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公開番号
2025181477
公報種別
公開特許公報(A)
公開日
2025-12-11
出願番号
2024089480
出願日
2024-05-31
発明の名称
リチウムイオン二次電池用正極活物質、及び、リチウムイオン二次電池用正極合材スラリー
出願人
住友金属鉱山株式会社
代理人
個人
,
個人
主分類
H01M
4/525 20100101AFI20251204BHJP(基本的電気素子)
要約
【課題】正極活物質の粒子表面の吸湿、及び、炭酸化をより低減し、かつ、正極合材スラリーの製造に用いた際の粘度上昇を抑制でき、かつ、高い初期放電容量を有する、リチウムイオン二次電池用正極活物質を提供する。
【解決手段】 リチウム、ニッケル、コバルト、及び、アルミニウムを含むリチウム金属複合酸化物の粒子と、少なくとも粒子の表面の一部を被覆する被覆層と、を有する被覆リチウム金属複合酸化物を含有し、リチウム金属複合酸化物の粒子は、複数の一次粒子が凝集した二次粒子を含み、二次粒子が中実構造を有し、空隙率が5%以下であり、被覆層が高分子化合物を含み、被覆リチウム金属複合酸化物が塩素を含む、リチウムイオン二次電池用正極活物質
【選択図】図1
特許請求の範囲
【請求項1】
リチウム、ニッケル、コバルト、及び、アルミニウムを含むリチウム金属複合酸化物の粒子と、少なくとも前記粒子の表面の一部を被覆する被覆層と、を有する被覆リチウム金属複合酸化物を含有し、
前記リチウム金属複合酸化物の粒子は、複数の一次粒子が凝集した二次粒子を含み、
前記二次粒子が中実構造を有し、空隙率が5%以下であり、
前記被覆層が高分子化合物を含み、
前記被覆リチウム金属複合酸化物が塩素を含む、
リチウムイオン二次電池用正極活物質。
続きを表示(約 1,200 文字)
【請求項2】
リチウム、ニッケル、コバルト、及び、アルミニウムを含むリチウム金属複合酸化物の粒子と、少なくとも前記粒子の表面の一部を被覆する被覆層と、を有する被覆リチウム金属複合酸化物を含有し、
前記リチウム金属複合酸化物の粒子は、複数の一次粒子が凝集した二次粒子を含み、
前記二次粒子が中実構造を有し、空隙率が5%以下であり、
前記被覆層が高分子化合物を含み、
前記被覆リチウム金属複合酸化物の炭酸リチウム量が0.05質量%以下である、
リチウムイオン二次電池用正極活物質。
【請求項3】
前記リチウム金属複合酸化物の粒子が一般式:Li
a
Ni
1-x-y-z
Co
x
Al
y
M
z
O
2+α
(0.95≦a≦1.5、0.01≦x≦0.2、0.01≦y≦0.15、0≦z≦0.2、及び、-0.1≦α≦0.2を満たす、Mは、W、Mo、V、Ca、Mg、Sr、Ba、Ti、Cr、Zr、Mn、Nb、Ta、Si、P、B、S、Na、及び、Kの中から選択される1種以上の元素を含む)で表される、請求項1又は2に記載のリチウムイオン二次電池用正極活物質。
【請求項4】
前記高分子化合物がエチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルエチルセルロース、及び、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドンから選択される1種以上を含む、請求項1又は2に記載のリチウムイオン二次電池用正極活物質。
【請求項5】
前記高分子化合物の平均分子量が3000000以下である、請求項1又は2に記載のリチウムイオン二次電池用正極活物質。
【請求項6】
前記塩素の含有量が0.1質量%以下である、請求項1に記載のリチウムイオン二次電池用正極活物質。
【請求項7】
前記被覆リチウム金属複合酸化物に含まれる前記高分子化合物の含有量が0.01質量%以上である、請求項1又は2に記載のリチウムイオン二次電池用正極活物質。
【請求項8】
正極活物質、導電材、結着材、高分子化合物、及び、有機溶媒を含み、
前記正極活物質が中実構造を有し、空隙率が5%以下であり、
前記高分子化合物がエチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルエチルセルロース、及び、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドンから選択される1種以上を含む、リチウムイオン二次電池用正極合材スラリー。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、リチウムイオン二次電池用正極活物質、及び、リチウムイオン二次電池用正極合材スラリーに関する。
続きを表示(約 2,500 文字)
【背景技術】
【0002】
エネルギー問題、環境問題などに対する世界的な意識の高まりから、化石燃料への依存度を減らしつつ、低炭素社会を実現するための技術開発が、現在もなお、盛んに行われている。この様な技術開発の例としては、ハイブリッド自動車や電気自動車などのクリーンビークルをはじめ、太陽光発電や風力発電などの自然エネルギー発電のほか、家庭用蓄電装置やスマートグリッド・スマートコミュニティ構築のための大型蓄電設備などが挙げられ、とても多岐にわたっている。
【0003】
これらの技術に共通するキーデバイスが、リチウムイオン二次電池である。リチウムイオン二次電池は、システムを小型化するための高いエネルギー密度、使用環境に左右されずに安定した電力供給を可能とするための高いレート特性(入出力特性)、及び、長期間の使用に耐え得る良好なサイクル特性(耐久特性)など、優れた性能を有する電池として、更なる改良・改善が試みられている。
【0004】
リチウムイオン二次電池は、負極、及び、正極と、電解質等とで構成され、負極、及び、正極の活物質には、リチウムを脱離・挿入することの可能な材料が用いられている。リチウムイオン二次電池の正極活物質としては、リチウムコバルト複合酸化物(例、LiCoO
2
)、リチウムニッケル金属複合酸化物(例、LiNiO
2
)、リチウムニッケルコバルトマンガン複合酸化物(例、LiNi
1/3
Co
1/3
Mn
1/3
O
2
)、リチウムマンガン複合酸化物(例、LiMn
2
O
4
)、リチウムニッケルマンガン複合酸化物(例、LiNi
0.5
Mn
0.5
O
2
)、及び、リチウムニッケルコバルトアルミニウム複合酸化物(例、LiNi
0.75
Co
0.15
Al
0.10
O
2
)などのリチウム金属複合酸化物を挙げることができる。
【0005】
リチウム金属複合酸化物の中でも、ニッケル、コバルト、及び、アルミニウムを特定の比率で含有する、リチウムニッケルコバルトアルミニウム複合酸化物や、ニッケル、マンガン、及び、コバルトを特定の比率で含有するリチウムニッケルマンガンコバルト複合酸化物は、熱安定性に優れ、高容量で、サイクル特性も良好で、かつ、低抵抗で高出力が得られる材料として注目されている。
【0006】
ところが、リチウム金属複合酸化物を正極活物質として用いた場合、例えば、正極活物質の吸湿やその粒子表面の炭酸化といった正極活物質の耐候性悪化による電池特性の低下のほか、正極活物質を正極合材スラリーの製造に用いた際の粘度上昇などの問題が生じることがある。そこで、これらの問題に対する解決手段として、例えば、以下の技術が知られている。
【0007】
特許文献1には、(メタ)アクリル酸エステル単量体単位、酸性基を有するビニル単量体単位、及び、α,β-不飽和ニトリル単量体単位を有するバインダーと、該バインダー100質量部に対し、イソチアゾリン系化合物0.001~1.0質量部と、キレート化合物0.001~1.0質量部と、を含有する二次電池正極用水系バインダー組成物が開示されている。特許文献1によれば、上記の組成物を用いることで、バインダー組成物の長期保存安定性が良好になり、二次電池のサイクル特性(特に高温サイクル特性)、及び、安全性の低下を防ぐことができるとされている。
【0008】
特許文献2には、例えば、キレート剤を含む二次電池電極用スラリーの粘度上昇防止剤、又は、ゲル化防止剤であって、二次電池電極用スラリーが、リン酸基を有する単量体単位を含む重合体をバインダーとして含むものである、二次電池電極用スラリーの粘度上昇防止剤、又は、ゲル化防止剤が開示されている。
【0009】
特許文献3には、リチウムニッケル複合酸化物粒子とリチウムを含有しないタングステン化合物粉末を混合して、リチウムニッケル複合酸化物粒子とタングステン化合物粒子を含むタングステン混合物を得る混合工程と、前記タングステン混合物を熱処理して、一次粒子表面にタングステンを分散させ、一次粒子表面にタングステン、及び、リチウムを含む化合物を設けたリチウムニッケル複合酸化物粒子を形成する熱処理工程と、を有することを特徴とする非水系電解質二次電池用正極活物質の製造方法が開示されている。特許文献3によれば、上記の製造方法を用いることにより、電池の正極材に用いた場合に、高容量と共に、高出力が実現可能な非水系電解質二次電池用正極活物質が得られるとされている。
【0010】
特許文献4には、リチウム、ニッケル、マンガン、及び、コバルトを含み、空隙率20%未満の中実構造の二次粒子から主に構成されるリチウム金属複合酸化物の粒子と、前記リチウム金属複合酸化物の粒子の表面に形成された、電子導電性粒子を含むイオン伝導性ポリマーからなる平均厚さ0.005~0.1μmの被覆層と、を有することを特徴とするリチウムイオン二次電池用の被覆正極活物質が開示されている。また、イオン伝導性ポリマーが、ポリエチレングリコール、ポリエチレンオキサイド、及び、これらの誘導体、又は、塩の中から選択される1種以上であってもよいことが開示されている。特許文献4によれば、上記の被覆正極活物質は、耐候性や長期保管性に優れると共に、正極合材ペースト混練時において、ゲル化を抑制することができ、リチウムイオン二次電池に組み込んだ際の初期放電容量を十分に高く維持することが可能であるとされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
(【0011】以降は省略されています)
この特許をJ-PlatPat(特許庁公式サイト)で参照する
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