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公開番号2025178717
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-12-09
出願番号2024085491
出願日2024-05-27
発明の名称グリース組成物及びそれを封入した等速ジョイント
出願人協同油脂株式会社
代理人個人,個人,個人,個人,個人
主分類C10M 169/06 20060101AFI20251202BHJP(石油,ガスまたはコークス工業;一酸化炭素を含有する工業ガス;燃料;潤滑剤;でい炭)
要約【課題】耐焼付き性に優れたグリース組成物を提供すること。
【解決手段】(a)ジウレア系増ちょう剤
(b)基油
(c)過塩基性カルシウムスルホネート
(d)セバシン酸ジナトリウム
を含有するグリース組成物であって、
成分(c)の含有量が、組成物の全質量を基準にして1.5~3.5質量%であり、
成分(d)の含有量が、組成物の全質量を基準にして0.2~1質量%である、
前記グリース組成物。
【選択図】なし
特許請求の範囲【請求項1】
(a)ジウレア系増ちょう剤、
(b)基油、
(c)組成物の全質量を基準にして0.1~10質量%の過塩基性カルシウムスルホネート、及び
(d)組成物の全質量を基準にして0.01~5質量%のセバシン酸ジナトリウム、
を含有するグリース組成物。
続きを表示(約 680 文字)【請求項2】
成分(c)の塩基価が200~500mgKOH/gである、請求項1に記載のグリース組成物。
【請求項3】
成分(a)が、下記式(1)で示されるジウレア化合物である請求項1記載のグリース組成物。

1
-NHCONH-R
2
-NHCONH-R
3
(1)
(式中、R
1
及びR
3
は、互いに同一でも異なっていてもよく、炭素数8~18のアルキル基、炭素数6のアリール基、又はシクロヘキシル基である。R
2
は、炭素数6~15の2価の芳香族炭化水素基である。)
【請求項4】
さらに、成分(e-1)非油溶性ジアルキルジチオカルバミン酸モリブデン(MoDTC)、及び成分(e-2)油溶性ジアルキルジチオカルバミン酸モリブデン(MoDTC)からなる群から選ばれる少なくとも1種類を含む、請求項1記載のグリース組成物。
【請求項5】
成分(e-1)及び成分(e-2)を含有する、請求項4記載のグリース組成物。
【請求項6】
中性亜鉛スルホネートを含まない、請求項1記載のグリース組成物。
【請求項7】
等速ジョイント用である、請求項1記載のグリース組成物。
【請求項8】
アウトボード側等速ジョイント用である、請求項1記載のグリース組成物。
【請求項9】
請求項1~8のいずれか1項記載のグリース組成物を充填した等速ジョイント。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、等速ジョイント、特にアウトボード側等速ジョイントに好適に用いることができるグリース組成物に関する
続きを表示(約 5,100 文字)【背景技術】
【0002】
自動車車両の環境対策(CO
2
削減)を目的として、軽量化かつ居住空間の確保の点からFF車が広く普及している。FF車において、エンジンやモータなどのパワートレインユニットの動力(トルク)をタイヤに伝えるために、等速ジョイント(以下、「CVJ」と称することもある)が広く用いられている。
近年、脱炭素社会化の推進から、自動車業界でもCO
2
排出量の削減や省燃費・省電費に向けた取り組みが進められている。これらの取り組みに対して、小型軽量化による高負荷容量への対応が必要となっている。
CVJは、角度の付いた状態で回転するためにジョイント内部の部品同士が複雑なころがりすべり運動を行う。特に、アウトボード側CVJは転舵角度を大きく取るため、CVJ内部における転がり滑り距離が大きくなり、さらにボール1個当たりの最大負荷が格段に増加する。さらに、CVJの小型軽量化はCVJ内の構成部品がすべて小さくなるため、グリースには更に高い耐荷重性能が求められる。この高い耐荷重性能が不足すると、金属接触起因の微小な焼付を起因とするフレーキングが発生し、異音が発生したりする恐れがある。これらの問題解決のため、CVJ自体の構造改良もなされてきたが、コスト面の課題が大きく、高い耐荷重性能を有するグリースが要求されるようになった。よって、小型高容量化されたCVJには、高い耐荷重性能を有する添加剤組成を含むグリースが必要である。
CVJのフレーキング現象の発生を防止し得るグリースとして、これまでに様々なグリース組成物が提案されている。例えば特許文献1には、基油、ウレア系増ちょう剤、二硫化モリブデン、及び特定のカルシウム塩を含有するグリース組成物が提案されている。特許文献2には、基油、ウレア系増ちょう剤、二硫化モリブデン、特定のカルシウム塩、金属を含まない硫黄-リン系極圧剤、及びモリブデンジチオカーバメートを含有する等速ジョイント用グリース組成物が提案されている。特許文献3には、鉱物油、エーテル系合成油、エステル系合成油、炭化水素系合成油及びこれらの2種以上の混合油からなる群から選ばれる基油、次式で表されるジウレア系増ちょう剤:

4
-NH-CO-NH-C
6

4
-p-CH
2
-C
6

4
-p-NH-CO-NHR
5
(R
4
及びR
5
は、炭素原子数8のアルキル基である)、二硫化モリブデン、次式で表される硫化ジアルキルジチオカルバミン酸モリブデン、
(R
6

7
N-CS-S)
2
-Mo
2
OmSn
(式中、R
6
、R
7
は独立して、炭素数1~24のアルキル基を表し、mは0~3、nは4~1であり、m+n=4である。)、
石油スルホン酸のカルシウム塩、及び石油スルホン酸の過塩基性カルシウム塩からなる群から選択される少なくとも1種のカルシウム塩、前記組成物に基づいて、1.5~10質量%の硫黄-リン系極圧剤、及び、植物性油脂を含有する等速ジョイント用組成物が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
特開平9-194871号公報
特開平9-324189号公報
特開2006-96949号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このように、これまでのCVJ用グリース組成物でも、台上試験及び低荷重でのSRV試験により、耐フレーキング寿命が検討されてきたが、一方で、小型高容量化に伴う非常に高い荷重に耐えうる耐焼付き特性については、必ずしも十分な検討がされてきたとは言えない。
したがって、本発明は、CVJの小型高容量化を考慮し、耐焼付き性に優れたグリース組成物を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明により、以下のグリースを提供する。
1.(a)ジウレア系増ちょう剤、
(b)基油、
(c)組成物の全質量を基準にして0.1~10質量%の過塩基性カルシウムスルホネート、及び
(d)組成物の全質量を基準にして0.01~5質量%のセバシン酸ジナトリウム、
を含有するグリース組成物。
2.成分(c)の塩基価が200~500mgKOH/gである、前記1に記載のグリース組成物。
3.成分(a)が、下記式(1)で示されるジウレア化合物である前記1又は2に記載のグリース組成物。

1
-NHCONH-R
2
-NHCONH-R
3
(1)
(式中、R
1
及びR
3
は、互いに同一でも異なっていてもよく、炭素数8~18のアルキル基、炭素数6のアリール基、又はシクロヘキシル基である。R
2
は、炭素数6~15の2価の芳香族炭化水素基である。)
4.さらに、成分(e-1)非油溶性ジアルキルジチオカルバミン酸モリブデン(MoDTC)、及び成分(e-2)油溶性ジアルキルジチオカルバミン酸モリブデン(MoDTC)からなる群から選ばれる少なくとも1種類を含む、前記1~3のいずれかに記載のグリース組成物。
5.成分(e-1)及び成分(e-2)を含有する、前記4に記載のグリース組成物。
6.中性亜鉛スルホネートを含まない、前記1~5のいずれかに記載のグリース組成物。
7.等速ジョイント用である、前記1~6のいずれかに記載のグリース組成物。
8.アウトボード側等速ジョイント用である、前記1~7のいずれかに記載のグリース組成物。
9.前記1~8のいずれかに記載のグリース組成物を充填した等速ジョイント。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、非常に高い耐焼付き性を有するグリース組成物を提供できる。如何なる理論にも拘束されるものではないが、本発明のグリース組成物は、強固な添加剤被膜を形成し、金属母材同士の接触を防ぐことができ、かつ、金属接触し摩耗による新生面が生じた場合でも速やかに緻密な酸化被膜を形成することができる、と考えられる。
【発明を実施するための形態】
【0007】
(a)ジウレア系増ちょう剤
本発明の増ちょう剤は、ジウレア系増ちょう剤である。ジウレア系増ちょう剤はせん断によって早期に軟化しやすいため、CVJ内における摺動部にグリースを十分に供給することができる。
本発明の増ちょう剤は、下記式(1)で示されるジウレア化合物であるのが好ましい。

1
-NHCONH-R
2
-NHCONH-R
3
(1)
(式中、R
1
及びR
3
は、互いに同一でも異なっていてもよく、炭素数8~18のアルキル基、炭素数6のアリール基、又はシクロヘキシル基である。R
2
は、炭素数6~15の2価の芳香族炭化水素基である。)
ジウレア化合物は、ジイソシアネート成分とモノアミン成分とを反応して得られる。
ジイソシアネートとしては、ジフェニルメタンジイソシアネート、オクタデカンジイソシアネート、デカンジイソシアネート、ヘキサンジイソシアネート、トルエンジイソシアネート等が挙げられる。モノアミンとしては、オクチルアミン、ドデシルアミン、ヘキサデシルアミン、ステアリルアミン、オレイルアミン、アニリン、p-トルイジン、シクロヘキシルアミン等及びこれらの混合物が挙げられる。
【0008】
式(1)で表わされるジウレア化合物のうち、本発明のジウレア系増ちょう剤としては、脂肪族ジウレア化合物、芳香族ジウレア化合物、脂環式ジウレア化合物、脂環芳香族ジウレア化合物、脂環脂肪族ジウレア化合物からなる群から選択されるジウレア化合物が好ましく用いられる。
このうち、脂環芳香族ジウレア化合物は、原料のアミンとして、シクロヘキシルアミンと芳香族アミンとの混合物を用いるため、反応により得られるジウレア化合物は、脂環式ジウレア化合物と、芳香族ジウレア化合物と、脂環芳香族ジウレア化合物との混合物である。換言すれば、脂環芳香族ジウレア化合物は、下記式(1-1)、(1-2)、(1-3)で表されるジウレア化合物の混合物である。

1
-NHCONH-R
2
-NHCONH-R
1
(1-1)

1
-NHCONH-R
2
-NHCONH-R
3
(1-2)

3
-NHCONH-R
2
-NHCONH-R
3
(1-3)
式中、R
1
はシクロヘキシル基であり、R
3
は炭素数6のアリール基であり、R
2
は上に定義したとおりである。R
1
とR
3
とのモル比は、R
1
:R
3
=60:40~80:20であるのが好ましく、65:35~75:25であるのがより好ましい。
【0009】
同様に、脂環脂肪族ジウレア化合物は、原料のアミンとして、シクロヘキシルアミンと脂肪族アミンの混合物を用いるため、反応により得られるジウレア化合物は、脂環式ジウレア化合物と、脂肪族ジウレア化合物と、脂環脂肪族ジウレア化合物との混合物である。換言すれば、脂環脂肪族ジウレア化合物は、下記式(1-1)、(1-2)、(1-3)で表されるジウレア化合物の混合物である。

1
-NHCONH-R
2
-NHCONH-R
1
(1-1)

1
-NHCONH-R
2
-NHCONH-R
3
(1-2)

3
-NHCONH-R
2
-NHCONH-R
3
(1-3)
式中、R
1
はシクロヘキシル基であり、R
3
は炭素数8~18のアルキル基であり、R
2
は上に定義したとおりである。R
1
とR
3
とのモル比は、R
1
:R
3
=70:30~95:5であるのが好ましく、75:25~93:7であるのがより好ましい。
【0010】
原料のアミンとして、2種のアルキルアミンを用いる場合、反応により得られるジウレア化合物もまた混合物となる。すなわち、下記式(1-1)、(1-2)、(1-3)で表されるジウレア化合物の混合物となる。

1
-NHCONH-R
2
-NHCONH-R
1
(1-1)

1
-NHCONH-R
2
-NHCONH-R
3
(1-2)

3
-NHCONH-R
2
-NHCONH-R
3
(1-3)
式中、R
1
は炭素数8~18のアルキル基であり、R
3
は別の炭素数8~18のアルキル基であり、R
2
は上に定義したとおりである。R
1
とR
3
とのモル比は、R
1
:R
3
=70:30~30:70であるのが好ましく、60:40~40:60であるのがより好ましい。
(【0011】以降は省略されています)

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