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公開番号2025181504
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-12-11
出願番号2024089533
出願日2024-05-31
発明の名称酸素キャリア材料の製造方法及び酸素キャリア材料
出願人国立大学法人東京科学大学
代理人個人,個人,個人,個人,個人,個人
主分類C01G 23/00 20060101AFI20251204BHJP(無機化学)
要約【課題】本開示は、反応活性が向上した酸素キャリア材料の製造方法を提供する。
【解決手段】本開示の製造方法は、下記の工程を含む、アルカリ土類金属添加イルメナイトを含有している酸素キャリア材料の製造方法である。(A)イルメナイトとアルカリ金属化合物との混合物を焼成して、焼成物を得ること、及び(B)前記焼成物とアルカリ土類金属化合物との混合物を焼成して、前記酸素キャリア材料を得ること。前記アルカリ金属化合物は、炭酸カリウムであってよい。前記アルカリ土類金属化合物は、水酸化カルシウムであってよい。
【選択図】図2
特許請求の範囲【請求項1】
下記の工程を含む、アルカリ土類金属添加イルメナイトを含有している酸素キャリア材料の製造方法:
(A)イルメナイトとアルカリ金属化合物との混合物を焼成して、焼成物を得ること、及び
(B)前記焼成物とアルカリ土類金属化合物との混合物を焼成して、前記酸素キャリア材料を得ること。
続きを表示(約 1,000 文字)【請求項2】
前記アルカリ金属化合物は、炭酸カリウム、酸化カリウム、又は水酸化カリウムである、請求項1に記載の製造方法。
【請求項3】
前記アルカリ土類金属化合物は、炭酸カルシウム、酸化カルシウム、又は水酸化カルシウムである、請求項1又は2に記載の製造方法。
【請求項4】
前記工程(A)において、焼成の温度が600℃~1000℃である、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項5】
前記工程(A)において、前記焼成物の質量全体に対する前記アルカリ金属化合物(アルカリ金属酸化物換算値)の質量パーセント濃度は、5質量%~15質量%である、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項6】
前記工程(B)おいて、焼成の温度が700℃~1400℃である、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項7】
前記工程(B)おいて、前記酸素キャリア材料の質量全体に対する前記アルカリ土類金属化合物(アルカリ土類金属酸化物換算値)の質量パーセント濃度は、10質量%~30質量%である、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項8】
アルカリ土類金属添加イルメナイトを含有している酸素キャリア材料であって、
前記アルカリ土類金属添加イルメナイトは、TiO

、Fe

TiO

、鉄酸化物、及びチタン酸アルカリ土類金属塩を含有している複合体であり、
前記酸素キャリア材料は、900℃の水蒸気と化学反応させたときに、前記アルカリ土類金属添加イルメナイト1g当たりの水素生成速度の最大値が、1.60μmol/秒以上である、
酸素キャリア材料。
【請求項9】
900℃の水蒸気と化学反応させたときに、反応開始から600秒までの、前記アルカリ土類金属添加イルメナイト1g当たりの水素生成量が、0.80mmol以上である、請求項8に記載の酸素キャリア材料。
【請求項10】
酸素キャリア材料を酸化する酸化反応系と前記酸素キャリア材料を還元する還元反応系との間で前記酸素キャリア材料を循環させることで、熱又は水素と同時に二酸化炭素を得るケミカルループ燃焼又はケミカルループ改質を実施するためのシステムであって、前記酸素キャリア材料は、請求項8又は9に記載の酸素キャリア材料である、システム。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本開示は、酸素キャリア材料の製造方法及び酸素キャリア材料に関する。
続きを表示(約 1,800 文字)【背景技術】
【0002】
CO

の分離回収が可能なケミカルループ燃焼(CLC)法は、効率的かつ低コストの観点から注目されている。ケミカルループ法は、酸素キャリアである金属酸化物の酸化還元反応を利用したエネルギー変換システムである。
【0003】
ケミカルループ法は、金属粒子を酸化する酸化反応系と金属酸化物を還元する還元反応系との間で金属粒子及び金属酸化物を循環させることで、熱又は水素を得るのと併せて二酸化炭素や窒素ガスを得るようにしたエネルギー変換システムであり、燃料を直接空気と燃焼させる代わりに、酸素源として金属酸化物中の格子酸素を用いることにより、燃焼反応を「金属粒子の酸化」と、「金属酸化物の還元」という2つに分け、両者を物理的な粒子の循環で結ぶシステムである。燃料と空気は直接接触することがなく、金属を媒体として純酸素のやり取りをしている。
【0004】
図1は、酸素キャリアとして酸化鉄を用いたケミカルループ法の一例を示す模式図である。なお、図1は、ケミカルループ法の利用例を示すものに過ぎない。図1は、同方法を図示されたものに限定する趣旨ではない。図1に示すケミカルループ法では、水素生成塔、空気反応塔、及び燃料反応塔を有している。
【0005】
水素生成塔では、水蒸気(H

O)によって酸素キャリアとしてのFeO(II)をFe



(II、III)に酸化し、かつ水素(H

)を排出する。空気反応塔では、空気中の酸素等によって酸素キャリアとしてのFe



(II、III)をFe



(III)に酸化し、かつN

及び熱等を排出する。燃料反応塔では、バイオマスのような燃料によって酸素キャリアとしてのFe



をFeOに還元し、かつCO

及び水蒸気(H

O)等を排出する。排出されたCO

は、例えば回収して貯蔵してよい。図1に示すような方法で、水素を製造することができる。
【0006】
ケミカルループ法のエネルギー効率を高めるに最も重要な要素として、酸素キャリアを挙げることができる。
【0007】
数十年にわたり、NiO、CuOなどの人工粒子や様々な天然鉱石など、多数の酸素キャリアが研究されてきた。大規模な発電所の運用においては、低コストの天然鉱石は実用的な可能性が高い。その中で、イルメナイト(FeTiO

)は、低コスト、豊富な供給源、耐久性などの利点を有する天然鉱石として注目されている。しかしその反応活性は人工粒子ほど高くはない。従って、イルメナイト系酸素キャリアの反応活性改善に関する検討が求められている。
【0008】
この点に関して、特許文献1は、高い活性及び安定性を有し、材料コスト面で有利な、ケミカルループ法に適した酸素キャリア材料を製造する方法を提示している。具体的には、特許文献1は、アルカリ土類金属添加イルメナイトを含む酸素キャリア材料の製造方法であって、イルメナイト(FeTiO

)を焼成し、イルメナイト酸化物(Fe

TiO

及びTiO

)を得る工程、前記イルメナイト酸化物にアルカリ土類金属化合物を添加し、混合物を得る工程、及び前記混合物を焼成することにより、アルカリ土類金属添加イルメナイトを得る工程を含む、製造方法を開示している。
【0009】
非特許文献1は、固相法及び溶融含浸法によりイルメナイトにCaを添加することで粒子内に生成する鉄ドープチタン酸カルシウム(CaTi
1-x
Fe



:CTFO)により、反応活性と酸化還元繰り返し安定性が向上することを開示している。
【0010】
非特許文献2は、Kドープしたイルメナイトは数十回のCLC酸化還元サイクルを経ると、粒子内部に均一な微細孔が生成することを開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
(【0011】以降は省略されています)

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