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公開番号2024093885
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-07-09
出願番号2022210517
出願日2022-12-27
発明の名称ボイラシステム
出願人三浦工業株式会社
代理人個人,個人
主分類F22B 35/00 20060101AFI20240702BHJP(蒸気発生)
要約【課題】蒸気使用量と余剰のBOG燃料の発生量とに対して適切な制御モードによってBOG燃料の燃焼及び船内の要求に応じた蒸気供給が可能なボイラシステムを実現することにある。
【解決手段】蒸気圧力優先制御モードM1またはBOG燃焼制御モードM2のうち一方を設定可能なモード設定部19と、ボイラ10の燃焼を制御する制御部20と、を有するボイラシステム1である。制御部20は、蒸気圧力優先制御モードM1が設定された場合、蒸気圧力検知部14によって検知される蒸気圧力Pwが所定の蒸気圧力Pwtになるように、気体燃料流量調整部3及び液体燃料流量調整部7のうち少なくとも一方を調整する。制御部20は、BOG燃焼制御モードM2が設定された場合、気体燃料圧力検知部13によって検知されるBOG圧力Pbが所定のBOG圧力Pwtよりも高いBOGがボイラ10に供給されるように、気体燃料流量調整部3を調整する。
【選択図】図1
特許請求の範囲【請求項1】
液化ガス貯蔵タンクと、前記液化ガス貯蔵タンクから排出されるボイルオフガスが流れるフリーフローラインとを備えた船舶に搭載されるボイラシステムであって、
前記ボイラシステムは、
ボイルオフガスを含む気体燃料と液体燃料とを燃焼できるボイラと、
前記ボイラに供給されるボイルオフガスを含む気体燃料の圧力を検知する気体燃料圧力検知部と、
前記ボイラに供給されるボイルオフガスを含む気体燃料の流量を調整する気体燃料流量調整部と、
前記ボイラにおいて発生する蒸気の圧力を検知する蒸気圧力検知部と、
前記ボイラに供給される液体燃料の流量を調整する液体燃料流量調整部と、
前記ボイラにおける蒸気の発生を優先する蒸気圧力優先制御モード及び前記ボイラにおけるボイルオフガスを含む気体燃料の燃焼処理を優先するボイルオフガス燃焼制御モードのうちいずれか一つの制御モードを設定可能なモード設定部と、
前記ボイラの燃焼を制御する制御部と、を有し、
前記制御部は、
前記モード設定部によって前記蒸気圧力優先制御モードが設定された場合、前記蒸気圧力検知部によって検知される蒸気圧力が所定の蒸気圧力になるように、前記気体燃料流量調整部または前記液体燃料流量調整部のうち少なくとも一方を調整し、
前記モード設定部によって前記ボイルオフガス燃焼制御モードが設定された場合、前記気体燃料圧力検知部によって検知される圧力が所定のボイルオフガス圧力以上のボイルオフガスを含む気体燃料を前記ボイラに供給するように、前記気体燃料流量調整部を調整する、
ボイラシステム。
続きを表示(約 2,000 文字)【請求項2】
請求項1に記載のボイラシステムであって、
前記モード設定部は、
液体燃料のみを前記ボイラで燃焼させる液体燃料燃焼モード、ボイルオフガスを含む気体燃料を前記ボイラで燃焼させる気体燃料燃焼モード及び液体燃料とボイルオフガスを含む気体燃料との両方の燃料を前記ボイラで混焼させる混焼モードのうちいずれか一つの燃焼モードを設定可能に構成され、
前記制御部は、
前記蒸気圧力優先制御モードにおいて、前記モード設定部によって前記液体燃料燃焼モードが設定されている際に、前記液体燃料流量調整部によって前記ボイラに液体燃料が適切な状態で供給できない場合、前記液体燃料流量調整部による前記ボイラへの液体燃料の供給を停止し、
前記蒸気圧力優先制御モードにおいて、前記モード設定部によって前記混焼モードが設定されている際に、前記液体燃料流量調整部によって前記ボイラに液体燃料が適切な状態で供給できない場合、前記液体燃料流量調整部による前記ボイラへの液体燃料の供給を停止し且つ前記気体燃料流量調整部による前記ボイラへのボイルオフガスを含む気体燃料の供給に切り替え、
前記蒸気圧力優先制御モードにおいて、前記モード設定部によって前記混焼モードが設定されている際に、前記気体燃料流量調整部によって前記ボイラにボイルオフガスを含む気体燃料が適切な状態で供給できない場合、前記気体燃料流量調整部による前記ボイラへのボイルオフガスを含む気体燃料の供給を停止し且つ前記液体燃料流量調整部による前記ボイラへの液体燃料の供給に切り替え、
前記蒸気圧力優先制御モードにおいて、前記モード設定部によって前記気体燃料燃焼モードが設定されている際に、前記気体燃料流量調整部によって前記ボイラにボイルオフガスを含む気体燃料が適切な状態で供給できない場合、前記気体燃料流量調整部による前記ボイラへのボイルオフガスを含む気体燃料の供給を停止し且つ前記液体燃料流量調整部による前記ボイラへの液体燃料の供給に切り替える、
ボイラシステム。
【請求項3】
請求項2に記載のボイラシステムであって、
前記制御部は、
前記モード設定部によって前記混焼モードが設定された場合、液体燃料の供給量が所定値に維持されるように前記液体燃料流量調整部を調整し、且つ蒸気圧力が前記所定の蒸気圧力になるように前記気体燃料流量調整部を調整する、
ボイラシステム。
【請求項4】
請求項1に記載のボイラシステムであって、
前記ボイラに供給される燃焼用空気の流量を調整する空気流量調整部と、
前記ボイラの排ガスにおける酸素濃度を検知する酸素濃度検知部と、を更に有し、
前記制御部は、
前記モード設定部によって前記ボイルオフガス燃焼制御モードが設定された場合、前記酸素濃度検知部によって検知される前記ボイラの排ガスの酸素濃度が所定の酸素濃度になるように、前記空気流量調整部を調整する、
ボイラシステム。
【請求項5】
請求項1に記載のボイラシステムであって、
前記ボイラに供給される燃焼用空気の流量を調整する空気流量調整部と、
前記ボイラの排ガスにおける酸素濃度を検知する酸素濃度検知部と、を更に有し、
前記モード設定部は、
不活性ガスを含むボイルオフガスを前記ボイラで所定の空気比で燃焼処理する空気比制御モードを設定可能に構成され、
前記制御部は、
前記モード設定部によって前記空気比制御モードが設定された場合、
前記ボイラにボイルオフガスを含む気体燃料と液体燃料とが供給されるように前記気体燃料流量調整部と前記液体燃料流量調整部とを調整すると共に前記ボイラの排ガスの酸素濃度が所定の酸素濃度になるように前記空気流量調整部を調整する、
ボイラシステム。
【請求項6】
請求項5に記載のボイラシステムであって、
前記制御部は、
ボイルオフガスに含まれる不活性ガスの混合程度を判定する不活性ガス混合判定部を、さらに有し、
前記空気比制御モードにおいて、
不活性ガス混合判定部によりボイルオフガスに含まれる不活性ガスの混合程度が所定値未満であると判定した場合、前記ボイラにボイルオフガスを含む気体燃料のみが供給されるように前記気体燃料流量調整部と前記液体燃料流量調整部とを調整し、
不活性ガス混合判定部によりボイルオフガスを含む気体燃料に含まれる不活性ガスの混合程度が所定値以上であると判定した場合、前記ボイラにボイルオフガスを含む気体燃料と液体燃料とが供給されるように前記気体燃料流量調整部と前記液体燃料流量調整部とを調整する、
ボイラシステム。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、フリーフローラインを流れるボイルオフガスを燃焼処理可能なボイラシステムに関連する。
続きを表示(約 2,400 文字)【背景技術】
【0002】
天然ガスは、船舶によって輸送する場合、大気圧下において約-160℃に冷却することで液化した状態(液化ガス)で輸送されている。このような液化ガスを輸送する船舶は、内部を極低温状態に保持可能な断熱、防熱機能を有する液化ガス貯蔵タンク内に液化ガスを貯蔵して輸送する。しかし、前記液化ガス貯蔵タンク内の液化ガスは、前記液化ガス貯蔵タンク内に侵入した熱によってボイルオフガス(以下、単に「BOG」と記載する。部材名、用語、名称等に含まれている「ボイルオフガス」ついても「BOG」と記載するものとする。)が発生する。BOGの発生によりタンク圧が上昇した前記液化ガス貯蔵タンクは、許容タンク圧に到達する前にBOGを処理する必要がある。特許文献1では、液化ガス貯蔵タンク内で発生したBOGは、圧縮機へ導かれて圧縮され推進用の主ガスエンジン及び船内発電用の副ガスエンジンの燃料として利用されている。また、BOGは、GCUへ供給して燃焼することが可能である。
【0003】
一方、圧縮機を必要とする特許文献1の構成では、設備費用およびランニング費用が増大する。よって、液化ガス貯蔵タンクにおいて発生するBOGをガス焼却装置にフリーフローラインによって供給するためのフリーフローガス供給手段と、タンクから汲み上げた液化ガスを過冷却する液化ガス過冷却装置と、過冷却された液化ガスを前記タンク内に戻す液化ガス噴霧手段とを備えるタンク圧力制御システムが特許文献2に開示されている。特許文献2では、余剰のBOGは、ガス圧縮機を用いずに、液化ガス貯蔵タンク内の圧力で燃料ガスをガス燃焼装置に送るフリーフローガス供給ラインを通して燃焼装置に供給される。しかしながら、特許文献2には、ガス燃焼装置における余剰のBOGの燃焼制御技術に関連する記載はない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
特開2018―48607号公報
特開2019―163804号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
近年のSDGs等への社会的要請の高まりにより、地球温暖化係数が高いメタンなどのBOGを、大気に排出することなく余剰のBOGの発生量に応じて効率的に燃焼処理するボイラシステムが求められている。しかも、ボイラシステムは、燃焼により発生する熱エネルギーを可能な限り有効に活用し、船内の蒸気需要に対して必要な蒸気量を確保しなければならない。
【0006】
本発明の目的は、フリーフローラインを流れる余剰のBOGの発生量と蒸気需要とに対して適切な制御モードによって余剰のBOGの燃焼処理及び船内の要求に応じた蒸気供給が可能なボイラシステムを実現することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一実施形態に係るボイラシステムは、液化ガス貯蔵タンクと、前記液化ガス貯蔵タンクから排出されるBOGが流れるフリーフローラインとを備えた船舶に搭載されるボイラシステムである。前記ボイラシステムは、BOGを含む気体燃料と液体燃料とを燃焼できるボイラと、前記ボイラに供給されるBOGを含む気体燃料の圧力を検知する気体燃料圧力検知部と、前記ボイラに供給されるBOGを含む気体燃料の流量を調整する気体燃料流量調整部と、前記ボイラにおいて発生する蒸気の圧力を検知する蒸気圧力検知部と、前記ボイラに供給される液体燃料の流量を調整する液体燃料流量調整部と、前記ボイラにおける蒸気の発生を優先する蒸気圧力優先制御モード及び前記ボイラにおけるBOGを含む気体燃料の燃焼処理を優先するBOG燃焼制御モードのうちいずれか一つの制御モードを設定可能なモード設定部と、前記ボイラの燃焼を制御する制御部と、を有する。
【0008】
前記制御部は、前記モード設定部によって前記蒸気圧力優先制御モードが設定された場合、前記蒸気圧力検知部によって検知される蒸気圧力が所定の蒸気圧力になるように、前記気体燃料流量調整部及び前記液体燃料流量調整部のうち少なくとも一方を調整する。前記制御部は、前記モード設定部によって前記BOG燃焼制御モードが設定された場合、前記気体燃料圧力検知部によって検知される圧力が所定のBOG圧力以上のBOGを含む気体燃料を前記ボイラに供給するように、前記気体燃料流量調整部を調整する。
【0009】
上述のボイラシステムは、ボイラの蒸気圧力を所定の蒸気圧力に維持する蒸気圧力優先制御モードと、前記ボイラにおいてBOGを燃焼処理させるBOG燃焼制御モードとをモード設定部によって切り替え可能に構成されている。また、前記ボイラシステムは、前記蒸気圧力優先制御モードにおいて、液体燃料及びBOGを含む気体燃料の少なくとも一方を燃焼可能に構成されている。前記ボイラシステムによれば、蒸気供給が必要な(蒸気供給の優先度が高い)場合は、蒸気圧力優先制御モードが設定されることで蒸気圧力を所定の蒸気圧力に維持しつつ、適宜にBOGを燃焼処理することができる。一方、蒸気供給よりもBOG圧力を低下することが必要な(BOG燃焼処理の優先度が高い)場合は、BOG燃焼制御モードが設定されることで、BOGの燃焼量を増加することができる。これにより、フリーフローラインを流れる余剰のBOGの発生量と蒸気需要とに対して適切な制御モードによってBOGの燃焼処理及び前記船内の要求に応じた蒸気供給が可能なボイラシステムを実現することができる。
【0010】
なお、余剰のBOGとは、主機や発電機等のボイラ以外の機器において燃料として利用されないBOG及び再液化によって液化ガス貯蔵タンクに回収されないBOGを含む。
(【0011】以降は省略されています)

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