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公開番号2025178650
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-12-09
出願番号2024085382
出願日2024-05-27
発明の名称無電解メッキの前処理用洗浄剤及びそれを用いた無電解メッキの形成方法
出願人横浜油脂工業株式会社
代理人弁理士法人 もえぎ特許事務所
主分類C23C 18/18 20060101AFI20251202BHJP(金属質材料への被覆;金属質材料による材料への被覆;化学的表面処理;金属質材料の拡散処理;真空蒸着,スパッタリング,イオン注入法,または化学蒸着による被覆一般;金属質材料の防食または鉱皮の抑制一般)
要約【課題】基材に対してクロム酸や過マンガン酸等の強酸による表面粗化を必要とせず、基材の表面の洗浄と同時にカップリング処理ができ、基材との接触面が平坦な金属メッキを形成し得る、無電解メッキの前処理用洗浄剤及びそれを用いた無電解メッキの形成方法を提供する。
【解決手段】無機アルカリ、界面活性剤を含む洗浄剤と、シランカップリング剤と、を含み、基材の表面の洗浄と同時にカップリング処理を行える、無電解メッキの前処理用洗浄剤。
【選択図】図1
特許請求の範囲【請求項1】
無機アルカリ、界面活性剤を含む洗浄剤と、
シランカップリング剤と、を含み、
合成樹脂又はガラス製の基材の表面の洗浄と同時にカップリング処理を行える、無電解メッキの前処理用洗浄剤。
続きを表示(約 800 文字)【請求項2】
高周波電気回路基板を製造する際に用いられるものである、請求項1に記載の洗浄剤。
【請求項3】
前記シランカップリング剤が、官能基としてアミノ基を有するシランカップリング剤である、請求項1に記載の洗浄剤。
【請求項4】
前記シランカップリング剤が、前記洗浄剤の全質量基準で、0.5~4質量%含まれる、請求項2又は3に記載の洗浄剤。
【請求項5】
前記シランカップリング剤が、前記洗浄剤の全質量基準で、0.8~2質量%含まれる、請求項2又は3に記載の洗浄剤。
【請求項6】
前記アルカリが、NaOHもしくはKOH又は珪酸塩である、請求項2又は3に記載の洗浄剤。
【請求項7】
さらにキレート剤を含み、
前記キレート剤が、リン酸又はホスホン酸のアルカリ塩である、請求項2又は3に記載の洗浄剤。
【請求項8】
前記界面活性剤が、表面張力が30mN/m以下の界面活性剤である、請求項2又は3に記載の洗浄剤。
【請求項9】
前記洗浄剤が、珪酸カリウム水溶液又は珪酸ナトリウム水溶液及び無機アルカリからのメタ珪酸イオン(SiO

2-
)と、水酸化イオン(OH

)及びカリウムイオン(K

)又はナトリウムイオン(Na

)を含む請求項2又は3に記載の洗浄剤。
【請求項10】
前記基材が、ポリイミド樹脂(PI)、エポキシ樹脂(EP)、フッ素樹脂(FP)、シクロオレフィン樹脂(COP)、ポリフェニレンエーテル樹脂(PPEP)、液晶ポリマー(LCP)からなる群から選択される合成樹脂で形成されたものである、請求項2又は3に記載の洗浄剤。
(【請求項11】以降は省略されています)

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、無電解メッキの前処理用洗浄剤及びそれを用いた無電解メッキの形成方法に関する。より詳しくは基材との接触面が平坦な金属メッキを形成し得る、無電解メッキの前処理用洗浄剤及びそれを用いた無電解メッキの形成方法に関する。
続きを表示(約 3,800 文字)【背景技術】
【0002】
プリント配線板は、絶縁性基材の表面に回路パターンの金属層が形成されたものである。近年、電子機器製品の小型化、軽量化要求に伴い、プリント配線板(フィルム)の多層化及び、回路配線の高精細化が求められている。
従来、微細配線回路を作製する方法として、例えば、スルーホールやブラインドビアホールへの無電解めっき法が提案されている。この方法においては、絶縁性基材上にパラジウム触媒を用いた無電解銅めっきや、無電解ニッケルめっきにより、導電性のシード層を形成する方法が知られている。これらの方法では、基材と銅めっき膜の密着性を確保するために、デスミア粗化と呼ばれる過マンガン酸等の強い薬剤を用いた表面処理(表面粗化)が行われている。アンカー効果を利用し、絶縁性基材とめっき膜の密着性を確保するためである。
【0003】
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
WO2020-003880号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、基材表面の洗浄と、金属メッキ用金属触媒の表面担持には、複雑な工程が行われていたため、工程の簡略化が求められていた。また環境問題への対応等の要望より、強酸のような有機溶剤を用いないことが求められている。
さらに一部の技術分野においては、金属表面を粗くすることは望まれていなかった。高速通信(高周波)に対応する回路基板の技術分野では、金属基板の凹凸が表皮伝送損失となるからである。そのため、例えば、高周波電気回路基板を製造する際の無電解メッキ工程において、基材との接触面が平坦な金属メッキを形成することが望まれていた。
本発明の解決しようとする課題は、基材に対してクロム酸や過マンガン酸等の強酸による表面粗化を必要とせず、基材の表面の洗浄と同時にカップリング処理ができ、基材との接触面が平坦な金属メッキを形成し得る、無電解メッキの前処理用洗浄剤及びそれを用いた無電解メッキの形成方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は以下の内容に関する。
〈1〉 無機アルカリ、界面活性剤を含む洗浄剤と、シランカップリング剤と、を含み、
合成樹脂又はガラス製の基材の表面の洗浄と同時にカップリング処理を行える、無電解メッキの前処理用洗浄剤。
〈2〉 高周波電気回路基板を製造する際に用いられるものである、〈1〉に記載の洗浄剤。
〈3〉 シランカップリング剤が、官能基としてアミノ基を有するシランカップリング剤である、〈1〉又は〈2〉に記載の洗浄剤。
〈4〉 シランカップリング剤が、前記洗浄剤の全質量基準で、0.5~4質量%含まれる、〈2〉又は〈3〉に記載の洗浄剤。
〈5〉 シランカップリング剤が、前記洗浄剤の全質量基準で、0.8~2質量%含まれる、〈2〉又は〈3〉に記載の洗浄剤。
〈6〉 アルカリが、NaOHもしくはKOH又は珪酸塩である、〈2〉又は〈3〉に記載の洗浄剤。
〈7〉 さらにキレート剤を含み、キレート剤が、リン酸又はホスホン酸のアルカリ塩である、〈2〉又は〈3〉に記載の洗浄剤。
〈8〉 界面活性剤が、表面張力が30mN/m以下の界面活性剤である、〈2〉又は〈3〉に記載の洗浄剤。
〈9〉 洗浄剤が、珪酸カリウム水溶液又は珪酸ナトリウム水溶液及び無機アルカリからのメタ珪酸イオン(SiO

2-
)と、水酸化イオン(OH

)及びカリウムイオン(K

)又はナトリウムイオン(Na

)を含む〈2〉又は〈3〉に記載の洗浄剤。
〈10〉 基材が、ポリイミド樹脂(PI)、エポキシ樹脂(EP)、フッ素樹脂(FP)、シクロオレフィン樹脂(COP)、ポリフェニレンエーテル樹脂(PPEP)、液晶ポリマー(LCP)からなる群から選択される合成樹脂で形成されたものである、〈2〉又は〈3〉に記載の洗浄剤。
〈11〉 合成樹脂又はガラス製の基材の表面に金属メッキ層を形成する無電解メッキの形成方法であって、基材を、無機アルカリ、界面活性剤を含む洗浄剤と、シランカップリング剤と、を含む、洗浄剤に浸漬して、前記基材の洗浄とカップリング処理を同時に行う洗浄・カップリング工程と、洗浄・カップリング処理された前記基材を、金属触媒を含む溶液に浸漬させる金属触媒担持工程と、金属触媒が担持された前記基材を、金属イオンを含むメッキ浴に浸漬して、前記基材の表面に金属メッキを施すメッキ工程と、を備える無電解メッキの形成方法。
〈12〉 基材が、ポリイミド樹脂(PI)、エポキシ樹脂(EP)、フッ素樹脂(FP)、シクロオレフィン樹脂(COP)、ポリフェニレンエーテル樹脂(PPEP)、液晶ポリマー(LCP)からなる群から選択される合成樹脂で形成されたものである、〈11〉に記載の無電解メッキの形成方法。
〈13〉 洗浄・カップリング工程の後、前記基材をリンスし乾燥させてから、基材に対して前記金属触媒担持工程を行う、及び/又は金属触媒担持工程の後、基材をリンスし乾燥させてから、基材に対して前記メッキ工程を行う、〈11〉又は〈12〉に記載の無電解メッキの形成方法。
〈14〉 洗浄・カップリング工程の前に、基材の表面の親水化を行う、〈11〉又は〈12〉に記載の無電解メッキの形成方法。
〈15〉 〈11〉又は〈12〉に記載の無電解メッキの形成方法により形成された、メッキ成形体。
〈16〉 メッキ成形体が、高周波電気回路基板である〈11〉又は〈12〉に記載のメッキ成形体。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、基材に対してクロム酸や過マンガン酸等の強酸による表面粗化を必要とせず、基材の表面の洗浄と同時にカップリング処理ができ、基材との接触面が平坦な金属メッキを形成し得る、無電解メッキの前処理用洗浄剤及びそれを用いた無電解メッキの形成方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1は合成樹脂製の基材の表面に形成されたプライマー層の概念図である。
図2A、図2Bは、シランカップリング剤の反応メカニズムを示す図である。
図3は、ポリイミド樹脂の表面改質の概念図である。
図4は、赤外分光法(FTIR)を用いたサンプル表面の改質状態を示すチャート図である。
図5Aは、サンプルの表面に形成された銅メッキ層の状態を示す写真図である。図5Bはサンプルの調製条件をまとめた図である。
図6は、各基材に対する洗浄剤の濡れ性の影響を示す写真図である。
図7は、銅メッキ膜の膜厚調査の結果を示す図である。
図8Aはポリイミドに対する無電解銅メッキ成膜レート、図8Bはガラスプレートに対する無電解銅メッキ成膜レート、図8Cは無電解銅メッキの成膜条件を示すグラフ図である。
図9は、簡易プレス後の観察写真を示す図である。
図10Aは、ガラスプレートの表面に形成された銅メッキ層の状態を示す写真図である。図10Bはカップリング剤の影響を示す写真図である。
図11Aは、サンプルの表面に形成された銅メッキ層の状態を示す写真図である。図11Bはサンプルの調製条件をまとめた図である。
図12は、カップリング剤の濃度がサンプルの表面に形成される銅メッキに与える影響を示す写真図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に、実施形態を挙げて本発明の説明を行うが、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。
【0010】
〔無電解メッキの前処理用洗浄剤〕
本発明は、(A)無機アルカリ、界面活性剤を含む洗浄剤と、(B)シランカップリング剤と、を含む無電解メッキの前処理用洗浄剤に関する。
図1は合成樹脂製の基材の表面に形成されたプライマー層の概念図である。本発明の洗浄剤を基材上に塗布すると、基材表面を粗化することなく広く濡れ拡がり、基材の表面の洗浄と同時にカップリング処理が行われる。そして、反応触媒としての銀粒子をさらに適用することで基材上にカップリング剤を介して銀粒子が吸着したプライマー層が形成される。さらに、無電解メッキを行うことでこのプライマー層の銀粒子を起点として銅等のメッキ層が形成される。
本発明の洗浄剤は非常に表面張力が低く濡れ性が良いことから、小径のビアホールであっても内部まで濡れ拡がって洗浄することができる。また基材表面を粗化することがないため、基材との接触面が平坦な金属メッキ層を形成し得るので、高周波電気回路基板の製造に用いられ得るものである。接着強度を維持しながら、平坦なメッキ膜を形成できる。
(【0011】以降は省略されています)

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