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公開番号2024035970
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-03-15
出願番号2022140636
出願日2022-09-05
発明の名称産業資材シート、及びそれを連結してなるテント膜縫製物、防水シート縫製物、並びその廃材の利用方法
出願人平岡織染株式会社
代理人
主分類B32B 27/12 20060101AFI20240308BHJP(積層体)
要約【課題】刻印表示の刻印の深さが浅くても、鮮明、かつ堅牢に表示され、経年でのリサイクル/廃棄の仕分け判断が可能なテント膜縫製物、及び防水シート縫製物の提供と、これら縫製物の刻印表示に基づく廃材の利用方法の提供
【解決手段】布帛の表裏に、軟質塩化ビニル系樹脂被覆層を設けてなる長尺シートに、長手方向の片側端部に周期的に刻印領域Aを形成し、「鏡面凸部(表示部)/梨地凹部(背景)」、「鏡面凹部(表示部)/梨地凸部(背景)」、「梨地凸部(表示部)/鏡面凹部(背景)」、及び「梨地凹部(表示部)/鏡面凸部(背景)」、から選ばれた刻印領域Aを有する産業資材シートとし、これを縫製してテント膜縫製物などとし、刻印領域Aの情報に基づいてこの廃材を防草シートに再利用する。
【選択図】図1
特許請求の範囲【請求項1】
布帛の表裏に、軟質塩化ビニル系樹脂被覆層を設けてなる長尺シートであって、表裏の前記軟質塩化ビニル系樹脂被覆層の何れか一方に刻印領域Aを有し、この刻印領域Aは前記長尺シートの長手方向の片側端部に周期的に形成され、表示部、及び背景からなり、「鏡面凸部(表示部)/梨地凹部(背景)」、「鏡面凹部(表示部)/梨地凸部(背景)」、「梨地凸部(表示部)/鏡面凹部(背景)」、及び「梨地凹部(表示部)/鏡面凸部(背景)」、から選ばれた1パターン以上であることを特徴とする産業資材シート。
続きを表示(約 540 文字)【請求項2】
前記軟質塩化ビニル系樹脂被覆層に架橋ゴムを含み、この層全体にゴム架橋が形成され、このゴム架橋が、ブタジエン系ゴム、イソプレン系ゴム、及びファルネセン系ゴム、から選ばれた1種以上のゴム構造を含む請求項1に記載の産業資材シート。
【請求項3】
前記表示部が、文字、数字、記号、図形(マーク)、から選ばれた1種以上の凹部、または/及び、凸部の集合である請求項1または2に記載の産業資材シート。
【請求項4】
請求項1~3の何れか1項に記載の産業資材シートの端部をラップ連結してなるテント膜縫製物であって、このテント膜縫製物のラップ連結部に刻印領域Bが設けられているテント膜縫製物。
【請求項5】
請求項1~3の何れか1項に記載の産業資材シートの端部をラップ連結してなる防水シート縫製物であって、この防水シート縫製物のラップ連結部に刻印領域Bが設けられている防水シート縫製物
【請求項6】
請求項4に記載のテント膜縫製物の廃材を防草シートに転用するテント膜縫製物廃材の利用方法。
【請求項7】
請求項5に記載の防水シート縫製物の廃材を防草シートに転用する防水シート縫製物廃材の利用方法。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、テント膜構造物用、及び防水シート用の産業資材シート(ターポリン、合成帆布)と、これらの産業資材シートを連結してなるテント膜縫製物(パビリオン、テントハウス、日除けテントなど)及び防水シート縫製物(トラック幌、荷台カバー、野積みシート、フロアシートなど)に関し、特に、出所、品番、材質などの情報が鮮明、かつ堅牢に刻印表示され、リサイクル/廃棄の仕分け判断が容易なテント膜縫製物(テント膜構造物から金属フレームを外したもの)、及び防水シート縫製物、さらにこれら縫製物廃材の刻印表示に基づく廃材利用に関する。
続きを表示(約 3,600 文字)【背景技術】
【0002】
大型テント(パビリオン)、サーカステント、シートハウス、建築空間の膜屋根(天井)、スタジアム日除け屋根などのテント膜構造物には、ポリエステル長繊維糸条による織物に、軟質塩化ビニル樹脂などの熱可塑性樹脂フィルムを積層してなるターポリンが使用され、その多くの色相は景観的に、他の建築物との調和性に富んだ、白、アイボリーなどの淡色系が好まれている。その一方、トラック幌、荷台カバー、シート倉庫、野積みシートなどには、ポリエステル短繊維紡績糸条によるスパン織物に、軟質塩化ビニル樹脂などの熱可塑性樹脂溶液で含浸被覆して、加熱乾燥・固化させた合成帆布が使用され、その多くの色相は汚れの目立ち難いダークグリーン、オリーブドラブ、ネイビーブルーなどの濃色系が主流である。これらターポリンや合成帆布などの産業資材シートは、厚さ0.3~1.5mm、幅0.9~2.4m、長さ25~50m巻きの原反で流通し、これらの市場では、上記の理由により同系統の色相で同じ規格の競合品が複数混在している。
【0003】
これらの産業資材シートでは、メーカー、ブランド、品番、素材などの情報がシート本体に表示されないため、問屋、縫製屋の現場では包装紙を剥がしてしまうと、メーカーや品番の判別が付かなくなることがあった。特に最近では各メーカーが、REACH規制(欧州連合EUにおける化学品の登録・評価・認可および制限に関する規則)適合品、RoHS2指令(欧州連合EUにおける電気・電子機器における特定有害物質の使用制限)適合品、国土交通大臣認定品、耐久性保証品(8年、10年、15年)など、多様な法規適合品を展開しているため、問屋、縫製屋の現場での厳格な商品管理が必要となる。しかしながら、シートを混同せずに用いたとしても、一旦最終製品として世の中に出回ると、これらが10年以上の時を経て、解体、廃棄の段階ともなれば、メーカー、品番、材質などに無関係に、埋め立て処分に供されるのが現状である。これらがリサイクルに回らない理由は、経年劣化した素材に利用価値がないからである。しかしながら昨今の環境・資源問題において、テント膜構造物、防水シートなどの廃棄処理には、メーカー、品番、材質などの基礎情報が正しく認識できるシステムが必要であるが、まだ業界内での体制が構築されていない。また、これらの廃棄物の二次利用に関しては今まで検討されたことがなかった。
【0004】
当出願人は以前、携帯雑貨類の生地、家具類の生地、床材生地、装飾パーツ用生地などに使用し、エンボス加工による立体感豊かで意外性のある意匠表示が明瞭自在なパール調光輝性の合成皮革として、陥没部及び非陥没部とからなる意匠部分を有し、特定の陥没高低差がある合成皮革を提案し、その態様として「HIRAOKA」の文字が凸状に刻印された金型で型押しプレスを行い、文字が凹状に意匠賦型され、陥没部と非陥没部との陥没高低差0.2mmの合成皮革を特許文献1に開示した。この合成皮革は文字部分以外が観察角度の変化によって、ゴールド色とバイオレットの交互に干渉する装飾であるが、このような干渉凹凸文字では屋外使用時の識別性に劣るので、産業資材シートへの情報刻印として不適切であった。また、ブルゾン、トレーニングウェア、Tシャツのような繊維製品またはカバン類やスポーツ靴などに汎用される熱転写ラベルとして、ラベル表面において、情報表示部は主に凹凸模様の凸部からなり、地模様部を構成する凹凸模様の凸部が光沢表面および凹部が艶消し表面となる表面質感の特異な熱転写ラベルをスクリーン印刷で形成する発明が特許文献2に開示されている。がこのようなスクリーン印刷で形成すされた転写ラベルを産業資材シートの情報表示に適用したとしても、スクリーン印刷では微細な凹凸模様が摩耗摩滅して短命となる。従って今現在は、メーカー、品番、材質などの情報が長期間安定的に表示された産業資材シートと、産業資材シート構築物からの廃材の有効な二次利用の活路が強く望まれているのである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
特開2014-163013号公報
特開2003-094891号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、テント膜構造物用、及び防水シート用の産業資材シート(ターポリン、合成帆布)と、これらの産業資材シートを連結してなるテント膜縫製物(パビリオン、テントハウス、日除けテントなど)及び防水シート縫製物(トラック幌、荷台カバー、野積みシート、フロアシートなど)の用途において、特に、出所、品番、材質などの刻印表示の刻印深さが0.3mm程度でも、鮮明、かつ堅牢に表示され、経年でのリサイクル/廃棄の仕分け判断が可能なテント膜縫製物(テント膜構造物から金属フレームを外したもの)、及び防水シート縫製物の提供と、さらにこれら縫製物の刻印表示に基づく廃材の利用方法の提供を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明はかかる点を考慮し鋭意検討した結果、布帛の表裏に、軟質塩化ビニル系樹脂被覆層を設けてなる長尺シートであって、表裏の前記軟質塩化ビニル系樹脂被覆層の何れか一方に刻印領域Aを有し、この刻印領域Aは前記長尺シートの長手方向の片側端部に周期的に形成され、表示部、及び背景からなり、「鏡面凸部(表示部)/梨地凹部(背景)」、「鏡面凹部(表示部)/梨地凸部(背景)」、「梨地凸部(表示部)/鏡面凹部(背景)」、及び「梨地凹部(表示部)/鏡面凸部(背景)」、から選ばれた1パターン以上を用いることで、表示部と背景の外観が、鏡面と梨地のコントラスト効果となって、例え刻印深さが0.3mm程度でも、表示部の視認性が格段に向上し、刻印領域Aが鮮明な、テント膜構造物用、及び防水シート用の産業資材シート(ターポリン、合成帆布)を得ることができる。これらの産業資材シートを連結してなるテント膜縫製物(パビリオン、テントハウス、日除けテントなど)及び防水シート縫製物(トラック幌、荷台カバー、野積みシート、フロアシートなど)の用途において、特に、出所、品番、材質などの情報が刻印領域Aとして、産業資材シートの特定部分に鮮明、かつ堅牢に刻印表示されることで、リサイクル/廃棄の仕分け判断が可能となること、さらにこの刻印表示に基づいての、テント膜縫製物(テント膜構造物から金属フレームを外したもの)、及び防水シート縫製物の廃材を防草シートとして利用できることを見出して本発明を完成させるに至った。すなわち、刻印領域Aが不明だと防草シート施工、及び廃棄の責任の所在が分からなくなるので、テント膜縫製物、防水シート縫製物などの廃材を防草シートに再利用する際には、少なくとも刻印領域Aの情報を必要とする。例えば、刻印領域A「PET&PVC」は、材質がポリエステル繊維織物と塩化ビニル樹脂であることを表し、この刻印領域Aの鮮明性が長期間維持されることによって、後のリサイクル(防草シート)/廃棄の分別を容易とする。
【0008】
本発明の産業資材シートは、前記軟質塩化ビニル系樹脂被覆層に架橋ゴムを含み、この層全体にゴム架橋が形成され、このゴム架橋が、ブタジエン系ゴム、イソプレン系ゴム、及びファルネセン系ゴム、から選ばれた1種以上のゴム構造を含むことが好ましい。この軟質塩化ビニル樹脂被覆層内に、ゴム架橋の架橋ネットワークが塩化ビニル樹脂主鎖に絡み合ったハイブリッドを形成することで、刻印領域Aの刻印表示の耐摩耗・摩滅性に優れ、屋外で長期間経過した後も、刻印表示が安定保持されることで、リサイクル/廃棄の仕分け判断を可能とする。
【0009】
本発明の産業資材シートは、前記表示部が、文字、数字、記号、図形(マーク)、から選ばれた1種以上の凹部、または/及び、凸部の集合であることが好ましい。
【0010】
本発明のテント膜縫製物は、上記産業資材シートの端部をラップ連結してなるテント膜縫製物であって、このテント膜縫製物のラップ連結部に刻印領域Bが設けられていることが好ましい。この刻印領域Bはテント膜縫製時に加熱金型の押圧によりスタンプされるもので、刻印領域Bにより、テント膜縫製物の縫製メーカー情報が明らかとなる。例えば、刻印領域B「HIRAOKA」は、縫製メーカーが平岡織染株式会社であることを表し、この刻印領域Bの鮮明性が長期間維持されることによって、メーカーへの照会を可能とする。
(【0011】以降は省略されています)

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