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公開番号
2025025434
公報種別
公開特許公報(A)
公開日
2025-02-21
出願番号
2023130180
出願日
2023-08-09
発明の名称
蒸留装置、重水の濃縮方法、及び濃縮された重水の製造方法
出願人
大陽日酸株式会社
代理人
弁理士法人志賀国際特許事務所
主分類
B01D
59/04 20060101AFI20250214BHJP(物理的または化学的方法または装置一般)
要約
【課題】流入液流量の大幅な増加に対応でき、かつ、蒸留塔のサイズの増大が抑制された蒸留装置、重水の濃縮方法、及び濃縮された重水の製造方法の提供。
【解決手段】金属材料で構成された規則充填物を塔内に有する、1以上の蒸留塔と、1以上の蒸発器と、1以上の凝縮器と、前記規則充填物の鉛直方向上方に配置された、前記規則充填物に液体を分散させるためのチャネル型の液分配器であって、上部に位置する上部液分配器及び下部に位置する下部液分配器の2台からなる液分配器と、前記上部液分配器に前記液体を送る配管と、前記下部液分配器に前記液体を送る配管と、前記上部液分配器に前記液体を送る前記配管に位置する、1以上のバルブとを備える蒸留装置。
【選択図】図1
特許請求の範囲
【請求項1】
金属材料で構成された規則充填物を塔内に有し、塔内での気液の接触により高沸点成分を液側に、低沸点成分をガス側に濃縮する、1以上の蒸留塔と、
前記蒸留塔の下降液の少なくとも一部を気化し、その一部を上昇ガスとして前記蒸留塔に導入する、1以上の蒸発器と、
前記蒸留塔の上昇ガスの少なくとも一部を液化し、その一部を還流液として前記蒸留塔に導入する、1以上の凝縮器と、
前記規則充填物の鉛直方向上方に配置された、前記規則充填物に液体を分散させるためのチャネル型の液分配器であって、上部に位置する上部液分配器及び下部に位置する下部液分配器の2台からなり、前記上部液分配器及び前記下部液分配器はそれぞれ液体を内部に溜め込んで液深が形成され、溜め込んだ前記液体の液ヘッドにより底面に設けられた分散孔から前記液体を均等に分散させる機能を有する液分配器と、
前記上部液分配器に前記液体を送る配管と、
前記下部液分配器に前記液体を送る配管と、
前記上部液分配器に前記液体を送る前記配管に位置する、1以上のバルブと
を備える蒸留装置。
続きを表示(約 530 文字)
【請求項2】
前記上部液分配器の前記分散孔の総開口面積が前記下部液分配器の前記分散孔の総開口面積よりも大きい、請求項1に記載の蒸留装置。
【請求項3】
前記上部液分配器の前記分散孔の孔径が前記下部液分配器の前記分散孔の孔径よりも大きい、請求項1に記載の蒸留装置。
【請求項4】
前記下部液分配器のアームチャネルに前記上部液分配器からの流下液が衝突しないように、前記上部液分配器の前記分散孔が前記下部液分配器のアームチャネル間に位置する、請求項1に記載の蒸留装置。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか1項に記載の蒸留装置を用いて重水を含む液体を蒸留する工程を備える重水の濃縮方法であって、
前記下部液分配器から前記重水を含む液体が溢れ出る前に前記上部液分配器に前記重水を含む液体を送る、重水の濃縮方法。
【請求項6】
請求項1~4のいずれか1項に記載の蒸留装置を用いて重水を含む液体を蒸留する工程を備える濃縮された重水の製造方法であって、
前記下部液分配器から前記重水を含む液体が溢れ出る前に前記上部液分配器に前記重水を含む液体を送る、濃縮された重水の製造方法。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、蒸留装置、重水の濃縮方法、及び濃縮された重水の製造方法に関する。
続きを表示(約 3,100 文字)
【背景技術】
【0002】
図7は、従来の蒸留装置の構成の一例を示す系統図である。図7に示すように、従来の蒸留装置3は、気液の接触面積を大きくするため、金属製の規則充填物を塔内に有する蒸留塔Dと、蒸留塔Dの上方に位置し、蒸留塔Dの塔頂から流れてくるガスを液化して還流液として戻すコンデンサ(凝縮器)Cと、蒸留塔Dの下方に位置し、蒸留塔Dの塔底の液をガス化して上昇ガスとして戻すリボイラRとを備える。蒸留装置3では、原料液体Fを蒸留塔Dに供給し、蒸留塔Dの塔内で気液の接触により高沸点成分を液側に、低沸点成分をガス側に濃縮する。そして、蒸留装置3では、蒸留塔Dの塔底の液の一部を製品Pとして取り出すとともに、コンデンサCにより液化した液の一部を排液W1として系外に排出する。
【0003】
表面張力が大きい水系の液体は、金属表面における濡れ性が良くないことが知られている。表面張力が大きい水系の液体を蒸留する際、例えば図7に示すような、金属製の規則充填物を有する蒸留塔Dを用いて運転すると、蒸留性能(充填物の性能)の指標である「理論段数1段と同等の性能となる充填高さ(HETP;Height Equivalent to a Theoretical Plate)」が200mm以上となり、蒸留性能が悪化する(非特許文献1)。これは、表面張力が小さい液体に比べて規則充填物表面での液の分散性が悪く、液が偏流を起こすことにより、気液の接触面積が小さくなって蒸留分離が進みにくくなるためであると推定されている。
【0004】
一方、金属製メッシュ状の規則充填物を使った蒸留塔を起動する際、通常運転負荷よりも高い負荷を与えることで規則充填物の液分散性が改善され、蒸留性能が改善することが知られている。
【0005】
一般的に、蒸留塔には規則充填物の塔断面に均一に液体を分配するための液分配器(「ディストリビュータ」ともいう。)が設置される(1点滴下で十分な小塔径の蒸留塔を除く)。液分配器は上部から降り注がれる液体を液ヘッドにより底面に設けられた分散孔(「オリフィス」ともういう。)から流下する構造を有する。パイプを組み合わせたチューブラー型とトラフを組み合わせたチャネル型に大別される(非特許文献2)。両者とも、各分散孔にかかる液ヘッドが均一となることを利用して、液体を等しい流量で規則充填物の表面に分配させる機能を有する。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0006】
廣瀬永一, 亘理和夫、「表面張力の大きい系での規則充填物と低液負荷の液分散器について」、分離技術、2014年、第44巻、第1号、p.38-42
分離技術会(編)、「分離技術シリーズ2 改訂新版トレイ・パッキング」、分離技術会、2005年、p.68-71
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従来型の液分配器の底面に設けられる分散孔からの流量Qは、オリフィス流出係数の式より次式で求められる。
TIFF
2025025434000002.tif
12
170
ここでgは重力加速度であり、hは液深であり、Aは孔断面積であり、cは流出係数で孔の形状に依存するパラメータである。
すなわち流量Qは孔の形状と、孔にかかる液ヘッドにより決まる。そのため、液分配器に流入する液流量が定格値より多少増減したとしても、液分配器内の液面が増減することにより液ヘッドが変化して液流量が変動するのみであり、充填物への液の分散点が変動することはなく液の偏流も起こらない。
しかし、大幅に液分配器への流入液流量を増加させた場合は内部の液深が増大し、最終的にはチャネルや液流入部の開口部から液が溢れ出して(オーバーフローして)しまう。オーバーフローした液は液分配器外周等をつたって充填物に落下するため均一な液分散ができなくなるという課題がある。
一方、流入液流量の大幅な増加に対応できるだけの液ヘッドを液分配器内に確保しようとすると、流入液流量の2乗に比例して必要な液ヘッドが増加するため、非常に高さのある液分配器が必要となってしまう。これは蒸留塔全体のサイズを増大させ、装置全体の大型化につながってしまう。
【0008】
本発明は、流入液流量の大幅な増加に対応でき、かつ、蒸留塔のサイズの増大が抑制された蒸留装置、重水の濃縮方法、及び濃縮された重水の製造方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
[1] 金属材料で構成された規則充填物を塔内に有し、塔内での気液の接触により高沸点成分を液側に、低沸点成分をガス側に濃縮する、1以上の蒸留塔と、
前記蒸留塔の下降液の少なくとも一部を気化し、その一部を上昇ガスとして前記蒸留塔に導入する、1以上の蒸発器と、
前記蒸留塔の上昇ガスの少なくとも一部を液化し、その一部を還流液として前記蒸留塔に導入する、1以上の凝縮器と、
前記規則充填物の鉛直方向上方に配置された、前記規則充填物に液体を分散させるためのチャネル型の液分配器であって、上部に位置する上部液分配器及び下部に位置する下部液分配器の2台からなり、前記上部液分配器及び前記下部液分配器はそれぞれ液体を内部に溜め込んで液深が形成され、溜め込んだ前記液体の液ヘッドにより底面に設けられた分散孔から前記液体を均等に分散させる機能を有する液分配器と、
前記上部液分配器に前記液体を送る配管と、
前記下部液分配器に前記液体を送る配管と、
前記上部液分配器に前記液体を送る前記配管に位置する、1以上のバルブと
を備える蒸留装置。
[2] 前記上部液分配器の前記分散孔の総開口面積が前記下部液分配器の前記分散孔の総開口面積よりも大きい、[1]に記載の蒸留装置。
[3] 前記上部液分配器の前記分散孔の孔径が前記下部液分配器の前記分散孔の孔径よりも大きい、[1]又は[2]に記載の蒸留装置。
[4] 前記下部液分配器のアームチャネルに前記上部液分配器からの流下液が衝突しないように、前記上部液分配器の前記分散孔が前記下部液分配器のアームチャネル間に位置する、[1]~[3]のいずれかに記載の蒸留装置。
[5] [1]~[4]のいずれかに記載の蒸留装置を用いて重水を含む液体を蒸留する工程を備える重水の濃縮方法であって、
前記下部液分配器から前記重水を含む液体が溢れ出る前に前記上部液分配器に前記重水を含む液体を送る、重水の濃縮方法。
[6] [1]~[4]のいずれかに記載の蒸留装置を用いて重水を含む液体を蒸留する工程を備える濃縮された重水の製造方法であって、
前記下部液分配器から前記重水を含む液体が溢れ出る前に前記上部液分配器に前記重水を含む液体を送る、濃縮された重水の製造方法。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、流入液流量の大幅な増加に対応でき、かつ、蒸留塔のサイズの増大が抑制された蒸留装置及び重水の濃縮方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
(【0011】以降は省略されています)
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