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公開番号2025170455
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-11-19
出願番号2022160946
出願日2022-10-05
発明の名称細胞ライブラリおよびその製造方法
出願人株式会社Logomix
代理人個人
主分類C12N 15/09 20060101AFI20251112BHJP(生化学;ビール;酒精;ぶどう酒;酢;微生物学;酵素学;突然変異または遺伝子工学)
要約【課題】遺伝子改変細胞を含むライブラリーの製造方法を提供する。
【解決手段】複数のアレルを有する細胞においてその1アレルの特定部位の塩基配列に豊富な種類の多様性を有する複数の改変細胞を含む細胞ライブラリーを開示する。細胞ライブラリーは、1種類の改変細胞を含む水性組成物の組合せであり得る。このライブラリーは、ゲノムの特定領域の機能性評価、ゲノムの特定領域への様々な種類の変異(例えば、SNP)導入等において有用である。
【選択図】図2
特許請求の範囲【請求項1】
明細書に記載の発明。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、細胞ライブラリおよびその製造方法に関する。
続きを表示(約 4,200 文字)【背景技術】
【0002】
新規ゲノム編集ツールとしてCRISPR/Casシステムが報告されてから、CRISPR/Casシステムを利用した様々な研究が行われている(例えば、特許文献1)。CRISPR/Casシステムを利用したゲノム編集では、ガイドRNAにより標的化された標的領域がCas9ヌクレアーゼにより二本鎖切断される。二本鎖切断されたDNAは、相同組み換え修復(Homologous Directed Repair:HDR)又は非相同末端再結合(Non-Homologous End-Joining Repair:NHEJ)により修復されることが知られている。HDRでは、標的領域の周辺領域と相同な配列を有するドナーDNAをCRISPR/Casシステムと共に細胞に導入することにより、任意の配列を標的領域に組み込むことができる。
【0003】
ゲノム改変技術を用いて、HDRにより2以上のアレルを同時に効率よく改変する技術が開発されている(例えば、特許文献2)。特許文献2では、数百kbの大規模欠失を2以上のアレルを同時に効率よく改変することができたことが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
国際公開第2014/093661号
国際公開第2021/206054号
【発明の概要】
【0005】
本開示は、細胞ライブラリーおよびその製造方法を提供する。より具体的には、本開示は、複数のアレルを有する細胞においてその1アレルの特定部位の塩基配列に豊富な種類の多様性を有する複数の改変細胞を含む細胞ライブラリーを提供する。細胞ライブラリーは、1種類の改変細胞を含む水性組成物の組合せであり得る。
【0006】
(1)改変細胞のライブラリーであって、
ライブラリーは、複数の水性組成物の組合せを含み、
各水性組成物はそれぞれ1種類の改変細胞を含み、
改変細胞はそれぞれ、改変対象である遺伝子座に第一のアレルと第二のアレルを有し、
改変細胞はそれぞれ第一のアレルの同一位置に、水性組成物間で相互に異なるDNA断片を含むカセットを有する、
ライブラリー。
(2)各改変細胞は、第二のアレルは、その一部または全部の破壊または欠失を有する、請求項1または2に記載のライブラリー。
(3)第二のアレルは、シームレスに前記一部または全部を欠失している、上記(2)に記載のライブラリー。
(4)改変細胞それぞれのDNA断片を含むカセット以外の配列は、改変前後で実質的に同一である、上記(1)~(3)のいずれかに記載のライブラリー。
(5)前記カセットの配列のそれぞれは、1以上の改変部分(A)と1以上の非改変部分(B)とからなり、前記改変部分(A)はそれぞれ、配列の挿入、欠失、および置換からなる群から選択される1以上の改変を有し、前記1以上の改変部分の改変は、改変の位置または内容に関して各水性組成物間で異なり、前記1以上の非改変部分(B)はそれぞれ、改変前の対応する部位の配列と同一であり、前記カセット中のセントロメア側の非改変部分(B1)は、前記カセットのセントロメア側の隣接配列(C1)とシームレスに連結しており、前記カセットのテロメア側の非改変部分(Bt)は、前記カセットのテロメア側の隣接配列(C2)とシームレスに連結しており、記隣接配列(C1)および非改変部分(B1)が連結した領域、並びに非改変部分(Bt)および上記隣接配列(C2)が連結した領域は、改変前の対応する領域の配列と同一の配列を構成している、上記(1)~(4)のいずれかに記載のライブラリー。
(6)前記改変細胞は、部位特異的組換え酵素の標的配列を含まない、上記(1)~(5)のいずれかに記載のライブラリー。
(7)ライブラリーに含まれる前記水性組成物の種類は、50種類以上である、上記(1)~(6)のいずれかに記載のライブライリー。
(8)改変細胞のライブラリーを製造する方法であって、
(α)改変対象である遺伝子座に第一のアレルと第二のアレルを含むゲノムを有する細胞において、前記第一のアレルと第二のアレルそれぞれに選択マーカー遺伝子と標的核酸配列を含むカセットを有する細胞の群を提供することと、
ここで、第一のアレルが有する選択マーカー遺伝子と第二のアレルが有する選択マーカー遺伝子とは区別可能に異なり、前記標的核酸配列は、ゲノム改変システムの標的であり、ゲノム改変システムにより第一のアレルと第二のアレルとを区別可能に切断できるように設計されており、各選択マーカー遺伝子はネガティブ選択に用いることができるネガティブ選択用マーカー遺伝子であり、
(β)提供された細胞の群に下記(x)及び(y)を導入する工程と、
(x)第一のアレルに含まれる前記固有の塩基配列を標的とする配列特異的核酸切断分子、又は前記配列特異的核酸切断分子をコードするポリヌクレオチドを含むゲノム改変システム、
(y)複数種類の第2の組換え用ドナーDNA{ここで、複数種類の第2の組換え用ドナーDNAはそれぞれ、上記(x)の前記標的部位の上流側に隣接する塩基配列と相同な塩基配列を有する上流ホモロジーアームと、前記標的領域の下流側に隣接する塩基配列と相同な塩基配列を有する下流ホモロジーアームを有し、前記上流ホモロジーアームと前記下流ホモロジーアームとの間に改変塩基配列を含み、改変塩基配列は、第2の組換え用ドナーDNA毎に異なり、第2の組換え用ドナーDNAそれぞれに固有である}、
(γ)前記工程(β)の後、第一のアレルに含まれる選択マーカー遺伝子を発現しない細胞を選択する工程と、
を含み、
これにより、複数の細胞を含む改変細胞のライブラリー得ることができ、ここで、得られた複数の細胞において、第一のアレルは各細胞に固有の改変塩基配列を有し、第二のアレルは細胞間で共通の配列を有する、
方法。
(9)上記(8)に記載の方法であって、工程(α)の前に、
改変対象である遺伝子座に第一のアレルと第二のアレルを含むゲノムを有する細胞において、第一のアレルおよび第二のアレルに含まれる被置換配列を選択マーカー遺伝子と標的核酸配列を含むカセットにより置換し、これにより被置換配列を第一のアレルおよび第二のアレルから除去することと、
をさらに含む、方法。
(10)上記(9)に記載の方法であって、
第一のアレルの改変塩基配列はそれぞれ、第一のアレルの被置換配列に対して、塩基の付加、挿入、置換、欠失、および削除からなる群から選択される1以上の変異を有する、方法。
(11)上記(9)または(10)に記載の方法であって、
被改変配列は、タンパク質のコード領域であり、
第一のアレルの改変塩基配列は、第一のアレルの被置換配列に対して、塩基の付加、挿入、置換、欠失、および削除からなる群から選択される1以上の変異を有する、方法
(12)改変塩基配列は、被改変配列と80%以上の配列同一性を有する、上記(10)または(11)に記載の方法。
(13)上記(8)~(12)のいずれかに記載の方法であって、工程(α)と工程(β)の間に、
第二のアレルからカセットを除去すること
をさらに含む、方法。
(14)カセットがシームレスに除去される、上記(13)に記載の方法。
(15)上記(8)~(14)のいずれかに記載の方法により作製される、複数の改変細胞を含む改変細胞のライブラリー。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1は、本発明のライブラリー作製のスキームの一例の概要を示す。
図2は、本発明の第一の改変細胞のライブラリー作製のスキームの一例を示す。
図3は、改変細胞のライブラリーにおいて、改変塩基配列が、改変部分と非改変部分とを含む場合の当該改変部分と非改変部分の位置関係の一例を示す図である。このようにすることで、改変塩基配列内の様々な箇所に様々な変異を有する多様な改変細胞を含むライブラリーを構成することができる。
図4は、部位特異的組換え酵素を用いたゲノム改変方法の特徴(欠点)を示す。
【発明を実施するための形態】
【0008】
[定義]
「ポリヌクレオチド」及び「核酸」という用語は、相互に互換的に使用され、ヌクレオチドがホスホジエステル結合によって結合したヌクレオチドポリマーを指す。「ポリヌクレオチド」及び「核酸」は、DNAであってもよく、RNAであってもよく、DNAとRNAとの組み合わせから構成されてもよい。また、「ポリヌクレオチド」及び「核酸」は、天然ヌクレオチドのポリマーであってもよく、天然ヌクレオチドと非天然ヌクレオチド(天然ヌクレオチドの類似体、塩基部分、糖部分及びリン酸部分のうち少なくとも一つの部分が修飾されているヌクレオチド(例えば、ホスホロチオエート骨格)等)とのポリマーであってもよく、非天然ヌクレオチドのポリマーであってもよい。
【0009】
「ポリヌクレオチド」又は「核酸」の塩基配列は、特に明示しない限り、一般的に認められている1文字コードで記載される。特に明示しない限り、塩基配列は、5’側から3’側に向かって記載する。「ポリヌクレオチド」又は「核酸」を構成するヌクレオチド残基は、単に、アデニン、チミン、シトシン、グアニン、又はウラシル等、あるいはそれらの1文字コードで記載される場合がある。
【0010】
「遺伝子」という用語は、特定のタンパク質をコードする少なくとも1つのオープンリーディングフレームを含むポリヌクレオチドを指す。遺伝子は、エクソン及びイントロンの両方を含み得る。
(【0011】以降は省略されています)

この特許をJ-PlatPat(特許庁公式サイト)で参照する

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