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公開番号2025170352
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-11-18
出願番号2025138884,2022176178
出願日2025-08-22,2017-04-14
発明の名称ムコ多糖症II型を処置するための遺伝子療法
出願人ザ・トラステイーズ・オブ・ザ・ユニバーシテイ・オブ・ペンシルベニア
代理人弁理士法人小田島特許事務所
主分類A61K 35/76 20150101AFI20251111BHJP(医学または獣医学;衛生学)
要約【課題】ハンター症候群及びハンター症候群に関連する症状の処置を提供する。
【解決手段】hIDS遺伝子を含む発現カセットのAAV9媒介性くも膜下腔内及び/または全身送達に有用な懸濁液が提供される。これらのベクター及び組成物を含む方法及びキットもまた提供される。
【選択図】なし
特許請求の範囲【請求項1】
製剤緩衝液中の複製欠損組換えアデノ随伴ウイルス(rAAV)の懸濁液を含む、ヒト対象におけるくも膜下腔内投与に適した薬学的組成物であって、
(a)前記rAAVは、AAV9キャプシドにパッケージされたヒトイズロネート-2-スルファターゼ(hIDS)をコードする異種核酸を含み;
(b)前記製剤緩衝液は、生理学的に適合する水性緩衝液、及び任意のサーファクタント及び賦形剤を含み;かつ
(c)(i)前記rAAVのゲノムコピー(GC)力価が少なくとも1.0×10
13
GC/ml(+/-20%)であるか;及び/または
(ii)前記rAAVの空粒子/全粒子比が、空のキャプシドを少なくとも約80%含まないか;及び/または
(iii)少なくとも約2.5×10
10
GC/g脳質量~約3.6×10
11
GC/g脳質量の前記rAAVの懸濁液の用量が力価を有する、前記薬学的組成物。
続きを表示(約 980 文字)【請求項2】
力価がインビトロアッセイによって測定される、請求項1に記載の薬学的組成物。
【請求項3】
前記インビトロアッセイが、1細胞あたりの既知の多重度のrAAVGC力価を用いてHEK293細胞に形質導入すること、及び4MU-イズロニド酵素アッセイを用いて形質導入72時間後のhIDS活性について上清をアッセイすることを包含する、請求項2に記載の薬学的組成物。
【請求項4】
前記rAAVが、空粒子/全粒子比が0.01~0.05(空のキャプシドを95~99%含まない)である、請求項1~3のいずれか1項に記載の薬学的組成物。
【請求項5】
前記コードされたhIDSが、以下から選択される配列を有する、請求項1~3のいずれか1項に記載の薬学的組成物:
(a)配列番号2のアミノ酸1~約550(Genbank NP_000193);及び
(b)配列番号2の約21~約550のアミノ酸に融合された異種リーダー配列を含む合成ヒト酵素;
(c)配列番号2の約21~約455のアミノ酸に融合された異種リーダー配列を含む合成ヒト酵素;
(d)配列番号2の約34~約550のアミノ酸に融合された異種リーダー配列を含む合成ヒト酵素;または
(d)配列番号2の約34~約455のアミノ酸に融合された異種リーダー配列を含む合成ヒト酵素。
【請求項6】
前記rAAVが、5’逆方向末端反復(ITR)配列、CB7プロモーター、ニワトリベータアクチンイントロン、ウサギベータ-グロビンポリアデニル化(ポリA)シグナル、及び/または3’ITR配列をさらに含む、請求項1~5のいずれか1項に記載の薬学的組成物。
【請求項7】
前記AAV ITRがAAV9に対して異種である、請求項6に記載の薬学的組成物。
【請求項8】
前記ITRがAAV2由来である、請求項7に記載の薬学的懸濁液。
【請求項9】
前記懸濁液が6~9のpHを有する、請求項1~8のいずれか1項に記載の薬学的懸濁液。
【請求項10】
前記懸濁液が6.8~7.8のpHを有する、請求項9に記載の薬学的懸濁液。
(【請求項11】以降は省略されています)

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
連邦政府支援の研究に関する声明
本発明は、National Institutes of Health(国立衛生研究所)からの助成金番号R01DK54481、P40OD010939、及びP30ES013508の下で政府支援によってなされた。連邦政府はこの発明において、一定の権利を有し得る。
続きを表示(約 2,500 文字)【0002】
電子資料の参照による組み込み
出願人は、ファイル番号「UPN-16-7771PCT_ST.25」で本明細書とともに電子的に提出されている配列表を参照として組み込む。
【0003】
1.序文
本発明は、ハンター症候群としても公知のムコ多糖症II型(MPS II)を処置するための遺伝子治療アプローチに関する。
【背景技術】
【0004】
2.発明の背景
ハンター症候群としても公知のMPS IIは、主に男性、10万人に1人から17万人に1人が罹患する希なX連鎖劣性遺伝病である。この進行性でかつ悲惨な疾患は、IDS遺伝子の変異によって引き起こされ、ヘパラン硫酸及びデルマタン硫酸のリソソーム異化に必要な酵素であるリソソーム酵素、イズロネート-2-スルファターゼの欠乏に至る。GAG(グリコサミノグリカン)と呼ばれるこれらの遍在性多糖類は、MPS II患者の組織及び器官に蓄積し、特徴的な蓄積病変及び多様な疾患の後遺症を生じる。この患者集団では罹患率及び死亡率が高く-重度の表現型(神経認知機能低下を特徴とする)の患者では、平均年齢11.7歳で死亡が報告されており;軽度または弱化した表現型の患者では、21.7歳で死亡が報告されている。
【0005】
MPS IIの患者は出生時には正常であるように見えるが、疾患の徴候及び症状は、典型的には18ヶ月~4歳の年齢の間に重度の形態で存在し、4~8年の間に弱化した形態で存在する。罹患した全ての患者に共通する徴候及び症状としては、低身長、粗い顔貌、大頭症、巨大舌、難聴、肝腫脹及び脾腫、多発異骨症、関節拘縮、脊髄狭窄及び手根管症候群が挙げられる。頻繁な上気道及び耳の感染症がほとんどの患者で起こり、進行性気道閉塞が一般的に見出され、睡眠時無呼吸及びしばしば死につながる。心臓病はこの集団における主要な死因であり、左右の心室肥大及び心不全をもたらす弁膜機能障害を特徴とする。死亡は、一般に、閉塞性気道疾患または心不全に起因する。
【0006】
重篤な形態の疾患では、早期発達のマイルストーンが達成される可能性があるが、発達遅延は18~24ヶ月で容易に明らかである。一部の患者は初年度にスクリーニング検査の聴取を受けず、サポートされずに座る能力、歩く能力、会話を含む他のマイルストーンが遅れる。発達の進行は約6.5年の間プラトーになり始める。MPS IIの小児の半数はトイレ訓練を受けているが、大部分の子どもたちは、全員ではないにしても、病気の進行とともにこの能力を失う。
【0007】
有意な神経学的関与を有する患者は、過活動、頑固さ及び攻撃を含む重度の行動障害を示し、これは生後2年目から始まり、神経変性がこの行動を減弱させる8~9歳まで続く。
【0008】
てんかん発作は、10歳に達した重症患者の半分超で報告され、死亡するまでにCNSの関与するほとんどの患者が重度の精神的な障害を有し、絶えずケアを必要とする。弱化した病気の患者は正常な知的機能を発揮するが、MRI画像では、白質病変、拡大した脳室及び脳萎縮を含む、MPS IIを有するすべての患者において全体的な脳の異常が明らかになる。
【0009】
組換えイデュルスルファーゼ(Elaprase(登録商標)、Shire Human Genetic Therapies)を用いた酵素補充療法(「ERT」)は、ハンター症候群の唯一承認された処置であり、毎週の輸液として投与される。しかし、現在投与されているERTは、血液脳関門(「BBB」)を通過しないため、重篤な疾患の患者、すなわちCNS/神経認知及び行動関与を伴うMPS IIの満たされていないニーズに対処し得ない。この問題に対処する現在の労力は、BBBを横切ることが可能なように酵素を改変することを目的としている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0010】
3.発明の要旨
ハンター症候群としても公知のMPS IIと診断された患者(ヒト対象)のCNSにヒトイズロネート-2-スルファターゼ(human iduronate-2-sulfatase)(「hIDS」)遺伝子を送達するための複製欠損アデノ随伴ウイルス(「AAV」)の使用が、本明細書で提供される。hIDS遺伝子を送達するために使用される組換えAAV(「rAAV」)ベクター(「rAAV.hIDS」)は、CNS(例えば、AAV9キャプシドを保有するrAAV)に対して指向性を有するべきであり、hIDS導入遺伝子は、特定の発現制御エレメント、例えば、サイトメガロウイルス(CMV)エンハンサー及びニワトリベータアクチンプロモーター(CB7)のハイブリッドによって制御されるべきである。くも膜下腔内/大槽内投与に適した薬学的組成物は、生理学的に適合性の水性緩衝液、サーファクタント及び任意の賦形剤を含む製剤緩衝液中のrAAV.hIDSベクターの懸濁液を含む。rAAV懸濁液は、さらに以下によって特徴付けられる:
(i)rAAVゲノムコピー(GC)力価が少なくとも1.0×10
13
GC/ml(+/-20%)である;
(ii)rAAVの空粒子/全粒子比が、SDS-PAGE分析(実施例5D参照)で決定して0.01~0.05である(95%~99%が空のキャプシドなし)か、または他の実施形態では、少なくとも約50%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、または少なくとも約90%が空のキャプシドなし;及び/または(iii)少なくとも約2.5×10
10
GC/gの脳質量~約3.6×10
11
GC/g脳質量というrAAV懸濁液の用量が力価を有する。
(【0011】以降は省略されています)

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