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公開番号2024052506
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-04-11
出願番号2023097664
出願日2023-06-14
発明の名称化学強化ガラス及びその製造方法
出願人AGC株式会社
代理人弁理士法人栄光事務所
主分類C03C 21/00 20060101AFI20240404BHJP(ガラス;鉱物またはスラグウール)
要約【課題】本発明は、従来に比して高いset落下強度を示す化学強化ガラスの提供を目的とする。
【解決手段】本発明は、下記で定義されるK-DOLが5μm以下であり、
表面からの深さ50μmにおける圧縮応力CS50(MPa)をK-DOL(μm)と板厚t(mm)との積で除した値CS50/(K-DOL×t)が55(MPa/(μm・mm)以上である、化学強化ガラス。
K-DOL:Kイオンによる圧縮応力層のガラス表面からの深さの値
【選択図】なし
特許請求の範囲【請求項1】
下記で定義されるK-DOLが5μm以下であり、
表面からの深さ50μmにおける圧縮応力CS
50
(MPa)をK-DOL(μm)と板厚t(mm)との積で除した値CS
50
/(K-DOL×t)が45(MPa/(μm・mm))以上である、化学強化ガラス。
K-DOL:Kイオンによる圧縮応力層のガラス表面からの深さの値(μm)
続きを表示(約 1,500 文字)【請求項2】
下式(1)で示されるCTave(MPa)が下式(2)で示されるCTAの値(MPa)以下である、請求項1に記載の化学強化ガラス。
CTave=ICT/L
CT
…式(1)
TIFF
2024052506000021.tif
8
165
t:板厚(mm)
ICT:引張応力の積分値(Pa・m)

CT
:引張応力領域の板厚方向長さ(μm)
K1c:化学強化ガラスの破壊靱性値(MPa・m
1/2

【請求項3】
板厚がt(mm)である場合に、CS
50
が206×t-15(MPa)以上である、請求項1に記載の化学強化ガラス。
【請求項4】
板厚が0.6mmである場合に、下記条件のサンドペーパーセット落下強度試験により測定したset落下強度が60cm以上である、請求項1に記載の化学強化ガラス。
条件:#180サンドペーパー上に前記化学強化ガラスを搭載した電子デバイス、または前記化学強化ガラスと前記化学強化ガラスを保持する筐体とを一体とさせた電子デバイス模擬構造体を30cmの高さから落下させる。前記化学強化ガラスが割れなければ落下高さを5cm上げて、再び落下させる。落下した後に前記化学強化ガラスが割れない限り、落下高さを5cm上げた高さから落下させる工程を繰り返す。前記化学強化ガラスが初めて割れる高さを割れ高さとする。10サンプルを用いて落下試験を実施し、10サンプルの平均割れ高さをset落下強度とする。
【請求項5】
板厚が0.5mmである場合に、下記条件のサンドペーパーセット落下強度試験により測定したset落下強度が50cm以上である、請求項1に記載の化学強化ガラス。
条件:#180サンドペーパー上に前記化学強化ガラスを搭載した電子デバイス、または前記化学強化ガラスと前記化学強化ガラスを保持する筐体とを一体とさせた電子デバイス模擬構造体を30cmの高さから落下させる。前記化学強化ガラスが割れなければ落下高さを5cm上げて、再び落下させる。落下した後に前記化学強化ガラスが割れない限り、落下高さを5cm上げた高さから落下させる工程を繰り返す。前記化学強化ガラスが初めて割れる高さを割れ高さとする。10サンプルを用いて落下試験を実施し、10サンプルの平均割れ高さをset落下強度とする。
【請求項6】
圧縮応力CS(MPa)を前記K-DOL(μm)で除した値が230(MPa/μm)以上である、請求項1に記載の化学強化ガラス。
【請求項7】
表面からの深さ0μmにおける圧縮応力値CS

が800MPa以上1200MPa以下である、請求項1に記載の化学強化ガラス。
【請求項8】
表面からの深さ1μmにおける圧縮応力値CS

が450MPa以上である、請求項1に記載の化学強化ガラス。
【請求項9】
板厚がt(mm)である場合に、圧縮応力層深さDOCが150×t+20(μm)以下である、請求項1に記載の化学強化ガラス。
【請求項10】
スタティックオネストメータ装置で測定する帯電量について、30秒間帯電させ、帯電完了から60秒後の帯電量(kV)を、帯電中の最大帯電量(kV)で除した比率が0.20以下である化学強化ガラス。
(【請求項11】以降は省略されています)

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、化学強化ガラス及びその製造方法に関する。
続きを表示(約 2,300 文字)【背景技術】
【0002】
スマートフォンなどの携帯端末のカバーガラス等には、化学強化ガラスが用いられている。化学強化ガラスは、ガラスを硝酸ナトリウムや硝酸カリウムなどの溶融塩組成物に接触させるイオン交換処理により、ガラスの表面部分に圧縮応力層を形成したものである。該イオン交換処理では、ガラス中に含まれるアルカリ金属イオンと、溶融塩組成物に含まれるよりイオン半径の大きいアルカリ金属イオンとの間でイオン交換が生じ、ガラスの表面部分に圧縮応力層が形成される。
【0003】
化学強化ガラスの強度は、ガラス表面からの深さを変数とする圧縮応力(以下、CSとも略す。)で表される応力プロファイルに依存する。イオン交換処理を2段階以上行う場合、前記圧縮応力層としては、主にカリウムイオン等のガラスへの導入による「表層圧縮応力層」と、主にナトリウムイオン等のガラスへの導入による「深層圧縮応力層」とが形成される。
【0004】
一方で、ガラスの表面部分に圧縮応力層を形成すると、ガラス中心部には、圧縮応力の総量に応じた引張応力(以下、CTとも略す。)が必然的に発生する。当該CT値が大きくなりすぎると、ガラス物品が破壊する際に激しく割れて破片が飛散する。CT値がその閾値(以下、CTリミットとも略す。)を超えると、ガラスが自壊して加傷時の破砕数が爆発的に増加し得る。CTリミットはガラス組成に対し固有の値である。
【0005】
したがって化学強化ガラスは、表面圧縮応力を大きくし、より深い部分にまで圧縮応力層を形成する一方で、CTリミットを超えないように、表層の圧縮応力の総量が設計される。例えば、特許文献1には、CTを特定範囲に制御した化学強化ガラスが開示されている。また、特許文献2には、特定範囲のCS及びDOCを有する化学強化ガラスが開示されている。特許文献3には、圧縮応力の総量が一定の値以下である化学強化ガラスが開示されている。
【0006】
スマートフォンなどの製品に用いるガラス系材料の強度を評価する指標の一つとして、set落下強度試験がある。set落下強度試験は、スマートフォン、タブレットなどの電子デバイス製品や、ガラスをスマートフォンなどの電子デバイスを模擬した構造体に貼合し、水平状態で固定された評価面の上に前記模擬構造体を落下させ、割れた時の状態を評価する試験方法である。set落下強度の評価方法は様々な形態があり、例えば、下記(1)及び(2)の方法が挙げられる。本発明における「set落下強度試験」は下記(2)の評価方法を意図するものであり、「set落下強度」は「割れ発生時の高さ」を単位センチメートルで表す。
(1)同一の前記模擬構造体を同じ高さから繰り返し落下させ、割れが発生した際の落下回数を評価する方法。
(2)同一の前記模擬構造体を所定の高さから落下させた後、所定の刻み幅で落下高さを上げていき、最終的に割れが生じた高さを評価する方法。
【0007】
スマートフォンやタブレット等の電子デバイス製品に搭載された化学強化されたカバーガラスは使用時に人間の指等が触れるため、指紋、皮脂、汗等による汚れが付着しやすい。そして、これらの汚れは付着すると落ちにくく、汚れが付着した部分とそうでない部分とでの光の散乱や反射の違いによって目立つため、視認性や美観を損ねるという問題があった。そのため、これらのカバーガラスとして、人間の指等が触れる部分に含フッ素有機化合物からなる防汚層を形成したガラス基体を用いる方法が知られている(特許文献4)。防汚層には、汚れの付着を抑制するために、高い撥水・撥油性が求められるとともに、付着した汚れの繰り返しの払拭に対する耐摩耗性が求められている。
【0008】
特許文献5には、化学強化されたカバーガラスの表面抵抗率が低いほど、上記防汚層の耐久性が高いことが開示されている。表面抵抗率はガラス表面の電気伝導度と相関があり、表面抵抗率が小さい状態は、ガラス表面の電気伝導度が高いことを表す。つまり、ガラス表面の電気伝導度が高くすることが、防汚層の耐久性を向上させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
米国特許第9359251号明細書
米国特許第10150698号明細書
国際公開第2018/186402号
特開2000-144097号公報
国際公開第2021/010376号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
set落下強度試験において、前記模擬構造体を落下させる評価面も様々な種類があり、例えば、大理石のような表面粗さの小さい面や、アスファルト、サンドペーパーのような表面粗さが大きい面などが評価面として挙げられる。特にアスファルトやサンドペーパーなどの表面粗さが大きい評価面に対しては、ガラス表面から特定の深さにある部分の応力が効くことがわかっている。具体的には、評価面が番手60番から100番のサンドペーパーである場合のset落下強度は、表面からの深さ90μmの応力と正の相関がある。また、評価面が番手100番から140番のサンドペーパーである場合のset落下強度は、表面からの深さ70μmの応力と正の相関がある。また、評価面が番手160番から200番のサンドペーパーである場合のset落下強度は、表面からの深さ50μmの応力と正の相関がある。
(【0011】以降は省略されています)

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