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公開番号2024095629
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-07-10
出願番号2023222632
出願日2023-12-28
発明の名称セルロースフィラメント糸の製造方法、及びセルロースフィラメント糸
出願人オーミケンシ株式会社
代理人個人,個人,個人
主分類D01F 2/00 20060101AFI20240703BHJP(天然または人造の糸または繊維;紡績)
要約【課題】CS2フリーを達成することができ、耐疲労性、破断強度、破断伸度を向上させることができ、かつ、特殊な異型断面ノズルを必要とすることなく従来のエアギャップ紡糸によって紡糸することができるセルロースフィラメント糸の製造方法の提供。
【解決手段】溶剤を用いたセルロースフィラメント糸の製造方法であって、溶剤に原料セルロースを溶解させた紡糸液1を、ドラフトを20以下に設定して、紡出糸の単糸繊度が2~8dtexとなるように紡出糸を生成する紡出工程と、生成した紡出糸を凝固液が流れる流動浴に通すことにより凝固させる凝固工程と、生成した糸条8に脱膨潤処理を行い、弛緩状態下で精練処理を行い、次いで乾燥処理を行うことによって得られたセルロースフィラメント糸を巻き取る巻取工程と、を包含し、凝固工程は、流動浴中における紡出糸の移動速度と流動浴出口7における凝固液の流速との差が特定の条件を満たすように実行される。
【選択図】図1
特許請求の範囲【請求項1】
溶剤を用いたセルロースフィラメント糸の製造方法であって、
前記溶剤に原料セルロースを溶解させた紡糸液を、ドラフトを20以下に設定して、紡出糸の単糸繊度が2~8dtexとなるように前記紡出糸を生成する紡出工程と、
前記紡出工程によって生成した前記紡出糸を凝固液が流れる流動浴に通すことにより凝固させる凝固工程と、
前記凝固工程によって生成した糸条に脱膨潤処理を行い、弛緩状態下で精練処理を行い、次いで乾燥処理を行うことによって得られたセルロースフィラメント糸を巻き取る巻取工程と、
を包含し、
前記凝固工程は、前記流動浴中における前記紡出糸の移動速度をV

、前記流動浴出口における前記凝固液の流速をV

としたとき、


- V

< 160m/min(ただし、V

≦ V


を満たすように実行されるセルロースフィラメント糸の製造方法。
続きを表示(約 330 文字)【請求項2】
前記紡出工程は、前記溶剤に原料セルロースを溶解させた紡糸液を、ドラフトを3~15に設定して、前記紡出糸の単糸繊度が3~6dtexとなるように前記紡出糸を生成することにより実行される請求項1に記載のセルロースフィラメント糸の製造方法。
【請求項3】
前記溶剤は、イミダゾール系溶剤である請求項1に記載のセルロースフィラメント糸の製造方法。
【請求項4】
請求項1~3の何れか一項に記載のセルロースフィラメント糸の製造方法によって得られるセルロースフィラメント糸。
【請求項5】
結晶配向度が0.78~0.92であり、結晶化度が30~42である請求項4に記載のセルロースフィラメント糸。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、溶剤を用いたセルロースフィラメント糸の製造方法、及びセルロースフィラメント糸に関する。
続きを表示(約 2,100 文字)【背景技術】
【0002】
従来、タイヤコード用の繊維素材として、破断伸度が大きい繊維が用いられている。例えば、破断伸度が12~13%であり、耐溶融性に優れる強力レーヨン、破断伸度が13~20%であり、高強度、高弾性率、低収縮率、耐疲労性、耐熱性、耐候性などの各物性に優れ、かつ物性バランスがよく、安価であるポリエステル、破断伸度が20%超であり、高強度、高タフネス、耐疲労性、耐摩耗性などに優れるポリアミド(ポリアミド66)等が挙げられる。
【0003】
ところで、セルロースは地球上に最も多く存在する高分子化合物である。化石燃料の有限性や合成樹脂の廃棄問題などの観点、及び事業のサスティナビリティの観点から、リニューアブルで生分解性の高いセルロースを見直す気運がサスティナビリティの考え方とともに世界的に高まってきている。中でも、再生セルロース繊維の需要は、独自の良好な特性を有することに加えて、環境との適合性を有する持続産生可能な材料として特徴づけられていて、確実に増加する趨勢にある。
【0004】
また、世界における繊維の生産量は、2010年の7250万トンから2030年には1億3360万トンに増加すると予測されている。その一方で、フィンランドのアールト大学のSixta教授らの試算によれば、綿花の生産量は水の制約などから年間2600万トンから2800万トンが上限となることが予想されている。このため、世界における溶解パルプ由来の再生セルロース繊維の需要はさらに増加することが見込まれる。
【0005】
ここで、再生セルロース繊維を自動車用タイヤのカーカス織布として使用する場合、得られたタイヤコードは大きな動的荷重及び高温に曝される。そのため、再生セルロース繊維を用いたコード、及び当該コードを形成するマルチフィラメント糸には、高い破断強度と、優れた耐熱性と、高い耐疲労性(疲労抵抗、タフネス)とを有することが求められる。特に、セルロースからなる繊維素材は溶融しないという特性ゆえ、最近はランフラットタイヤ用のコード糸として期待が大きく、多数の開発が行われてきている。
【0006】
長年、これらの用途に用いられる再生セルロース繊維の製造方法はビスコース法が主流であり、リヨセル法、キュプラ法などの他の方法はあまり用いられていなかった。しかしながら、既存のビスコース法では、人体に対して毒性を有する二硫化炭素(CS

、以下、単に「CS

」と称する。)を使用することがデメリットの一つとなっている。そのため、CS

フリー又はCS

の使用量を減少させる、溶剤を用いた再生セルロースの開発が実用化に向けて関心を集めてきた。
【0007】
この点に関し、CS

フリー又はCS

の使用量を減少させる繊維製造技術としては、これまでいくつかの技術が既知であり、例えば、N-メチルモルホリンN-オキシド(NMMO)を用いたNMMO法(リヨセル法)やイオン液体法などの溶剤法、カルバメート法、カルバメートをNMMOに溶解させる方法、バイオセルソル法などが知られている。中でも、セルロースの溶解性や紡糸性などの観点から、NMMO法が好適に用いられている(例えば、特許文献1~3を参照)。
【0008】
特許文献1には、(A)液状NMMOをツインスクリュー型押出機のサイドフィーダーを利用して1~60秒間冷却することにより固状NMMOに製造した後、前記固状NMMOを前記ツインスクリュー型押出機へ供給し、これと同時にセルロース粉末をツインスクリュー型押出機のサイドフィーダーを利用して数秒内に圧縮、供給する工程;(B)供給された固状NMMOとセルロース粉末を、分散、混合、せん断、混練、溶解及び計量処理されるように、スクリューが配列された前記ツインスクリュー型押出機を通して膨潤化及び均質化されたセルロース溶液に製造する工程;(C)前記セルロース溶液を紡糸ノズルを通して押出紡糸した後、空気層を通過して凝固浴に到達した後、これを凝固させてマルチフィラメントを得る工程;(D)前記収得されたマルチフィラメントを水洗、乾燥及び油剤処理して巻き取る工程を含む方法により製造され、特定の物性を有するセルロース繊維が開示されている。
【0009】
特許文献2には、500~3000デニールのレーヨン糸及び500~3000デニールのリヨセル糸よりなるハイブリッドディップコードが開示されている。
【0010】
特許文献3には、リヨセルを主体とするセルロース系フィラメントバンドを含むコードであって、単糸数が200~2000であり、繊度(線密度)が200~3000デニールの範囲であるフィラメントバンドから成る糸を用いたコードが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
(【0011】以降は省略されています)

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