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公開番号
2025115378
公報種別
公開特許公報(A)
公開日
2025-08-06
出願番号
2025002801
出願日
2025-01-08
発明の名称
細菌性植物病害の防除方法
出願人
雪印種苗株式会社
代理人
弁理士法人お茶の水内外特許事務所
主分類
A01N
65/20 20090101AFI20250730BHJP(農業;林業;畜産;狩猟;捕獲;漁業)
要約
【課題】細菌性植物病害の防除方法を提供すること。
【解決手段】作物の植え付け前または栽培中の土壌に、ヘアリーベッチ(学名:Vicia villosa)を栽培する細菌性植物病害の防除方法。
【選択図】図1
特許請求の範囲
【請求項1】
作物の植え付け前または栽培中の土壌に、ヘアリーベッチ(学名:Vicia villosa)を栽培することを特徴とする細菌性植物病害の防除方法。
続きを表示(約 620 文字)
【請求項2】
ヘアリーベッチ根浸出液を用いることを特徴とする請求項1に記載の防除方法。
【請求項3】
栽培したヘアリーベッチを土壌中に鋤き込まないことを特徴とする請求項1または2に記載の防除方法。
【請求項4】
細菌性植物病害が、Ralstonia属、Pseudomonas属、Xanthomonas属、Pectobacterium属、Streptomyces属からなる群より選択される1以上による病害であることを特徴とする請求項1または2に記載の防除方法。
【請求項5】
細菌性植物病害が、Ralstonia solanacearum、Pseudomonas cannabina、Pseudomonas syringae、Xanthomonas campestris、Pectobacterium carotovorum、Streptomyces turgidisabies、Streptomyces ipomoeaeからなる群より選択される1以上による病害であることを特徴とする請求項1または2に記載の防除方法。
【請求項6】
細菌性植物病害が、ナス科青枯病、アブラナ科黒斑細菌病、キャベツ黒腐病、カボチャ果実斑点細菌病、野菜類軟腐病、ジャガイモそうか病、サツマイモ立枯病からなる群より選択される1以上であることを特徴とする請求項1または2に記載の防除方法。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、細菌性植物病害の防除方法に関する。
続きを表示(約 3,000 文字)
【背景技術】
【0002】
病原性細菌による農作物病害(植物病害)の防除は、全世界の農業関係者にとって非常に重要な課題であり、耕種的防除や殺菌消毒剤の使用などによる対応がなされている。しかし、細菌性植物病害の中には、このような耕種的防除や殺菌消毒剤等を用いても防除が困難であるものが存在する。
【0003】
例えば、野菜類青枯病は、土壌中に生息する細菌であるラルストニア・ソラナセラム(Ralstonia solanacearum)によって引き起こされる土壌伝染性病害である。トマト、ナス、ピーマン、バレイショ等のナス科植物は、この青枯病菌に感染すると、植物全体が急速に萎凋し、最後には枯死するため、作物の生産性に大きく影響する。また、本菌は、熱帯、亜熱帯、温帯地域を中心に世界各地に分布し、ナス科植物を中心に200種以上の作物が感染して被害を受けることから、青枯病は農業場面における深刻かつ重要な問題の一つである。
これまでに多くの青枯病防除方法が考案されており、例えば化学農薬の使用や太陽光消毒、還元消毒などの土壌消毒、抵抗性台木の品種育成等が行われている。しかし、土壌消毒等によって土壌近くの菌の殺菌は可能であるが、青枯病菌は土壌深部(50cm~1m位)において長期間生存可能であるため、このような深さまで届く土壌殺菌剤等が存在しないこともあり、完全に土壌中から本菌を排除することは困難である。また、抵抗性品種については抵抗性が完全ではなく、環境条件によっては効果が不十分なことがある。さらに、青枯病抵抗性誘導剤(非特許文献1)などの提案もされているが、これも十分な効果を奏するものではない。
【0004】
例えば、アブラナ科の黒腐病は、キサントモナス・キャンペストリス パソバ キャンペストリス(Xanthomonas campestris pv.campestris)によって引き起こされる細菌性の病害であり、キャベツ、ダイコン、ハクサイ、カブなどの多くのアブラナ科作物を侵す。黒腐病が発病すると、葉縁から中央に向かってV字型の黄色病斑を生じ、被害が甚大になると著しく商品価値を低下させる。防除対策として抵抗性品種を利用することが挙げられるが、抵抗性品種ですべての作型を網羅することは難しく、防除が困難な病害である。
【0005】
例えば、アブラナ科黒斑細菌病は、シュードモナス・シリンゲ パソバ マクリコーラ(Pseudomonas syringe pv. maculicola)およびシュードモナス・カンナビナ パソバ アリサレンシス(Pseudomonas cannabina pv. Alisalensis)によって引き起こされる細菌性病害であり、ほとんどのアブラナ科野菜を侵し、特にハクサイ、ダイコン、キャベツに被害が大きい。この黒斑細菌病菌に感染すると、ダイコンでは根部表面および内部が褐変し、ハクサイ、キャベツでは葉に水浸状の斑点が発生し、著しく商品価値を低下させる。現在の防除方法は、銅剤や抗生物質などの殺菌剤が広く使用されているが、すでに抗生物質と銅剤に対する耐性菌の出現が報告されている。よって殺菌剤に代わる防除方法の開発が急務の課題となっている。
【0006】
例えば、ペクトバクテリウム・カロトヴォルム(Pectobacterium carotovorum)は、野菜、花き、ジャガイモ、樹木などきわめて広い範囲の作物や雑草を侵し、軟腐病を引き起こす土壌伝染性細菌病である。また、収穫後のポストハーベスト病害としても問題になる。防除法としては、圃場の排水対策、雨よけ栽培、銅剤および抗生物質剤による化学的防除が主となる。また、非病原化した軟腐病原菌株を生物農薬として施用する方法が利用されているが、未耕作地を含む環境中に広く分布するために、根絶することが困難とされている。
【0007】
例えば、ジャガイモそうか病は、ストレプトマイセス(Streptomyces spp.)によって引き起こされる重要病害の一つであり、ジャガイモ、テンサイ、ダイコン、カブ、ニンジンなどの根菜類にそうか病斑を生じさせる。本病原菌は土壌中に長年にわたり腐生的に生存して土壌伝染するほか、種いもにも伝染する。特に、塊茎形成期に20℃以上と地温が高く、乾燥すると多発する。また、pH5.2以上で発生し、pH6.5以上で多発するため、石灰資材を多用すると発生しやすい。防除対策としては無病種いもの使用、種いもの消毒、土壌消毒、土壌酸度調整資材を利用してpH5.2未満にするなどが挙げられる。また、塊茎形成期から約1か月間、土壌pH2.3を目安に灌水すると防除できるとの報告もある。
また、ヘアリーベッチを休閑緑肥として栽培し、鋤き込むことでばれいしょそうか病を2年1作体系ではわずかに、3年1作体系では有意に抑制できるという報告(非特許文献2)があるが、1年間または2年間、じゃがいもの作付をできないことから利用は阻まれている。
【0008】
その他、細菌性植物病害の防除方法としては、様々な技術が報告されている。例えば、フェニルアセトニトリル誘導体による植物の免疫を誘導する方法(特許文献1)、非病原性キサントモナス属細菌株による微生物を利用した防除方法(特許文献2)、クオラムセンシング阻害剤のような抗菌物質を利用した防除方法(特許文献3)、拮抗細菌を用いた生物防除(非特許文献3、4)、土壌還元消毒(非特許文献5、6)などが報告されている。
【0009】
一方、近年では緑肥を栽培する技術が発達してきている。従来、緑肥は休耕期間の圃場に任意の作物を栽培し、鋤き込みを行うことによって圃場中に有機態窒素を含む有機物を補給することが目的とされてきた。しかしながら、近年では様々な作物の病虫害対策としても使用されてきている。特に、特定の緑肥を栽培し、鋤き込みを行うと、対象となる土壌病害の発生を軽減・抑制することが明らかにされてきている。
【0010】
例えば、ヘアリーベッチ植物体の地上部および根中にはシアナミドが含まれることが報告(非特許文献7)されているが、シアナミドは、Bacillus cubonianus,Bacteirum mori,Bacterium moricolum,Rlastronia solanacearumといった植物病原菌を抑制することが報告(非特許文献8、9(49ページ))されている。また、植物が含むフタル酸ビス(2-エチルへキシル)、フタル酸ジエチル、p-ヒドロキシ安息香酸が、Rhizobium
vitis,Bacillus subtilisを抑制する報告(非特許文献10)がなされている。
しかし、いずれも植物体から成分の抽出を必須とする技術であり、栽培することのみで病害を抑制した報告はない。このことはすなわち、病害抑制効果を得るために緑肥栽培期間、腐熟期間を確保する必要があることを意味する。通常、緑肥は栽培期間として1~6カ月、鋤き込み作業、腐熟期間2週間~1か月を必要とすることから、経済性の面で課題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
(【0011】以降は省略されています)
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