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公開番号2024106293
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-08-07
出願番号2023021191
出願日2023-01-26
発明の名称光触媒付き自動車用アンモニアエンジン
出願人個人
代理人
主分類F02M 27/06 20060101AFI20240731BHJP(燃焼機関;熱ガスまたは燃焼生成物を利用する機関設備)
要約【課題】 アンモニアを燃料とする自動車用エンジンの燃焼改善に水素混入が効果がある事は知られている。しかし、自動車の厳しい使用条件を満足し、充分な走行距離を可能にする水素供給手段、燃焼改善に最適な水素の量とその正確な調整法は大きな課題であった。
【手段】 本発明ではLED光源で活性化する光触媒を燃料通路に設け、アンモニア燃料を一部分解してアンモニア・水素の混合気を作る。LEDの光強度、バイパスアンモニア量を水素濃度センサ、指圧センサの信号を用いて制御し、燃焼に最適な水素濃度を得る。これによりアンモニアエンジンの燃焼を改善する事が出来CO2ゼロの自動車用アンモニアエンジンが可能となる。
【選択図】図1
特許請求の範囲【請求項1】
アンモニアを燃料とする自動車用レシプロエンジン(以下エンジンと称す)に於いて、燃料をエンジンに供給する配管の途中にLED光で作動する光触媒を設け、アンモニア燃料の一部を分解させて発生する水素を混入して燃焼を改善する事を特徴とするエンジン。
続きを表示(約 800 文字)【請求項2】
上記エンジンに於いて、アンモニア・水素混合気に混入する水素の体積濃度割合をエンジンの要求に合わせて5~30%の範囲に制御する事を特徴とするエンジン。
【請求項3】
請求項1のエンジンに於いて、エンジン燃焼上の要求に応じてLED光の照度、照射パルス、波長等を電気的に制御し、発生する水素量を変化させてエンジンに供給する混合気の水素濃度を制御する事を特徴とするアンモニア供給装置
【請求項4】
請求項1のエンジンに於いて、光触媒通路と並行してアンモニアバイパス通路を設け、バイパス量を変化させてエンジンに供給する混合気の水素濃度を制御する事を特徴とするアンモニア供給装置。
【請求項5】
請求項1のエンジンに於いて、エンジンに供給する混合気の水素濃度が予め設定した閾値に成った場合にのみエンジンを始動させる事を特徴とするエンジン。
【請求項6】
請求項1のエンジンに於いて、供給するアンモニアを予め蒸発器、気液分離装置を通して分離し気体のみを光触媒に供給する事を特徴とするアンモニア供給装置。
【請求項7】
請求項1のエンジンに於いて、蒸発器、光触媒の温度を適切に保つため、エンジン冷却水を蒸発器、触媒容器に循環させる事を特徴とするエンジン。
【請求項8】
請求項1のエンジンに於いて、光触媒入口の混合気圧力を設定値に保つため燃料タンクと蒸発器の間に流量制御弁を設け、圧力センサからの情報で蒸発器に流入するアンモニア流量を制御する事を特徴とするエンジン。
【請求項9】
請求項1のエンジンに於いて、燃焼室に指圧センサを設け車載コンピュータによって燃焼圧力を測定・解析し、燃焼が適切になる様に混合気の水素濃度、及び点火時期を直ちに制御する事を特徴とするエンジン。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は液体アンモニアを燃料とし、光触媒によってアンモニアを分解して水素を発生させ燃焼改善を図ったレシプロエンジン(以下エンジンと称す)に関するものである。将来の自動車用原動機としてEV,FCVが本命と見られているが、資源問題も有り普及は容易ではない。又、経済的観点から現在世界中に約8億台あるエンジン車の改造も考慮すると、安価なアンモニア燃料を使用する自動車用アンモニアエンジンが強く求められる。
続きを表示(約 2,900 文字)【背景技術】
【0002】
近年、地球温暖化に起因する自然災害が世界各地で頻発し、このままでは将来人類の生存すら脅かすと言われている。この為、温暖化ガスの排出規制は増々厳しく成り、国連傘下のIPCCは更なる規制強化を求めている。
温暖化ガスの中でもCO2は排出量が膨大であり2050年には排出量ゼロを目指して各国が削減計画を相次いで発表しているが、その実現は容易ではない。CO2の主な発生源である炭化水素燃料は今日の社会生活に欠くことの出来ない電力、運輸、産業等に膨大なエネルギーを供給しており、代替燃料無しでは現代社会は成り立たない。
【0003】
この代替燃料の有力な候補として砂漠等の太陽子エネルギーが豊富の地域で再生可能エネルギーを使って水と空気から大量にアンモニアを製造し、それをエネルギー需要の多い地域に輸送し燃料として使う事を本発明者は提案して来た。(特許文献1)
アンモニアは窒素肥料として古くから広く使われてきたが、分類上は不燃物質に相当し着火、燃焼は極めて困難な物質であり従来は燃料としては殆ど認知されて居なかった。
しかし、本発明者らはCO2排出ゼロを目指しこのように燃焼が困難なアンモニアをガスタービン、ボイラ、ピストンエンジン等の各種熱機関の燃料として使用する事を研究して来た。その結果、電力供給の主流であるガスタービンをアンモニアで運転する事に成功した。(特許文献2)
【0004】
これらの成果を経産省、文科省、内閣府等に報告しアンモニア燃料の研究が国プロSIPに採択され多くの知見が得られた。その後、研究成果を産業に発展させる目的でクリーン燃料アンモニア協会(CFAA)が発足した。国内外の多数の有力会社が参加し技術開発に研鑽しており、発電用ガスタービン、ボイラ等でアンモニア利用技術は目覚ましい発展を遂げている。一方、CO2の大きな発生源の一つである自動車用レシプロエンジン分野ではアンモニア適用技術に大きな進展が見られない。
【0005】
その原因はエンジンのアンモニア燃焼が格段に困難である為である。エンジンの燃焼改善に関しては数々の研究開発の努力がなされているが壁は高く未だに実用化への道は拓けていない。舶用エンジン等ではアンモニア燃料に加えて、副燃料として従来の軽油、重油等の炭化水素燃料を別の燃料タンクから直接エンジン燃焼室に高圧で噴射して燃焼改善を行う研究もあるが、この副燃料からCO2が発生するので究極のCO2対策には繋がらない。更に、燃料が二種類に成る事で供給、保守等インフラも含めて煩雑となるので自動車用には適用は困難である。将来の厳しい規制、ユーザー利便性を睨むとアンモニア燃料のみでCO2ゼロが達成できる自動車用アンモニアエンジンの開発が求められる。
【先行技術文献】
【0006】
特許第5012559号
特許第5115372号
特開2015―135067
特願2019-562257
特開2020―159211
特開2020―195241
特開2021-139344
特開2023-006120
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
自動車用レシプロエンジン(以下自動車用エンジンと称す)での進展が困難な理由は同じアンモニア燃料を使っても自動車エンジンの間欠燃焼とガスタービン、ボイラ等の連続燃焼とでは燃焼形態が全く異なり、アンモニアの様な燃焼し難い燃料ではその違いは大きな違いとなる。連続燃焼の場合には一度着火すればその後は連続して安定的に燃焼が行われるが、自動車用エンジンの場合には毎サイクルごとに燃焼を繰り返す必要があり、6000rpmの様なエンジン高回転時には1秒間に50回も燃焼を繰り返す必要がある。4ストロークエンジンではごく短時間に吸入、圧縮、燃焼、排気の動作を行わなければ成らないので燃焼に与えられる時間は極めて僅かである。又、エンジンの場合にはピストンが上下運動をしているので燃焼室の形も常に変化しており、ガスタービンやボイラの様に燃焼に最適な燃焼空間を形成する事は出来ない。その上、燃焼上極めて重要な因子である混合気の気流はエンジン回転数、空気量、バルブ開閉時期、点火時期によって複雑に変化するので燃焼の視点からは極めて困難な燃焼と云える。更に、自動車用エンジンに要求される項目として高出力、低燃費、低エミッション、低燃焼音等が有り、特に乗用車用エンジンに於いては極寒・酷暑の様な厳しい気象条件下でもキーを捻れば待つことなく直ちに始動し、失火、燃焼変動、ノッキング等の異常燃焼が無い事が求められる。
【0008】
自動車エンジンに当初から使用されて来たガソリン、軽油、LPG、天然ガス等の炭化水素系燃料は燃料毎に多少の違いは有るものの基本的には素晴らしい性質を有し、CO2と資源問題さえ無ければエンジンとの相性は極めて優れていると言える。それに対しアンモニアは難燃性で分類上は不燃物とされているくらい着火、火炎伝播性は悪く、爆発・火災の危険性は低いものの燃焼上の課題の大きさから燃料としては殆ど着目されて来なかった。アンモニア燃料の様な燃え難い燃料を自動車エンジンに採用する為には着火、火炎伝搬と言う燃焼上の二つの大きな課題を解決しなければ成らない
【0009】
先ず重要な事はアンモニアと空気の混合気を確実に着火させる事である。全ての燃焼は着火から開始されるが、そのためには混合気が可燃範囲に無ければ成らない。可燃範囲は燃料毎に異なり、混合気の均一性、流速、乱れ、圧力、温度等に影響を受けるが、燃焼上特に重要な項目として燃料と空気の混合比がある。専門用語では当量比又は空燃比と呼ばれている項目である。アンモニア燃料エンジンの場合でもこれらの諸条件を従来のガソリンエンジン並みに揃える事は必須であるが、それでも尚、炭化水素系燃料に比べるとアンモニア混合気の着火は容易ではない。
【0010】
その理由は燃料毎に決まる最小着火エネルギーが大きく異なる為である。
着火エネルギーが最も小さい水素は僅か0.017mJで容易に火が付くので危険とされて居る。従来の自動車用エンジンで広く使用されているガソリンは0.2mJであり比較的簡単に着火できる。一方アンモニアは170mJとガソリンに対して850倍も大きく混合気に確実に着火させるためには原理的に大きなエネルギー源が必要な事が判る。この為エンジンの点火コイルを大きくし蓄えられる電気エネルギーを何倍も増やして点火時にこれを一気に放電すれば着火性は改善できるが、放電時の電圧が数十キロボルトと材料の絶縁限界を超え、更に落雷の様な強烈な火花で点火プラグの電極消耗限界を超えるので実用上は点火エネルギ増強には限度がある。更に、自動車には点火時にコイルから発生する電波雑音の規定もあるので其れも強力点火の制約となる。
(【0011】以降は省略されています)

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