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公開番号
2025171732
公報種別
公開特許公報(A)
公開日
2025-11-20
出願番号
2024077368
出願日
2024-05-10
発明の名称
ベールの製造方法
出願人
王子ホールディングス株式会社
代理人
弁理士法人大谷特許事務所
主分類
D21C
5/02 20060101AFI20251113BHJP(製紙;セルロースの製造)
要約
【課題】ベールに含まれる古紙に付着した菌数が低減され、さらにベールに含まれる古紙の離解性にも優れる、ベールの製造方法を提供すること。
【解決手段】少なくとも樹脂層および紙基材層を有する古紙を、酸性の洗浄水で洗浄する洗浄工程と、前記古紙を圧縮成形してベールを得る成形工程とを有し、前記古紙の坪量が、100g/m
2
以上であり、前記古紙の面積の中央値が20cm
2
以上150cm
2
以下である、ベールの製造方法。
【選択図】なし
特許請求の範囲
【請求項1】
少なくとも樹脂層および紙基材層を有する古紙を、酸性の洗浄水で洗浄する洗浄工程と、
前記古紙を圧縮成形してベールを得る成形工程とを有し、
前記古紙の坪量が、100g/m
2
以上であり、
前記古紙の面積の中央値が20cm
2
以上150cm
2
以下である、
ベールの製造方法。
続きを表示(約 710 文字)
【請求項2】
前記洗浄工程における洗浄水のpHが、2.5以上6.5以下である、請求項1に記載のベールの製造方法。
【請求項3】
前記洗浄工程における洗浄水が、次亜塩素酸水である、請求項1または2に記載のベールの製造方法。
【請求項4】
ベールに含まれる古紙において、3日間保管後の古紙1cm
2
あたりの表面に付着している菌数が、10CFU/cm
2
未満である、請求項1または2に記載のベールの製造方法。
【請求項5】
前記古紙の密度の中央値が、0.70g/cm
3
以上である、請求項1または2に記載のベールの製造方法。
【請求項6】
前記古紙の吸水度が、25%以上85%以下である、請求項1または2に記載のベールの製造方法。
【請求項7】
前記古紙における、紙基材層中のサイズ剤の含有量が、0.2質量%以上2.1質量%以下である、1または2に記載のベールの製造方法。
【請求項8】
前記古紙が、さらに金属層を有する、請求項1または2に記載のベールの製造方法。
【請求項9】
成形工程における成形圧力が、500kN/m
2
以上2500kN/m
2
以下である、請求項1または2に記載のベールの製造方法。
【請求項10】
ベールの密度が、0.3t/m
3
以上1.0t/m
3
以下である、請求項1または2に記載のベールの製造方法。
(【請求項11】以降は省略されています)
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、ベールの製造方法に関する。
続きを表示(約 4,000 文字)
【背景技術】
【0002】
近年、廃棄物の削減や環境問題に対する関心の高まりから、世界的に脱プラスチックへの取り組みが加速している。そのため、さまざまな製品において、プラスチックの使用量を低減するために、プラスチックのみであった原料を、紙基材に樹脂層等がラミネートされたラミネート紙に変更する取り組みがされている。これらラミネート古紙は、特に食品用容器などの食品包材向けに用いられている。
従来、ラミネート紙は禁忌品として古紙利用されていなかったが、廃棄物の削減や環境問題に対する関心の高まりから、ラミネート紙の古紙としての利用が求められるようになっている。
一般に、古紙は、リサイクルするために、一時的にベールの状態にして保管がされる。
【0003】
特許文献1には、古紙、廃カートンなどといった廃物である圧縮可能な被圧縮物からベールを形成するための装置として、実質的に直方体状の形状を有すると共に、少なくとも1つの圧縮室と前記圧縮室内部を駆動手段によってプレス方向に往復動可能なプレス板とを有するプレスハウジングを備えた装置が開示されている。
また、特許文献2には、紙、段ボールなどを圧縮するベール・プレスとして、チャンバー内で往復動するピストン機構により圧縮してベール化する材料を受け入れるロード・チャンバーと、ロード・チャンバーの出口部分に形成され、圧縮された材料を摩擦力によって保持し、保持された材料に新たな材料をピストン機構によって押し付けるチョーク・チャンバーとを有する形式のベール・プレスが開示されている。
また、特許文献3には、使用後の紙容器も内容物の詰まった使用前の紙容器もリサイクルするための破砕洗浄装置として、紙容器をリサイクルする初期の工程で使用後の紙容器(16)及び内容物の詰まった使用前の紙容器を入れる受入れホッパ-(14)と、これらの紙容器を破砕機(1)へ搬入する投入コンベヤ(15)と、これらの紙容器を破砕して屑(2)にする破砕機(1)と、ハウジングで密閉されていて屑(2)を洗浄しながら搬送する傾斜して設置されたスクリューコンベヤ(3)と、洗浄後の屑(7)を収容する屑受(10)とによって構成されていることを特徴とする紙容器をリサイクルするための破砕洗浄装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
特表2010-521312号公報
国際公開第1998/33643号
特開2001-314825号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
一般に、特許文献1および2に開示されているようなベールを成形する装置によって、古紙がベールに成形され、その後リサイクルに供されることとなる。しかしながら、特に食品包材として用いられた古紙は、古紙に残留した食品などの汚れにより菌が増えることで腐敗が進み、リサイクルに供することが困難となる場合があった。また、特許文献3に開示されているような古紙を破砕洗浄するような装置において、古紙を水道水で洗浄する方法が開示されているが、これらの洗浄では、古紙に残留した食品などの汚れが十分に除去しきれない場合があった。また、成形されたベールの状態によっては、ベールに含まれる古紙の離解性が不十分となり、リサイクル性が低下する場合があった。
本発明の目的は、ベールに含まれる古紙に付着した菌数が低減され、さらにベールに含まれる古紙の離解性にも優れる、ベールの製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、古紙を洗浄する洗浄工程と、該古紙を圧縮成形してベールを得る成形工程を有するベールの製造方法において、洗浄工程における洗浄水に、酸性の洗浄液を用いることで、上記課題を解決し得ることを見出した。
本発明は、以下の[1]~[11]に関する。
[1] 少なくとも樹脂層および紙基材層を有する古紙を、酸性の洗浄水で洗浄する洗浄工程と、前記古紙を圧縮成形してベールを得る成形工程とを有し、前記古紙の坪量が、100g/m
2
以上であり、前記古紙の面積の中央値が20cm
2
以上150cm
2
以下である、ベールの製造方法。
[2] 前記洗浄工程における洗浄水のpHが、2.5以上6.5以下である、[1]に記載のベールの製造方法。
[3] 前記洗浄工程における洗浄水が、次亜塩素酸水である、[1]または[2]に記載のベールの製造方法。
[4] ベールに含まれる古紙において、3日間保管後の古紙1cm
2
あたりの表面に付着している菌数が、10CFU/cm
2
未満である、[1]~[3]のいずれか1つに記載のベールの製造方法。
[5] 前記古紙の密度の中央値が、0.70g/cm
3
以上である、[1]~[4]のいずれか1つに記載のベールの製造方法。
[6] 前記古紙の吸水度が、25%以上85%以下である、[1]~[5]のいずれか1つに記載のベールの製造方法。
[7] 前記古紙における、紙基材層中のサイズ剤の含有量が、0.2質量%以上2.1質量%以下である、[1]~[6]のいずれか1つに記載のベールの製造方法。
[8] 前記古紙が、さらに金属層を有する、[1]~[7]のいずれか1つに記載のベールの製造方法。
[9] 成形工程における成形圧力が、500kN/m
2
以上2500kN/m
2
以下である、[1]~[8]のいずれか1つに記載のベールの製造方法。
[10] ベールの密度が、0.3t/m
3
以上1.0t/m
3
以下である、[1]~[9]のいずれか1つに記載のベールの製造方法。
[11] 成形工程の前に、古紙を破砕する破砕工程を有する、[1]~[10]のいずれか1つに記載のベールの製造方法。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、ベールに含まれる古紙に付着した菌数が低減され、さらにベールに含まれる古紙の離解性にも優れる、ベールの製造方法が提供される。
【発明を実施するための形態】
【0008】
[ベールの製造方法]
本実施形態のベールの製造方法は、少なくとも樹脂層および紙基材層を有する古紙を、酸性の洗浄水で洗浄する洗浄工程と、前記古紙を圧縮成形してベールを得る成形工程とをこの順で有し、前記古紙の坪量が、100g/m
2
以上であり、前記古紙の面積の中央値が20cm
2
以上150cm
2
以下である。
本実施形態のベールの製造方法によれば、ベールに含まれる古紙に付着した菌数が低減され、さらにベールに含まれる古紙の離解性にも優れる。この理由については定かではないが、以下のように考えられる。
一般に、少なくとも樹脂層および紙基材層を有し、坪量が100g/m
2
以上であるようなラミネート紙は、食品包材に用いられることが多い。そのため、古紙として利用する際に、古紙に残留した食品などの汚れにより菌が増殖するため、腐敗が進み、リサイクルに供することができない場合があった。また、前記ラミネート紙は、リサイクルのために離解処理を行う際に、樹脂層などにより、紙基材層への水の浸透が妨げられるため、離解性が低下する傾向があった。
これに対し、本実施形態のベールの製造方法は、前記古紙を酸性の洗浄水で洗浄する洗浄工程を有することで、腐敗の原因となる菌が除去されるため、ベール保管時の古紙中の菌の増殖が抑制されると考えられる。
さらに、古紙の面積の中央値が20cm
2
以上であるため、ベール中の古紙間に適度な隙間が形成されるため、ベール中に適度に空気が通り、古紙が適度に乾燥されるため、腐敗の原因となる菌の増殖が抑制されると考えられる。また、古紙の面積の中央値が150cm
2
以下であると、リサイクルのために離解工程を行った際、古紙へ水が十分に浸透するため、離解性が向上すると考えられる。
【0009】
古紙の坪量は、ベールに含まれる古紙の離解性向上の観点から、100g/m
2
以上であり、好ましくは120g/m
2
以上600g/m
2
以下、より好ましくは140g/m
2
以上500g/m
2
以下、さらに好ましくは160g/m
2
以上400g/m
2
以下、よりさらに好ましくは180g/m
2
以上300g/m
2
以下である。
古紙の坪量は、実施例に記載の方法により測定される。
【0010】
古紙の面積の中央値は、ベールに含まれる古紙に付着した菌数の低減およびベールに含まれる古紙の離解性向上の観点から、20cm
2
以上150cm
2
以下であり、好ましくは50cm
2
以上120cm
2
以下、より好ましくは70cm
2
以上100cm
2
以下である。
古紙の面積の中央値は、実施例に記載の方法により測定される。
(【0011】以降は省略されています)
この特許をJ-PlatPat(特許庁公式サイト)で参照する
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