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公開番号2025083272
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-05-30
出願番号2024085057
出願日2024-05-24
発明の名称電池用リン酸鉄前駆体の製造方法
出願人台湾立凱電能科技股ふん有限公司,Advanced Lithium Electrochemistry Co.,Ltd.
代理人SK弁理士法人,個人,個人
主分類H01M 4/58 20100101AFI20250523BHJP(基本的電気素子)
要約【課題】製品の品質を改善し、原材料、時間コストおよび製造操作の難易度を低減する、電池用リン酸鉄前駆体の製造方法を提供する。
【解決手段】本発明は以下のステップを含む電池用リン酸鉄前駆体の製造方法を開示する。ステップ(a):鉄粉を用意し、鉄粉の見掛け密度(apparent density)範囲が2.3g/cm3~2.6g/cm3であり、鉄粉の粒子径のサイズは第1粒子径と第2粒子径とを含む。第1粒子径は第2粒子径よりも大きい。第2粒子径の鉄粉の重量は鉄粉の総重量の10%~30%を占める。ステップ(b):リン酸を用意して鉄粉と反応させて第1生成物を形成する。ステップ(c):空気または酸素雰囲気下で第1生成物を焼結してリン酸鉄前駆体を形成する。
【選択図】図1
特許請求の範囲【請求項1】
電池用リン酸鉄前駆体の製造方法であって、
鉄粉を用意するステップ(a)であって、前記鉄粉の見掛け密度(apparent density)は、2.3g/cm

~2.6g/cm

であり、前記鉄粉の粒子径は、第1粒子径と第2粒子径とを有し、前記第1粒子径は、前記第2粒子径よりも大きく、前記第2粒子径を有する前記鉄粉の重量は、前記鉄粉の総重量の10%~30%である、ステップ(a)と、
リン酸を用意し、前記リン酸が前記鉄粉と反応して第1生成物を生成する、ステップ(b)と、
空気または酸素雰囲気中で、前記第1生成物を焼結してリン酸鉄前駆体を生成する、ステップ(c)とを含む、ことを特徴とする電池用リン酸鉄前駆体の製造方法。
続きを表示(約 1,100 文字)【請求項2】
前記鉄粉のBET表面積は、700cm

/g~1300cm

/gであり、前記第1粒子径は、45μmより大きく且つ212μm未満であり、前記第2粒子径は、45μm以下である、ことを特徴とする請求項1に記載の電池用リン酸鉄前駆体の製造方法。
【請求項3】
前記ステップ(c)では、610℃~670℃の温度範囲内で、少なくとも1時間継続的に焼結する、ことを特徴とする請求項1に記載の電池用リン酸鉄前駆体の製造方法。
【請求項4】
前記第1粒子径は、45μmより大きく且つ212μm未満であり、前記第2粒子径は、45μm以下であり、前記第2粒子径を有する前記鉄粉の重量は、鉄粉の総重量10%~25%である、ことを特徴とする請求項1に記載の電池用リン酸鉄前駆体の製造方法。
【請求項5】
前記第1生成物は、非晶質のリン酸鉄であり、化学式がa-FePO

・xH

Oであり、且つx>0である、ことを特徴とする請求項1に記載の電池用リン酸鉄前駆体の製造方法。
【請求項6】
前記ステップ(b)は、
第1温度環境中で、脱イオン水と前記鉄粉とを混合して鉄粉水溶液を形成するステップ(b11)と、
第2温度環境中で、第1定量の前記リン酸を、一定の滴定速度で、前記鉄粉水溶液に添加して反応させ、前記第2温度に達した後、第3温度まで降温して第1時間維持する、ステップ(b12)と、
第4温度まで降温し、第2定量の前記リン酸を添加し、前記リン酸と前記鉄粉水溶液とを第2時間継続的に反応させて前記第1生成物を形成する、ステップ(b13)とを含む、ことを特徴とする請求項1に記載の電池用リン酸鉄前駆体の製造方法。
【請求項7】
前記第1定量と前記第2定量の重量比は2.5よりも大きい、ことを特徴とする請求項6に記載の電池用リン酸鉄前駆体の製造方法。
【請求項8】
前記第1温度は35℃~45℃であり、前記第2温度は60℃以下であり、前記第3温度は50℃以下であり、前記第4温度は35℃以下である、ことを特徴とする請求項6に記載の電池用リン酸鉄前駆体の製造方法。
【請求項9】
前記リン酸の濃度が85wt.%であり、前記滴定速度の範囲は、10mL/min~40mL/minである、ことを特徴とする請求項6に記載の電池用リン酸鉄前駆体の製造方法。
【請求項10】
前記第1時間は少なくとも3時間であり、前記第2時間は5時間~9時間である、ことを特徴とする請求項6に記載の電池用リン酸鉄前駆体の製造方法。
(【請求項11】以降は省略されています)

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、製造方法に関し、特に、電池用リン酸鉄前駆体の製造方法に関する。
続きを表示(約 4,200 文字)【先行技術】
【0002】
世界的なエネルギー不足の継続や原油価格の高騰、そして近年の環境保護意識の高まりにより、環境に優しくクリーンで効率的なエネルギーをいかに供給するかが関連業界の最大の課題となっている。さまざまな代替エネルギーの中でも、化学電池技術は現在産業界で研究開発が盛んに行われている技術である。関連業界が研究開発への投資を続けるにつれて、電池技術は継続的に洗練され、単に改良されているだけでなく、家庭用電化製品、医療機器、電動自転車、電動バイク、電気自動車、電気バスなどの日常生活に広く使用されるようになった。
【0003】
リン酸鉄リチウム(LiFePO

、LFPとも呼ばれる)複合材料電池は、爆発の危険がなく、大電流と長いサイクル寿命という利点を有するため、鉛酸、ニッケル水素、ニッケルカドミウムなどの低電力・高汚染電池に代わる電池として市場に広く受け入れられている。長年の研究開発を経て、ナノ金属酸化物共結晶リン酸鉄リチウム化合物(LFP-NCO)電池が開発され、リチウム、鉄、リンおよび金属または金属化合物を含有する前駆物で形成された単一化合物を形成するほか、その材料は高純度且つ非塗布形式の材料であるため、従来のリン酸鉄リチウム材料の低導電率と高不純物の問題を改善でき、且つ従来のリン酸鉄リチウム材料よりも安価であり、市場競争力が優れ、現在の市場の主流な材料となっている。
【0004】
しかしながら、ナノ金属酸化物共結晶リン酸鉄リチウム化合物の製造方法は、主に、リン酸鉄(FePO

)、水酸化リチウム(LiOH)および炭酸リチウム(Li

CO

)の反応によって調製されている。水酸化リチウム(LiOH)および炭酸リチウム(Li

CO

)と反応する前のリン酸鉄前駆体の形態は、リン酸鉄リチウム化合物の生産効率に影響を与える。リン酸鉄前駆体は、主に鉄とリン酸から調製されるため、反応過程では反応速度、発熱の影響、製造操作の難易度を考慮する必要があり、得られるリン酸鉄前駆体の転化率も製品の品質を影響する場合がある。
【0005】
これによって、製品の品質を改善し、原材料、時間コストおよび製造操作の難易度を削減し、従来技術の欠点を解決するために、電池用リン酸鉄前駆体の製造方法をいかに提供するのは解決すべき問題である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、製品の品質を改善し、原材料、時間コストおよび製造操作の難易度を低減する、電池用リン酸鉄前駆体の製造方法を提供する。
【0007】
本発明のもう一つの目的は、電池用リン酸鉄前駆体の製造方法を提供する。原料鉄粉の規格を制御し、リン酸鉄前駆物の製造反応を最適化し、反応速度が速すぎて製造過程の操作難易度の増加を抑制する。また、リン酸、脱イオン水および鉄粉の二次反応では、リン酸は滴定方式で鉄粉と水とを混合してなる鉄粉水溶液に添加し、リン酸と鉄粉の反応速度が速すぎて水溶液の温度上昇が速すぎてリン酸鉄前駆体の製品の品質を影響することを回避する。また、鉄粉反応物が完全に反応していない場合、粉砕製造過程を組み合わせることで、鉄粉反応物の表面に付着した非晶質のリン酸鉄皮膜を除去し、鉄粉反応物が再びリン酸と接触して完全に反応し、原材料の無駄を効果的に削減し、リン酸鉄前駆体の転化率を総合的に向上させることができる。
【0008】
本発明のもう一つ目的は、電池用リン酸鉄前駆体の製造方法を提供する。リン酸、脱イオン水および鉄粉の二次反応は滴定方式を採用しており、より穏やかな(遅い)反応速度で、リン酸と鉄粉とを観世に反応させ、原材料の無駄を効果的に削減し、製品の品質を総合的に向上させ、且つリン酸と鉄粉との反応過程では、一度に大量の水素が発生せず、安全性が優れる。また、滴定方式を使用することによって、反応過程での激しい水和反応も回避でき、原材料の粘着滞留による操作性が優れないことを回避できる。リン酸鉄前駆体の製造方法を組み合わせて電池複合材料を形成することによって、粉砕に必要な時間を大幅に短縮でき、それによって単位時間および費用を削減できる。同時に、製造過程中のpH値感度を低下せ、原材料の粘着滞留および管路の詰まりを回避でき、制御過程の温度を安定させ、製造過程および製造ラインの操作難易度を軽減することができる。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の目的を達成するために、本発明の広範な実施形態では、電池用リン酸鉄前駆体の製造方法を提供し、鉄粉を用意するステップ(a)であって、前記鉄粉の見掛け密度(apparent density)は、2.3g/cm

~2.6g/cm

であり、前記鉄粉の粒子径は、第1粒子径と第2粒子径とを有し、前記第1粒子径は、前記第2粒子径よりも大きく、前記第2粒子径を有する前記鉄粉の重量は、前記鉄粉の総重量の10%~30%である、ステップ(a)と、リン酸を用意し、前記リン酸が前記鉄粉と反応して第1生成物を生成する、ステップ(b)と、空気または酸素雰囲気中で、前記第1生成物を焼結してリン酸鉄前駆体を生成する、ステップ(c)とを含む。
ある実施形態では、鉄粉のBET表面積は、700cm

/g~1300cm

/gであり、第1粒子径は、45μmより大きく且つ212μm未満であり、第2粒子径は、45μm以下である。
ある実施形態では、ステップ(c)では、610℃~670℃の温度範囲内で、少なくとも1時間継続的に焼結する。
ある実施形態では、第1粒子径は、45μmより大きく且つ212μm未満であり、第2粒子径は、45μm以下であり、第2粒子径を有する前記鉄粉の重量は、鉄粉の総重量10%~25%である、。
ある実施形態では、第1生成物は、非晶質のリン酸鉄であり、化学式がa-FePO

・xH

Oであり、且つx>0である。
ある実施形態では、ステップ(b)は、第1温度環境中で、脱イオン水と前記鉄粉とを混合して鉄粉水溶液を形成するステップ(b11)と、第2温度環境中で、第1定量の前記リン酸を、一定の滴定速度で、鉄粉水溶液に添加して反応させ、第2温度に達した後、第3温度まで降温して第1時間維持する、ステップ(b12)と、第4温度まで降温し、第2定量の前記リン酸を添加し、リン酸と鉄粉水溶液とを第2時間継続的に反応させて第1生成物を形成する、ステップ(b13)とを含む。
ある実施形態では、第1定量と第2定量の重量比は2.5よりも大きい。
ある実施形態では、第1温度は35℃~45℃であり、第2温度は60℃以下であり、第3温度は50℃以下であり、第4温度は35℃以下である。
ある実施形態では、リン酸の濃度が85wt.%であり、滴定速度の範囲は、10mL/min~40mL/minである。
ある実施形態では、第1時間は少なくとも3時間であり、第2時間は5時間~9時間である。
ある実施形態では、ステップ(b)は、第1粉砕を行うステップ(b21)であって、第1生成物の粒子のD99粒子径が第1長さよりも小さい、ステップ(b21)と、第3時間、継続的に反応する、ステップ(b22)とを含む。
ある実施形態では、第1長さは100μm未満であり、第3時間の範囲は6時間~12時間である。
ある実施形態では、ステップ(b)は、炭素源と金属化合物とを添加し、前記炭素源と前記金属化合物と前記第1生成物とが前駆物溶液を形成し且つ第2粉砕を行う、ステップ(b31)と、第2粉砕では、前駆物溶液中の粒子のD70粒子径が第2長さよりも小さくなった時、前駆物溶液に対して噴霧乾燥操作を行う、ステップ(b32)とを含む。
ある実施形態では、噴霧乾燥操作は、回転盤噴霧乾燥機により実現され、回転盤噴霧乾燥機の入口温度は210℃であり、出口温度は95℃であり、回転盤の回転速度は300Hz~400Hzである。
ある実施形態では、第2長さは1μm~10μmである。
ある実施形態では、第1粉砕と第2粉砕の回転速度は、1分間に450回転~1分間に650回転である。
ある実施形態では、金属化合物とリン酸鉄前駆体は、ステップ(c)において、リン酸鉄前駆体複合材料を形成してから、焼結して電池複合材料を形成し、電池複合材料の化学式はLiFePO

であり、且つ金属化合物はリチウム含有化合物である。
ある実施形態では、リチウム含有化合物は、水酸化リチウム、炭酸リチウムおよびその混合物から選択され、且つ電池複合材料は、ナノ金属酸化物共結晶リン酸鉄リチウム化合物(LFP-NCO)である。
ある実施形態では、ステップ(c)は、325℃で0.5時間維持し、550℃で0.5時間維持し、650℃で1時間維持するステップを含む。
【図面の簡単な説明】
【0010】
本発明の好ましい実施形態における電池用リン酸鉄前駆体の製造方法のフローチャートである。
本発明の電池用リン酸鉄前駆体の製造方法の詳細なフローチャートである。
本発明の電池用リン酸鉄前駆体の製造方法に使用される滴定装置を示している。
本発明の電池用リン酸鉄前駆体の製造方法のもう一つの詳細なフローチャートである。
本発明の電池用リン酸鉄前駆体と組み合わせた電池複合材料の製造方法の詳細なフローチャートである。
本発明の電池用リン酸鉄前駆体と組み合わせた電池複合材料の製造方法のもう一つの詳細なフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
(【0011】以降は省略されています)

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