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公開番号2024070542
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-05-23
出願番号2022181101
出願日2022-11-11
発明の名称自律型調熱窓
出願人AGC株式会社
代理人個人
主分類G02F 1/13 20060101AFI20240516BHJP(光学)
要約【課題】セルフアクティブ方式において、可視光透過率に優れ、且つ、外気温に応じて赤外光の透過率を調整できる環境配慮型の自律型調熱窓を提供する。
【解決手段】可視光透過率が70%以上の領域を有する自律型調熱窓10であって、第一透明基板1と、外気側に配置され、第一透明基板1と間隙を持って対向配置された第二透明基板2と、これらに挟持された調熱層3とを備える。調熱層3は、所定の温度または所定の温度範囲に対して可逆的に配向が変位する液晶成分31と、液晶成分31に分散され、赤外光の吸収および反射の少なくとも一方に異方性を有する形状異方性成分32とを有する。調熱層3は、所定の温度または所定の温度範囲に対して高温領域では、低温領域よりも赤外光の透過率が低くなる。また、調熱層3の両側において、第一透明基板1側の厚み方向の熱伝導率が第二透明基板2側の厚み方向の熱伝導率より低い。
【選択図】図1
特許請求の範囲【請求項1】
可視光透過率が70%以上の領域を有する自律型調熱窓であって、
第一透明基板と、
外気側に配置され、前記第一透明基板と間隙を持って対向配置された第二透明基板と、
前記第一透明基板と前記第二透明基板に挟持された調熱層とを備え、
前記調熱層は、所定の温度または所定の温度範囲に対して、可逆的に配向が変位する液晶成分と、前記液晶成分に分散され、赤外光の吸収および反射の少なくとも一方に異方性を有する形状異方性成分とを有し、
前記調熱層は、前記所定の温度または所定の温度範囲に対して高温領域では、低温領域よりも赤外光透過率が低くなり、
前記調熱層の両側において、前記第一透明基板側の厚み方向の熱伝導率が前記第二透明基板側の厚み方向の熱伝導率より低い自律型調熱窓。
続きを表示(約 720 文字)【請求項2】
前記第一透明基板の外側に、更に、間隙を持って対向配置された第三透明基板を有し、
前記間隙に空気、希ガス、真空、または液体が充填されている請求項1に記載の自律型調熱窓。
【請求項3】
前記第一透明基板の外側主面に、赤外光反射膜および透明断熱層の少なくとも一方が形成されている請求項1に記載の自律型調熱窓。
【請求項4】
前記形状異方性成分は、赤外光吸収剤または/および赤外光反射剤である二色性色素、ナノロッドおよびナノシートの少なくともひとつを含む請求項1に記載の自律型調熱窓。
【請求項5】
前記形状異方性成分の長径Lと短径Wとの比であるアスペクト比L/Wが2以上である請求項1に記載の自律型調熱窓。
【請求項6】
前記第一透明基板の外側に、間隙を持って対向配置された第三透明基板と、
前記第一透明基板と前記第三透明基板に挟持された補助調熱層と、を更に有し、
前記補助調熱層は、所定の温度または所定の温度範囲に対して、可逆的に配向が変位する液晶成分と、当該液晶成分に分散された形状異方性成分とを含有し、
前記補助調熱層は、前記所定の温度または所定の温度範囲に対して高温領域では、低温領域よりも赤外光の透過率が低くなり、
以下の(I)および(II)を満たす請求項1に記載の自律型調熱窓。
(I)前記調熱層の液晶成分の配向が変位する温度または温度範囲<前記補助調熱層の液晶成分の配向が変位する温度または温度範囲。
(II)前記調熱層の形状異方性成分の濃度>前記補助調熱層の形状異方性成分の濃度。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本開示は、自律型調熱窓に関する。
続きを表示(約 2,800 文字)【背景技術】
【0002】
調光システムとして、ロー・Eガラスを用いるパッシブ方式、電解駆動型のアクティブ方式、感温度型のセルフアクティブ方式がある。パッシブ方式は、配線等が不要である反面、気温に合わせた調光熱能力の制御ができないという問題がある。アクティブ方式は、電極および配線が必要であり、コスト・施工の手間などが問題となる。セルフアクティブ方式(感温度型)は、電極、配線および電界等の物理的様式を必要としない利点を有する。
【0003】
セルフアクティブ方式として、特許文献1には、高分子分散型液晶(PDLC)を用いた調光窓が提案されている。この調光窓は、配向相分離構造により、ネマチック-等方相転移点温度を境に光散乱状態と光透過状態を可逆的に変位させる方式を採用している。
【0004】
また、特許文献2には、可視光透過率を高め、断熱性能を高めることが可能な複層ガラスが開示されている。更に、特許文献3には、液晶成分と、二色性色素とを含む感温度型調光熱用組成物が開示されている。液晶成分は、予め定めた温度又は温度範囲に対して、低温度領域においてはホメオトロピック配向をなし、高温度領域においてはプラナー配向をなす可逆的配向変位(アンカーリングトランジション)をなすものであり、このアンカーリングトランジションによる配向変位に伴って、二色性色素の配向が変位することにより光および/又は熱の透過を調整する。なお、特許文献4は後述する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
特開2013-152445号公報
特開2016-664号公報
特開2020-84149号公報
国際公開第2015/099060号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
市場では車載用の調光窓が出ているが、色味があるため透明性がなく一般家庭や店舗の窓としては普及しにくい。また、電極、配線を必要とするアクティブ方式の調光窓は、電力を用いるため節電効果に課題がある。特許文献1に開示の調光窓は、散乱現象により透明体から白濁(可視光領域)することで遮光するため透明性がなくなる。また、特許文献2等に開示の断熱性能の高い窓ガラスは、夏場は外気の熱を遮蔽できる一方で、冬場の外気の熱も遮熱してしまうという問題がある。特許文献3に開示の感温度型調光熱用組成物によれば、節電効果を期待できる。しかし、節電効果が充分とはいえず、年間を通じて更なる節電効果が得られる調光窓が地球環境保全の観点からも望ましい。
【0007】
本開示は上記背景に鑑みてなされたものであり、セルフアクティブ方式において、可視光透過率に優れ、且つ、所定の温度または所定の温度範囲に対して、可逆的に赤外光の透過率を調整できる環境配慮型の自律型調熱窓を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示は、以下の自律型調熱窓を提供する。
[1]: 可視光透過率が70%以上の領域を有する自律型調熱窓であって、
第一透明基板と、
外気側に配置され、前記第一透明基板と間隙を持って対向配置された第二透明基板と、
前記第一透明基板と前記第二透明基板に挟持された調熱層とを備え、
前記調熱層は、所定の温度または所定の温度範囲に対して、可逆的に配向が変位する液晶成分と、前記液晶成分に分散され、赤外光の吸収および反射の少なくとも一方に異方性を有する形状異方性成分とを有し、
前記調熱層は、前記所定の温度または所定の温度範囲に対して高温領域では、低温領域よりも赤外光透過率が低くなり、
前記調熱層の両側において、前記第一透明基板側の厚み方向の熱伝導率が前記第二透明基板側の厚み方向の熱伝導率より低い自律型調熱窓。
[2]: 前記第一透明基板の外側に、更に、間隙を持って対向配置された第三透明基板を有し、
前記間隙に空気、希ガス、真空、または液体が充填されている[1]に記載の自律型調熱窓。
[3]: 前記第一透明基板の外側主面に、赤外光反射膜および透明断熱層の少なくとも一方が形成されている[1]または[2]に記載の自律型調熱窓。
[4]: 前記形状異方性成分は、赤外光吸収剤または/および赤外光反射剤である二色性色素、ナノロッドおよびナノシートの少なくとも一つを含む[1]~[3]のいずれかに記載の自律型調熱窓。
[5]: 前記形状異方性成分の長径Lと短径Wとの比であるアスペクト比L/Wが2以上である[1]~[4]のいずれかに記載の自律型調熱窓。
[6]: 前記第一透明基板の外側に、間隙を持って対向配置された第三透明基板と、
前記第一透明基板と前記第三透明基板に挟持された補助調熱層と、を更に有し、
前記補助調熱層は、所定の温度または所定の温度範囲に対して、可逆的に配向が変位する液晶成分と、当該液晶成分に分散された形状異方性成分とを含有し、
前記補助調熱層は、前記所定の温度または所定の温度範囲に対して高温領域では、低温領域よりも赤外光の透過率が低くなり、
以下の(I)および(II)を満たす[1]~[5]のいずれかに記載の自律型調熱窓。
(I)前記調熱層の液晶成分の配向が変位する温度または温度範囲<前記補助調熱層の液晶成分の配向が変位する温度または温度範囲。
(II)前記調熱層の形状異方性成分の濃度>前記補助調熱層の形状異方性成分の濃度。
【発明の効果】
【0009】
本開示によれば、セルフアクティブ方式において、可視光透過率に優れ、且つ、外気温に応じて赤外光の透過率を調整できる環境配慮型の自律型調熱窓を提供できるという優れた効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
第1実施形態に係る自律型調熱窓を説明するための模式的断面図。
形状異方性成分の一例を示す模式的説明図。
形状異方性成分の別の一例を示す模式的説明図。
(a)低温領域の調熱層の赤外光の透過状態を説明するための模式的説明図。(b)高温領域の調熱層の赤外光の遮蔽状態を説明するための模式的説明図。
第2実施形態に係る自律型調熱窓を説明するための模式的断面図。
第3実施形態に係る自律型調熱窓を説明するための模式的断面図。
第4実施形態に係る自律型調熱窓を説明するための模式的断面図。
【発明を実施するための形態】
(【0011】以降は省略されています)

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