TOP特許意匠商標
特許ウォッチ Twitter
公開番号2024145778
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-10-15
出願番号2023058271
出願日2023-03-31
発明の名称ナノ粒子スクリーニングシステム、ナノ粒子スクリーニング方法およびプログラム
出願人三菱マテリアル株式会社,国立研究開発法人物質・材料研究機構
代理人個人,個人,個人,個人
主分類B82B 3/00 20060101AFI20241004BHJP(ナノテクノロジー)
要約【課題】所望の光学特性を有するナノ粒子の設計を支援する。
【解決手段】ナノ粒子スクリーニングシステムは、所望の光学特性を有するナノ粒子を構成するコアおよび複数層のシェルの材料として用いられる複数の材料をベイズ最適化により選定する材料選定部と、組合せ最適化を用いてコアおよび複数層のシェルの構造を選定し材料選定部によって選定された複数の材料をコアと複数層のシェルのそれぞれとに適用する組み合わせ処理部とを備え、材料選定部は光学特性と複数の材料との組を第1学習データとして用いた機械学習を行うことによって作成される予測モデルを用いて複数の材料を選定し、組み合わせ処理部は複数の材料等とコアおよび複数層のシェルの構造ならびにコアおよび複数層のシェルのそれぞれに対する複数の材料の適用との組を第2学習データとして用いた機械学習を行い、材料選定部による選定と組み合わせ処理部による処理とが交互に繰り返し行われる。
【選択図】図1
特許請求の範囲【請求項1】
所望の光学特性を有するナノ粒子を構成するコアおよび複数層のシェルの材料として用いられる複数の材料をベイズ最適化により選定する材料選定部と、
組合せ最適化を用いることによって、コアおよび複数層のシェルの構造を選定すると共に、前記材料選定部によって選定された複数の材料を、コアと、複数層のシェルのそれぞれとに適用する組み合わせ処理部とを備え、
前記材料選定部は、光学特性と複数の材料との組を第1学習データとして用いた機械学習を行うことによって予測モデルを作成し、前記予測モデルを用いて複数の材料を選定し、
前記組み合わせ処理部は、光学特性および複数の材料と、コアおよび複数層のシェルの構造、ならびに、コアおよび複数層のシェルのそれぞれに対する複数の材料の適用との組を第2学習データとして用いた機械学習を行い、
前記材料選定部による選定と、前記組み合わせ処理部による処理とが交互に繰り返し行われ、
前記材料選定部による選定の2回目以降の実行時には、前記組み合わせ処理部による処理の結果が前記第1学習データに追加された機械学習が行われ、
前記材料選定部の2回目以降の機械学習に用いられる前記第1学習データには、前記組み合わせ処理部によって選定されたコアおよび複数層のシェルの構造を有し、かつ、前記組み合わせ処理部によってコアと複数層のシェルのそれぞれとに複数の材料が適用されたナノ粒子が有する光学特性を示す情報が含まれ、
前記材料選定部の2回目以降の機械学習では、前記第1学習データとして、前記組み合わせ処理部によって選定されたコアおよび複数層のシェルの構造を有し、かつ、前記組み合わせ処理部によってコアと複数層のシェルのそれぞれとに複数の材料が適用されたナノ粒子が有する光学特性であって前記所望の光学特性に最も近い光学特性と、そのナノ粒子を構成する複数の材料との組が用いられる、
ナノ粒子スクリーニングシステム。
続きを表示(約 2,700 文字)【請求項2】
前記組み合わせ処理部によって選定されたコアおよび複数層のシェルの構造を有し、かつ、前記組み合わせ処理部によってコアと複数層のシェルのそれぞれとに、前記材料選定部によって選定された複数の材料が適用されたナノ粒子である評価対象ナノ粒子が有する光学特性の評価を行う性能評価部を備え、
前記性能評価部は、前記評価対象ナノ粒子が有する光学特性の分光スペクトルと、前記所望の光学特性の分光スペクトルとの差異を、1次元の値によって評価した値である性能指数を算出する性能指数算出部を備える、
請求項1に記載のナノ粒子スクリーニングシステム。
【請求項3】
前記性能指数算出部は、
透過スペクトル図において、前記透過スペクトル図の横軸と、前記評価対象ナノ粒子が有する光学特性の透過スペクトル曲線とによって囲まれる部分の面積に基づいて前記性能指数を算出する、
請求項2に記載のナノ粒子スクリーニングシステム。
【請求項4】
前記材料選定部は、
説明変数として、前記材料選定部によって選定される複数の材料のそれぞれの光学定数を用い、
前記性能評価部によって光学特性の評価が行われる波長範囲を5~20分割し、
5~20分割された波長範囲毎に値が異なる光学定数を組み合わせて説明変数とする、
請求項2に記載のナノ粒子スクリーニングシステム。
【請求項5】
前記材料選定部は、
説明変数として、前記材料選定部によって選定される複数の材料のそれぞれの光学定数を用い、
前記性能評価部によって光学特性の評価が行われる波長範囲内の各波長の光学定数の値の平均値を説明変数とする、
請求項2に記載のナノ粒子スクリーニングシステム。
【請求項6】
前記組み合わせ処理部は、FM(Factorization Machine)を用いた組合せ最適化を行う、
請求項1に記載のナノ粒子スクリーニングシステム。
【請求項7】
所望の光学特性を有するナノ粒子を構成するコアおよび複数層のシェルの材料として用いられる複数の材料をベイズ最適化により選定する材料選定ステップと、
組合せ最適化を用いることによって、コアおよび複数層のシェルの構造を選定すると共に、前記材料選定ステップにおいて選定された複数の材料を、コアと、複数層のシェルのそれぞれとに適用する組み合わせ処理ステップとを備えるナノ粒子スクリーニング方法であって、
前記材料選定ステップでは、光学特性と複数の材料との組を第1学習データとして用いた機械学習を行うことによって予測モデルが作成され、前記予測モデルを用いて複数の材料が選定され、
前記組み合わせ処理ステップでは、光学特性および複数の材料と、コアおよび複数層のシェルの構造、ならびに、コアおよび複数層のシェルのそれぞれに対する複数の材料の適用との組を第2学習データとして用いた機械学習が行われ、
前記材料選定ステップにおける選定と、前記組み合わせ処理ステップにおける処理とが交互に繰り返し行われ、
前記材料選定ステップにおける選定の2回目以降の実行時には、前記組み合わせ処理ステップにおける処理の結果が前記第1学習データに追加された機械学習が行われ、
前記材料選定ステップにおける2回目以降の機械学習に用いられる前記第1学習データには、前記組み合わせ処理ステップにおいて選定されたコアおよび複数層のシェルの構造を有し、かつ、前記組み合わせ処理ステップにおいてコアと複数層のシェルのそれぞれとに複数の材料が適用されたナノ粒子が有する光学特性を示す情報が含まれ、
前記材料選定ステップにおける2回目以降の機械学習では、前記第1学習データとして、前記組み合わせ処理ステップにおいて選定されたコアおよび複数層のシェルの構造を有し、かつ、前記組み合わせ処理ステップにおいてコアと複数層のシェルのそれぞれとに複数の材料が適用されたナノ粒子が有する光学特性であって前記所望の光学特性に最も近い光学特性と、そのナノ粒子を構成する複数の材料との組が用いられる、
ナノ粒子スクリーニング方法。
【請求項8】
コンピュータに、
所望の光学特性を有するナノ粒子を構成するコアおよび複数層のシェルの材料として用いられる複数の材料をベイズ最適化により選定する材料選定ステップと、
組合せ最適化を用いることによって、コアおよび複数層のシェルの構造を選定すると共に、前記材料選定ステップにおいて選定された複数の材料を、コアと、複数層のシェルのそれぞれとに適用する組み合わせ処理ステップとを実行させるためのプログラムであって、
前記材料選定ステップでは、光学特性と複数の材料との組を第1学習データとして用いた機械学習を行うことによって予測モデルが作成され、前記予測モデルを用いて複数の材料が選定され、
前記組み合わせ処理ステップでは、光学特性および複数の材料と、コアおよび複数層のシェルの構造、ならびに、コアおよび複数層のシェルのそれぞれに対する複数の材料の適用との組を第2学習データとして用いた機械学習が行われ、
前記材料選定ステップにおける選定と、前記組み合わせ処理ステップにおける処理とが交互に繰り返し行われ、
前記材料選定ステップにおける選定の2回目以降の実行時には、前記組み合わせ処理ステップにおける処理の結果が前記第1学習データに追加された機械学習が行われ、
前記材料選定ステップにおける2回目以降の機械学習に用いられる前記第1学習データには、前記組み合わせ処理ステップにおいて選定されたコアおよび複数層のシェルの構造を有し、かつ、前記組み合わせ処理ステップにおいてコアと複数層のシェルのそれぞれとに複数の材料が適用されたナノ粒子が有する光学特性を示す情報が含まれ、
前記材料選定ステップにおける2回目以降の機械学習では、前記第1学習データとして、前記組み合わせ処理ステップにおいて選定されたコアおよび複数層のシェルの構造を有し、かつ、前記組み合わせ処理ステップにおいてコアと複数層のシェルのそれぞれとに複数の材料が適用されたナノ粒子が有する光学特性であって前記所望の光学特性に最も近い光学特性と、そのナノ粒子を構成する複数の材料との組が用いられる、
プログラム。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、ナノ粒子スクリーニングシステム、ナノ粒子スクリーニング方法およびプログラムに関する。
特には、本発明は、構成物質や構造で光学特性を調整できるナノ粒子で、所望の光学特性をもつナノ粒子を構成する材料・構造を効率的にスクリーニングするための手法に関する。
続きを表示(約 1,800 文字)【背景技術】
【0002】
粒径が数十~数百ナノメートルの粒子(以降「ナノ粒子」あるいは「ナノシェル粒子」と称する)は、紫外~可視~近赤外域の光に応答する材料として、特にプラズモン共鳴を利用して特定の波長で強く光を吸収する用途等で、利用されている。用途に応じて要求される光学特性(波長ごとの吸収、散乱、透過)が異なるために、用途毎に所望の光学特性を持つ材料が種々開発され、用いられている。
特許文献1には、波長550nmの光の透過率が低く、波長365nmの光の透過率が高いナノ粒子の製造方法について記載されている。
【0003】
近年、機械学習技術が、材料開発に広く用いられるようになっている。例えば、材料開発の課題において、ガラスの組成と物性に対してガウス過程回帰を用いた機械学習モデルで物性を予測する技術が特許文献2に記載されている。
【0004】
材料開発の課題を組合せ最適化問題として扱い、量子アニーリングを用いてより良い組合せの材料を探索する方法が、例えば非特許文献1において提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
特開2020-180036号公報
特開2022-065466号公報
【非特許文献】
【0006】
K.Kitai et al., Designing metamaterials with quantum annealing and factorization machines, Physical Review Research, Vol.2, 013319 (2020)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1に記載された技術では、ナノ粒子が光学材料として利用されている。ナノ粒子は、更に外層に異なる物質を1層以上コーテイングすることで、用途に応じた更に優れた光学特性を持った材料とすることもできる。そのような材料を見出す際には、従来からの経験を基にして、粒子の設計・選定を行う。しかし、従来に取り扱ったことがないような光学特性、ナノ粒子構造、原料を対象とする場合は、候補となる組み合わせが多くなり、所望とする光学特性をもつナノ粒子を、効率的に設計できない、といった問題があった。また、光学特性は通常波長依存性を持つが、その評価方法として特定の波長のみ(例えば代表波長2点における光学特性の比)に注目して評価が行われていたため、対象とする波長域全体に対して、最適な光学特性をもったナノ粒子の選定が、十分に行われていなかった。
【0008】
特許文献2に記載された技術では、取得済みのデータを基に、未取得な材料の特性を予測できる機械学習モデルを作り、ベイズの理論に基づいて、最適な材料を効率的に探索する方法が用いられる。特許文献2に記載された方法では、候補となる材料すべてに対して予測モデルを使った特性予測を行う必要がある。一方、候補対象の数が膨大な場合、特許文献2に記載された方法では、予測に時間がかかりすぎてしまうといった問題があった。また、予測に基づきデータを取得した場合、再度モデルを作り直すことが一般的であり、候補材料が膨大な場合は、このプロセスに膨大な時間を要するといった課題があった。
【0009】
非特許文献1に記載された技術では、FM(Factorization machine)と呼ばれる回帰手法を使うことで、量子アニーリングやシミュレーテッドアニーリングと呼ばれる解法を利用し、候補とする材料の数が膨大な場合も組合せ最適化問題として材料設計ができるようになった。しかし、FMによる機械学習モデルは、課題によってはモデルの精度が十分ではなく、効率的に材料の探索が行えないといった課題があった。また、非特許文献1に記載された手法は、データベースからのスクリーニングには適していない手法であった。
【0010】
上述した点に鑑み、本発明は、所望の光学特性を有するナノ粒子の設計を支援することができるナノ粒子スクリーニングシステム、ナノ粒子スクリーニング方法およびプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
(【0011】以降は省略されています)

この特許をJ-PlatPat(特許庁公式サイト)で参照する

関連特許

三菱マテリアル株式会社
ナノ粒子スクリーニングシステム、ナノ粒子スクリーニング方法およびプログラム
12か月前
国立研究開発法人物質・材料研究機構
医療用センサー、分子機械、及び、コントローラー付きプログラマブルナノロボット
1か月前
合同会社IP技研
尿吸収パッド
11か月前
栗田工業株式会社
ボイラ水処理装置および処理方法
3か月前
日立GEニュークリア・エナジー株式会社
金属キャスクの補修溶接方法
9か月前