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公開番号2024110818
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-08-16
出願番号2023015646
出願日2023-02-03
発明の名称車両の制御システム
出願人マツダ株式会社
代理人弁理士法人前田特許事務所
主分類F02D 19/02 20060101AFI20240808BHJP(燃焼機関;熱ガスまたは燃焼生成物を利用する機関設備)
要約【課題】車両の搭載に適した燃料改質のためのシステムを提供する。
【解決手段】レシプロエンジン3は、吸気行程、圧縮行程、膨張行程、ピストン32の上昇により燃焼ガスが圧縮される再圧縮行程、ピストンが下降する再膨張行程、及び、排気行程を有する6ストロークサイクルと、吸気行程、圧縮行程、膨張行程、排気行程を有する4ストロークサイクルとを選択的に実行し、6ストロークサイクルの実行中に、分解器6は、再圧縮行程における燃焼ガスの熱と圧力とを利用して、炭化水素燃料供給部45から供給された炭化水素燃料をカーボンと水素ガスとに分解し、水素ガス供給部5は、分解器によって生成された水素ガスを燃料として、シリンダ31内へ供給し、制御器21は、第1回転数N1よりも低い場合に、レシプロエンジンに6ストロークサイクルを実行させ、第1回転数以上の場合に、レシプロエンジンに4ストロークサイクルを実行させる。
【選択図】図10
特許請求の範囲【請求項1】
車両に搭載されかつ、シリンダ内のピストンが往復動することにより、前記車両の走行用の駆動力を出力するレシプロエンジンと、
炭化水素燃料をカーボンと水素ガスとに分解しかつ、前記カーボンを貯蔵する分解器と、
前記炭化水素燃料を、前記シリンダ内及び前記分解器へ供給可能な炭化水素燃料供給部と、
前記分解器によって生成された前記水素ガスを燃料として、前記シリンダ内へ供給する水素ガス供給部と、
前記レシプロエンジンを制御する制御器と、を備え、
前記レシプロエンジンは、
前記ピストンの下降により、吸気ポートを通じて前記シリンダ内に、少なくとも吸気が導入される吸気行程、前記シリンダ内へ供給された前記水素ガスを含む混合気が、前記ピストンの上昇により圧縮される圧縮行程、前記混合気の燃焼により前記ピストンが下降する膨張行程、前記ピストンの上昇により燃焼ガスが圧縮される再圧縮行程、前記ピストンが下降する再膨張行程、及び、前記ピストンの上昇により、排気ポートを通じて排気ガスが排出される排気行程を有する6ストロークサイクルと、
前記ピストンの下降により、前記吸気ポートを通じて前記シリンダ内に、少なくとも吸気が導入される吸気行程、前記シリンダ内へ供給された前記炭化水素燃料を含む混合気が、前記ピストンの上昇により圧縮される圧縮行程、前記混合気の燃焼により前記ピストンが下降する膨張行程、及び、前記ピストンの上昇により、前記排気ポートを通じて排気ガスが排出される排気行程を有する4ストロークサイクルと、を、選択的に実行し、
前記分解器は、前記レシプロエンジンが前記6ストロークサイクルを実行している場合に、前記再圧縮行程における前記燃焼ガスの熱と圧力とを利用して、前記炭化水素燃料供給部から供給された前記炭化水素燃料を前記カーボンと前記水素ガスとに分解し、
前記制御器は、前記レシプロエンジンの回転数が第1回転数よりも低い場合に、前記レシプロエンジンに前記6ストロークサイクルを実行させ、前記第1回転数以上の場合に、前記レシプロエンジンに前記4ストロークサイクルを実行させる、車両の制御システム。
続きを表示(約 1,300 文字)【請求項2】
請求項1に記載の車両の制御システムにおいて、
前記制御器は、前記レシプロエンジンの運転状態が、前記レシプロエンジンの回転数が前記第1回転数以上でかつ、前記レシプロエンジンの要求負荷が第1負荷以上の特定領域である場合に、前記レシプロエンジンに前記4ストロークサイクルを実行させ、前記レシプロエンジンの運転状態が、前記特定領域以外である場合に、前記レシプロエンジンに前記6ストロークサイクルを実行させる、車両の制御システム 。
【請求項3】
請求項1に記載の車両の制御システムにおいて、
前記制御器によって制御されると共に、前記レシプロエンジンの出力不足を補う電気モータを備え、
前記制御器は、前記レシプロエンジンが前記6ストロークサイクルを実行している場合であって、前記レシプロエンジンの要求負荷が第2負荷以上の場合に、前記電気モータを運転させる、車両の制御システム。
【請求項4】
請求項1に記載の車両の制御システムにおいて、
前記レシプロエンジンは、前記シリンダに連通する第3のポートと、前記第3のポートを開閉する開閉弁と、を有し、
前記分解器は、前記第3のポートに接続され、
前記炭化水素燃料供給部は、前記第3のポート内へ前記炭化水素燃料を噴射する第1インジェクタを有し、
前記制御器は、前記再圧縮行程において前記開閉弁を開弁させ、それによって前記燃焼ガスと前記炭化水素燃料とが、前記第3のポートを通じて前記分解器へ供給され、
前記制御器はまた、前記レシプロエンジンが前記4ストロークサイクルを実行している場合に、前記開閉弁の開閉を停止させる、車両の制御システム。
【請求項5】
請求項4に記載の車両の制御システムにおいて、
前記制御器は、前記車両の走行中でかつアクセル開度がゼロの場合に、前記レシプロエンジンへの前記水素ガス及び前記炭化水素燃料の供給を停止させるフューエルカットを実行し、
前記制御器は、前記フューエルカットの実行中に、前記ピストンが上昇している行程において前記開閉弁を開弁させ、
前記分解器は、前記ピストンの上昇により圧縮される前記シリンダ内のガスの熱と圧力とを利用して、前記第1インジェクタから噴射された前記炭化水素燃料を前記カーボンと前記水素ガスとに分解する、車両の制御システム。
【請求項6】
請求項1~5のいずれか1項に記載の車両の制御システムにおいて、
前記水素ガス供給部は、前記水素ガスを前記シリンダ内へ噴射する第2インジェクタを有し、
前記炭化水素燃料供給部は、前記炭化水素燃料を前記吸気ポート内へ噴射する第3インジェクタを有している、車両の制御システム。
【請求項7】
請求項6に記載の車両の制御システムにおいて、
前記制御器は、前記レシプロエンジンが前記4ストロークサイクルを実行している場合であって、前記レシプロエンジンの異常燃焼が検出された場合に、前記第3インジェクタからの前記炭化水素燃料に加えて、前記第2インジェクタに前記水素ガスを噴射させる、車両の制御システム。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
ここに開示する技術は、車両の制御システムに関する。
続きを表示(約 1,500 文字)【背景技術】
【0002】
特許文献1には、炭化水素をカーボンと水素とに直接分解する装置が記載されている。この従来の分解装置は、触媒が収容された反応器を備えている。炭化水素を含む原料ガスが反応器に供給されると、触媒の反応により生成されたカーボンが触媒に付着する。水素を含む反応ガスは反応器を通過する。反応器下流の水素精製装置は、反応ガス中の水素を精製し、水素濃度を高める。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
特開2022-104521号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
車両(例えば四輪自動車)の技術分野において、カーボンニュートラルへの取り組みが求められている。炭化水素燃料(ガソリン、及び/又は、軽油を含む)を利用するエンジンを搭載した車両においてカーボンニュートラルを実現するためには、エンジンの熱効率の向上、及び/又は、排気エミッション性能の向上に加えて、炭化水素燃料からカーボン(C)又はCO

を回収する新たな技術が必要である。
【0005】
炭化水素燃料を利用するエンジンが搭載された車両において、カーボン又はCO

を回収しようとすれば、(1)炭化水素燃料の燃焼後にCO

を回収する、又は、(2)炭化水素燃料の燃焼前に炭化水素燃料をカーボンと水素ガスとに分解し、カーボンを回収する、ことが考えられる。回収されたCO

又はカーボンが車両に貯蔵されることを考慮すれば、CO

はカーボンよりも重いため、(2)の方が、車両の燃費性能の点で有利である。また、(2)であれば、水素ガスをエンジンの燃料として利用することも可能である。水素ガスを燃焼させれば、燃焼に起因する炭素酸化物が発生しないという利点もある。
【0006】
そこで、前述した従来の分解装置を車両に搭載することが考えられる。従来の分解装置は、触媒を昇温するための加熱装置を備えている。従来の分解装置が車両に搭載された場合、エンジンの熱を触媒の昇温に利用することが可能である。
【0007】
ところが、水素ガスをエンジンの燃料に使用しようとすれば高濃度の水素ガスが必要である。従来の分解装置は、高濃度の水素ガスを得るために、水素を含む反応ガスから水素を精製するためのPSA(Pressure Swing Adsorption)法による水素精製装置を必要としている。車両に、水素精製装置を搭載することは、車両重量を増大させるという不都合がある。従来の分解装置は、車両の搭載には不向きである。
【0008】
ここに開示する技術は、車両の搭載に適した燃料改質のためのシステムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
炭化水素燃料の分解と、水素ガスの分離とを同時に行う膜反応器(Membrane Reactor)を、車両の燃料改質システムに利用することが考えられる。膜反応器は、触媒を利用して炭化水素燃料をカーボンと水素ガスとに分解しながら、分離膜が水素ガスのみを透過させることにより、小型でありながら、高濃度の水素ガスを生成できる。ところが、膜反応器において高濃度の水素ガスを効率的に生成しようとすれば、膜反応器に供給する、炭化水素燃料を含む原料ガスの圧力を高めなければならない。
【0010】
本願発明者らは、レシプロエンジンにおいて、ピストンの上昇によりシリンダ内のガスが圧縮されることに着目して、ここに開示する技術を完成させるに至った。
(【0011】以降は省略されています)

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