TOP特許意匠商標
特許ウォッチ Twitter
10個以上の画像は省略されています。
公開番号2025084293
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-06-03
出願番号2023198080
出願日2023-11-22
発明の名称長距離夜行バスのシート構造
出願人有限会社タカギ,株式会社高知駅前観光,高知駅前トラベル株式会社,高知駅前ハイヤー株式会社
代理人個人
主分類B60N 2/01 20060101AFI20250527BHJP(車両一般)
要約【課題】昼間着座時及び夜間就寝時の双方において走行中,駐・停車中を問わず急ブレーキや事故等に起因する衝撃に対して高い安全性を確保した長距離夜行バスのシート構造を提供することを目的とする。
【解決手段】前シート10と後シート20からなる一対のシートを所定のフレーム内に組付け、一対のシートを水平方向の略同列上に水平設置可能とするとともに、前シート10を後シート20の上部空間に移動させて、一対のシートを鉛直方向の略同列上に鉛直設置可能としたシートユニット110を、バスの床面に敷設した所定長さのレール120上に摺動可能に設置する長距離夜行バスのシート構造において、レール120上の所定の位置において、シートユニット110を摺動不能にレール120に固定するとともに、シートユニット110を脱線不能にレール120に係止する長距離夜行バスのシート構造を提供する。
【選択図】図55
特許請求の範囲【請求項1】
それぞれ座面と背もたれを有する前シートと後シートからなる一対のシートを所定のフレーム内に組付け、
一対のシートを水平方向の略同列上に水平設置可能とするとともに、
前シートを後シートの上部空間に移動させて、一対のシートを鉛直方向の略同列上に鉛直設置可能としたシートユニットを、
バスの床面に敷設した所定長さのレール上に摺動可能に設置する長距離夜行バスのシート構造において、
レール上の所定の位置において、シートユニットを摺動不能にレールに固定するとともに、
シートユニットを脱線不能にレールに係止することを特徴とする長距離夜行バスのシート構造。
続きを表示(約 1,800 文字)【請求項2】
フレームは、左右一対の基材と、左右一対の桁材と、基材と桁材を所定高さを保持して連結する左右一対の前支柱及び後支柱を有する請求項1記載の長距離夜行バスのシート構造。
【請求項3】
上面が開口した断面コ字状の左右一対のレールを床面に所定幅で敷設し、該レール上に左右一対の基材を摺動可能に設置し、
前記レールは、レール底面の前端に突設した前方第1係止具と、レール底面の後端に突設した後方第1係止具と、前方第1係止具から所定距離離間したレール底面に突設した後方第2係止具と、後方第1係止具と後方第2係止具の間のレール底面に突設した前方第2係止具を有するとともに、前方第1係止具と前方第2係止具はそれぞれレール後方向に曲成した鉤部を有し、後方第1係止具と後方第2係止具はそれぞれレール前方向に曲成した鉤部を有してなり、
前記基材は所定長さの中空矩形材であって、前端面に形成した前方閉塞面と、後端面に形成した後方閉塞面と、前方閉塞面に形成した前方窓部と、後方閉塞面に形成した後方窓部と、底面の前端部から長手方向の所定位置まで形成した前方開溝部と、底面の後端部から長手方向の所定位置まで形成した後方開溝部を有してなり、
一対のシートの水平設置時には、基材をレール後端まで摺動させることにより、後方閉塞面の外面を後方第1係止具に衝接させて、後方窓部に後方第1係止具の鉤部を侵入させることによって係止するとともに、前方閉塞面の内面を後方第2係止具に衝接させて、前方窓部から後方第2係止具の鉤部を突出させることによって係止し、
一対のシートの鉛直設置時には、基材をレール前端まで摺動させることにより、前方閉塞面の外面を前方第1係止具に衝接させて、前方窓部に前方第1係止具の鉤部を侵入させることによって係止するとともに、後方閉塞面の内面を前方第2係止具に衝接させて、後方窓部から前方第2係止具の鉤部を突出させることによって係止する請求項2記載の長距離夜行バスのシート構造。
【請求項4】
前方第2係止具は後方開溝部から基材内に侵入するとともに、後方第2係止具は前方開溝部から基材内に侵入しており、
基材は前方開溝部及び後方開溝部を介して、前方第2係止具及び後方第2係止具が突設されたレール上を摺動可能な請求項3記載の長距離夜行バスのシート構造。
【請求項5】
一対のシートの水平設置時においては、後方第1係止具の鉤部を後方窓部に侵入させ、後方第2係止具を前方窓部から突出させるとともに、
一対のシートの鉛直設置時においては、前方第1係止具の鉤部を前方窓部に侵入させ、前方第2係止具を後方窓部から突出させることにより、シートユニットを脱線不能にレールに係止する請求項4記載の長距離夜行バスのシート構造。
【請求項6】
前方閉塞面の外面に前方第1係止具と衝接する前方第1緩衝具を付設し、前方閉塞面の内面に後方第2係止具と衝接する前方第2緩衝具を付設するとともに、
後方閉塞面の外面に後方第1係止具と衝接する後方第1緩衝具を付設し、後方閉塞面の内面に前方第2係止具と衝接する後方第2緩衝具を付設する請求項5記載の長距離夜行バスのシート構造。
【請求項7】
基材の側面に基材フランジを突設するとともに、レールの側面に所定長さのレールフランジを突設し、一対のシートの水平設置時及び鉛直設置時において、基材フランジを固定具によってレールフランジに固定することにより、シートユニットを摺動不能にレールに固定する請求項5記載の長距離夜行バスのシート構造。
【請求項8】
固定具としてプランジャを基材フランジに装備し、レールフランジの所定箇所に穿設した挿通孔に挿通して固定する請求項7記載の長距離夜行バスのシート構造。
【請求項9】
一対のシートの水平設置時において、基材をレール後端まで摺動させた状態で基材をレールに固定することにより、シートユニットを摺動不能にレールに固定する請求項7又は8記載の長距離夜行バスのシート構造。
【請求項10】
一対のシートの鉛直設置時において、基材をレール前端まで摺動させた状態で基材をレールに固定することにより、シートユニットを摺動不能にレールに固定する請求項7又は8記載の長距離夜行バスのシート構造。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は路線バスや貸切バス等として、夜間に就寝を伴って長時間乗車をする各種の長距離夜行バスにおいて、シート数を減らすことなく、かつ、周辺乗客、特には後席の乗客に気兼ねをすることなく、シートをフラットにして横たわることが可能で、快適な夜間就寝を実現するとともに、昼間着座時及び夜間就寝時の双方において、危険回避のための急ブレーキや、走行中,駐・停車中を問わず故障や事故に巻き込まれたり、他車との接触事故や衝突事故等の様々な原因による種々の衝撃に対して高い安全性を確保したシート構造に関する。
続きを表示(約 2,300 文字)【背景技術】
【0002】
高速道路の全国的な整備拡充と相俟って、時間の有効活用が可能な夜間を利用した各種の長距離夜行バスが広く普及している。これらの就寝を前提として夜間に長時間乗車をする長距離夜行バスを利用する乗客の主たる選択基準は、「運賃」,「快適性」,「運行スケジュール」である。
【0003】
快適性の有無は、疲労度や到着地での活動に影響する重要な要素であり、特に夜間就寝時において後席の乗客に負担や我慢を強いたり気兼ねをすることなく、又自らも我慢を強いられることなくリラックスするため、よりフラットに近い状態までリクライニング可能なシートへの要望が大きい。この要望を満たすためにシートのサイズや間隔に余裕を持たせ、フラットに近い状態のシートを実現可能なリクライニング機構を装備すれば、シートの快適性は向上するものの、必然的に1シート当たり設置面積の拡大を伴うこととなり、設置可能なシート数が減少することとなる。
【0004】
これを具体的に検証すると、現状の前後のシートSの間隔Dは図67(a)に示すように、900mm~970mm程度に留まるため、前席のシートSのリクライニング角度αは図67(b)に示すように120度程度が殆どであり、フラット(180度)になるものは存在せず、如何に足置き台や背もたれの構造を工夫したとしても快適な夜間就寝を可能とするシート構造を実現することができなかった。そのため、長時間乗車となる長距離夜行バスでは、シートSをリクライニングさせて足を伸ばしたとしても、根本的なシート構造に起因して足先位置と頭部位置が水平とならず、足先を下方として斜めに着座することとなり、常に身体が下方向にずり落ちようとするため、睡眠が取りにくかったり、足がむくんでしまうこととなる。また、場合によってはエコノミークラス症候群を発症するのではないかとの不安も生じてしまう。
【0005】
加えて、後席の乗客BPは、前席の乗客FPがシートSをリクライニングさせることによって、活動が制約されることとなり、不快な思いをすることもあって、快適性が損なわれることとなる。近時はこのリクライニングが原因となって、乗客間の争いに発展することも複数件報告されている。
【0006】
仮に図67(a)に示す現状の900mm~970mm程度の前後のシートSの間隔Dを、図68(b)に示すように、1900mm~2000mm程度の前後のシートSの間隔D1に広げれば、図68(c)に示すように、後席の乗客に気兼ねすることなく、足を伸ばし、シートSをフラットに近い状態までリクライニングさせることも可能となる。しかしながら、その場合は1シート当たり設置面積の拡大を招くこととなり、図68(a)に示す現状のシートSが長距離夜行バスの長さ方向に6席設置可能なスペースに、図68(b)に示すように半数の3席しか設置することができない。そのため、長距離夜行バスに設置可能なシート数は半減することとなる。
【0007】
長距離夜行バスは、他の交通機関に比べて割安な運賃が他の交通手段と差別化するための大きなセールスポイントとなっており、市場経済の下にバス会社間の熾烈な価格競争に曝されている現状では、安易な運賃の値上げは客離れを招いてしまう。運賃を一定とすれば、収益性は「シート数×乗車率」によって決定されるため、快適性を向上させるためにシート数を減らせば、直ちに収益性が悪化することとなり、採用することは困難である。
【0008】
上記した長距離夜行バス事情に鑑み、本発明者らは十分なリクライニングを可能とするために必要なシートの設置スペース(バスの床面積)に着目し、同一の設置スペースを複数のシートで共用して利用することについての着想を得た。この着想に基づき鋭意研究の結果、特許文献1に示す、それぞれ座面と背もたれを有する前シートと後シートからなる一対のシートを所定のフレーム内に組付け、一対のシートを水平方向の略同列上に水平設置可能とするとともに、前シートを後シートの上部空間に移動させて、一対のシートを鉛直方向の略同列上に鉛直設置可能としたシートユニットを、バスの床面に敷設したレール上に摺動可能に設置する長距離夜行バスのシート構造の発明(以下、「文献1発明」という)を提供している。
【0009】
文献1発明によれば、一対のシートを鉛直方向に設置することによって、一対のシートの設置エリアを前シート及び後シート双方の専用エリアとして共用することが可能となる。即ち、シートを設置するスペースを一対のシートで共有することによって、シート数を犠牲とすることなく、夜間の就寝状態において一対のシートの背もたれをそれぞれ十分にリクライニングさせてフラットなシートを提供することが可能となり、従来困難視されていた収益性と快適性を同時に達成することができる。
【0010】
この文献1発明を実施して、図66に示す長距離夜行バス1として一般的に使用されている全長L1:11990mm,運転席隔壁6~後部隔壁7までの長さL2:10310mm,運転席隔壁6~非常口ドア5の開放部までの長さL3:8530mm,運転席隔壁6から最前列の一対のシート30aまでの長さL4:460mm,最後部のトイレT部分の寸法(横幅TW×長さTL):1150mm×1700mm,室内幅寸法W1:2310mmを例として、長さ方向に設置可能な文献1発明にかかる一対のシート30のシート数について検証する。
(【0011】以降は省略されています)

この特許をJ-PlatPat(特許庁公式サイト)で参照する

関連特許

有限会社タカギ
長距離夜行バスのシート構造
2か月前