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公開番号2025176932
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-12-05
出願番号2024083348
出願日2024-05-22
発明の名称シミュレータシステム、及び、シミュレーション方法
出願人株式会社豊田中央研究所
代理人個人,個人
主分類G08G 1/00 20060101AFI20251128BHJP(信号)
要約【課題】実車の実際の走行環境下において、遠隔運転システムや遠隔自動運転システムを評価可能な技術を提供する。
【解決手段】シミュレータシステムは、現実世界に配置された実際の車両である実車と、現実世界を再現した仮想世界と、仮想世界に配置された仮想的な車両である仮想車両と、を実現するシミュレータ部と、仮想車両を走行させるための制御データを生成する車両制御部と、シミュレータ部と、車両制御部との間の通信を実現する通信部と、実車の移動軌跡と、仮想車両の移動軌跡とを出力する出力部と、を備える。シミュレータ部は、実車に搭載されており、車両制御部は、仮想車両が実車に追従して走行するための制御データを生成し、シミュレータ部に送信する。
【選択図】図1
特許請求の範囲【請求項1】
シミュレータシステムであって、
現実世界に配置された実際の車両である実車と、
前記現実世界を再現した仮想世界と、前記仮想世界に配置された仮想的な車両である仮想車両と、を実現するシミュレータ部と、
前記仮想車両を走行させるための制御データを生成する車両制御部と、
前記シミュレータ部と、前記車両制御部との間の通信を実現する通信部と、
前記実車の移動軌跡と、前記仮想車両の移動軌跡とを出力する出力部と、
を備え、
前記シミュレータ部は、前記実車に搭載されており、
前記車両制御部は、前記仮想車両が前記実車に追従して走行するための前記制御データを生成し、前記シミュレータ部に送信する、シミュレータシステム。
続きを表示(約 1,700 文字)【請求項2】
請求項1に記載のシミュレータシステムであって、
前記実車は、前記実車の現在位置を示す実車位置情報を取得する位置取得部を有し、
前記位置取得部は、取得した前記実車位置情報を前記車両制御部に送信し、
前記シミュレータ部は、
前記仮想車両に関する情報であって、前記仮想車両の現在位置を示す仮想車両位置情報を含む情報を取得する仮想センサを含み、
前記仮想センサによって取得されたセンサ情報を前記車両制御部に送信し、
前記車両制御部は、前記実車位置情報と、前記センサ情報とを用いて、前記制御データを生成する、シミュレータシステム。
【請求項3】
請求項2に記載のシミュレータシステムであって、
前記車両制御部は、
前記仮想世界における目標位置であって、前記実車位置情報に対応する前記仮想世界内での位置である目標位置を設定し、
前記仮想車両を、前記センサ情報の前記仮想車両位置情報によって特定される前記仮想車両の現在位置から、前記目標位置まで走行させるための前記制御データを自動的に生成する、シミュレータシステム。
【請求項4】
請求項2に記載のシミュレータシステムであって、
前記センサ情報には、さらに、前記仮想車両の前方カメラの画像が含まれ、
前記車両制御部は、
運転者に画像を視認させる表示部と、前記仮想車両に対する前記運転者の操作を受け付ける操作部と、を含み、
前記センサ情報の前記前方カメラの画像に対して、前記仮想世界における目標位置であって、前記実車位置情報に対応する前記仮想世界内での位置である目標位置を示す目印を重畳した画像を前記表示部に表示し、
前記操作部から取得した操作の内容に応じた前記制御データを生成する、シミュレータシステム。
【請求項5】
請求項4に記載のシミュレータシステムであって、
前記実車は、さらに、前記現実世界において前記実車の周囲にある物を認識する認識部を備え、
前記シミュレータ部は、前記前方カメラの画像に代えて、前記前方カメラの画像に対して前記認識部によって認識された物を再現したオブジェクトを重畳した画像を、前記車両制御部に送信する、シミュレータシステム。
【請求項6】
請求項1から請求項5のいずれか一項に記載のシミュレータシステムであって、
前記通信部は、
第1の通信手段を用いて、前記シミュレータ部と前記車両制御部との間の通信を実現する第1通信部と、
前記第1通信部とは異なる第2の通信手段を用いて、前記シミュレータ部と前記車両制御部との間の通信を実現する第2通信部と、
前記第1通信部と前記第2通信部とを用いた通信の多重化を制御する通信制御部と、
を含む、シミュレータシステム。
【請求項7】
請求項1から請求項5のいずれか一項に記載のシミュレータシステムであって、
前記出力部は、前記実車の移動軌跡と、前記仮想車両の移動軌跡とを比較して、両移動軌跡の解離の程度を評価する評価部である、シミュレータシステム。
【請求項8】
現実世界に配置された実際の車両である実車を用いたシミュレーション方法であって、
前記実車に搭載された第1の情報処理装置が、前記現実世界を再現した仮想世界と、前記仮想世界に配置された仮想的な車両である仮想車両と、を実現する工程と、
前記実車から離れて配置された第2の情報処理装置が、前記仮想車両を走行させるための制御データを生成する工程と、
前記第1の情報処理装置と、前記第2の情報処理装置とが通信する工程と、
前記第1の情報処理装置と、前記第2の情報処理装置とのいずれか一方が、前記実車の移動軌跡と、前記仮想車両の移動軌跡とを出力する工程と、
を備え、
前記第2の情報処理装置は、前記仮想車両が前記実車に追従して走行するための前記制御データを生成し、前記第1の情報処理装置に送信する、シミュレーション方法。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、シミュレータシステム、及び、シミュレーション方法に関する。
続きを表示(約 2,800 文字)【背景技術】
【0002】
近年、次世代移動体通信であるBeyond5G(B5G)や、6Gの研究開発が活発に行われている。このような次世代移動体通信を利用することで、遠隔運転システムや、遠隔自動運転システムのような、今まで実現できなかったコネクティッドサービスを実現できる可能性がある。ここで、遠隔運転システムとは、遠隔地にいる運転者が、車両から送信された映像や位置情報等に基づいて、外部から車両を手動で制御するシステムを指す。また、遠隔自動運転システムとは、クラウドやエッジサーバが、車両から送信された映像や位置情報等に基づいて、自動運転を行うシステムを指す。以降、遠隔運転システムや遠隔自動運転システムのように、ネットワークを介して、車両のような対象デバイスを制御するサービスや、対象デバイスにおいて使用される何らかの情報を提供するサービスを総称して「次世代コネクティッドサービス」とも呼ぶ。
【0003】
例えば、特許文献1には、遠隔オペレータによる遠隔操作の対象である移動体と、遠隔オペレータ側の遠隔オペレータ端末とを備える遠隔運転システムが開示されている。例えば、非特許文献1には、実車を用いた遠隔運転システムが開示されている。「実車」とは、現実世界に配置された実際の車両を意味する。例えば、非特許文献2には、仮想車両を用いた遠隔運転システム向けの通信評価が開示されている。「仮想車両」とは、仮想世界において実現された、換言すれば、仮想世界に配置された仮想的な車両を意味する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
特開2023-169715号公報
【非特許文献】
【0005】
Ericsson, Deutsche Telekom and Vay、"Ericsson, Deutsche Telekom and Vay show live teledrive technology demo with 5G"、[online]、2023年2月22日、[令和6年4月3日検索]、インターネット<URL:https://www.ericsson.com/en/news/2023/2/ericsson-dt-and-vay-demo-5g-teledriving>
Stefan Neumeier, Ermias Andargie Walelgne, Vaibhav Bajpai, Jorg Ott, and Christian Facchi、"Measuring the Feasibility of Teleoperated Driving in Mobile Networks"、[online]、2019年6月19日、[令和6年4月3日検索]、インターネット<URL:https://ieeexplore.ieee.org/document/8784466>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述した次世代コネクティッドサービスでは、車両と、車両を制御するための制御データを生成する制御装置(運転者や、エッジサーバ)との間で、絶えず通信する必要がある。このため、次世代コネクティッドサービスでは、車両と制御装置との間の通信を実現するネットワークの接続性と、安定性とが求められる。ここで、「ネットワークの接続性」とは、ネットワークへの繋がりやすさ、すなわち信頼性を意味し、「接続性が高い」とは、信頼性が高い、すなわち障害に強いことを意味する。また、「ネットワークの安定性」とは、ネットワークにおける通信品質の安定性を意味し、「安定性が高い」とは、通信品質が高いことを意味する。
【0007】
特許文献1に記載の技術では、遠隔オペレータ側の端末に搭載したシミュレータを用いて、ネットワークの通信遅延や通信途絶による情報欠落を補正することで、遠隔運転オペレータの操作への違和感を抑制している。しかし、特許文献1に記載の技術では、車両と制御装置との間の通信を実現するネットワークを評価することについて何ら考慮されていない。非特許文献1に記載の技術では、実車を用いた遠隔運転システムを作成することにフォーカスしており、車両と制御装置との間の通信を実現するネットワークにおける通信環境は限定的、すなわち理想的な条件の通信環境であって、現実に即していない。非特許文献2に記載の技術では、車両と制御装置との間の通信を実現するネットワークにおける通信条件(通信遅延、スループット)を仮定している。しかし、実際の通信では、ジッタの影響でカメラ画像にブロックノイズが乗る状況や、瞬時的なスループットの増減で映像の品質が低下し、遠隔運転に適さない画像クオリティになる状況等が考えられるため、通信条件だけで遠隔運転システム(あるいは遠隔自動運転システム)が成立すると判断することはできない。なお、このような課題は、コネクティッドサービスの対象となる対象デバイスとして、遠隔運転システムや遠隔自動運転システムの例で示した車両を用いる場合に限らず、ロボット、ドローン等の任意のデバイスを用いる場合に共通する。また、このような課題は、次世代移動体通信であるB5Gや6Gを使用してコネクティッドサービスを構築する場合に限らず、任意の通信システムを利用してコネクティッドサービスを構築する場合に共通する。
【0008】
本発明は、上述した課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、実車の実際の走行環境下において、遠隔運転システムや遠隔自動運転システムを評価可能な技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、上述した課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態として実現することが可能である。
【0010】
(1)本発明の一形態によれば、シミュレータシステムが提供される。このシミュレータシステムは、現実世界に配置された実際の車両である実車と、前記現実世界を再現した仮想世界と、前記仮想世界に配置された仮想的な車両である仮想車両と、を実現するシミュレータ部と、前記仮想車両を走行させるための制御データを生成する車両制御部と、前記シミュレータ部と、前記車両制御部との間の通信を実現する通信部と、前記実車の移動軌跡と、前記仮想車両の移動軌跡とを出力する出力部と、を備え、前記シミュレータ部は、前記実車に搭載されており、前記車両制御部は、前記仮想車両が前記実車に追従して走行するための前記制御データを生成し、前記シミュレータ部に送信する。
(【0011】以降は省略されています)

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