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公開番号
2025181303
公報種別
公開特許公報(A)
公開日
2025-12-11
出願番号
2024089205
出願日
2024-05-31
発明の名称
鉄(Fe)-ニッケル(Ni)系合金粉及びその製造方法
出願人
住友金属鉱山株式会社
代理人
個人
主分類
B22F
1/00 20220101AFI20251204BHJP(鋳造;粉末冶金)
要約
【課題】粉体特性及び磁気特性に優れる大粒径の鉄-ニッケル系合金粉及びその製造方法を提供すること。
【解決手段】少なくとも鉄(Fe)及びニッケル(Ni)を磁性金属として含む鉄(Fe)-ニッケル(Ni)系合金粉の製造方法であって、前記方法が以下の工程;前記磁性金属を含む磁性金属源に対する部分酸化処理により、2価の磁性金属及び3価の磁性金属を含む部分酸化磁性金属源を得る磁性金属源部分酸化工程、前記部分酸化磁性金属源、核剤、錯化剤、還元剤、pH調整剤及び水を含む反応液の中で、前記磁性金属を含む晶析粉を還元反応により晶析させる晶析工程、及び前記反応液から前記晶析粉を回収する回収工程、を備え、前記磁性金属源は水溶性鉄塩及び水溶性ニッケル塩を含み、前記核剤は、ニッケルよりも貴な金属の水溶性塩であり、前記還元剤はヒドラジン(N
2
H
4
)であり、前記pH調整剤は水酸化アルカリである、方法。
【選択図】図8
特許請求の範囲
【請求項1】
少なくとも鉄(Fe)及びニッケル(Ni)を磁性金属として含む鉄(Fe)-ニッケル(Ni)系合金粉であって、平均粒径が0.6μm超であり、個数粒度分布における平均粒径及び標準偏差から下記(1)式にしたがって求められる変動係数(CV値)が25%以下である、合金粉。
TIFF
2025181303000037.tif
10
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続きを表示(約 1,200 文字)
【請求項2】
コバルト(Co)を磁性金属としてさらに含む、請求項1に記載の合金粉。
【請求項3】
鉄(Fe)量が10モル%以上95モル%以下、ニッケル(Ni)量が5モル%以上90モル%以下、且つコバルト(Co)量が0モル%以上40モル%以下である、請求項1又は2に記載の合金粉。
【請求項4】
飽和磁束密度が1T(テスラ)以上であり、且つ保磁力が2000A/m以下である、請求項1又は2に記載の合金粉。
【請求項5】
前記合金粉を構成する粒子表面に設けられた金属酸化物からなる絶縁コート層を備える、請求項1又は2に記載の合金粉。
【請求項6】
請求項1又は2に記載の合金粉を含む圧粉体又はシート。
【請求項7】
請求項6に記載の圧粉体及び/又はシートを備えたインダクタ、リアクトル、チョークコイル、ノイズフィルタ、トランス、回転機、発電機、又は電波吸収体。
【請求項8】
少なくとも鉄(Fe)及びニッケル(Ni)を磁性金属として含む鉄(Fe)-ニッケル(Ni)系合金粉の製造方法であって、前記方法が以下の工程;
前記磁性金属を含む磁性金属源に対する部分酸化処理により、2価の磁性金属及び3価の磁性金属を含む部分酸化磁性金属源を得る磁性金属源部分酸化工程、
前記部分酸化磁性金属源、核剤、錯化剤、還元剤、pH調整剤及び水を含む反応液の中で、前記磁性金属を含む晶析粉を還元反応により晶析させる晶析工程、及び
前記反応液から前記晶析粉を回収する回収工程、を備え、
前記磁性金属源は水溶性鉄塩及び水溶性ニッケル塩を含み、
前記核剤は、ニッケルよりも貴な金属の水溶性塩であり、
前記錯化剤は、ヒドロキシカルボン酸、ヒドロキシカルボン酸の塩、及びヒドロキシカルボン酸の誘導体からなる群から選択される少なくとも一種であり、
前記還元剤はヒドラジン(N
2
H
4
)であり、
前記pH調整剤は水酸化アルカリである、方法。
【請求項9】
前記部分酸化処理が、2価の磁性金属を含む磁性金属源が溶解した金属塩原料溶液に、3価の磁性金属を含む酸化磁性金属源を加える添加処理、あるいは2価の磁性金属を含む磁性金属源が溶解した金属塩原料溶液に、酸素含有ガスを吹き込むエアレーション処理である、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記水溶性鉄塩は、塩化第一鉄(FeCl
2
)、硫酸第一鉄(FeSO
4
)、及び硝酸第一鉄(Fe(NO
3
)
2
)からなる群から選ばれる少なくとも一種である、請求項8又は9に記載の方法。
(【請求項11】以降は省略されています)
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、鉄(Fe)-ニッケル(Ni)系合金粉とその製造方法に関する。
続きを表示(約 2,600 文字)
【背景技術】
【0002】
パーマロイとして知られる鉄-ニッケル系合金は、高い透磁率を有する軟磁性材料であり、チョークコイルやインダクタなどの磁性部品の磁芯に用いられる。特に鉄-ニッケル系合金粉は、これを圧縮成形して得られる磁芯用圧粉コア(圧粉磁芯)の材料として利用されている。
【0003】
パーマロイには、78パーマロイ(パーマロイA)や45パーマロイといった種々のものが知られており、その磁気特性や用途に応じて、使い分けられている。78パーマロイは、ニッケル含有量が約78.5質量%の鉄-ニッケル合金であり、透磁率が高いという特徴がある。45パーマロイは、ニッケル含有量が45質量%の鉄-ニッケル合金であり、透磁率がやや低いものの、飽和磁束密度が高いという特徴がある。
【0004】
近年、ノートパソコンやスマートフォンなどのモバイル機器の小型化・高性能化が急速に進んでいる。また、これに伴い、インダクタなどの磁性部品には、磁気特性向上に加えて高周波化への対応が求められている。そしてそのためには、圧粉コアの材料には、磁束密度が高いとともに、損失の低減が求められている。損失には、主としてヒステリシス損失と渦電流損失がある。ヒステリシス損失を抑えるためには、合金粉を構成する粒子の粒径を大きくし、保磁力を低くすることが有効である。一方で渦電流損失を抑えるためには、合金粉の粒子表面に薄い絶縁コーティングを施し、それにより粒子間の渦電流を低減すること、粒度分布を小さくすることなどが有効である。渦電流が流れると、ジュール熱による損失が発生するからである。
【0005】
合金粉を作製する手法として、アトマイズ法、気相還元法及び乾式還元法などの乾式法が従来から知られている。アトマイズ法は、金属溶湯に水又はガスを吹き付けて、溶湯を急冷凝固させる手法である。気相還元法は、気相状態の金属ハロゲン化物を水素還元する手法である。乾式還元法は、還元剤を用いて金属酸化物を還元する手法である。
【0006】
例えば、特許文献1には、ノイズフィルタ、チョークコイル、インダクタなどの素材として用いるNi-Fe系合金粉末に関して、気相還元法により製造する旨が記載されている(特許文献1の[0001]及び[0014])。また特許文献1には、NiCl
2
とFeCl
3
の混合物を加熱し、蒸気化した塩化物と水素ガスとを接触させて還元反応を起こさせて、Ni-Fe合金の微粉末を作製する旨が開示されている(特許文献1の[0016])。また特許文献2には、チョークコイルやインダクタ等の電子部品の材料として用いられるFe-Ni系合金粉末に関して、FeとNiの酸化物を還元性ガス中で還元して作製する旨が記載されている(特許文献2の請求項1)。
【0007】
一方で、湿式法を用いて、より微細な合金粉を作製することが提案されている。例えば、特許文献3には、ニッケル塩と鉄塩を含む水溶液に、ヒドラジンなどの還元剤を添加して、水溶液に含まれるニッケルイオンおよび鉄イオンを同時に還元することにより、ニッケル-鉄合金ナノ粒子を生成することを特徴とするニッケル-鉄合金ナノ粒子の製造方法が開示されている(特許文献3の請求項1~6)。この製造方法によれば、磁気特性を付与するためのフィラーとして好適な、平均一次粒子が200nm以下のニッケル-鉄合金ナノ粒子を、工業的規模にて低製造コストで、効率的に製造することができるとされている(特許文献3の[0015])。また、特許文献4には、磁性金属源(水溶性鉄と水溶性ニッケル塩、必要に応じて水溶性コバルト塩)、核剤(ニッケルよりも貴な金属の水溶性塩)、錯化剤(ヒドロキシカルボン酸、ヒドロキシカルボン酸の塩、及びヒドロキシカルボン酸の誘導体から選択される少なくとも一種)、pH調整剤(水酸化アルカリ)、還元剤(ヒドラジン)、及び水を含む反応液中で、晶析反応(還元反応)により晶析粉(鉄-ニッケル系合金粉や鉄-ニッケル-コバルト系合金粉)を得ることを特徴とする鉄-ニッケル系合金粉や鉄-ニッケル-コバルト系合金粉の製造方法が開示されている(特許文献4の請求項1~13)。この製造方法によれば、特定の核剤と錯化剤を用いることにより、粉体特性及び磁気特性に優れる平均粒径が0.2μm~0.6μmの合金粉を少ない還元剤使用量で得ることができるとされている(特許文献4の[0011]、[0062]、[0162])。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
特開2003-193160号公報
特開2012-197474号公報
特開2008-024961号公報
WO2022/080487号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
このように乾式法や湿式法で合金粉を作製することが提案されるものの、従来の技術には、粉体特性に優れた合金粉を得る上で改良の余地があった。例えば、特許文献1で提案される気相還元法では、得られる合金粉の粒度分布が広い。そのため合金粉は、渦電流損失低減を図る上で不十分である。また合金粉末の組成や粒径が安定しないという問題もある。特許文献2で提案される乾式還元法は、高温加熱を必要とするため、得られる合金粉が焼結して凝集粒子を形成しやすいという問題がある。
【0010】
特許文献3、4で提案される湿式法は、乾式法とは異なり核発生と粒成長が比較的均一の生じるため粒度分布の狭い粒子が得られ、かつ低温で還元反応が進むため粗大な凝集粒子が生成しにくいという利点がある。また凝集粒子が形成されたとしても、粒子同士の結合は強固でないため、凝集粒子を解砕することが容易である。しかしながら特許文献3、4で提案される手法では、核発生数の調整(低減)による粒径制御(大粒径化)に限界があり、0.6μmを超える大粒径の合金粉を得ることは困難であった。そのため、大粒径合金粉(例えば、1μm~数μmの粒径)のニーズがあったとしても、それに応えることができなかった。
(【0011】以降は省略されています)
この特許をJ-PlatPat(特許庁公式サイト)で参照する
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