前記炭素化繊維束を絞ることをさらに含み、
絞り後の前記炭素化繊維束における含水量が、前記炭素化繊維束100質量部に対して10~200質量部である、請求項1または2に記載の炭素繊維束の製造方法。
【請求項5】
前記水洗処理における前記炭素化繊維束のトウ幅が、1~10mmである、請求項1または2に記載の炭素繊維束の製造方法。
【請求項6】
前記加熱ロール上の前記炭素化繊維束のトウ幅が、3~25mmである、請求項1または2に記載の炭素繊維束の製造方法。
【請求項7】
前記加熱ロールの本数が2本以上であり、前記加熱ロールの少なくとも一つの直径が200~1000mmである、請求項1または2に記載の炭素繊維束の製造方法。
【請求項8】
前記加熱処理後の前記炭素化繊維束を、空気加熱乾燥処理することをさらに含む、請求項1または2に記載の炭素繊維束の製造方法。
【請求項9】
前記加熱処理後の前記炭素化繊維束にサイジング剤を付与することをさらに含む、請求項1または2に記載の炭素繊維束の製造方法。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、炭素繊維束の製造方法に関する。
続きを表示(約 2,100 文字)【背景技術】
【0002】
炭素繊維束およびマトリックス樹脂を含む複合材料が、種々の産業分野で利用されている。炭素繊維は、その表面にグラファイト構造を有する。この炭素繊維の表面が未処理のままであると、樹脂との接着性が不十分である。そのためマトリックス樹脂の炭素繊維束への含浸も不十分となる結果、複合材料の機械的特性が十分に得られない。以上の理由から、炭素繊維束の製造においては、表面改質のための処理が一般的に行われている。
【0003】
炭素繊維束を複合材料の補強用繊維として用いる場合、炭素繊維束とマトリックス樹脂との接着性を高めるために、炭素繊維束の表面を活性化する表面処理を施すことがある。多くの場合、この表面処理として酸化処理が実施される。酸化処理法としては、電解酸化法、薬液酸化法のような湿式処理法、空気酸化法、オゾン酸化法のような乾式処理法のように種々の処理法が従来提案されている。
【0004】
ところで、湿式処理法においては、廃液の処分に手間やコストがかかる。加えて、表面処理後の炭素繊維束においては、電解質の残渣や酸化によって生じた有機物が表面に付着する。また、処理液の薬剤や電解質物質が炭素繊維束の表面に残存すると、品質が低下する、という問題もある。そこで、例えば、特許文献1では、電解酸化処理した炭素化繊維束を温水で洗浄処理した後に、さらに超音波を用いて洗浄することが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
特開2016-037689号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、本発明者の検討によれば、特許文献1の手法では電解酸化処理後の炭素繊維束の表面に付着した有機物等を効率よく、かつ十分に除去することは困難である。有機物等の除去には、莫大な労力と時間を要するため、結果として、炭素繊維束の製造コストの上昇要因の一つとなっている。また、炭素繊維束の製造工程においては、ストランド強度を維持することが求められる。
【0007】
本発明は、電解酸化処理後の炭素繊維束の表面に付着した有機物や電解質残渣を短時間で効率的に除去でき、炭素繊維束のストランド強度を維持できる製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者は、電解酸化処理後の炭素繊維束を効率よく洗浄する方法を検討した結果、本発明を完成するに至った。本発明は、炭素繊維の表面に熱源となる加熱ロールを直接当てることを特徴とする炭素繊維の表面処理方法に関する。
【0009】
本発明は、下記の態様を有する。
[1]炭素繊維束の製造方法であって、前駆体繊維束を焼成することで炭素化繊維束を得ること、前記炭素化繊維束を電解酸化処理すること、前記電解酸化処理後の前記炭素化繊維束を水洗処理すること、および、前記水洗処理後の前記炭素化繊維束を250~480℃の加熱ロールと2~60秒間接触させることで加熱処理すること、を含むことを特徴とする、炭素繊維束の製造方法。
[2]前記水洗処理における液体温度が、15~98℃である、[1]に記載の炭素繊維束の製造方法。
[3]前記水洗処理後の前記炭素化繊維束を超音波洗浄することをさらに含む、[1]または[2]に記載の炭素繊維束の製造方法。
[4]前記水洗処理後の前記炭素化繊維束を絞ることをさらに含み、絞り後の前記炭素化繊維束における含水量が、前記炭素化繊維束100質量部に対して10~200質量部である、[1]~[3]のいずれかに記載の炭素繊維束の製造方法。
[5]前記水洗処理における前記炭素化繊維束のトウ幅が、1~10mmである、[1]~[4]のいずれかに記載の炭素繊維束の製造方法。
[6]前記加熱ロール上の前記炭素化繊維束のトウ幅が、3~25mmである、[1]~[5]のいずれかに記載の炭素繊維束の製造方法。
[7]前記加熱ロールの本数が2本以上であり、前記加熱ロールの少なくとも一つの直径が200~1000mmである、[1]~[6]のいずれかに記載の炭素繊維束の製造方法。
[8]前記加熱処理後の前記炭素化繊維束を、空気加熱乾燥処理することをさらに含む、[1]~[7]のいずれかに記載の炭素繊維束の製造方法。
[9]前記加熱処理後の前記炭素化繊維束にサイジング剤を付与することをさらに含む、[1]~[8]のいずれかに記載の炭素繊維束の製造方法。
【発明の効果】
【0010】
本発明の炭素繊維束の製造方法によれば、電解酸化処理後の炭素繊維束の表面に付着した有機物や電解質残渣を短時間で効率的に除去でき、炭素繊維束のストランド強度を維持できる。
【発明を実施するための形態】
(【0011】以降は省略されています)

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