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公開番号2025166155
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-11-05
出願番号2025134810,2022568631
出願日2025-08-13,2021-05-21
発明の名称Fcバリアント及びその調製
出願人ザイダス・ライフサイエンシーズ・リミテッド
代理人個人,個人,個人
主分類C07K 16/18 20060101AFI20251028BHJP(有機化学)
要約【課題】FcRnに対する改変された結合親和性、好ましくはFcRnに対するより高い結合親和性を持つ新規のFcバリアントを提供すること。
【解決手段】ヒトFcタンパク質と比較して、ヒトFcRnに高い親和性で結合し、配列番号22のアミノ酸配列を含む、野生型Fcタンパク質の特定のEU位での置換アミノ酸の組合せを含むFcバリアントにより、上記課題を解決する。
【選択図】図1
特許請求の範囲【請求項1】
ヒトFcタンパク質と比較して、ヒトFcRnに高い親和性で結合し、配列番号22のアミノ酸配列を含む、野生型Fcタンパク質の特定のEU位での置換アミノ酸の組合せを含むFcバリアント。
続きを表示(約 810 文字)【請求項2】
中性pHでの結合親和性と比較して、pH6.0でヒトFcRnに対するより高い結合親和性を有する、請求項1に記載のFcバリアント。
【請求項3】
ヒトFcRnに対して10
-8
M以下のK
D
を有する、請求項1に記載のFcバリアント。
【請求項4】
ヒト以外の種由来のFcRnと交差反応する、請求項1に記載のFcバリアント。
【請求項5】
IgG
1
、IgG
2
、IgG
3
、IgG
4
又はIgG
2
/G
4
アイソタイプのFcタンパク質に存在する、請求項1に記載のFcバリアント。
【請求項6】
多量体形態で発現され、FcバリアントのヒトFcRnに対するより高いアビディティを介して分子サイズ及び親和性を増大することによって半減期を延長する、請求項1に記載のFcバリアント。
【請求項7】
二量体、三量体、四量体、五量体、及び六量体から選択される多量体形態である、請求項6に記載のFcバリアント。
【請求項8】
完全長の抗体形態で存在する、請求項1に記載のFcバリアント。
【請求項9】
Fcガンマ受容体に対するヒトIgG
1
Fc領域の親和性と比較して、Fcガンマ受容体に対する改変された親和性を有する、請求項1に記載のFcバリアント。
【請求項10】
アロタイプV158又はF158を含むFcγRIIIaに対するヒトIgG
1
Fc領域の親和性と比較して、FcγRIIIa(CD16a)に対する増大された親和性を有する、請求項9に記載のFcバリアント。
(【請求項11】以降は省略されています)

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、Fcバリアントタンパク質及びその調製に関する。前記Fcバリアントは、FcRnに対する改変された結合親和性を有する。本発明によって調製されたFcバリアントは、FcRnアンタゴニスト組成物を作製するために使用され得、又はエフェクター機能が改変されたFcバリアント含有薬物又は分子を作製するために使用され得る。
続きを表示(約 4,300 文字)【背景技術】
【0002】
新生児Fc受容体(FcRn)は、可溶性軽鎖であるβ2-ミクログロブリン(β2m)と非共有結合するI型膜貫通重鎖からなる主要組織適合複合体(MHC)クラスIヘテロ二量体分子と構造的に相同である。β2mは、FcRn、並びに他のMHCクラスIホモログの適切なフォールディング、輸送、及び機能にとって必須である。FcRn重鎖は、3つの可溶性細胞外ドメイン(α1、α2、及びα3)、単一膜貫通ヘリックス、並びに細胞質側末端を含んでいる。MHCクラスI分子とは異なり、FcRnは、ペプチド結合を破壊するFcRn上面の点変異により、T細胞に抗原を直接提示しない。FcRnがIgGを細胞内異化から保護する能力は、IgGのFc部分との特異的なpH依存性相互作用の結果である。IgGは、IgG FcのCH2-CH3ドメイン内の調整可能なヒスチジン残基とFcRnのα2-ドメイン上の酸性残基との間の静電気により媒介される中性pH(>7)ではなく酸性pH(<6.5)で厳正にpH依存的にFcRnに結合する。結合は、一連の疎水性相互作用と、FcとFcRn α2ドメイン及びβ2m軽鎖N末端内の残基との間の水素結合によって更に安定化される。IgGのホモ二量体の性質により、1つのIgG分子が2つのFcRn分子に同時に結合することができ、相互作用のアビディティが増加するため、pH6でFcRnとIgGとの間の相互作用は高親和性となる。FcRnとIgGの間の2:1の相互作用は、FcRn発現細胞における効率的な結合、リサイクル、及びトランスサイトーシスにとって重要であり、最終的には、IgGの長期血清持続性が維持され、その結果、保護抗体分子はB細胞により繰り返し産生される必要がなくなり、それにより感染に対する効率的な免疫が提供される。残念なことに、この同じ相互作用はまた、自己抗原に対して反応するIgG分子の病原性にも関与しており、多くの自己免疫障害を引き起こしている。FcRnを欠損したマウスは、IgG媒介性自己免疫疾患から保護されるが、このことは、FcRnが、循環で病原性IgGをより長く維持することにより自己免疫に少なくとも部分的に寄与することを示唆している。FcRnはIgGの血清持続性に寄与するので、IgG-FcRn相互作用を遮断する治療法は、IgG媒介性自己免疫の処置のモダリティとしての可能性を示す。実際、高用量免疫グロブリン静注療法(IVIg)は、IgG媒介性自己免疫疾患の処置においてFDA認可を受けており、FcRn受容体を飽和させ、それにより病原性IgGの異化を増強することによって部分的な治療上の利点を提供する。しかし、IVIg療法には複数の問題がある。例えば、血液由来の製品であるため、HIV、HBV、HCV等のヒト病原体に汚染されやすく、したがって、自己免疫疾患等の慢性障害の処置は、レシピエント患者にとって非常にリスクが高くなる。また、多くの献血ドナーの血漿からのIgG抽出を必要とするため、高価である。また、ヒトドナーに依存する製品であるという理由から、スケーラビリティにも懸念がある。したがって、安全でスケーラブルであり、費用対効果の高い代替処置の選択肢を提供するために、新規の遺伝子組換えアプローチが今必要とされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
米国特許第8,067,232号
米国特許第7,083,970号
米国特許第7,524,647号
国際公開第2007/017903号
国際公開第2012/046255号
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
モノクローナル抗体ベースのアンタゴニストが、内因性IgG-FcRn相互作用を阻害するために開発されている。アプローチの1つは、古典的な抗体:抗原結合メカニズムを介して作用するFcRnに対するモノクローナル抗体の使用である。そのような抗体の例はM281及びUCB7665であり、これらは、ヒトFcRnに結合してFcRnへのIgG結合を阻害し、それにより内因性IgGのクリアランスを促進する。M281では、用量依存的な内因性IgGの平均減少率が25~80%の範囲であることが確認された。更に、30mg/kg又は60mg/kgでM281を単回投与すると、それぞれ、18日間及び27日間、血清IgGがベースラインの50%以下に維持された(1)。健康な対象においては、血清中のIgG濃度は、UCB7665の7mg/kgの単回IV投与で最大50%低下した。本研究において観察された血清IgG濃度の低下は数週間持続し、7日目~10日目までに最大の低下が達成され、その後57日目まで徐々にベースラインまで戻った(2)。
【0005】
血清中のIgGレベルを低下させるための別の抗体操作アプローチは、pH6とpH7.4の両方でFcRnに高い親和性を有するように、IgGのFcドメインを操作することである。「Abdegs」(すなわち、IgG分解を促進する抗体)技術を使用して開発されたこのような分子は、IVIgよりも25~50倍低い用量で関節炎のマウスモデルを処置するのに有効であることが確認されており、このことは、IgG-FcRn相互作用のIgG-FcRnベース強力アンタゴニストが自己免疫における代替治療介入であることを示唆している。この分子、Efgartigimodは、オランダ拠点のバイオテクノロジー企業であるarGEN-X社によって臨床開発中である。
【0006】
更に最近、FcRnへの結合に対してIgGと競合する合成ペプチドがファージライブラリーから同定された。pH6及びpH7.4でFcRnにナノモル以下の親和性で結合する化学的に最適化されたペプチド二量体(SYN1436)は、マウスにおける外因性IgG並びにサルにおける内因性IgGのクリアランスの増加に効果的であったが、IgG媒介性自己免疫の治療モデルにおいては評価されていない。或いは、Fc自体の代わりにCH2-CH3ドメイン界面で結合してIgG-FcRn相互作用を遮断するさらなる分子には、ファージディスプレイによって選択された13アミノ酸環状ペプチド(FcIII)、コンピューターによって設計されたIgG-Fc結合タンパク質(FcBP6.1)、及び内在性Fc受容体のTRIM21が含まれる(3)。したがって、本発明は、FcRn活性のダウンレギュレーション、様々な薬物の循環半減期の延長、薬剤及び/又はワクチンの特定の細胞型へのターゲティング等、未だ対処されていない様々なニーズを解決するFcRnバインダーを提供する。本発明のFcRnバインダーは、様々な疾患の処置に使用され得る。
【0007】
免疫複合体(IC)の形成及び免疫複合体を介したFcγR媒介性活性化をターゲットとする別のクラスの分子がある。このクラスの分子は、Pf-06755347(GL-2045)及びCSL730(M230)等の組換えFc多量体である。これらの分子は構造の点で複雑であり、非常に不均一な集団となり得る。これらの分子は、自己免疫疾患を処置するために開発されている。したがって、異なるメカニズムをターゲットとする分子は、ヒト血漿の供給への依存と、治療に必要とされる最大2g/kg体重の大量投与を回避するために、静脈内免疫グロブリン(IVIg)及び皮下免疫グロブリン(SCIg)の代わりとして開発されている、初期の臨床試験下にある。この状況で、FcRn遮断、FcγR活性化の阻害、及び/又は完全補体活性化の阻害等の複数の作用機序の効果を併せ持つ単一の薬物を得ることは有利である。
【0008】
一態様では、本発明は、FcRnバインダー並びにFcγRバインダーであり、FcRn活性のダウンレギュレーション、様々な薬物の循環半減期の延長、IC阻害、IC形成により媒介されるサイトカイン放出の阻害、FcγR活性化により媒介される食作用の阻害等の様々なニーズを一緒に解決することができるFcバリアント分子を提供する。好ましくは、本発明により調製したFcバリアント分子は、IVIgの用量と比較して、より少ない用量で上述の前記所望する効果の1つ又は複数を提供する。
【0009】
本発明は、FcRnに対する改変された結合親和性、好ましくはFcRnに対するより高い結合親和性を持つ新規のFcバリアントを提供する。一態様では、本発明のFcバリアントは、FcγRに対する改変された結合親和性、好ましくはFcγRに対するより高い結合親和性を有する。好ましくは、前記Fcバリアントは、FcRnアンタゴニスト機能又は延長された循環半減期を持つ薬剤組成物を開発するために、或いは特定の細胞及び/又は組織をターゲティングするために使用され得る。本発明はまた、新規のFcバリアントを作製する方法も提供する。本発明によるFcバリアントは、更に、FcRnの活性が有害である疾患を処置するため、又は薬物の循環半減期を延長するため、又はある特定の細胞若しくは組織に薬物をターゲティングするための薬物の調製において使用される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
本発明のFcバリアントを作製するためにライブラリー作製に使用されるベクターのマップを示す図である。
本発明のFc単量体及びFc二量体の作製に使用されるベクターのマップを示す図である。
本発明のFc単量体を含むモノクローナル抗体の作製に使用されるベクターのマップを示す図である。
野生型マウスにおける総IgG血清レベルに対するFcバリアント(Fc二量体)及びIVIgの効果を決定するための実験結果を示す図である。
野生型マウスにおける血清アルブミンレベルに対するFcバリアント(Fc二量体)及びIVIgの効果を決定するための実験結果を示す図である。
ADCC活性に対するFcバリアントの効果を決定するための実験結果を示す図である。
急性免疫性血小板減少症(ITP)のマウスモデルにおける血小板数に対するFcバリアントの効果を決定するための実験結果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
(【0011】以降は省略されています)

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