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公開番号
2025176408
公報種別
公開特許公報(A)
公開日
2025-12-04
出願番号
2024082551
出願日
2024-05-21
発明の名称
内燃機関用ピストン、遮熱被膜及び遮熱被膜形成用コーティング材
出願人
アート金属工業株式会社
,
NT&I株式会社
,
国立大学法人信州大学
代理人
弁理士法人MTI特許事務所
主分類
F02F
3/12 20060101AFI20251127BHJP(燃焼機関;熱ガスまたは燃焼生成物を利用する機関設備)
要約
【課題】内燃機関の燃焼室での燃焼時に燃焼熱が放熱されて燃焼効率が低下するのを抑制できるとともに、強度や耐熱衝撃性のよい安定した遮熱性を維持する、内燃機関用ピストン、そのピストンに設けられる遮熱被膜等を提供する。
【解決手段】頂面2の全面又は一部に遮熱被膜4が形成され、その遮熱被膜4を、耐熱粒子の二次粒子からなる多孔質材料4aと、バインダー材料4bとを含むように構成して上記課題を解決した。耐熱粒子は、平均粒子径が0.1~40μmの範囲内の多孔質シリカであることが好ましく、バインダー材料は、二酸化ケイ素(SiO
2
)とシリコーン(R
2
SiO)とからなるケイ素化合物複合材料(RSiO
1.5
)であることが好ましく、ファイバー材料をさらに含むことが好ましい。
【選択図】図3
特許請求の範囲
【請求項1】
耐熱粒子の二次粒子からなる多孔質材料と、バインダー材料とを含む遮熱被膜が、頂面の全面又は一部に形成されている、ことを特徴とする内燃機関用ピストン。
続きを表示(約 570 文字)
【請求項2】
前記耐熱粒子は、平均粒子径が0.1~40μmの範囲内の多孔質シリカである、請求項1に記載の内燃機関用ピストン。
【請求項3】
前記バインダー材料は、二酸化ケイ素(SiO
2
)とシリコーン(R
2
SiO)とからなるケイ素化合物複合材料(RSiO
1.5
)である、請求項1又は2に記載の内燃機関用ピストン。
【請求項4】
ファイバー材料をさらに含む、請求項1又は2に記載の内燃機関用ピストン。
【請求項5】
前ファイバー材料は、酸化アルミニウム、酸化チタン、チタン酸カリウム、及びチタン酸バリウムから選ばれる1又は2以上の無機材料、又は、セルロース、キチン、キトサン、及びシルクから選ばれる1又は2以上の有機材料のいずれかからなる、請求項4に記載の内燃機関用ピストン。
【請求項6】
内燃機関用ピストンの頂面の全面又は一部の形成用に使用される遮熱被膜であって、耐熱粒子の二次粒子からな多孔質材料と、バインダー材料とを含む、ことを特徴とする遮熱被膜。
【請求項7】
請求項6に記載の遮熱被膜を形成する遮熱被膜形成用コーティング材である、ことを特徴とする遮熱被膜形成用コーティング材。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、内燃機関用ピストン、遮熱被膜及び遮熱被膜形成用コーティング材に関し、更に詳しくは、耐熱衝撃性に優れ、内燃機関の燃焼室での燃焼時に燃焼熱が放熱されて燃焼効率が低下するのを抑制できる内燃機関用ピストン、そのピストンに設けられる遮熱被膜、その遮熱被膜を形成する遮熱被膜形成用コーティング材に関する。
続きを表示(約 2,400 文字)
【背景技術】
【0002】
自動車エンジン等の内燃機関の燃焼室は、シリンダヘッド面とシリンダブロックのボア面とピストンの頂面とで主に構成されている。こうした内燃機関のピストンは、アルミニウム合金製であり、非常に熱伝導が高いという特性がある。そのため、燃焼室での燃料の燃焼時には、熱伝導性の高いピストンの頂面から燃焼熱が熱伝導し、放熱されて燃焼室の温度が下がり、燃焼効率が低下することが課題としてあった。こうした課題に対し、ピストンの頂面に遮熱性(断熱性)の高い遮熱膜を設けることにより、ピストンの頂面からの放熱を抑制することで燃焼効率の低下と燃費の低下を抑制できることが期待されている。
【0003】
こうした遮熱膜については、特許文献1の背景技術欄には、アルミニウム材料よりも熱伝導率が低い金属材料(チタン等)からなる低熱伝導部材をピストンの頂面に形成してピストン本体の頂面との間に断熱用の空気膜を形成する従来技術、ピストンの頂面にセラミックス溶射によって断熱材を形成する従来技術、エンジン燃焼室の内面に陽極酸化被膜を形成する従来技術等が記載されている。しかし、これらの従来技術は、断熱材と接合面との強度が乏しかったり、ヒートスポットや後加工が困難であるという問題が残ったり、ノッキングの問題があったりして、課題を十分に解決できているとはいえず、実際に実施されていなかった。
【0004】
こうした背景を基に提案された特許文献1に記載の発明は、ノッキングを抑え、高い断熱性及び高い表面平滑性を備える断熱コーティング膜を有することにより燃費の向上に貢献できるエンジン及びピストンの提供を目的としている。そして、その特徴は、燃焼室を構成する部材の壁面に、断熱層と無機系被膜層とをその順で有する断熱コーティング膜を被覆した点にあり、その断熱層は樹脂層中に第1の中空粒子が含有したものであり、無機系被膜層は無機化合物層中に第2の中空粒子が含有したものである。こうした発明により、燃焼室に対面する壁面が高い断熱性と高い表面平滑性を備えるので、燃焼室の断熱性を高めことができ、エンジンの燃費の向上に貢献できるというものである。
【0005】
上記した特許文献1に記載の断熱コーティング膜は、断熱層と無機系被膜層とで構成されているが、それらには中空粒子が含まれ、その中空粒子が断熱効果を高めている。また、遮熱性(断熱性)を高める他の特許文献として特許文献2,3を挙げることができ、特許文献2では、低熱伝導率かつ低比熱であるとともに耐熱性と機械的強度に優れた遮熱膜を有するエンジン構成部材が提案されている。そのエンジン構成部材は、シリコン系の無機中空微粒子を含有する、融点が300℃以上かつ600℃以下の溶融めっきの層を含む遮熱膜を壁面に設けるというものである。また、特許文献3では、遮熱性と強度に優れる遮熱コーティングが提案されている。その遮熱コーティングは、シリカエアロゲルの粒子(二次粒子)とシリカ系のバインダーとから構成されるというものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
WO2014/24494
特開2019-60317号公報
特開2020-76321号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記した従来の遮熱膜は、いずれも熱伝導率が不十分であり、熱伝導率がより低い遮熱膜の開発が期待されている。また、耐熱性、耐熱衝撃性、密着性等の実用的性能についても未だ十分ではなかった。また、特許文献1~3で提案されている遮熱膜(断熱膜)は、いずれも中空粒子を構成材料として含んでいるが、そうした中空粒子は強度や耐熱衝撃性に乏しくて欠落し易く、中空粒子を含む遮熱膜の剥離や欠損が生じ易いという難点があり、安定した遮熱性(断熱性)を維持しにくい。
【0008】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであって、その目的は、内燃機関の燃焼室での燃焼時に燃焼熱が放熱されて燃焼効率が低下するのを抑制できるとともに、耐熱衝撃性のよい安定した遮熱性を維持する、内燃機関用ピストン、そのピストンに設けられる遮熱被膜、その遮熱被膜を形成する遮熱被膜形成用コーティング材を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
(1)本発明に係る内燃機関用ピストンは、耐熱粒子の二次粒子からなる多孔質材料と、バインダー材料とを含む遮熱被膜が、頂面の全面又は一部に形成されている、ことを特徴とする。
【0010】
この発明によれば、耐熱粒子の二次粒子からなる多孔質材料はその内部に空隙を有するので、そうした多孔質材料を含む遮熱被膜は、内燃機関の燃焼室での燃焼時に、燃焼熱が燃焼室の壁面(例えばボア面)を通じて燃焼室外に放熱されて燃焼効率が低下するのを抑制できる。その結果、遮熱性に優れたものとなる。また、二次粒子からなる多孔質材料は細かな空隙を内部に含むが、そうした空隙は一次粒子が不連続に繋がることで形成されるので、多孔質材料は不連続な骨格構造になっている。こうした多孔質材料は、連続した殻で繋がった連続的な骨格構造の中空粒子(中空フィラー)に比べ、細かな衝撃が加わったときに衝撃が伝播せず、仮に亀裂が生じたとしても途中で止まることになる。その結果、燃焼時に発生した熱応力を緩和し、熱衝撃の伝達を抑制するように作用するので、耐熱衝撃性に優れたものとなる。また、遮熱被膜は、不連続な骨格構造であり且つその表面も凹凸構造になっている多孔質材料を含むので、中空粒子を含む従来の遮熱被膜に比べ、強度が高く、安定した遮熱性を維持することができる。
(【0011】以降は省略されています)
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