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公開番号
2025169537
公報種別
公開特許公報(A)
公開日
2025-11-14
出願番号
2024074297
出願日
2024-05-01
発明の名称
酸素発生反応用触媒、電極、および電気化学デバイス
出願人
日本特殊陶業株式会社
代理人
個人
,
個人
主分類
B01J
23/889 20060101AFI20251107BHJP(物理的または化学的方法または装置一般)
要約
【課題】電気化学反応用触媒の活性を向上させる。
【解決手段】酸素発生反応用触媒は、Aサイト秩序型ペロブスカイト酸化物によって構成され、Aサイト秩序型ペロブスカイト酸化物は、組成式:AA'
3
B
4
O
12
(ただし、元素Aはカルシウム(Ca)であり、元素A'および元素Bはそれぞれ、少なくともマンガン(Mn)を含む1種以上の遷移金属である)で表され、CuKα線を用いた粉末X線回折パターンにおいて、回折角2θ=34°~35°の範囲内で最も強度が高いピークと2番目に強度が高いピークとの2本の回折ピークを少なくとも有し、2本の回折ピークのうちの低角側回折ピークP
L
のピーク強度を低角側ピーク強度I
L
、高角側回折ピークP
H
のピーク強度を高角側ピーク強度I
H
としたときに、高角側ピーク強度I
H
に対する低角側ピーク強度I
L
の比率であるピーク強度比(I
L
/I
H
)が1未満である。
【選択図】図4
特許請求の範囲
【請求項1】
酸素発生反応用触媒であって、
Aサイト秩序型ペロブスカイト酸化物によって構成され、
前記Aサイト秩序型ペロブスカイト酸化物は、
組成式:AA'
3
B
4
O
12
(ただし、元素Aはカルシウム(Ca)であり、元素A'および元素Bはそれぞれ、少なくともマンガン(Mn)を含む1種以上の遷移金属である)で表され、
CuKα線を用いた粉末X線回折パターンにおいて、回折角2θ=34°~35°の範囲内で最も強度が高いピークと、2番目に強度が高いピークと、の2本の回折ピークを少なくとも有し、
前記2本の回折ピークのうちの低角側回折ピークP
L
のピーク強度を低角側ピーク強度I
L
、高角側回折ピークP
H
のピーク強度を高角側ピーク強度I
H
としたときに、高角側ピーク強度I
H
に対する低角側ピーク強度I
L
の比率であるピーク強度比(I
L
/I
H
)が1未満であることを特徴とする
酸素発生反応用触媒。
続きを表示(約 550 文字)
【請求項2】
請求項1に記載の酸素発生反応用触媒であって、
前記Aサイト秩序型ペロブスカイト酸化物におけるマンガン(Mn)の組成比は、前記Aサイト秩序型ペロブスカイト酸化物における前記元素A'および前記元素Bの合計の組成比を7としたときに、6.5以上であることを特徴とする
酸素発生反応用触媒。
【請求項3】
請求項1に記載の酸素発生反応用触媒であって、
前記Aサイト秩序型ペロブスカイト酸化物は、前記元素A'および元素Bとして、マンガン(Mn)に加えて、さらに、ニッケル(Ni)、鉄(Fe)、コバルト(Co)のうちの少なくとも1種を含むことを特徴とする
酸素発生反応用触媒。
【請求項4】
請求項1から3までのいずれか一項に記載の酸素発生反応用触媒を備える電極。
【請求項5】
請求項4に記載の電極であって、
前記電極は、アルカリ水電解用アノード電極、金属空気2次電池の空気極、光電極システムのアノード電極、および、固体酸化物形電解セルのアノード電極のうちのいずれかであることを特徴とする
電極。
【請求項6】
請求項4に記載の電極を備えることを特徴とする電気化学デバイス。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本開示は、酸素発生反応用触媒、電極、および電気化学デバイスに関する。
続きを表示(約 4,000 文字)
【背景技術】
【0002】
近年、石炭、石油などの化石燃料に依存しない代替エネルギーとして、アルカリ水電解、燃料電池、金属空気電池などの様々なエネルギー変換システムが考案され、研究されている。これらのエネルギー変換システムにおいては、一般に、水素発生反応(HER)や酸素還元反応(ORR)や酸素発生反応(OER)が進行するが、このようなエネルギー変換システムの実用化のためには、特に、酸素発生反応(OER)用触媒の高性能化が重要であると考えられる。従来、酸素発生反応(OER)用触媒としては、RuO2やIrO2等の貴金属触媒や、ペロブスカイト型酸化物触媒など、種々の触媒が検討されている(例えば、非特許文献1参照)。中でも、Aサイト秩序型ペロブスカイト酸化物によって構成される触媒は、従来知られる貴金属触媒と同等あるいはそれ以上の触媒活性を有すると共に、触媒の使用環境下での安定性が高く使用寿命が長い触媒であるとされている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
特許第5869169号公報
【非特許文献】
【0004】
Nian-Tzu Suen et al., Chem. Soc. Rev., 2017, 46, 337
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このような酸素発生反応用触媒は、一般に、上記したようなエネルギー変換システムにおける酸素発生反応が進行する電極に設けられており、このような装置では、酸素発生反応を進行させるための過電圧を抑えてエネルギー効率を高めるために、酸素発生反応用触媒におけるさらなる性能の向上が望まれていた。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示は、以下の形態として実現することが可能である。
[1]本開示の一形態によれば、酸素発生反応用触媒が提供される。この酸素発生反応用触媒は、Aサイト秩序型ペロブスカイト酸化物によって構成され、前記Aサイト秩序型ペロブスカイト酸化物は、組成式:AA'
3
B
4
O
12
(ただし、元素Aはカルシウム(Ca)であり、元素A'および元素Bはそれぞれ、少なくともマンガン(Mn)を含む1種以上の遷移金属である)で表され、CuKα線を用いた粉末X線回折パターンにおいて、回折角2θ=34°~35°の範囲内で最も強度が高いピークと、2番目に強度が高いピークと、の2本の回折ピークを少なくとも有し、前記2本の回折ピークのうちの低角側回折ピークP
L
のピーク強度を低角側ピーク強度I
L
、高角側回折ピークP
H
のピーク強度を高角側ピーク強度I
H
としたときに、高角側ピーク強度I
H
に対する低角側ピーク強度I
L
の比率であるピーク強度比(I
L
/I
H
)が1未満である。
この形態の酸素発生反応用触媒によれば、組成式:AA'
3
B
4
O
12
(ただし、元素Aはカルシウム(Ca)であり、元素A'および元素Bはそれぞれ、少なくともマンガン(Mn)を含む1種以上の遷移金属である)で表されるAサイト秩序型ペロブスカイト酸化物のCuKα線を用いた粉末X線回折パターンにおいて、回折角2θ=34°~35°の範囲内で最も強度が高いピークと、2番目に強度が高いピークと、の2本の回折ピークを少なくとも有している。そして、高角側ピーク強度I
H
に対する低角側ピーク強度I
L
の比率であるピーク強度比(I
L
/I
H
)が1未満となっている。そのため、酸素発生反応用触媒の結晶構造に起因して、高い触媒活性を確保することができる。
[2]上記形態の酸素発生反応用触媒において、前記Aサイト秩序型ペロブスカイト酸化物におけるマンガン(Mn)の組成比は、前記Aサイト秩序型ペロブスカイト酸化物における前記元素A'および前記元素Bの合計の組成比を7としたときに、6.5以上であることとしてもよい。このような構成とすれば、マンガン(Mn)以外の遷移金属の含有割合を抑えることにより、Aサイト秩序型ペロブスカイト酸化物中に副相が生じることを抑えることができる。
[3]上記形態の酸素発生反応用触媒において、前記Aサイト秩序型ペロブスカイト酸化物は、前記元素A'および元素Bとして、マンガン(Mn)に加えて、さらに、ニッケル(Ni)、鉄(Fe)、コバルト(Co)のうちの少なくとも1種を含むこととしてもよい。このような構成とすれば、CuKα線を用いた粉末X線回折パターンにおいて、回折角2θ=34°~35°の範囲内に2本の回折ピークが存在し、高角側ピーク強度I
H
に対する低角側ピーク強度I
L
の比率であるピーク強度比(I
L
/I
H
)が1未満となっているAサイト秩序型ペロブスカイト酸化物を得ることが、より容易になる。
[4]本開示の他の一形態によれば、電極が提供される。この電極は、[1]から[3]までのいずれか一項に記載の酸素発生反応用触媒を備える。
この形態の電極によれば、電極で進行する酸素発生反応の活性を高めることができる。
[5]上記形態の電極は、アルカリ水電解用アノード電極、金属空気2次電池の空気極、光電極システムのアノード電極、および、固体酸化物形電解セルのアノード電極のうちのいずれかであることとしてもよい。このような構成とすれば、アルカリ水電解用アノード電極、金属空気2次電池の空気極、光電極システムのアノード電極、および、固体酸化物形電解セルのアノード電極のうちのいずれかで進行する酸素発生反応の活性を高めることができる。
[6]本開示のさらに他の一形態によれば、上記形態の電極を備える電気化学デバイスが提供される。
この形態の電気化学デバイスによれば、電極で進行する酸素発生反応の活性を高めて、電気化学デバイスの性能を高めることができる。
本開示は、上記以外の種々の形態で実現可能であり、例えば、酸素発生反応用触媒の製造方法や、上記触媒を含む電極を備えたアルカリ水電解装置、金属空気2次電池、光電極システム、および、固体酸化物形電解セルなどの形態で実現することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0007】
Aサイト秩序型ペロブスカイト酸化物の構造を模式的に表す説明図。
本実施形態の触媒の製造方法の一例を示す説明図。
サンプルS1~S3のXRDチャートを並べて示す説明図。
図3のXRDチャートの一部を拡大して示す説明図。
サンプルS1~S3のピーク強度比(I
L
/I
H
)を示す説明図。
OER評価としての電気化学測定結果を示す説明図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
A.酸素発生反応用触媒:
本実施形態の触媒は、酸素発生反応(OER:Oxygen Evolution Reaction)を促進する酸素発生反応用触媒である。本実施形態の触媒は、第1の組成式であるAA'
3
B
4
O
12
(ただし、元素Aはカルシウム(Ca)であり、元素A'および元素Bはそれぞれ、少なくともマンガン(Mn)を含む1種以上の遷移金属である)で表されるAサイト秩序型ペロブスカイト(四重ペロブスカイト)酸化物を有している。
【0009】
図1は、Aサイト秩序型ペロブスカイト酸化物の一般的な構造を模式的に表す説明図である。Aサイト秩序型ペロブスカイト酸化物は、既述した第1の組成式AA'
3
B
4
O
12
で表され、Aは希土類元素あるいはアルカリ土類金属元素、A'およびBは遷移金属である酸化物である。このようなAサイト秩序型ペロブスカイト酸化物の構造は、図1に示すように、Bサイトの元素を含むBO
6
八面体に加えて、元素A'を含んで秩序配列したA'O
4
平面を有する。
【0010】
本実施形態のAサイト秩序型ペロブスカイト酸化物(以下では、単に「本実施形態の酸化物」とも呼ぶ)は、既述したように、第1の組成式AA'
3
B
4
O
12
(ただし、元素Aはカルシウム(Ca)であり、元素A'および元素Bはそれぞれ、少なくともマンガン(Mn)を含む1種以上の遷移金属である)で表され、第2の組成式CaMn
7
O
12
で表される構造を基本構造としている。すなわち、本実施形態の酸化物では、第1の組成式AA'
3
B
4
O
12
におけるAサイトがカルシウム(Ca)元素によって占められると共に、遷移金属元素によって占められるA'サイトおよびBサイトの双方は、マンガン(Mn)元素のみによって構成されていてもよく、あるいは、マンガン(Mn)元素と共にさらにMn以外の1種以上の遷移金属元素によって構成されていてもよい。
(【0011】以降は省略されています)
この特許をJ-PlatPat(特許庁公式サイト)で参照する
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