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公開番号2025177914
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-12-05
出願番号2024085072
出願日2024-05-24
発明の名称積層体、包装袋、蓋材、および積層体の製造方法
出願人東京インキ株式会社
代理人
主分類B32B 27/20 20060101AFI20251128BHJP(積層体)
要約【課題】ポリオレフィン基材層による積層体をヒートシールする際に、ヒートシール時の積層体の収縮が抑制され、複数回のヒートシール時においても成形性に優れ、ヒートシール時に透明コート層表面の傷も発生せず、かつ積層体の内層に施された色や意匠を確認することができる積層体を提供することを目的とする。
【解決手段】ヒートシール層と、基材層と、基材層からみてヒートシール層とは反対側の最外面に透明コート層を有する積層体であって、前記基材層はポリオレフィン樹脂を含むフィルムであり、前記透明コート層は、バインダー樹脂、固体粒子を含み、前記バインダー樹脂は、アクリルポリオールまたは塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体と、イソシアネート化合物との架橋組成物を含み、前記固体粒子は、平均粒子径が3~15μmの酸化ポリエチレンワックス粒子と、平均粒子径が1~30μmのシリカ粒子とを含む、積層体。
【選択図】 なし
特許請求の範囲【請求項1】
ヒートシール層と、基材層と、基材層からみてヒートシール層とは反対側の最外面に透明コート層を有する積層体であって、
前記基材層はポリオレフィン樹脂を含むフィルムであり、
前記透明コート層は、バインダー樹脂、固体粒子を含み、
前記バインダー樹脂は、アクリルポリオールまたは塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体と、イソシアネート化合物との架橋組成物を含み、
前記固体粒子は、平均粒子径が3~15μmの酸化ポリエチレンワックス粒子と、平均粒子径が1~30μmのシリカ粒子とを含む、
積層体。
続きを表示(約 710 文字)【請求項2】
請求項1に記載の酸化ポリエチレンワックス粒子が酸価0.5~50mgKOH/gの酸化ポリエチレンワックス粒子である、請求項1に記載の積層体。
【請求項3】
請求項1または2に記載のアクリルポリオールまたは前記塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体の水酸基価が20~250mgKOH/gである積層体。
【請求項4】
請求項1または2に記載の積層体であって、透明コート層の厚みが0.3~8μmである積層体。
【請求項5】
請求項1または2に記載の積層体により形成された包装袋。
【請求項6】
請求項1または2に記載の積層体により形成された蓋材。
【請求項7】
基材層としてポリオレフィン樹脂を準備する工程と、ヒートシール剤またはヒートシールフィルムを積層して、基材層とヒートシール層を有するヒートシール性積層体を形成する工程と、
該ヒートシール性積層体の、基材から見てヒートシール剤またはヒートシールフィルムを積層した面とは反対側の最外面に透明コート剤を塗布して透明コート層を形成する塗布工程とを含む積層体の製造方法であって、
前記透明コート剤は、バインダー樹脂、固体粒子、及び有機溶剤を含み、
前記バインダー樹脂は、アクリルポリオールまたは塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体と、イソシアネート化合物との架橋組成物を含み、
前記固体粒子は、平均粒子径が3~15μmの酸化ポリエチレンワックス粒子と、平均粒子径が1~30μmのシリカ粒子を含む透明コート剤、
であることを特徴とする積層体の製造方法。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、ヒートシール層を有する積層体、包装袋、蓋材、および積層体の製造方法に関する。
続きを表示(約 5,700 文字)【背景技術】
【0002】
近年、世界各国において資源循環への国際的な意識の高まりやごみ問題の深刻化があり、食品、医薬品等に求められるプラスチック製包装材料についても、3R(recycle、reuse、reduce)の観点から環境対応型の製品が求められている。
前記の環境に優しい包装材料とする検討の一つとして、包装材料がリサイクル可能な同一素材から成ること、つまりモノマテリアル化することが積極的に検討されている。モノマテリアル化のための素材としては、例えばポリエステル系またはポリオレフィン系の検討がそれぞれ進められている。
こうした包装材料へのモノマテリアル化への取り組みから、食品、菓子、スナック等の包装フィルムや包装袋、食品容器の蓋材、また容器に付着するラベルにおいて、リサイクルを促進して環境負荷を低減するため、モノマテリアル(単一素材)化が進んでいる。これら包装袋、および蓋材では、フィルム同士や、フィルムと容器とをヒートシール剤を用いて融着して密封や接着されることがあり、単一素材のフィルム基材とヒートシール剤とを含む多層の積層体が用いられる。
しかし、従来の異種材料を組み合わせた積層体は、包装材料の耐性や強度を向上させるよう様々な材料、例えば低収縮、高強度かつ高融点のポリエチレンテレフタレート樹脂やナイロン樹脂を基材として用いる等の材料を選択していたが、単一素材であるモノマテリアルでは、ヒートシール材に合わせるよう、多層体の素材の多くをポリエチレンやポリプロピレンなどのポリオレフィン樹脂のみで構成する必要があり、基材となるポリオレフィン樹脂は他の樹脂に比べて低融点かつ高収縮である都合、ヒートシールの処理を行う際に基材の収縮が発生し、折れやヒートシール部分の曲がり等のトラブルが発生することがあった。
特に、現在主流の高速製袋機では、積層および印刷された積層体原反を、ラインの高速化、かつ内容物のヒートシール部分からの漏出防止の観点から、1つの包装材料に対して、ヒートシールを複数回行うことが主流であり、大量生産する場合、ヒートシール時に収縮した基材をさらにヒートシール時に加熱するため成形された包装袋がゆがむ、ヒートシール部分が曲がる等のヒートシール時のトラブルの頻度が高かった。
【0003】
こうしたポリオレフィンにおけるヒートシール時のトラブルを回避する方法がこれまでにもいくつか提案されている。
特許文献1は、保護層とポリエチレン製の基材層とシーラント層を備える積層体に係る発明であって、熱硬化性樹脂又は融点160℃以上の樹脂を保護層とすることで、ヒートシールバーへの溶融した基材の付着やヒートシール部のシワといった外観のトラブルを抑制した耐熱性が得られ、印刷視認性にも優れるとある。しかし、前記の通りポリオレフィン基材は高収縮な基材であるため、接着性を高めるよう加熱したヒートシールバーの押しつけを繰り返し行うと、基材であるポリオレフィンが収縮して形状がゆがみ、ゆがんだ状態でヒートシールされた部分が折れて融着されることがある問題があった。
特許文献2は、ポリオレフィン系樹脂層と、酸変性オレフィン系樹脂を含有する層と、ポリウレタンコーティング剤からなる層である多層フィルムの発明であり、特定の融点およびメルトフローレートのポリオレフィン系樹脂と、(メタ)アクリル酸エステルを含む酸変性オレフィン系樹脂を共押出積層することでヒートシール時の収縮を抑え、さらにポリウレタンコーティング剤からなる層を設けることで包装機械適性、およびコート層とオレフィン系フィルムの密着性に優れるとあり、実施例では縦ピロー包装を行った際にヒートシール部分の収縮、シワ、および剥がれのないことが示されている。
しかし、ピロー包装のように、内容物を入れてヒートシールの1回の動作で時間をかけて封止する場合のヒートシール時のトラブルを解決できるものであったが、高速製袋機のように複数回ヒートシールバーを動作させてヒートシールを行う場合、収縮やシワのトラブルがあり、また特許文献2における収縮の抑制は基材となる酸変性オレフィン系樹脂を共押出積層したポリプレピレンフィルムのメルトフローレートや融点といった樹脂物性による効果であるため、基材の選択が限定された。
また、特許文献3は、融点150℃以上であるプロピレン系重合体、プロピレン-α-オレフィン樹脂組成物、および特定形状の定形球状シリカまたは有機系アンチブロッキング剤を含有するポリプロピレン樹脂組成物に関わる発明であり、前記ポリプロピレン樹脂組成物を、ポリプロピレンと溶融押出により積層することで、アンチブロッキング剤の白斑が少なく、ヒートシールバーへ積層体が融着しない耐熱性を有する積層体が得られるとある。しかし、樹脂中に粒子を含有した樹脂組成物は、含有しない樹脂に比べて積層体が収縮する傾向があり、特許文献1と同様、接着性を高めるよう加熱したヒートシールバーの押しつけを繰り返し行うと、基材であるポリオレフィンが収縮して形状がゆがみ、ヒートシール部分が折れて融着される問題があった。
特許文献4は、表面にコーティング層を形成し、角度60°の鏡面光沢度が50以下の熱収縮性のプラスチックラベルの発明であって、実施例においてアクリル系樹脂、有機物コートされた表面処理シリカ、シリコーンオイル、及び酸化ポリエチレン系ワックスまたはフッ素樹脂粉末を含有したコーティング剤により熱収縮性ポリエステル系フィルムにコーティング層を形成してシュリンクラベルとすることで、つや消し、滑り性、および耐スクラッチ性にすぐれ、容器にヒートシールしたラベル同士がホットベンダー内で熱融着しない容器を提供できるとある。しかし、熱収縮性フィルムにおけるラベル表面同士の熱融着は解決できるものの、容器形状に添う様に熱収縮させることを目的としたプラスチックラベルであるため、ヒートシール時の収縮の問題を解決できるものではなく、高速製袋機でヒートシールした場合、収縮に伴いヒートシール部分が折れて融着する問題があった。
また、前記滑り性は、シリコーンオイルを酸化ポリエチレン系ワックスやフッ素樹脂粉末と併用して得るものであるため、高速製袋機で複数回ヒートシールした場合、シリコーンオイルが裏移りし、シール阻害やヒートシールバーの汚染が生じる問題があった。
【0004】
また、前記の特許文献1、特許文献2および特許文献4のような、基材を保護するコート剤についても、これまで様々なものが提案されている。
たとえば、特許文献5は、紙、不織布、または織布基材に塗布する食品包装シート用コート剤に係る発明であって、特定のガラス転移点や酸価のエチレン性不飽和単量体(a)の重合体である樹脂微粒子(A)を含む水分散体を塗布することで、ブロッキング性およびヒートシール強度に優れ、加えてケチャップやソース等の調味料耐性、および電子レンジ耐性といった耐食品性にも優れる。しかし、前記コート剤は紙に塗布する水分散体に係る発明であるため、ポリオレフィン基材に塗布した場合、基材上に均一に塗布することはできず、また高収縮の基材の問題を解決できるものではなく、ヒートシール部分が折れて融着されるとともに、ヒートシールバーにコート剤が融着する問題があった。
また、特許文献6は、基材層と、基材保護層と、金属箔層と、基材保護層と反対側の最外層にシーラント層を有する蓄電デバイス用外装材の発明であり、基材保護層にポリマーワックス粒子と、フィラーを含むことで、ヒートシール後に熱封緘した跡を残す外装材を提供し、実施例では、ポリプロピレン基材に、アクリルポリオールバインダー、架橋ポリカーボネート樹脂からなるフィラー、およびポリマーワックスを含むことで、変色した熱封緘の跡が得られたことが記載されている。しかし、前記基材保護層は、ヒートシールの跡を残す発明であるため、食品袋、蓋材、およびラベルではヒートシール密着部分が変色することは問題であり、使用することはできなかった。
また、特許文献7は、イソシアネート系架橋剤と、バインダーとして特定の貯蔵弾性率のポリウレタン樹脂とその他のバインダーとを含み、さらにシリカまたはワックスを含むマットコート剤の発明であって、熱によってもマットコート層が剥離しない耐熱性、および残留溶剤の少ないマットコート剤を提供できるとある。しかし、前記マットコート剤は半透明なマット感を得るマットコート剤であるため積層体としての意匠性は劣り、ポリオレフィン基材に塗布した場合、ヒートシール時の収縮の問題を解決できるものではなく、ヒートシール部分が折れて融着されるとともに、ヒートシールバーにマットコート剤が融着する問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
国際公開第2022/230812号公報
国際公開第2013/002176号公報
特開2018-65922号公報
特開2005-345793号公報
特開2022-16065号公報
特開2016-195084号公報
特開2022-95299号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そこで、本発明は、ポリオレフィン基材層による積層体をヒートシールする際に、ヒートシール時の積層体の収縮が抑制され、複数回のヒートシール時においても成形性に優れ、ヒートシール時に透明コート層表面の傷も発生せず、かつ積層体の内層に施された色や意匠を確認することのできる、積層体、包装袋、蓋材、および積層体の製造方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、ヒートシール層と、ポリオレフィン樹脂を含むフィルムである基材層とともに、基材層からみてヒートシール層とは反対側の最外面に、アクリルポリオールまたは塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体と、イソシアネート化合物との架橋組成物を含むバインダー樹脂と、特定の平均粒子径の酸化ポリエチレンワックス粒子と特定の平均粒子径のシリカ粒子を含む固体粒子とを含む透明コート層を有する積層体とすることにより、上記目的を達成できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0008】
すなわち、本発明は、
(1)ヒートシール層と、基材層と、基材層からみてヒートシール層とは反対側の最外面に透明コート層を有する積層体であって、前記基材層はポリオレフィン樹脂を含むフィルムであり、前記透明コート層は、バインダー樹脂、固体粒子を含み、前記バインダー樹脂は、アクリルポリオールまたは塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体と、イソシアネート化合物との架橋組成物を含み、前記固体粒子は、平均粒子径が3~15μmの酸化ポリエチレンワックス粒子と、平均粒子径が1~30μmのシリカ粒子とを含む、積層体、
(2)(1)の酸化ポリエチレンワックス粒子が酸価0.5~50mgKOH/gの酸化ポリエチレンワックス粒子である、(1)の積層体、
(3)(1)または(2)のアクリルポリオールまたは前記塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体の水酸基価が20~250mgKOH/gである積層体、
(4)(1)または(2)の積層体であって、透明コート層の厚みが0.3~8μmである積層体、
(5)(1)または(2)の積層体により形成された包装袋、
(6)(1)または(2)の積層体により形成された蓋材、
(7)基材層としてポリオレフィン樹脂を準備する工程と、ヒートシール剤またはヒートシールフィルムを積層して、基材層とヒートシール層を有するヒートシール性積層体を形成する工程と、該ヒートシール性積層体の、基材から見てヒートシール剤またはヒートシールフィルムを積層した面とは反対側の最外面に透明コート剤を塗布して透明コート層を形成する塗布工程とを含む積層体の製造方法であって、前記透明コート剤は、バインダー樹脂、固体粒子、及び有機溶剤を含み、前記バインダー樹脂は、アクリルポリオールまたは塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体と、イソシアネート化合物との架橋組成物を含み、前記固体粒子は、平均粒子径が3~15μmの酸化ポリエチレンワックス粒子と、平均粒子径が1~30μmのシリカ粒子を含む透明コート剤、であることを特徴とする積層体の製造方法、
に関するものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、ポリオレフィン基材層による積層体をヒートシールする際に、ヒートシール時の積層体の収縮が抑制され、複数回のヒートシール時においても成形性に優れ、ヒートシール時に透明コート層表面の傷も発生せず、かつ積層体の内層に施された色や意匠を確認することのできる、積層体、包装袋、蓋材、および積層体の製造方法を提供する。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明を実施するための形態を詳細に説明する。なお、本実施形態は、本発明を実施するための一形態に過ぎず、本発明は本実施形態によって限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更、実施の形態が可能である。また、本明細書中、数値範囲の説明における「a~b」との表記は、特に断らない限り、a以上b以下のことを表す。例えば、「1~5重量部」とは「1重量部以上5重量部以下」を意味する。
(【0011】以降は省略されています)

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