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公開番号
2025148665
公報種別
公開特許公報(A)
公開日
2025-10-08
出願番号
2024048904
出願日
2024-03-26
発明の名称
易溶融解性食品素材
出願人
不二製油株式会社
代理人
主分類
A23D
7/04 20060101AFI20251001BHJP(食品または食料品;他のクラスに包含されないそれらの処理)
要約
【課題】
融解性と溶解性を併せ持つことで、冷感を伴った良好な口どけを与える、また積極的な甘味を有さない設計も可能なことで、多くの風味を付与できる、食品素材を提供する。
【解決手段】
20~35℃の融点の油脂を10~40質量%、0.22Mトリクロロ酢酸可溶率(TCA可溶率)が10%以上である大豆たん白素材を粗蛋白質として3~20質量%、および50~80質量%の水を含む水中油型乳化物を、凍結乾燥する。これにより、溶解性の高い大豆たん白素材の骨格に油脂が分散した構造を有した、易融解性食品素材を得ることができる。
【選択図】なし
特許請求の範囲
【請求項1】
20~35℃の融点の油脂を10~40質量%、0.22Mトリクロロ酢酸可溶率(TCA可溶率)が10%以上である大豆たん白素材を粗蛋白質として3~20質量%、および50~80質量%の水を含む水中油型乳化物を、凍結乾燥する、易融解性食品素材の製造方法。
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【請求項2】
水中油型乳化物中に、0.22Mトリクロロ酢酸可溶率(TCA可溶率)が20%以上である粉末状大豆たん白素材を、粗蛋白質として3質量%以上含む、請求項1に記載の、易融解性食品素材の製造方法。
【請求項3】
水中油型乳化物中に、豆乳を50質量%以上含む、請求項1に記載の、易融解性食品素材の製造方法。
【請求項4】
水中油型乳化物が、澱粉を10質量%以下含む、請求項1に記載の、易溶融性食品の製造方法。
【請求項5】
水中油型乳化物が、少糖類および糖アルコール類を5質量%以下含む、請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の、易溶融性食品の製造方法。
【請求項6】
水中油型乳化物が積極的な甘味を有さない、請求項5に記載の、易溶融性食品の製造方法。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、口どけに優れた易溶融解性の食品素材に関する。
続きを表示(約 2,800 文字)
【背景技術】
【0002】
口中で液体化する食品素材は多々ある。典型はチョコレートで、カカオに由来する豊かな風味に加え、カカオバターの融解と砂糖の溶解が合わさり、非常に良好な口どけを与える。一方でカカオに由来する苦みを抑止するために甘味が必須であり、食品素材としての着味のバリエーションは限定される。チョコレートの甘味を抑える検討は行われており、砂糖の一部を糖代替物に置換した塩味チョコレート(特許文献1)や、砂糖をオリゴ糖で置換した低甘味チョコレート(特許文献2,特許文献3)等が報告されている。
【0003】
一方、高油分の水中油型(O/W)乳化物を乾燥する素材も多くある。これらの高油分O/W乾燥物は、一般的には粉末油脂として、種々の食品へ添加するための食品素材として用いる(例えば特許文献4)。
特許文献5は、豆乳と油脂を組み合わせた、水分20~50質量%、油分15~45質量%、澱粉15~40質量%を含む水中油型の乳化物を凍結乾燥するチーズ様スナック食品に関する技術である。また、特許文献6は、高乳化性の蛋白素材を用いて、水相より多量の油相を有するO/W乳化物を低温フライした、固型食品中50質量%以上の大量の油脂を含んだ、滑らかな舌触りを有した食品に関する技術である。特許文献7は、油分が30%以上、水分が20%以下、糖質と蛋白加水分解物を含んだ高油分低水分乳化食品に関する技術である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
特開昭55-96058号公報
特開2019-076012号公報
特開昭61-212245号公報
特開2004-121158号公報
特許第7148029号
WO2024/038767
WO01/058272
特開2012-016348号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
チョコレートは、連続相のカカオバターの融解性(融点で融ける:meltability)に加え、分散相である砂糖の、口中のだ液への溶解性(溶媒に溶ける:solubility)が合わさり、冷感を伴った良好な口どけが達成される。砂糖を他の糖質等で置換することで、砂糖低減や砂糖不使用とする技術はあるが、甘味の一部が残存している。カカオマスを用いないホワイトチョコレートも同様で、低甘味に留まっている(特許文献3)。
水中油型乳化物を乾燥させた特許文献5の技術は、適度な歯ごたえを伴うスナックの代替物である。また特許文献6の技術は、高度に乳化性を有したたん白素材を前提に液油を利用する技術であり、その食感物性はスナックを模したものである。何れも、冷感を伴った良好な口どけを与える物性ではない。特許文献7はチョコレート様の食感を与えるものであるが、液糖等の糖質を必須とする。
本発明の目的は、融解性と溶解性を併せ持つことで、冷感を伴った良好な口どけを与える、また積極的な甘味を有さない設計も可能なことで、多くの風味を付与できる、食品素材を提供することにある。好ましくは、積極的な甘味を有さない食品素材を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、上記の課題に対して鋭意研究を重ねた結果、特定の融点を有した油脂と、特定の0.22Mトリクロロ酢酸可溶率(TCA可溶率)を有した大豆たん白素材を組み合わせた水中油型乳化物を凍結乾燥することで、溶解性の高い大豆たん白素材の骨格に油脂が分散した構造となり、上記課題を達成することを見出し、本発明を完成させた。
【0007】
即ち、本発明は
(1)20~35℃の融点の油脂を10~40質量%、0.22Mトリクロロ酢酸可溶率(TCA可溶率)が10%以上である大豆たん白素材を粗蛋白質として3~20質量%、および50~80質量%の水を含む水中油型乳化物を、凍結乾燥する、易融解性食品素材の製造方法。
(2)水中油型乳化物中に、0.22Mトリクロロ酢酸可溶率(TCA可溶率)が20%以上である粉末状大豆たん白素材を、粗蛋白質として3質量%以上含む、(1)に記載の、易融解性食品素材の製造方法。
(3)水中油型乳化物中に、豆乳を50質量%以上含む、(1)に記載の、易融解性食品素材の製造方法。
(4)水中油型乳化物が、澱粉を10質量%以下含む、(1)に記載の、易溶融性食品の製造方法。
(5)水中油型乳化物が、少糖類および糖アルコール類を5質量%以下含む、(1)乃至(4)のいずれかに記載の、易溶融性食品の製造方法。
(6)水中油型乳化物が積極的な甘味を有さない、(5)に記載の、易溶融性食品の製造方法。
に関するものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、融解性と溶解性を併せ持つ組成により、冷感を伴った良好な口どけを与え、かつ積極的な甘味を有さない設計も可能な、食品素材を得ることができる。好ましくは、甘味を有さない食品素材である。またこの素材は、一般的なチョコレートを遥かにしのぐ高い耐熱性も有している。
【図面の簡単な説明】
【0009】
凍結乾燥試料をオーブンで加熱した際の、加熱前(左)、加熱後(右)の状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
(油脂)
本発明で使用する油脂は、20~35℃の融点を有する。また10℃の固体脂含量(SFC)が70%を超える油脂が好ましい。低温での固体脂含量が高いと融解熱が大きく、口中での冷感を増強する。具体的には、ヤシ油,パーム核油,パーム油,カカオバター等の油脂が挙げられるが、これに限られない。大豆油,菜種油,ヒマワリ油,紅花油,コーン油,米糠油,綿実油,オリーブ油,藻類油等々も含めた植物性油脂や、乳脂,豚脂および魚油等の動物性油脂についても、エステル交換や水素添加処理等で改質し、あるいは異なる融点を有した油脂を混合して使用しても良い。好ましくはパーム核油またはヤシ油であり、最も好ましくはヤシ油である。
油脂は後述する水中油型乳化物中に10~40質量%含まれる必要がある。好ましくは20~40質量%である。油脂がこの融点の範囲およびこの量の範囲にあれば、口中で容易に融解し、冷感を伴った良好な口どけを与える物性となる。尚、SFCの測定は、Bruker社製「minispec mq20」等を使用して、IUPAC2.150a(Solid Content Determination in Fats by NMR)に準じて行うことができる。
(【0011】以降は省略されています)
この特許をJ-PlatPat(特許庁公式サイト)で参照する
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