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公開番号2024087265
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-07-01
出願番号2022201994
出願日2022-12-19
発明の名称洗浄機の溶剤回収方法、洗浄機の溶剤回収装置および洗浄機
出願人株式会社クリンビー
代理人個人
主分類B08B 3/04 20060101AFI20240624BHJP(清掃)
要約【課題】有機溶剤を洗浄剤として用いる洗浄機における溶剤蒸気ロスを実質的に零にできる洗浄機の溶剤回収方法および回収装置を提供すること。
【解決手段】洗浄機1の処理室2から排出される排気は、溶剤回収装置20の縦置き式の溶剤回収タンク21に導入される。溶剤回収タンク21の内部の鉛直方向に長い溶剤回収路22に沿って鉛直方向に流れる排気からは、そこに含まれている溶剤蒸気が自重により降下して、タンク底側には、濃度が高く圧縮状態の溶剤蒸気の層が形成される。この部分の溶剤蒸気が冷却コイルによって冷却されて凝縮して、排気から効率良く分離除去される。洗浄機1の処理室2から大気中に排出される溶剤蒸気を実質的に零にできる。
【選択図】図1
特許請求の範囲【請求項1】
有機溶剤を洗浄剤として用いる洗浄機において発生する溶剤蒸気を含む排気から、前記溶剤蒸気を分離して回収する洗浄機の溶剤回収方法であって、
水平方向に比べて鉛直方向に長い溶剤回収路を配置し、
前記溶剤回収路における少なくとも前記鉛直方向の下端の側の部位に、溶剤冷却部を配置し、
前記溶剤回収路に沿って前記鉛直方向に前記排気を流して、前記排気に含まれる前記溶剤蒸気を、前記溶剤冷却部によって冷却すると共に自重により降下させ、
前記鉛直方向の下端の側の部位に、前記鉛直方向の上端の側の部位に比べて濃度の高い圧縮状態の前記溶剤蒸気の層を形成し、当該溶剤蒸気を、前記溶剤冷却部により冷却凝縮させて前記排気から分離回収し、
前記溶剤回収路の前記鉛直方向の下端側の部位に溜る前記溶剤蒸気が、所定の濃度あるいは圧縮状態となるように、前記溶剤回収路の前記鉛直方向の長さを設定することを特徴とする洗浄機の溶剤回収方法。
続きを表示(約 2,100 文字)【請求項2】
請求項1に記載の洗浄機の溶剤回収方法において、
前記溶剤回収路における前記鉛直方向の下端の側の部位から、前記溶剤蒸気を含む前記排気を前記溶剤回収路に導入し、
前記溶剤回収路に沿って前記鉛直方向に前記排気を上昇させ、
前記溶剤回収路における前記鉛直方向の上端の側の部位から、前記溶剤蒸気が分離除去された後の前記排気を外部に排出する
洗浄機の溶剤回収方法。
【請求項3】
洗浄剤として有機溶剤を用いてワークの洗浄を行う1槽式の洗浄槽あるいは多槽式の洗浄槽を備えた洗浄機から排出される溶剤蒸気を含む排気から前記溶剤蒸気を冷却凝縮により分離して回収する溶剤回収装置であって、
水平方向に比べて鉛直方向に長い溶剤回収路と、
前記溶剤回収路における少なくとも前記鉛直方向の下端の側の部位に配置した溶剤冷却部と、
を備えており、
前記溶剤回収路に沿って前記鉛直方向に流れる前記排気に含まれる前記溶剤蒸気が自重により降下して、前記鉛直方向の下端側の部位に、所定の濃度あるいは圧縮状態の前記溶剤蒸気の層が形成されるように、前記溶剤回収路の前記鉛直方向の長さが設定されていることを特徴とする洗浄機の溶剤回収装置。
【請求項4】
請求項3に記載の洗浄機の溶剤回収装置において、
前記溶剤回収路における前記鉛直方向の下端の側の部位に、前記溶剤蒸気を含む前記排気を導入する導入口が連通しており、
前記溶剤回収路における前記鉛直方向の上端の側の部位に、前記溶剤蒸気が分離除去された後の前記排気を外部に排出する排出口が連通しており、
前記溶剤回収路の下端には、前記溶剤蒸気の凝縮液を外部に排出する溶剤回収口が配置されている洗浄機の溶剤回収装置。
【請求項5】
洗浄剤として有機溶剤を用いてワークの浸漬洗浄および蒸気洗浄を行う1槽式の洗浄槽あるいは多槽式の洗浄槽を備えた洗浄機において、
前記洗浄槽から排出される溶剤蒸気を含む排気から前記溶剤蒸気を分離して回収する溶剤回収装置を備えており、
前記溶剤回収装置は、請求項3または4に記載の溶剤回収装置であることを特徴とする洗浄機。
【請求項6】
請求項5に記載の洗浄機において、
前記洗浄槽での前記蒸気洗浄に用いる溶剤蒸気を発生する蒸気発生器を備えており、
前記溶剤回収装置は、前記洗浄槽および前記蒸気発生器から排出される前記溶剤蒸気を含む排気から前記溶剤蒸気を分離して回収する洗浄機。
【請求項7】
大気側から密閉された状態で、洗浄剤としてフッ素系溶剤を用いてワークの洗浄および乾燥を行うワンバス式の密閉型真空洗浄乾燥機であって、
前記洗浄剤を貯留した貯留槽と、
前記洗浄剤の蒸気を発生する蒸気発生器と、
前記貯留槽から供給される前記洗浄剤を用いたワークの浸漬洗浄、前記蒸気発生器から供給される前記洗浄剤の蒸気を用いたワークの蒸気洗浄、および、洗浄後の前記ワークの真空乾燥を行う真空洗浄乾燥槽と、
前記真空洗浄乾燥槽の真空引きを行う真空ドライポンプと、
前記真空洗浄乾燥槽から前記洗浄剤を前記貯留槽に戻す洗浄剤還流手段と、
前記洗浄剤を蒸留再生する蒸留再生器と、
前記真空乾燥時に前記真空ドライポンプによって前記真空洗浄乾燥槽から排出される排気から、当該排気に含まれている前記溶剤蒸気を分離して回収する溶剤回収装置と、
前記の各部の駆動を制御する制御装置と、
を備えており、
前記溶剤回収装置は、請求項3または4に記載の溶剤回収装置であることを特徴とするワンバス式の密閉型真空洗浄乾燥機。
【請求項8】
請求項7に記載のワンバス式の密閉型真空洗浄乾燥機において、
さらに、圧力吸収タンクを備えており、
前記制御装置は、
前記ワークが投入されて密閉された前記真空洗浄乾燥槽の内圧が、大気圧の状態から所定の真空度となるまで前記真空ドライポンプによって真空引きし、当該真空ドライポンプの排気を大気側に放出する動作制御機能と、
真空引き後の前記真空洗浄乾燥槽に前記圧力吸収タンクを連通させ、前記真空洗浄乾燥槽および前記圧力吸収タンクを前記真空度よりも低い真空度の減圧状態にし、前記圧力吸収タンクを閉じる動作制御機能と、
前記真空洗浄乾燥槽を前記真空ドライポンプによって真空引きすることで行われる前記真空乾燥時には、前記圧力吸収タンクを開き、前記真空洗浄乾燥槽から排出される排気を、大気側に放出せずに、前記溶剤回収装置に通して前記溶剤蒸気を分離した後に前記圧力吸収タンクに回収する動作制御機能と、
を備えており、
前記排気を回収した後の前記圧力吸収タンクの内圧が、大気圧未満の減圧状態に維持されるように、当該圧力吸収タンクの内容積および前記真空度が設定されていることを特徴とするワンバス式の密閉型真空洗浄乾燥機。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、フッ素系溶剤などの有機溶剤を洗浄剤として用いる洗浄機から発生する排気に含まれる溶剤蒸気を回収する洗浄機の溶剤回収方法および溶剤回収装置に関する。また、本発明は、当該溶剤回収装置を備えた洗浄機、特に、大気側から密閉された状態で、洗浄剤としてフッ素系溶剤を用いてワークの洗浄および乾燥を行うワンバス式の密閉型真空洗浄乾燥機に関する。
続きを表示(約 1,900 文字)【背景技術】
【0002】
有機溶剤、例えば、フッ素系溶剤を洗浄剤として用いて各種の電子部品等を洗浄する洗浄機が知られている。このような洗浄機として、本願人はワンバス式真空洗浄機(商品名:FLOVA)を製造販売している(非特許文献1)。ワンバス式真空洗浄機は、従来の3槽式洗浄機によって行われているワークの粗超音波洗浄、仕上げ超音波洗浄、蒸気洗浄および真空乾燥を、ワンバスの中で、溶剤を出し入れしながら全自動で行うものである。洗浄から乾燥まで密閉された同一の洗浄槽の中で行われ、また、ワークの投入、取出しのために洗浄槽を開放した際もフッ素系溶剤が大気に暴露しないので、溶剤蒸気ロスを大幅に削減できる。
【0003】
このような密閉型のワンバス式真空洗浄乾燥機を含め、有機溶剤を用いた洗浄機においては、近年における環境保護の高まりから、機外への溶剤蒸気の流出ロスの更なる低減が要求される。このためには、機外に排出される前に、排気に含まれている溶剤蒸気を確実に分離除去する必要がある。
【0004】
排気から溶剤蒸気を分離除去する方法として、溶剤蒸気を含む排気を、冷却コイルを配置した流路に流して、溶剤蒸気を凝縮温度よりも低温にして冷却コイル表面などに有機溶剤を凝縮させて分離するものが知られている(特許文献1、2、3、4)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
特開平01-115402号公報
特開平04-256471号公報(図3)
特開平03-89984号公報
実開平04-137729号公報
【非特許文献】
【0006】
“フッ素系ワンバス式真空洗浄機 FLOVA”,[online],株式会社クリンビー,[平成4年10月12日検索],インターネット,<URL:https://www.cleanvy.co.jp/businesses/businesses-363/>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ここで、特許文献1の発明が解決しようとする問題点の欄、特許文献2の段落0028において指摘されているように、有機溶剤を冷却して凝縮させることで分離回収する冷却凝縮式の溶剤回収機構は、一般に、溶剤蒸気の凝縮効率が低く、有機溶剤の回収効率が悪い。特許文献3、4においては、有機溶剤の蒸気を含む排気を、吸着分離式の溶剤回収機構および冷却凝縮式の溶剤回収機構の双方に通すことで、有機溶剤蒸気の回収効率を高めている。
【0008】
本発明の目的は、溶剤蒸発ロスを実質的に零にできるように、洗浄機から発生する排気に含まれる溶剤蒸気を、高い効率で、冷却凝縮により分離回収できるようにした洗浄機の溶剤回収方法および溶剤回収装置を提供することにある。
また、本発明の目的は、当該溶剤回収装置により溶剤蒸気を回収することで、溶剤蒸発ロスを実質的に零にできるようにした洗浄機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の目的を達成するために、本発明は、有機溶剤を洗浄剤として用いる洗浄機において発生する溶剤蒸気を含む排気から、前記溶剤蒸気を分離して回収する洗浄機の溶剤回収方法および溶剤回収装置において、
水平方向に比べて鉛直方向に長い溶剤回収路を配置し、
前記溶剤回収路における少なくとも前記鉛直方向の下端の側の部位に、冷却コイル等を備えた溶剤冷却部を配置し、
前記溶剤回収路に沿って前記鉛直方向に前記排気を流して、前記排気に含まれる前記溶剤蒸気を、前記溶剤冷却部によって冷却すると共に自重により降下させ、
前記鉛直方向の下端の側の部位に、前記鉛直方向の上端の側の部位に比べて濃度の高い圧縮状態の前記溶剤蒸気の層を形成し、当該溶剤蒸気を、前記溶剤冷却部による冷却によって凝縮させることで前記排気から分離回収し、
前記溶剤回収路の前記鉛直方向の下端側の部位に溜る前記溶剤蒸気が、所定の濃度あるいは圧縮状態となるように、前記溶剤回収路の前記鉛直方向の長さを設定することを特徴としている。
【0010】
例えば、溶剤回収路における前記鉛直方向の下端の側の部位から、前記溶剤蒸気を含む前記排気を前記溶剤回収路に導入し、前記溶剤回収路に沿って前記鉛直方向に前記排気を上昇させ、前記溶剤回収路における前記鉛直方向の上端の側の部位から、前記溶剤蒸気が分離除去された後の前記排気を外部に排出することが望ましい。
(【0011】以降は省略されています)

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