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公開番号2025175851
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-12-03
出願番号2024082157
出願日2024-05-20
発明の名称セルロース誘導体、遷移金属吸着材、及び遷移金属の回収方法
出願人国立大学法人金沢大学,株式会社ダイセル
代理人弁理士法人G-chemical
主分類C08B 3/14 20060101AFI20251126BHJP(有機高分子化合物;その製造または化学的加工;それに基づく組成物)
要約【課題】遷移金属を含む水に浸漬すると速やかに且つ効率よく遷移金属を捕捉することができるセルロース誘導体を提供する。
【解決手段】本開示のセルロース誘導体は、下記式(a)で表される基で一つ以上のOH基がエステル化されたセルロース誘導体である。式(a)中、Arは芳香族炭化水素基である。nは0以上の整数を示す。L1~L5は同一又は異なって単結合又は連結基である。R1、R2は同一又は異なって水素原子又はカルボキシ基である。前記カルボキシ基は塩を形成していても良い。
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【選択図】なし
特許請求の範囲【請求項1】
下記式(I)で表される繰り返し単位を有するセルロース誘導体。
TIFF
2025175851000025.tif
42
162
[式(I)中、3つのR
a
は、同一又は異なって、水素原子又は下記式(a)で表される基である。但し、セルロース誘導体に含まれる全てのR
a
のうち、少なくとも1つは下記式(a)で表される基である]
TIFF
2025175851000026.tif
47
162
(式(a)中、Arは芳香族炭化水素基である。nは0以上の整数を示す。L
1
、L
2
、2個のL
3
、2n個のL
4
、及び2n個のL
5
は同一又は異なって単結合又は連結基である。2個のR
1
、及び2n個のR
2
は同一又は異なって水素原子又はカルボキシ基である。但し、2個のR
1
、及び2n個のR
2
から選択される少なくとも2つはカルボキシ基であり、前記カルボキシ基は塩を形成していても良い)
続きを表示(約 1,300 文字)【請求項2】
式(a)で表される基の総平均置換度が0.1~3.0である、請求項1に記載のセルロース誘導体。
【請求項3】
式(a)で表される基の導入量が1.6ミリモル/g以上である、請求項1に記載のセルロース誘導体。
【請求項4】
請求項1~3の何れか1項に記載のセルロース誘導体を含む遷移金属吸着材。
【請求項5】
水銀、銅、鉛、ニッケル、亜鉛、カドミウム、コバルト、鉄、及びマンガンから選択される少なくとも1種の金属の吸着材である、請求項4に記載の遷移金属吸着材。
【請求項6】
水溶液に溶解した遷移金属を、請求項1~3の何れか1項に記載のセルロース誘導体に吸着させて回収する遷移金属の回収方法。
【請求項7】
下記工程1、工程2を経て請求項1~3の何れか1項に記載のセルロース誘導体を製造する、セルロース誘導体の製造方法。
[工程1]セルロースに、下記式(2)
TIFF
2025175851000027.tif
42
164
(式(2)中、Arは芳香族炭化水素基である。L
1
、L
2
は同一又は異なって単結合又は連結基である。Y
1
は水酸基又はハロゲン原子である。Y
2
はハロゲン原子である)
で表される化合物を反応させて、下記式(II)
TIFF
2025175851000028.tif
42
162
[式(II)中の3つのR
b
は、同一又は異なって、水素原子又は下記式(b)で表される基である。尚、セルロース誘導体に含まれる全てのR
b
のうち、少なくとも1つは前記式(b)で表される基である]
TIFF
2025175851000029.tif
36
162
(式中、Ar、L
1
、L
2
、Y
2
は前記に同じ)
で表される繰り返し単位を有するセルロース誘導体を生成させる
[工程2] 前記式(II)で表される繰り返し単位を有するセルロース誘導体に、下記式(3)
TIFF
2025175851000030.tif
47
162
(式(3)中、nは0以上の整数を示す。2個のL
3
、2n個のL
4
、及び2n個のL
5
は同一又は異なって単結合又は連結基である。2個のR
1
、及び2n個のR
2
は同一又は異なって水素原子又はカルボキシ基である。但し、2個のR
1
、及び2n個のR
2
から選択される少なくとも2つはカルボキシ基であり、前記カルボキシ基は塩を形成していても良く、保護基で保護されていても良い。R
3
は水素原子又は炭化水素基である)
で表される化合物を反応させる

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本開示は、新規のセルロース誘導体、及び前記セルロース誘導体の製造方法、前記セルロース誘導体を含む遷移金属吸着材、並びに前記セルロース誘導体を用いた遷移金属の回収方法に関する。
続きを表示(約 2,000 文字)【背景技術】
【0002】
鉛はバッテリー、電線被覆材、合金、塗料、印刷インキ等に用いられており、工場排水によって環境中へ放出されると、地下水や土壌を汚染し、鉛中毒による様々な疾病を引き起こすことが知られている。また、メッキ処理やプリント基板製造の生産性向上に伴い、銅やニッケルが排水中に多く含まれるようになっている。
【0003】
一方、環境意識の高まりで、前記遷移金属の環境基準や水質基準が厳格化してきている。
【0004】
特許文献1には、クロロメチル化スチレン系架橋共重合体にイミノジ酢酸型キレート官能基が導入されてなるスチレン系キレート樹脂が、銅を選択的に吸着することが開示されている。
【0005】
しかし、前記スチレン系キレート樹脂は水に対する濡れ性が低いので、水中の遷移金属を吸着するのに時間がかかり、遷移金属の回収効率が悪い。特許文献1では、前記スチレン系キレート樹脂を多孔化して比表面積を大きくすることで、濡れ性の低さを補い、水中の遷移金属の回収効率の向上を図っているが、未だ不十分である。さらに、前記スチレン系キレート樹脂は、燃焼させると排気問題が生じる。
【0006】
特許文献2には、セルロースの水酸基にイミノジ酢酸を直接反応させてなる吸着材が開示されている。前記吸着材は燃焼させても排気問題を生じないが、前記反応方法では、セルロースにイミノジ酢酸型キレート官能基を効率よく導入できないため、Cu、Ni等の遷移金属は、吸着効果が得られなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
特開2017-8313号公報
特開2009-247981号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
従って、本開示の目的は、遷移金属を含む水に浸漬すると速やかに且つ効率よく遷移金属を捕捉することができるセルロース誘導体を提供することにある。
本開示の他の目的は、前記セルロース誘導体の製造方法を提供することにある。
本開示の他の目的は、効率よく遷移金属を回収することができる遷移金属吸着材を提供することにある。
本開示の他の目的は、前記セルロース誘導体を使用して遷移金属を回収する方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは前記課題を解決するため鋭意検討した結果、以下の事項を見出した。
1.水に対して高い濡れ性を有するセルロースに、遷移金属イオンとキレートを形成する官能基(本明細書では、「キレート官能基」と称する場合がある)を導入して得られるセルロース誘導体は、遷移金属が溶解した水に容易に馴染み、水中の遷移金属イオンをキレート形成により捕捉すること
2.セルロースに、後述の式(2)で表される化合物を反応させ、続いて後述の式(3)で表される化合物を反応させると、多くのキレート官能基をセルロースに導入することができ、遷移金属の吸着力が向上すること
3.セルロースの水酸基を親水性のキレート官能基に置換すると水に溶けやすくなるが、芳香環を含む連結基を介してキレート官能基をセルロースに導入すると水への溶解耐性が付与され、架橋等の不溶化処理を行わなくても、固相吸着材としての利用が可能となること
本開示は上記知見に基づいて完成させたものである。
【0010】
すなわち、本開示は、下記式(I)で表される繰り返し単位を有するセルロース誘導体を提供する。
TIFF
2025175851000001.tif
42
162
[式(I)中、3つのR
a
は、同一又は異なって、水素原子又は下記式(a)で表される基である。但し、セルロース誘導体に含まれる全てのR
a
のうち、少なくとも1つは下記式(a)で表される基である]
TIFF
2025175851000002.tif
47
162
(式(a)中、Arは芳香族炭化水素基である。nは0以上の整数を示す。L
1
、L
2
、2個のL
3
、2n個のL
4
、及び2n個のL
5
は同一又は異なって単結合又は連結基である。2個のR
1
、及び2n個のR
2
は同一又は異なって水素原子又はカルボキシ基である。但し、2個のR
1
、及び2n個のR
2
から選択される少なくとも2つはカルボキシ基であり、前記カルボキシ基は塩を形成していても良い)
(【0011】以降は省略されています)

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