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公開番号2024120858
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-09-05
出願番号2024013808
出願日2024-02-01
発明の名称大型ターボ過給式2ストロークユニフロークロスヘッド内燃機関及びその動作方法
出願人エムエーエヌ・エナジー・ソリューションズ・フィリアル・アフ・エムエーエヌ・エナジー・ソリューションズ・エスイー・ティスクランド
代理人個人
主分類F02B 25/04 20060101AFI20240829BHJP(燃焼機関;熱ガスまたは燃焼生成物を利用する機関設備)
要約【課題】大型ターボ過給式2ストロークユニフロークロスヘッド式内燃機関の軽負荷運転時の燃焼安定性向上を目的とする。
【解決手段】この機関は、ガス燃料を主燃料とし、オットーサイクル原理により運転されるモードを有する。また、軽負荷運転動作を示す機関運転パラメータを監視する制御装置60と、軽負荷運転動作が観測される時にガス燃料の導入を遅らせる手段を備える。このように、機関の軽負荷運転が観測された場合の新たな対策として、ガス燃料の導入タイミングが導入される。軽負荷運転時にガス燃料の導入を遅らせることで、燃焼安定性と回転数が共に大幅に向上する。ガス燃料の導入タイミングは即座に調整できるため、この対策は、機関の軽負荷運転動作が観測された場合に、迅速かつ即座に対応するのに適している。
【選択図】図3
特許請求の範囲【請求項1】
少なくとも1つの運転モードにおいてガス燃料を主燃料とするオットーサイクル原理により運転される、大型ターボ過給式2ストロークユニフロークロスヘッド式内燃機関であって、
下部に掃気ポートを有するシリンダライナと、前記シリンダライナ内の往復ピストンと、自身を覆うシリンダカバーとを有する少なくとも1つのシリンダと、
前記シリンダ内の前記往復ピストンと前記シリンダカバーとの間に形成される燃焼室と、
前記シリンダライナ又は前記シリンダカバーに配置された1つ又は複数のガス燃料導入弁であって、前記シリンダカバーに向かうピストンストローク中にガス燃料を導入するように構成され、定常運転時において、前記機関のあらゆる負荷に対して予め設定された燃料導入タイミング及び導入時間を有するガス燃料導入弁と、
前記機関に関連付けられる少なくとも1つの制御装置であって、該少なくとも1つの制御装置は、軽負荷運転動作を示す機関運転パラメータを監視するように構成される制御装置と、
を備え、前記機関の軽負荷運転動作が観測される時にガス燃料の導入を遅らせる手段を備える、機関。
続きを表示(約 1,500 文字)【請求項2】
前記遅らせる手段は、信号線を通じてガス燃料供給弁に接続される少なくとも1つの制御装置を備える、請求項1に記載の機関。
【請求項3】
前記ガス燃料導入弁の燃料導入タイミングを定常運転時のプリセット燃料導入タイミングにリセットする手段と、従来の長期規制に復帰させる手段とを備え、前記復帰させる手段は、例えば排気ガスバイパスを用いる、請求項1に記載の機関。
【請求項4】
軽負荷運転動作を示す機関運転パラメータの少なくとも1つを測定する手段と、
前記軽負荷運転動作を示す機関運転パラメータを、処理のために、前記少なくとも1つの制御装置に伝送する手段と、
を備え、前記軽負荷運転動作を示す機関運転パラメータには、燃焼室圧力、燃焼圧力温度、機関出力/機関回転数比、空気/ガス燃料が含まれる、請求項1に記載の機関。
【請求項5】
前記ガス燃料導入弁がシリンダライナ内に配されており、BDCとTDCの間の前記シリンダライナの長さ方向の中央領域に配されている場合、定常運転時のプリセット燃料導入タイミングは、できるだけ早いタイミング、すなわちピストンがTDCに向かう途中で掃気ポートを通過した直後に設定され、
前記ガス燃料導入弁がシリンダカバーに配置されている場合、定常運転時のプリセット燃料導入タイミングは、排気弁が閉じられた後のできるだけ早いタイミングに設定される、請求項1に記載の機関。
【請求項6】
前記機関の軽負荷運転動作が観測される時に、ガス燃料の導入が、少なくとも1クランク角度、好ましくは5~20クランク角度遅らされる、請求項1から5のいずれかに記載の機関。
【請求項7】
前記機関の軽負荷運転が観測される場合、ガス燃料の導入が可能な限り遅らされ、すなわち、前記ピストンがTDCに向かって前記ガス燃料導入弁を通過するクランク角度から、前記機関の所与の負荷におけるガス燃料導入継続時間であってクランク角度として測定される継続時間を減算して計算されるクランク角度まで遅らされ、前記ガス燃料導入弁は前記シリンダライナ内に配されており、BDCとTDCの間のシリンダライナの長さ方向の中央領域に配されている、請求項1に記載の機関。
【請求項8】
少なくとも1つの運転モードにおいてガス燃料を主燃料とするオットーサイクル原理により運転される、大型ターボ過給式2ストロークユニフロークロスヘッド式内燃機関を動作させる方法であって、前記機関は、
下部に掃気ポートを有するシリンダライナと、前記シリンダライナ内の往復ピストンと、自身を覆うシリンダカバーとを有する少なくとも1つのシリンダと、
前記シリンダ内の前記往復ピストンと前記シリンダカバーとの間に形成される燃焼室と、
前記シリンダライナ又は前記シリンダカバーに配置された1つ又は複数のガス燃料導入弁であって、前記シリンダカバーに向かうピストンストローク中にガス燃料を導入するように構成され、定常運転時において、前記機関のあらゆる負荷に対して予め設定された燃料導入タイミング及び導入時間を有するガス燃料導入弁と、
前記機関に関連付けられる少なくとも1つの制御装置であって、該少なくとも1つの制御装置は、軽負荷運転動作を示す機関運転パラメータを監視するように構成される制御装置と、
を備え、
機関の軽負荷運転が観測される場合、ガス燃料の導入が遅らされることを特徴とする、方法。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、大型ターボ過給式2ストロークユニフロークロスヘッド式内燃機関であって、少なくとも1つの運転モードにおいて、ガス燃料を主燃料とするオットーサイクル原理により運転される機関に関する。この機関は、下部に掃気ポートを有するシリンダライナと、前記シリンダライナ内の往復ピストンと、自身を覆うシリンダカバーとを有する少なくとも1つのシリンダと、前記シリンダ内の前記往復ピストンと前記シリンダカバーとの間に形成される燃焼室と、前記シリンダライナ又は前記シリンダカバーに配置された1つ又は複数のガス燃料導入弁であって、前記シリンダカバーに向かうピストンストローク中にガス燃料を導入するように構成され、定常運転時において、前記機関のあらゆる負荷に対して予め設定された燃料導入タイミング及び導入時間を有するガス燃料導入弁と、前記機関に関連付けられる少なくとも1つの制御装置であって、該少なくとも1つの制御装置は、軽負荷運転動作を示す機関運転パラメータを監視するように構成される制御装置とを備える。本発明はまた、そのような機関の運転方法にも関する。
続きを表示(約 2,900 文字)【発明の背景】
【0002】
大型ターボ過給式2ストロークユニフロークロスヘッド内燃機関は、通常、コンテナ船などの大型外航船や発電所の原動機として使用される。この2ストロークディーゼル機関のサイズは巨大である。サイズが巨大であることだけが理由ではないが、この2ストロークディーゼル機関は、他の内燃機関とは異なる構造を有する。例えば、排気弁の重量は400kgに達することもあり、ピストンの直径も100cmに達することがある。運転中における燃焼室の最大圧力は、典型的には数百barにもなる。このような高い圧力レベルとピストンサイズから生まれる力は莫大なものである。このタイプのエンジンは、重油や、ディーゼルのような燃料油で運転されることが非常に多い。
【0003】
近年、大型2ストロークディーゼル機関において、ガス燃料のような別の種類の燃料を扱えるようにすることが求められてきている。燃料油のみで運転する燃料油モードと、ガス燃料及びパイロット燃料油で運転する代替燃料モードの両方で運転可能な機関は、しばしば二元燃料機関と呼ばれる。
【0004】
大型2ストロークターボ過給式内燃機関には、シリンダライナの長手方向中央付近又はシリンダカバーに配される燃料弁から導入されるガス燃料で運転されるタイプのものがある。このタイプの機関において、ガス燃料は、ピストンの上昇ストロークの途中であって、排気弁が閉じるかなり前にシリンダ内に導入される。機関は、燃焼室内においてガス燃料と掃気との混合物を圧縮し、圧縮された混合気を上死点(TDC)又はその付近で同期着火手段(例えばパイロット油着火手段)によって着火する。
【0005】
大型2ストロークターボ過給式内燃機関において、ピストンが上死点(TDC)又はその付近でガス燃料を噴射する場合、燃焼室内の圧力はほぼ最大になっている。それに比べると、シリンダライナ又はシリンダカバーに配される燃料弁(ガス導入弁)を用いる上記のタイプのガス導入は、燃焼室の圧力が比較的低い時にガス燃料を噴射するため、かなり低い燃料噴射圧力を用いることができるという利点を有する。TDC又はその付近でガス燃料を噴射するタイプのエンジンの場合、既にほぼ最大圧力となっている燃焼室の圧力よりも、更に十分に高い燃料噴射圧力を実現しなければならない。このような極めて高い圧力でガス燃料を扱うことができる燃料システムは、高価かつ複雑である。その理由には、ガス燃料の揮発性や高圧下の挙動があり、それによって燃料システムの鋼部材の中に(又はそれらを通じて)拡散していくことがある。
【0006】
このため、圧縮ストロークの途中にガス燃料を噴射するエンジンの燃料供給システムは、ピストンがTDC付近にあるときの高圧下でガス燃料を噴射するエンジンのものに比べて、コストがずっと低い。
【0007】
圧縮ストロークの途中にガス燃料を噴射する場合、ピストンは、ガス燃料と掃気空気の混合物を圧縮することになるが、これには異常早期着火(プレイグニッション)の危険性を伴う。非常に薄い混合気で運転することにより、プレイグニッションの危険性を減少させることができる。しかし、薄い混合気を用いると、ミスファイア又は部分ミスファイア(partial misfire)の危険性が増大し、燃料スリップをもたらす。このように、空気とガス燃料の予混合気の燃焼は、空燃比と温度に大きく依存することがよく知られている。一般的な燃焼範囲図(Flammability Diagram)から、高温では自動着火が起こり、低温では可燃性ミストが発生することが知られている。空燃比が高い領域は不燃性である。これらの効果は、燃焼室内の特性が均一でないオットーサイクル機関の燃焼プロセスに大きな影響を与える。特性の分布は、燃料ガス導入弁の噴霧方向を決定する際に、ある程度の影響を与えることができる。もう一つの方法は、ガス導入のタイミングを制御することである。早いタイミングでは、燃焼室の上部領域で空燃比が低くなり、遅いタイミングでは、ピストン上面に近い同様の領域で、それぞれの領域が局所的な燃焼特性を持つことになる。掃気と排気ガス受けが提供する境界条件の組み合わせが効率的な燃焼をもたらす場合、特定のガス導入は、ある機関動作ポイントでは問題なく機能する。空燃比の高い領域の合計サイズは、未燃ガスの割合(一般にスリップと呼ばれる)が許容限界以下になるように小さく保たれる。
【0008】
機関の動作ポイントが変わると、燃焼室内のさまざまな領域も変化する。推進用機関の場合、特に重要な例は軽負荷運転(Light Running)である。軽負荷運転では、空燃比がリーンすぎるため、ミスファイヤ(失火)が発生し、その結果、望まれない燃料ガススリップが生じる。軽負荷運転とは、同じ機関出力が、高い機関回転数と低いトルクで供給されることである。これは、プロペラの軽負荷運転を意味し、船舶基地のデザインだけでなく、積荷量、船体状態、気象条件、操船、水深などにも左右されるため、重要なのである。許容できないガススリップを起こさずに効率的な燃焼を維持するためには、燃焼サイクルプロセスを適切に合わせなければならない。更に、天候や操船に関連した変動は比較的速いため、即座に対応する必要がある。
【0009】
空燃比がリーンすぎる状態での軽負荷運転は、燃焼が不安定になりやすく、その結果、推進システム全体の性能が非常に低下することが試験で確認されている。このような状況では、しばしば許容できない燃焼室圧力が発生し、ガスモード運転が停止してしまう。これまでのところ、このような状況に対する対策は、排気ガスバイパス(EGB)と呼ばれるバイパス弁を開いて掃気圧力を下げることであった。これはターボ過給機(TC)のタービンに供給される出力を低下させる。残念なことに、ターボ過給機の慣性のため、掃気圧への応答は非常に遅い。更に、バイパスの大きさは、燃焼室の掃気効率が十分に保たれるような或る一定の大きさに制限されなければならない。掃気効率が悪すぎると、燃焼室内の残留ガスが高温になりすぎ、圧縮行程中の早期自己着火の傾向が著しく高まり、シリンダ圧力も許容できないものになる。高負荷運転時には、掃気圧を高めるために、EGBが使えることはほとんどない。というのも、EGBが開くと、機関効率保証が特定されている公称プロペラ曲線の性能が低下するからである。その代わり、導入ガス量が減少するために、ディーゼル燃料が添加され、空燃比が上昇する。このようなディーゼル燃料消費は、排出ガスの増加、コスト、機関全体の効率低下のため、実運用では望ましくない。
【0010】
本発明はまた、上に記載され、また添付の特許請求の範囲に記載されるような、大型ターボ過給式2ストロークユニフロークロスヘッド内燃機関を運転する方法に関する。
【発明の概要】
(【0011】以降は省略されています)

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