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公開番号2024135328
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-10-04
出願番号2023045955
出願日2023-03-22
発明の名称生体適合性の金属表面を有する三次元細胞培養足場の製造方法
出願人田中貴金属工業株式会社
代理人個人,個人,個人
主分類C12M 3/00 20060101AFI20240927BHJP(生化学;ビール;酒精;ぶどう酒;酢;微生物学;酵素学;突然変異または遺伝子工学)
要約【課題】生体適合性の金属表面を有する三次元細胞培養足場の製造方法を提供する。
【解決手段】生体適合性の金属表面を有する細胞培養足場の製造方法は、(a)光ラジカル硬化性樹脂と、熱硬化性樹脂と、酸触媒とを含む樹脂液を造形する造形工程、(b)仕上げ光硬化工程、(c)熱硬化工程、(d)生体適合性の金属ナノ粒子を造形物表面に担持させる触媒担持工程、及び(e)無電解めっきを施すめっき工程、を含む。
【選択図】なし
特許請求の範囲【請求項1】
下記(a)~(e)の工程を含む、生体適合性の金属表面を有する細胞培養足場の製造方法:
(a)光ラジカル硬化性樹脂と、熱硬化性樹脂と、酸触媒とを含み、熱硬化性樹脂として、メラミン系架橋剤又はベンゾグアナミン系架橋剤を含み、更に、前記熱硬化性樹脂を3重量%以上60重量%以下含む樹脂液を用いて造形し、第一造形物を得る造形工程、
(b)前記第一造形物に波長300nm以上の光を照射して光硬化させて第二造形物を得る仕上げ光硬化工程、
(c)前記第二造形物を60℃以上280℃以下に加熱して熱硬化させて第三造形物を得る熱硬化工程、
(d)生体適合性の金属ナノ粒子及び水を含む無電解めっき用前処理液を前記第三造形物の表面に接触させて前記金属ナノ粒子を前記第三造形物の表面に担持し、触媒担持領域を形成する触媒担持工程、及び
(e)前記触媒担持領域に無電解めっきを施し金属表面を有する細胞培養足場を得るめっき工程
続きを表示(約 690 文字)【請求項2】
前記工程(e)の後に、さらに下記(f)の工程を含む、請求項1に記載の細胞培養足場の製造方法:
(f)前記細胞培養足場の表面の一部または全部をコーティング剤により修飾し、細胞の生命現象を足場上で制御する領域を形成する表面修飾工程
【請求項3】
前記金属ナノ粒子が金、白金、又はパラジウムのナノ粒子である、請求項1に記載の細胞培養足場の製造方法。
【請求項4】
前記工程(a)の造形が、3Dプリンタによる造形である、請求項1に記載の細胞培養足場の製造方法。
【請求項5】
前記光ラジカル硬化性樹脂として、ウレタンアクリレート、エポキシアクリレート、アクリルアクリレート、ポリエステルアクリレート、アクリレートモノマーからなる群から選択される少なくとも1つを含む請求項1に記載の細胞培養足場の製造方法。
【請求項6】
前記メラミン系架橋剤として、メチロールメラミン又はメチロールメラミン誘導体を含む請求項1に記載の細胞培養足場の製造方法。
【請求項7】
前記ベンゾグアナミン系架橋剤として、メチロールベンゾグアナミン又はメチロールベンゾグアナミン誘導体を含む請求項1に記載の細胞培養足場の製造方法。
【請求項8】
前記酸触媒として、スルホン酸系酸触媒又はリン酸系酸触媒を含む、請求項1に記載の細胞培養足場の製造方法。
【請求項9】
請求項1~8のいずれかに記載の製造方法により製造された金属表面を有する細胞培養足場の上で細胞を培養する方法。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、生体適合性の金属表面を有する三次元細胞培養足場の製造方法に関する。
続きを表示(約 2,500 文字)【背景技術】
【0002】
細胞培養のための足場基材は様々な用途において重要な要素である。とりわけ再生医療などの分野では臓器の形状を再現するために立体的な構造をもつ三次元細胞培養足場が求められている。
特許文献1には、生体細胞によってコロニー形成される生体適合性ポリマーからなる3Dスキャフォールドが開示されている。生体適合性のポリマーをステレオリソグラフィ3D印刷法により構築することで製造される。
【0003】
また、細胞培養のための足場基材の表面を修飾し、細胞の接着、増殖、分化及び移動等に代表される細胞の生命現象を足場上で制御する方法が知られている。
非特許文献2には、チタン表面にインスリン様成長因子(IGF)-3,4-ジヒドロキシフェニルアラニン(DOPA)をチタン表面に結合することで、MC3T3-E1細胞(マウス頭蓋冠由来)の骨芽細胞誘導の分化誘導効果の増加が確認されたことが記載されている。
非特許文献3には、金基板の表面にアルカンチオールの自己組織化単分子膜(SAM)を形成し、SAMに合成ペプチドPA22-2を固定することで、神経細胞の金表面への接着及び伸展が促進されたことが記載されている。
【0004】
金属表面は修飾が容易であり、細胞の生命現象を足場上で制御するために金属表面を有する細胞足場が求められる。金属表面を有し、かつ三次元構造を有する細胞培養足場の例は少ない。
非特許引用文献1には、生体適合性無電解めっきを利用して立体構造の表面をめっきする方法が記載されている。有機基板の表面を光露光により改質し、生体適合性の無電解めっきを行うことで生体適合性の金属表面を形成する方法が記載されている。
本出願の出願日には未公開である特許文献2には、金属の立体的な構造体を含む造形物の製造に適した樹脂液及び造形物形成方法が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
特表2022-548423号公報
特願2022-125909号明細書
【非特許文献】
【0006】
コルドニエ クリス、外4名、「生体適合性無電解金めっきの研究」、表面技術、一般社団法人表面技術協会、2019年、第70巻、第9号、p.461-465
多田誠一、外11名、“さまざまな材料表面を生理活性に 人工合成した接着性成長因子”、[online]、2021年7月1日、東京工業大学、[2023年3月22日検索]、インターネット<URL:https://www.titech.ac.jp/news/2021/061252>
"Chemical and Biological Characterization of Thiol SAMs for Neuronal Cell Attachment", Langmuir, (米), 2009, 25(8), p.4564-4570
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
修飾が容易な生体適合性の金属表面を有する三次元細胞培養足場が求められている。
特許文献1に記載されるような樹脂の構築物は、一般的なめっき方法である電解めっきではめっきすることができず、金属表面を形成することができない。非特許文献1に記載の無電解めっき方法では、有機基板のめっきする表面を光露光により改質する工程を含んでおり、3Dプリンタから出力されるような複雑な立体構造の内側を十分にめっきすることは困難である。
本発明の目的は、三次元プリンタを用いて造形した造形物の表面を無電解めっきする方法を提供し、生体適合性の金属表面を有する三次元細胞培養足場を製造する方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一つの実施形態は下記(a)~(e)の工程を含む、金属表面を有する細胞培養足場の製造方法である:
(a)光ラジカル硬化性樹脂と、熱硬化性樹脂と、酸触媒とを含み、熱硬化性樹脂として、メラミン系架橋剤又はベンゾグアナミン系架橋剤を含み、更に、前記熱硬化性樹脂を3重量%以上60重量%以下含む樹脂液を用いて造形し、第一造形物を得る造形工程、
(b)前記第一造形物に波長300nm以上の光を照射して光硬化させて第二造形物を得る仕上げ光硬化工程、
(c)前記第二造形物を60℃以上280℃以下に加熱して熱硬化させて第三造形物を得る熱硬化工程、
(d)生体適合性の金属ナノ粒子及び水を含む無電解めっき用前処理液を前記第三造形物の表面に接触させて前記金属ナノ粒子を前記第三造形物の表面に担持し、触媒担持領域を形成する触媒担持工程、及び
(e)前記触媒担持領域に無電解めっきを施し金属表面を有する細胞培養足場を得るめっき工程
【0009】
本発明の一つの実施形態は、工程(e)の後に、さらに下記(f)の工程を含む、請求項1に記載の細胞培養足場の製造方法である:
(f)前記細胞培養足場の表面の一部をコーティング剤により修飾し、細胞の生命現象を足場上で制御する領域を形成する表面修飾工程
【発明の効果】
【0010】
本発明は、生体適合性の金属表面を有する細胞培養足場の製造方法を提供する。本発明の製造方法は、化学的、構造的に安定し機械的強度に優れた細胞培養足場を製造できる。また、細胞培養足場が金属表面を有することにより、電気伝導性を有し、表面の処理が容易になる。本発明の製造方法では3Dプリンタ等により三次元構造を有する細胞培養足場を製造できるため、機械的強度を維持したまま高度な寸法制御を行った細胞培養足場を製造できる。
【図面の簡単な説明】
(【0011】以降は省略されています)

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