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公開番号2024069042
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-05-21
出願番号2022179815
出願日2022-11-09
発明の名称プレス成形方法
出願人冨士発條株式会社
代理人個人,個人,個人
主分類B21D 22/20 20060101AFI20240514BHJP(本質的には材料の除去が行なわれない機械的金属加工;金属の打抜き)
要約【課題】長孔状の成形孔を有する複数の金型を用いて複数回のプレス絞り加工工程を行うことで平板から底部を有する筒状の容器を成形する際に、ワークの底部側に歪みが生じてしまうことを抑制できるプレス成形方法を提供する。
【解決手段】第1のプレス絞り加工工程は、長孔状の第1の成形孔73Aを有する第1の金型を用いて行われ、最終回以外の少なくともいずれかのプレス絞り加工工程として構成される。第2のプレス絞り加工工程は、長孔状の第2の成形孔73Bを有する第2の金型を用いて行われ、第1のプレス絞り加工工程の次のプレス絞り加工工程として構成される。第1の成形孔73Aは、第2の成形孔73Bよりも、長手方向Xに垂直な幅方向Yの寸法が大きく形成され、長手方向Xにおける両端側から中央側にかけて幅方向Yの内側に向かって窄まるように形成されている。
【選択図】図7
特許請求の範囲【請求項1】
長孔状の成形孔を有する複数の金型を用いて複数回のプレス絞り加工工程を行うことで平板から底部を有する筒状の容器を成形するプレス成形方法であって、
長孔状の前記成形孔としての第1の成形孔を有する第1の金型を用いて行われ、前記複数回のプレス絞り加工工程のうちから最終回のプレス絞り加工工程を除いたプレス絞り加工工程のうちの少なくともいずれかのプレス絞り加工工程として構成される第1のプレス絞り加工工程と、
長孔状の前記成形孔としての第2の成形孔を有する第2の金型を用いて行われ、前記複数回のプレス絞り加工工程のうちの前記第1のプレス絞り加工工程の次のプレス絞り加工工程として構成される第2のプレス絞り加工工程と、を備え、
前記第1の成形孔は、前記第2の成形孔よりも、長孔状に延びる方向である長手方向に垂直な方向である幅方向の寸法が大きく形成され、
前記第1の成形孔は、前記長手方向における両端側から中央側にかけて前記幅方向の内側に向かって窄まるように形成されている、
ことを特徴とするプレス成形方法。
続きを表示(約 250 文字)【請求項2】
前記第1のプレス絞り加工工程は、前記複数回のプレス絞り加工工程のうちの初回のプレス絞り加工工程として構成される、
ことを特徴とする請求項1に記載のプレス成形方法。
【請求項3】
前記第1の成形孔は、前記長手方向における両端側から中央側にかけて前記幅方向の内側に向かって湾曲しながら窄まるとともに、前記長手方向における中央位置において前記幅方向の内側に最も窄まるように形成されている、
ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のプレス成形方法。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、プレス成形方法に関する。
続きを表示(約 3,600 文字)【背景技術】
【0002】
プレス成形においては、成形孔が設けられたダイとワークをダイの成形孔に押し込むパンチとを備える金型を用いてワークの加工が行われる。そして、断面が長手方向を有する形状で底部を有する筒状の容器を成形する際には、長孔状の成形孔を有する複数の金型を用いて複数回のプレス絞り加工工程を行うことで平板から筒状の容器を成形するプレス成形が行われる。例えば、非特許文献1には、長孔状の成形孔を有する複数の金型を用いて複数回のプレス絞り加工工程を行うことで、平板から断面が略長方形の角筒状の容器を成形するプレス成形方法が開示されている。
【0003】
非特許文献1に開示されているように、長孔状の成形孔を有する複数の金型を用いて複数回のプレス絞り加工工程を行うプレス成形方法が実施されることで、平板から角筒状の容器が成形される。なお、複数回のプレス絞り加工工程を経て成形された容器の形状が製品としての最終形状を規定する場合もあるが、複数回のプレス絞り加工工程を行うプレス成形方法が終了した後に、成形された角筒状の容器に対して更に扱き加工工程が施される場合もある。複数回のプレス絞り加工工程が終了した後に行われる扱き加工工程では、扱き加工用の金型を用い、成形された角筒状の容器に対して、容器の壁部の板厚みを扱いて減厚して製品としての最終形状を規定する扱き加工が行われる。
【0004】
非特許文献1に開示されているように、断面が略長方形の角筒状の容器を成形する際には、複数回のプレス絞り加工工程における最終回以外のプレス絞り加工工程において、直線部がなく外側に楕円状に広がった形状の成形孔を有する金型が用いられる。即ち、製品の最終形状を規定するもしくは製品の最終形状に対応するような形状を規定する最終回のプレス絞り加工工程以外の途中のプレス絞り加工工程においては、金型における長孔状の成形孔の形状は、全周に亘ってなだらかに円弧状につながって楕円状に広がった形状に形成される。
【0005】
長孔状の成形孔を有する金型を用いてプレス絞り加工を行う場合、プレス絞り加工されるワークには、成形孔が長孔状に延びる方向である長手方向の両端側で加工される部分において圧縮力が発生する。一方、長孔状の成形孔における長手方向に沿って延びる部分が直線状に形成されている場合、ワークにおいては、成形孔の長手方向の中央側で加工される部分では、周方向の力が生じずに曲げ加工が施される状態となってしまう。この場合、ワークにおいては、長手方向における両端側で加工される部分から長手方向の中央側で加工される部分に圧縮力が作用する状態となる。即ち、長手方向における両端側で加工される部分で圧縮力が生じることで、その影響により、曲げ加工される状態の長手方向の中央側でも圧縮力が生じることになる。このため、長手方向の中央側で加工される部分において座屈が生じてしわが発生し易くなる。そこで、非特許文献1に開示されているように、最終回以外のプレス絞り加工工程において長孔状の成形孔を有する金型を用いてプレス絞り加工が行われる場合は、全周に亘って外側に楕円状に広がった形状の成形孔の金型が用いられる。楕円状に広がった形状の成形孔の金型が用いられることで、プレス絞り加工されるワークにおいて、長手方向の両端側で加工される部分だけでなく、長手方向の中央側で加工される部分においても、圧縮力が生じることになる。このため、ワークにおいては、周方向の全周に亘って圧縮力が生じることになり、長手方向の中央側で加工される部分において座屈が生じにくくなってしわの発生を抑制することができる。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0006】
吉田弘美著、「プレス加工大全」日刊工業新聞、2015年9月、p.94-95
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
長孔状の成形孔を有する金型を用いて行うプレス絞り加工工程において、楕円状に広がった形状の成形孔の金型が用いられることで、ワークにおいて、周方向の全周に亘って圧縮力を生じさせ、長手方向の中央側における座屈によるしわの発生を抑制することができる。しかし、長手方向の両端側での絞り加工量は大きく、長手方向の両端側から中央側へと材料の塑性流動が生じるため、長手方向の中央側で加工される部分でも周方向の圧縮力が生じている状態では、長手方向の中央側の材料の体積が過剰となる。このため、体積が過剰となった長手方向の中央側の材料は、金型のパンチとダイによって拘束されていないワークの底部側へと塑性流動することになる。これにより、プレス絞り加工後には、ワークにおける長手方向の中央側の部分の底部側に歪みが生じ易いという問題がある。また、複数回のプレス絞り加工工程が終了して成形されたワークである容器において、長手方向の中央側の部分の底部側に歪みが生じると、複数回のプレス絞り加工後に扱き加工工程が行われる場合、容器に対して全体的な歪みや寸法異常が生じることになる。より具体的には、複数回のプレス絞り加工後に長手方向の中央側の部分の底部側に歪みが生じると、その後に扱き加工工程が行われる場合、容器の底部側の部分だけでなく容器の壁部にも歪みが生じ、更に、容器の底部の角部分の寸法異常も生じることになる。したがって、複数回のプレス絞り加工工程を行うプレス成形が実施された後に更に扱き加工工程が行われる場合には、ワークの底部側に歪みがあることで、扱き加工後の容器の壁部の歪みや容器の底部の角部分の寸法異常も発生させてしまうという問題がある。
【0008】
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであり、長孔状の成形孔を有する複数の金型を用いて複数回のプレス絞り加工工程を行うことで平板から底部を有する筒状の容器を成形する際に、ワークの底部側に歪みが生じてしまうことを抑制できるプレス成形方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
(1)本発明のプレス成形方法は、
長孔状の成形孔を有する複数の金型を用いて複数回のプレス絞り加工工程を行うことで平板から底部を有する筒状の容器を成形するプレス成形方法であって、
長孔状の前記成形孔としての第1の成形孔を有する第1の金型を用いて行われ、前記複数回のプレス絞り加工工程のうちから最終回のプレス絞り加工工程を除いたプレス絞り加工工程のうちの少なくともいずれかのプレス絞り加工工程として構成される第1のプレス絞り加工工程と、
長孔状の前記成形孔としての第2の成形孔を有する第2の金型を用いて行われ、前記複数回のプレス絞り加工工程のうちの前記第1のプレス絞り加工工程の次のプレス絞り加工工程として構成される第2のプレス絞り加工工程と、を備え、
前記第1の成形孔は、前記第2の成形孔よりも、長孔状に延びる方向である長手方向に垂直な方向である幅方向の寸法が大きく形成され、
前記第1の成形孔は、前記長手方向における両端側から中央側にかけて前記幅方向の内側に向かって窄まるように形成されている、
ことを特徴とする。
【0010】
上記(1)に記載のプレス成形方法によれば、第1の成形孔は、第2の成形孔の幅方向の寸法よりも大きい幅方向の寸法の範囲で、長手方向における両端側から中央側にかけて幅方向の内側に向かって窄まるように形成されている。これにより、第1のプレス絞り加工工程においては、ワークにおいて、第1の成形孔における長手方向の中央側で加工される部分では第1の成形孔の周方向に引張力が発生する状態となる。このため、ワークにおいて、第1の成形孔の長手方向の中央側で加工される部分で生じる周方向の引張力が、第1の成形孔の長手方向の両端側で加工される部分で生じる圧縮力と対向することになる。これにより、第1の成形孔の長手方向の中央側で加工される材料の体積が過剰となることが抑制され、ワークの底部側へと塑性流動することが抑制される。したがって、ワークにおいて、長手方向の中央側の部分の底部側に歪みが生じてしまうことを抑制することができる。また、上記(1)に記載のプレス成形方法では、長手方向の中央側で加工される部分で生じる周方向の引張力が、長手方向の両端側で加工される部分で生じる周方向の圧縮力と対向するため、長手方向の中央側で加工される部分において座屈も生じにくくしわの発生も抑制することができる。
(【0011】以降は省略されています)

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